第二章10 『縛蛇会』
レーベン王国は約900年も昔に設置された国領統治の為の機関『傾聴者』の存在あってこそ存続してきた国家である。領土の拡大・縮小、そして他国とのいざこざを経ても尚、そのシステムは残り続けている。
かつては地方別で、彼らが自由に統治の仕方を決定する権威を認められていた。その結果、恐怖政治や商品の専売などの理不尽な上からの支配が度々見られ、国民の不満が限界値を越える地域も現れた為にその権威は廃止。
そして現在では、現王ユェッテ・イェット・フラート (通称フラート七世 ) の定める方法を基準とした統治形態を執らなくてはならないと最高法規に記されている。
実際にこの法規が適用されたのはフラート二世の時代であるが、この頃は広い国土で監視が行き届いておらず、事実上は『傾聴者』を縛る法が無いようなものであった。
これが改善されたのが後のフラート四世の治世であり、『傾聴者』を監視する委員会が成立したことで治安は安定の一途を辿っていくこととなる。
「でも、近いうちに暴動が起きることはほぼ確定か」
と、グランは城下町の門番に手渡された観光用歴史パンフレットの導入部分を読みながら呟く。大会の開催を控えた今、あらゆる人に国のことを知ってもらおうとパンフレットを配っているとのことだ。
詳しいことは後でイッポス達に聞くつもりだが、避けられない問題ならば、避ける手立てを考えるよりも可能な限り迅速に鎮静化することの方がずっとよい。
なら、とっとと犯行グループを叩きのめせばいい話。
しかし、それでも。
『なぜ反乱因子が立ち上がったのかもまた考える余地あり』というナハトの言葉が脳裏を過ぎる。
グランは移動の最中、物事の是非について色々と考えた。必要悪という言葉があるように、時には悪さが求められることもある。
( 俺たちが勝手に反乱者を悪側だと決めつけているだけなのか。いや、悪の意識がなかったとしても、その方法を正当化できるはずはない。グラナード、今は貫け。全貌が見えてくるまで )
首を横に振って雑念を取っ払う。
昼過ぎ、グランは王国の中央であるデモクレイ城下町に到着し、不思議と人気の少ない道を進んでいた。他の通りでは、赤や白の逆三角形した旗が建物の屋上を伝って吊るされていたのに、ここには装飾もない。
「 一ヶ月も前だし、まだ街全体まで準備が行き届いてないだけなのか?」
人の往来の少ない区画は単に準備対象外である可能性もあるにはあるが、この道に入ってから何とも言えない不気味な感触がグランの肌をなぞっていた。
数人しか視界に入らないほど閑散としているが、その数人が皆、すれ違いざまにグランをまじまじと見つめてくるのだ。
それも、単に異国風な風貌だからという訳ではなさそう。言葉にするなら、いるはずのない人間を見たという風な、厄介ごとが舞い込んできたとでも言いたげな視線。
そうして不気味さを払拭できぬまま、丁字路を曲がろうとした所で何者かに肩を叩かれた。
「ん?」
振り向くと、パーマ頭をした日に焼けた男が威嚇するように立っていた。推定四十代半ばくらいだろうか、そこそこの貫禄が見受けられる。
「おいおいちょいちょいちょい。『ん?』じゃねぇのよ『ん?』じゃ。あんちゃん、誰なんよ」
「誰って、大会出場予定者とでも言ったところ、かな」
「大会出場、予定者ぁ!? んだぁ、あんちゃん貴様、例の取引でもしに来たってところかよ。ならウチの客だ、歓迎するぜぇ」
「取引? 何言ってんだ。俺は城に行きたいんで近道しようとしてるだけだが」
「なぁんだってぇ? 近道しようだぁ!?」
思ったことを素直に話していただけなのだが、男は徐々に威嚇するような態度を強めていく。近道することに何か不都合でもあるというのだろうか。
「貴様、この道の入りに『この先私有地につき、特別な用のない者以外立ち入るべからず』と書いた立て看板があるのを見なかったのか、えぇ?」
「私有地……なるほど、そういう」
目の前の男とは別に、路地を歩いていた人達も立ち止まってグランを眺め出していた。先のいるはずのない人間を見る目線とは、これが原因だったようだ。
