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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
121/125

第三十章 ぼくらの繰越村再訪記 3.廃村トレジャーハント~廃棄品発掘~

本作に登場する地名・人名・歴史・道徳・法律・価値観・慣習・伝承などは架空のものであり、現実のそれとは無関係である事を、予めお断りしておきます。現実で作中人物と同じような行動をとった場合、何らかの法規に抵触するかもしれませんのでご注意下さい。

 ~Side 真凜~


 そんなこんなであたしたちは、繰越(くりこし)の廃村にやって来たんだけど……


「……何だか人出が多いね。日曜だからかな?」

「それだけじゃなさそうな気がするわ……待って、【(じゅん)(ぷう)()】で探ってみる」


 それであたしは、【風魔法】の一つである【(じゅん)(ぷう)()】を使って、遠くの話し声を聴き取ってみたんだけど……


「……まずいわ(ゆう)()。あの人たち、〝電柱消失の怪事件〟を知って集まって来たみたい」


 (さか)(ばしら)になりかかっていた木の電柱を、(ゆう)()がマヨヒガにリクルートした時に、他の電柱まで引き連れて参加してくれたのよね。おかげでマヨヒガの完成が早まって、それはそれで助かったんだけど……


「……廃村の電柱が一気になくなって、しかも重機とかで運ばれたように見えないって、ネットで騒ぎになってたみたい」

「ふーん、そうなんだ。知らなかったね」

「……って、すいぶん落ち着いてるじゃないのよ? (ゆう)()


 表ざたになったりはしてないけど、原因はあたしたちなんだから、もう少しうろたえるもんじゃないの?

 そう思って問いかけたんだけど……


「え? だってぼくたち、無関係じゃない?」


 (ゆう)()ってば……白々(しらじら)しいを通り越して、清々(すがすが)しいほどの笑顔で返してきたわね。


「いや……だってさ、()(りん)ちゃんも言ってたじゃない。どうせぼくたちのしわざだなんて、わかるわけがない――って。だったら変にオドオドせずに、堂々としてればいいじゃない」


 (ゆう)()ったら、〝むしろここへ来た口実になる〟――なんて、笑って言い切ってるんだもん。……ある意味で頼もしいとも言えるわよね。


「けどまぁ、あまり人目に付かない方がいいのは確かだから、裏手の方にまわってみようか。知らない人がたくさんいて怖かった……って事にして」


 うん……実際に危機感をおぼえるかどうかは別にして、人目に付かないっていうのは大事よね。



・・・・・・・・



 (ゆう)()の提案どおりに空き家の裏手にまわって、そこで地中の様子を土魔法で探ってみたら……壊れた焼き物とかが結構埋まってたのよね。土魔法でササッと掘り出して、(ゆう)()に鑑定させてみたんだけど……まぁ、甲斐のおじさんが言ってたとおり、ほとんどはいわゆるガラクタってやつだった。直しても二束三文っぽいけど……それでも数だけはそろえられそうよね。……あたしたちが食器として使うには、不ぞろいなのがアレだけど。


 お皿やお茶わん、湯のみなんかが大半で、それ以外だと、割と多かったのが小ぶりの(かめ)だった。お味噌(みそ)とかお塩、あとは梅干しとかぬか漬けなんかを入れてたんだと思うけど……結構割れる事があったのかしら。

 あと、数はそこまで多くないけど、片口(かたくち)とか焙烙(ほうろく)なんかの割れたのも埋められてた。

 片口(かたくち)っていうのは陶器のお鉢で、片一方にだけ注ぎ口があるからこう呼ばれてるらしいわ。お酒やおしょう油、汁物なんかを注ぎ分ける時に使ったみたい。あたしは見た事なかったんだけど、(ゆう)()田舎(いなか)で使ってたんだって。

 焙烙(ほうろく)っていうのは素焼きの小さなフライパンみたいなもので、ゴマとか豆、お茶っ葉を()るのに使ってたらしい。フライパンみたいな平たいのだけじゃなくて、縁が内側にめくれたものもあったみたい。あたしは本で読んで知ってたけど、実物を見るのは初めてだった。素焼きな上に低温で焼いてあったらしく、割れやすかったみたいなのよね。だからなのか、壊れたのが割とあちこちに埋められてた。


焙烙(ほうろく)ばっかり集まっても、使いようがないと思うんだけど……」

「その時はその時よ。いよいよとなったら、あのおじさんに押し付けてもいいんだし」


 あのおじさん、ちゃん連絡先を教えてくれたし、できなくはないと思うのよね。


 でもまぁ、今回の掘り出し物の目玉は、やっぱり七輪(しちりん)と石油ランプよね。まぁ壊れてはいるんだけど……これでマヨヒガでの調理器具と照明器具がそろったわけだし。


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