第三十章 ぼくらの繰越村再訪記 2.廃村を目指そう
~Side 真凜~
残念ながら旧村落があった場所はわからなかったけど、大体あの辺りだろうって見当は付いたから、後は足で探すしかないわよね。あたしの探査魔法と優樹の鑑定があれば、ま、何とかなるでしょ。
繰越村の旧村、古文書に土石流で神社とかお寺が流されたという話があるのよね。何が埋まってるのかわからないし、それ以前に場所もはっきりしないから優先度は低いけど、ワームと異世界人の事も考えると、無視するわけにもいかない。けど、特に急ぐ必要があるってわけでもないから、来年暖かくなってからでもいいわよね。
優樹とも相談して、今日のところは大体の見当を付けただけでいいという事にして、繰越の廃村の方へ行く事にする。
昨日会ったおじさん、甲斐さんっていってたけど、あの人から耳よりな話を聞いたのよね。
〝昔はなぁ、今みたいなリサイクルやら分別収集やら無かったし、ゴミとかは各自で処分したもんや。燃えるもんは燃して、燃えんもんは埋けたりな〟
〝いける……?〟
〝穴掘って埋めるんや。割れた茶碗とかな。窯元なんかやと、不出来なもんは叩き割って捨てる事もあってな。その捨て場を「物原」云うんやけど、そっから掘り出したもんなんかに、結構良ぇ値が付く事もあるんや〟
……つまり、繰越の廃村でも、割れたお茶わんとかを家の裏に埋めたりしてた……かもしれないのよね。それを掘り出して優樹の補修スキルで直せば、たちまち収蔵品に早変わり――って寸法よ!
「だけど真凜ちゃん、そんなに見境なく、手当たり次第にかき集めてもいいもんなの?」
「優樹が前に言ってた話ね? 収蔵できる量にキャパがあった場合、格の低い収蔵品ばかり集めてもいいのか――って?」
「うん。ただの場所ふさぎって事になったらまずいんじゃないか――って」
マヨヒガのQOLを上げるためにも収蔵品を集めて、マヨヒガのレベルアップを急ぐ必要があるんだけど、それが先々足かせになる事を心配してるのよね、優樹は。
だけど、
「場所ふさぎも何も、今すっからかんじゃないのよ。収蔵品の戸棚」
そういうのはある程度、収蔵品が集まってから考えるものよ。少なくともあの戸棚がいっぱいになるくらいまでは、収蔵品をかき集めても大丈夫って事じゃない。本家本元の「迷い家」なんて、土間から奥座敷まで、ズラ~っと戸棚が並んでたんだから。あたしたちのマヨヒガだって、戸棚数個分くらいなら、余裕で収納できるはずよ。
「まぁ……それはそうかもね」
「それに今回の狙い目は、お皿とかお茶わんとかの焼き物よ? 何ならあたしたちが使ってもいいじゃない」
「……土の中から掘り出した割れものを、食器として使うわけ?」
「だから、使えそうなら――よ」
優樹ったら、意外に神経質なのかしら。
大体、あの赤錆の塊だった日本刀が、見ちがえるようにきれいになってたのよ? お皿だって茶わんだって、新品同様になるに決まってるじゃない。
もしもきれいにならなかったら、その時は食器に使わなければいいんだし……何の問題もないじゃないのよ。
「そうかなぁ……」
「いい優樹? あたしたちがマヨヒガを使う以上、湯のみと急須くらいは必要なのよ? だのに、今はガラスコップと水差ししかないじゃないのよ。できるだけ出費を抑えるためにも、リユースとリサイクルは必要なの。贅沢は敵よ!」
「……戦時中、『敵』の前に『素』の字を追加して、『贅沢は素敵だ』に書き直したって話を聞いたけど……えと……うん……わかったよ」
そうそう、わかればいいのよ。
「……だから真凜ちゃん、そろそろ握りこぶしは解いてほしいんだけど」
あ、あら……やーねぇ。ただムイシキに握ってただけで……別に、そういうつもりじゃないのよ?




