第二十五章 初めてのマヨヒガ 5.収蔵品と家財道具
~Side 優樹~
中の間取りをひととおり確認したところで、ぼくたちは収蔵品の確認に移った。真凜が何か言いたそうだったしね。
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「……確かに日本刀だね。……あの赤錆がこうなるのかぁ……」
真凜に言われて確認したんだけど、繰越の廃村で掘り出した錆の塊がちゃんとした日本刀になっててビックリした。なぜか白木の鞘まで付いてるし。……この鞘って、元は流木かな?
「うわ……本物の日本刀って、こんなに重いんだ……」
試しに一本――正しくは一振りって言うんだっけ――手にとって抜いてみたんだけど、思った以上に重たかった。……真凜は平気な顔して持ってるけど。
「ねぇ真凜ちゃん……これって、名刀とかそういうの?」
自慢じゃないけど、その手の観察眼はぼくにはない。……と言うか、小学生が持ってるようなスキルじゃないよね、普通。まだ歴女の真凜なら何かわかるんじゃないかと思ったんだけど、
「どうだろ……あたしもそっち方面は、あんまりくわしくないし……」
真凜でもダメかぁ……
「でも……何となくだけど……安物じゃないような気がしない?」
「あ、やっぱり真凜ちゃんもそう思う?」
「うん。何かフーカクがあるっていうか……」
「うんうん、そんな感じ」
持ち主の欲目ってやつかもしれないけど、何か安物には見えないんだよね。
「そんな中で、このミスリルの剣だけがひときわ異彩を放ってる件」
「うん。掘り出した時には汚れたりくすんだりしてたところも、すっかりきれいになってるよね」
そういう意味でなら、この剣こそが収蔵品のトップって事になるんだろうけど……
「……真凜ちゃん……マヨヒガの収蔵品ってさぁ、お客さんに渡すのが前提なんだよね?」
「……そう……ね……」
「これって渡していいもんなの?」
どう考えても、出しちゃまずいと思うんだけど……いや……真凜のスキルスクロールだって似たようなものだったかな……?
マヨヒガの収蔵品って時点で、普通じゃない事は確定してるわけだし……でもなぁ……〝普通じゃない〟にも、限度ってものがあるはずだよね。いくら何でも〝異世界産のミスリルの剣〟は……
「……うん、あたしもまずいと思う。少なくとも、当分の間は門外不出にすべきよ」
収蔵品って言うより死蔵品だよね、コレ。
「で、さぁ……まずいって言ったら日本刀だって、ウカツに出したらまずいよね?」
マヨヒガとか言う以前に、法律的に。
「……そう……ね……」
「そうするとさぁ、無難に収蔵品って言えるのって、古銭と火鉢くらいだよね? 石臼とか杵は備品みたいになってるし。ただ、火鉢は収蔵品と備品のどちらかを選べるようになってたんだけど……収蔵品にしちゃっていいのかな?」
「……どういう意味よ?」
「や、だってさぁ……冬になった時、マヨヒガの中がどれくらい寒いか、判らないんだよ? それに、暖房器具が外から持ち込めない可能性だってあるよね?」
プラスチック製品とか持ち込めなかったけど、今ある暖房器具でプラスチックを使ってないのって、ほとんどないんじゃないかな?
「……あ……」
「もしもそうなると、この火鉢はぼくらにとって生命線だよ?」
そうなると、無難に収蔵品と言えるものは古銭ぐらいしかなくなっちゃうんだよね。一気にラインナップが貧弱になっちゃう。
「まぁ、マヨヒガだってできたばっかりなんだし、そう慌てる事もないんだけどね。収蔵品の条件っていうの? それが思ったより厳しい事は言っておこうと思って」
「う~ん……」
マヨヒガの強化にもつながるみたいだから、収蔵品はできるだけ充実させておきたいんだけど……思ってたよりずっと難しいかもしれないね。




