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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第一部 五年生 一学期
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第二章 少しだけ変わったぼくたちの日常 5.真凜の特訓計画(その3)

 ~Side 真凜~


「でさ、本題に戻るけど」

「あぁ……元々は、どうやって魔法の練習するかって話だったわよね……」


 (ゆう)()の発言が色々と衝撃的で忘れてたわ……


「うん。光魔法と治癒魔法が使えないとなると、無難なのは風魔法じゃないかな?」

「そうねぇ……ラノベとかだと部屋の中で大風が巻き起こったりしてたけど……今のところはそこまでの風は起こせないしねぇ……」

「うん。だから、あのラノベの訓練法をそのまま、光魔法を風魔法に置きかえてやればいいと思う」

「そよ風を長時間出し続けるって事?」

「うん。ある程度できるようになったら、今度はコントロールの精度を上げるのがいいんじゃないかな」

「コントロールの――精度?」


 あたしは威力を上げる事を考えてたんだけど……風魔法なら、外でやっても気付かれにくいと思うし。


「そうかもしれないけど、いつもいつも()(りん)ちゃんから突風が吹いてれば、そのうち誰かが怪しむんじゃない? 離れた場所に風を起こすのって、できる?」

「う……少し難しいかも……」

「だったらやっぱり、そういうのは人目のない場所でやる事にしたら? 威力が欲しいのはわかるけど、持続力とか回復力、回数なんかも大事だと思うよ?」

「……なぜかいかがわしく聞こえるのは気のせいかしら?」

「やだなぁ()(りん)ちゃん。もちろん気のせいに決まってるじゃない」


 (ゆう)()はさわやかな顔で笑ってるけど……視線は巧みにズラして目を合わせようとしない。……有罪ね。


「まぁ、それはともかく……()(りん)ちゃんが気にしてるのは、万一の場合の事だよね? ラノベ的お約束展開ってやつで?」

「えぇ……それこそ考え過ぎなのかもしれないけどね」


 ラノベだと、リアル世界でチートスキルを得た主人公は、色々なトラブルに巻き込まれるのがお約束。いくら何でも――とは思うけど、ラノベみたいな事があたしたちに起きた以上、そういう事に巻き込まれる可能性は無視できないと思う。

 (ゆう)()のスキルが戦闘に向いてない以上、(ゆう)()を守るのはあたしの役目だ。


「それは嬉しいけどさ……そういうトラブルって半分以上は、スキルの事がバレたせいで起こるんだよね? だったら、スキルの事を知られないのが一番だと思うんだ」

「う~ん……それはわかるんだけど……」

「大火力の訓練ができないんなら、小火力でも敵を倒せるように工夫したらいいんだよ。ないものを嘆くより、あるものを有効活用する方が前向きじゃない?」

「う~ん……」

「例えばさぁ……風魔法だと、いきなり顔に当ててやればけん制になるし、離れた場所で草木を動かしてやって、そっちに気を取られるようにするのもありじゃない? 要は弱ければ弱いなりに、使い方を工夫すればいいんだよ」


 ……そうね。狙撃精度、射程、早撃ち、弾幕……やれる事はいくらでもありそうね。(ゆう)()の言うとおり、今は威力を求めるより、スムーズに使えるようにする事が先かもね。


「わかってもらえて嬉しいよ。で、肝心の訓練方法だけど……例えば……弱い風を下から当てて、ピンポン球を浮かせ続けるとか、どうかな?」

「ピンポン球?」

「うん、出力が弱くても訓練できる上に、一定の出力を保たなきゃなんないし、上手く当てないと浮かせ続ける事はできないから」

「……よさそうだけど……どこかの寄席にでも出ていそうな曲芸ね」

「あ、()(りん)ちゃんも知ってるんだ。切り紙の蝶を扇子であおいで飛ばす芸、あれを参考にしたんだよ」


 ……魔法のトレーニングとしてどうかという気もするけど……見かけはともかく、確かに効果は出そうかな……


「けど、風魔法だけ訓練するわけ?」

「う~ん……火魔法は家の中で使うと危ないよね? ファイアーボールとか」

「……それ以前に、ファイアーボールって初歩の魔法じゃないみたいなのよ」


 そう言うと(ゆう)()はびっくりしたような顔をしたけど……無理ないわよね。あたしも正直びっくりしたもの。


「……違うの?」

「最初は、そこにある火を扱う事から始めるみたい。炎を出したりそれを飛ばしたりするのは、もっと後になってからね」

「……だったら、ガスの火を操ったりすれば……いや、やっぱり危ないか……」

「正直、よしといた方がいいような気がする」


 外でやるのならまだしも、家の中ではね。


「う~ん……土魔法は人目を避けて外でやるのならできそうだけど……木魔法は後に証拠が残りそうだよね? ……消去法で水魔法かな? お風呂で使えば気付かれにくいような気もするし」

「お風呂……その発想はなかったわね……」

「今のところ、できそうなのはそれぐらいじゃない?」

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