寺の夢 2021/9/26
水田が広がる長閑な里山。畦道が堤防のように高くなっており、水田は、畦道の二段くらい下にある。私は、それを物珍しい目で眺めながらバスに揺られていた。バスには私の他に妹が乗っているだけで他は誰もいなかった。
しばらくして、停留所でバスが止まった。周囲には山と水田しかなく、人家などない。そこで妹は降りた。どうやらここからどこかに行くようだが、果たしてどこに向かうのだろうか?バスに揺られながらそう考えていると、次の瞬間、私は乗用車の後部座席に座りながら深い森の中を走っていた。運転しているのは、母方の祖父で、私が高校生三年生の時に亡くなっていた。
車は、祖父が乗っていたシルバーの乗用車で、運転している祖父は、私が小学生か中高生の時の祖父の姿だった。
私は、智満寺という寺に向かっているのだと思った。そして、私はその寺の名前に聞き覚えがあった。私は、もしや即身仏で有名な寺ではないかと思って身構えた。私が、そういうのが苦手だからだ。
走行している間に山門に到着した。白木の山門で周囲は剥き出しの岩がゴロゴロとしていた。乗用車がやっと通れる岩場を抜け、巨大な鈴がフロントガラスに当たるのを見ながら山門を乗用車でくぐり抜ける。高速道路の料金所のような受付で、拝観料を払い、パンフレットを受け取る。案内板には即身仏の寺と書いてあった。
受付を抜け、霧深かい中、赤茶色の溶岩の塊が剥き出しの細くうねる山道を乗用車で走っていく。かなり、標高が高いのか、木々はなかった。所々には案内板や黒い奇妙な石仏が配置されていて、山道には観光客が大勢いた。
私はこれからの予定を祖父に聞いた。すると、祖父は「山の上にある即身仏堂かな?」と笑いながらそう言った。
「僕は、いいや……」
私がそう言ったところで目が覚めた。