第三十章 ぼくらの繰越村再訪記 3.廃村トレジャーハント~廃棄品発掘~
本作に登場する地名・人名・歴史・道徳・法律・価値観・慣習・伝承などは架空のものであり、現実のそれとは無関係である事を、予めお断りしておきます。現実で作中人物と同じような行動をとった場合、何らかの法規に抵触するかもしれませんのでご注意下さい。
~Side 真凜~
そんなこんなであたしたちは、繰越の廃村にやって来たんだけど……
「……何だか人出が多いね。日曜だからかな?」
「それだけじゃなさそうな気がするわ……待って、【順風耳】で探ってみる」
それであたしは、【風魔法】の一つである【順風耳】を使って、遠くの話し声を聴き取ってみたんだけど……
「……まずいわ優樹。あの人たち、〝電柱消失の怪事件〟を知って集まって来たみたい」
逆柱になりかかっていた木の電柱を、優樹がマヨヒガにリクルートした時に、他の電柱まで引き連れて参加してくれたのよね。おかげでマヨヒガの完成が早まって、それはそれで助かったんだけど……
「……廃村の電柱が一気になくなって、しかも重機とかで運ばれたように見えないって、ネットで騒ぎになってたみたい」
「ふーん、そうなんだ。知らなかったね」
「……って、すいぶん落ち着いてるじゃないのよ? 優樹」
表ざたになったりはしてないけど、原因はあたしたちなんだから、もう少しうろたえるもんじゃないの?
そう思って問いかけたんだけど……
「え? だってぼくたち、無関係じゃない?」
優樹ってば……白々しいを通り越して、清々しいほどの笑顔で返してきたわね。
「いや……だってさ、真凜ちゃんも言ってたじゃない。どうせぼくたちのしわざだなんて、わかるわけがない――って。だったら変にオドオドせずに、堂々としてればいいじゃない」
優樹ったら、〝むしろここへ来た口実になる〟――なんて、笑って言い切ってるんだもん。……ある意味で頼もしいとも言えるわよね。
「けどまぁ、あまり人目に付かない方がいいのは確かだから、裏手の方にまわってみようか。知らない人がたくさんいて怖かった……って事にして」
うん……実際に危機感をおぼえるかどうかは別にして、人目に付かないっていうのは大事よね。
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優樹の提案どおりに空き家の裏手にまわって、そこで地中の様子を土魔法で探ってみたら……壊れた焼き物とかが結構埋まってたのよね。土魔法でササッと掘り出して、優樹に鑑定させてみたんだけど……まぁ、甲斐のおじさんが言ってたとおり、ほとんどはいわゆるガラクタってやつだった。直しても二束三文っぽいけど……それでも数だけはそろえられそうよね。……あたしたちが食器として使うには、不ぞろいなのがアレだけど。
お皿やお茶わん、湯のみなんかが大半で、それ以外だと、割と多かったのが小ぶりの瓶だった。お味噌とかお塩、あとは梅干しとかぬか漬けなんかを入れてたんだと思うけど……結構割れる事があったのかしら。
あと、数はそこまで多くないけど、片口とか焙烙なんかの割れたのも埋められてた。
片口っていうのは陶器のお鉢で、片一方にだけ注ぎ口があるからこう呼ばれてるらしいわ。お酒やおしょう油、汁物なんかを注ぎ分ける時に使ったみたい。あたしは見た事なかったんだけど、優樹の田舎で使ってたんだって。
焙烙っていうのは素焼きの小さなフライパンみたいなもので、ゴマとか豆、お茶っ葉を煎るのに使ってたらしい。フライパンみたいな平たいのだけじゃなくて、縁が内側にめくれたものもあったみたい。あたしは本で読んで知ってたけど、実物を見るのは初めてだった。素焼きな上に低温で焼いてあったらしく、割れやすかったみたいなのよね。だからなのか、壊れたのが割とあちこちに埋められてた。
「焙烙ばっかり集まっても、使いようがないと思うんだけど……」
「その時はその時よ。いよいよとなったら、あのおじさんに押し付けてもいいんだし」
あのおじさん、ちゃん連絡先を教えてくれたし、できなくはないと思うのよね。
でもまぁ、今回の掘り出し物の目玉は、やっぱり七輪と石油ランプよね。まぁ壊れてはいるんだけど……これでマヨヒガでの調理器具と照明器具がそろったわけだし。




