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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
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第二十九章 甲斐禎吉を追え 4.結ばれた縁(えにし)

 ~Side 甲斐(かい)禎吉(ていきち)


「じゃあ、おじさんはコットウ屋さんなんですか?」

「まぁ、骨董(こっとう)屋いうたらそうやけど、わしの本業は競取(せど)り師なんや。あっちゃこっちゃのフリマやなんかで掘り出し(もん)を見つけて、それを店持ちの同業者に(ちゅう)(かい)するんが本業やな」

「あぁ……安く買い叩いてボロもうけするんだ……」

「アホか。そら、上手い事一山当てたらデカいけど、そないな美味(うま)い話はそう転がってへんわい。当ても無くあっちゃこっちゃ歩き廻って、顎足(あごあし)代だけで足が出るわい」


 何や知らんが、ちっこい嬢ちゃんがお祈りしてくれたかと思うと、嘘みたいに気分が好ぅなった。何ぞ新興宗教の関係者か何かかと思うたんやが、


〝えぇと……知り合いの人がやってたのをまねてみただけで……〟

〝脱水症状か何かじゃないですか? スポーツドリンクを飲んだら好くなったみたいだし〟


 ……そら、スポドリ(もろ)ぅて気分が好ぅなったのは事実やけどな、具合そのもんが好ぅなったのはスポドリ(もら)う前の事やし、気分が悪かったんは朝からや。脱水症状の出る幕は無いんとちゃうか?


 ……まぁ、子供らにも何ぞ事情があるみたいやし、命の恩人に対して無用な詮索(せんさく)するほど、この甲斐(かい)禎吉(ていきち)は腐ってへんわぃ。

 まぁ、そこらは大人の対応いうやつでスルーして、こっちの事情を説明したんや。


「でな、この辺りに廃村があるて聞いて、足を伸ばしてみたんやけどな」


 何やSNSとかでも評判になっとるようやし、めぼしい(もん)は残ってへんやろけどな。そんでも何ぞ残り(もん)があるかもしれん。そう思ってやって来たわけや。ほしたら(たま)()た事に、子供らはその場所を知っとる言い出した。


「知ってるって言っても、大ざっぱな位置だけですけど……この先にある繰越(くりこし)(とうげ)の近くみたいです」

「けど、ここからだと結構ありますから、病み上がりの体で歩くのは……ちょっとおすすめできないって言うか……」

「……レンタカー借りて来るべきやったか? けどなぁ……道があんま良ぅないって聞いとったしなぁ……」

「大抵はバイクとかで行くみたいですよ? あとは自転車」

「ママチャリじゃなくて、マウンテンバイクってやつみたいです」

「二輪かぁ……そこまで気が回らんかったわなぁ……」



・・・・・・・・



 結局、この日は子供らの言う事聞いて、温和(おとな)しゅう引き揚げたんやが……宿へ戻った()(たん)に保健所やら検疫所やらの(もん)にとっ捕まって、何や色々な検査を受ける羽目になったわ。

 何でもわしが取引した古物商の親爺、(あん)(じょう)ヤバい疫病に(かか)っとったらしい。わしもその疫病を感染(うつ)されとるんやないか思うて、あちゃこちゃ捜し廻っとったらしいわ。

 まぁ結局、何の疫病にも(かか)っとらんいう事になって、ご一同胸を撫で下ろしてはったけどな。


 ……そやけど、わしには解っとる。


 出血熱とかいう死病を感染(うつ)されとったのを、あの子らがどうにかしてくれたんや。


 命を助けてもろたいう事を、性根の底に刻み込んでおかんとな。



 ********



 ~Side 真凛~


「……()(りん)ちゃん、よく考えてみたら、ぼくらが感染してるかどうかは、ステータス画面を見ればよかったんじゃないかな?」


 (ゆう)()に言われて気が付いたけど……そうよ、ステータス画面に状態異常の表示が出てるかどうか、それを確かめれば一発だったじゃないのよ。


「まぁ、感染から発症までのどのタイミングで、ステータス画面が状態異常を認識するかどうかがわからなかったわけだし、鵜呑(うの)みにするのは危険かもしれないけどね」」

「そ、そうよね……」

「慣れてないと気付かない事って、あるもんだね」

これにて今回の更新は終幕です。

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