そして彼らは、グランがすぐ男に絡まれるだろうことを予期しつつも無視を貫き通していたと。兎に角、一旦ここは非を認めることにする。
「そりゃ失礼した。なら、来た道を戻ればいいか?」
「おいおいちょいちょいちょい。来た道を戻るなんて方法で済まされるんなら、女湯に足を踏み入れてもよぉ、何もせず外に出れば許されるってことなんじゃねえの? 違うか?」
「言い得て妙かな…………なら、あんたは何がお望みだ」
「話が早くて助かるぜ貴様。こう言うのは罰金って奴が必要だろう。大会に出るおつもりならよ、優勝すればここで払った金なんて余裕で取り戻せるじゃないのさ」
悪態の男は指で輪っかを作り、金を強調する。その視線には幾らばかりの悪意が込められていた。グランはそういった類の視線は見逃さない。
「金をお望みなら悪いが、俺は一文無しだ。てかあんた、今までにもたくさん冒険者から金を巻き上げてんだろ」
「おお、分かってんじゃないか。ここに無断で立ち入った人間には問答無用で金を要求している。そして、貴様みたいに金がないだの言ってくる奴ぁ、どうなると思う?」
「______さあ」
「皆、滅多打ちにされて泣きながら乞うんだ。もうやめてくれ、助けてくれ、なんてね」
「それって、このご時世に許されることなのか?」
「貴様、その手に握ってるのは守衛から渡されたパンフレットだろ。それ読んでたなら書いてあったはずだ。『現王ユェッテ・イェット・フラートの定める方法を基準とした統治形態を執らなくてはならない』ってな。今もなお俺がこうしていられるってことは、フラート七世は俺らの存在を認めているってわけだ。つまり、俺らを罰する法は存在しねぇの」
「そうかよ。つまり、ここは俺みてぇな外からやってきた無知な人間から金を掠め取る、入ったら最期の路地って訳だ」
「正解ぃ〜! さあ野郎ども、出てこい!」
得意げに顔を歪めて男が叫ぶ。それを合図に、丁字路の左右正面とそれぞれの方向から数人の男女が出る。同じ服装、おそらく制服であるところを見るに、眼前の男を含め一つの団として完成されているようだ。
「そう来たか面倒な……でも、正直お前は弱そうだと思ってたから納得だ。群れで個を嬲り遊んでいやがったか」
「別に遊んでるわけじゃねぇよお〜? このエメルド・マックス・ギルド率いる『縛蛇会』は、不法に立ち入った挙句に通行量を払えない可哀想な人の為、物理で対価を支払うって選択肢を与えてやってるんだぜなぁ」
「なぜ、国はこの状況を黙認しているんだ」
「ふはッ! いいだろう、土産話にでも聞かせてやるさ。あれはまだ、フラート六世が国を治め始めたばかりの時。『縛蛇会』先先代の会長マックス様が、莫大な資金を国に納めることで大きな権威を得たのさ。それこそ、この北西地区を牛耳れる程になぁ」
グランは話を聞きながら、手元のパンフレットをめくって同様の情報が載っていないかを確認していく。
「まあ現フラート七世が即位すると同時に、より平等な世の実現とか謳って会の権威が働く区画は狭められちまったが、金を積んでるって点で王も迂闊に手を出せんかったらしい。結果、慣習法的に我らが権威は未だ揺らぐことなく、ここ城下町の一角を拠点に活動できるってわけよ」
「結局金銭がものを言うってか。しかも、今の話と共通しそうなものの中でここに載ってる情報は『より平等な世の中を作ろうと……』みたいな部分だけと来た。こりゃぁ、完全に国から暗部認定されてんなお前ら」
「でも黙認されてるってことは、なぁ。国も闇の一つ二つは抱え込んでるもんなんだ。この後貴様が城に駆け込んだところで、奴らは目を逸らして『ごめんなさい、自分たちじゃ役に立てません』なんて謝罪を溢すんだろうなぁ〜?」
先程エメルドと名乗った男が笑うと、つられて取り巻きの不良一団もケタケタと邪悪に笑う。
ここで笑える神経をしてる時点で、自分は裁かれないという安心と快楽に染まり切った証拠だ。
「先に言っとくが、こいつら『縛蛇会』の用心棒はそこらの大会出場者の、予選突破できたらいいな〜なんて甘ったれたこと考えてる若もんよりは強えぜ。つまり、本戦で戦り合う奴らと同等と考えてもらっていい」
「…………その情報、多分今年は無駄になると思うぜ。あとお前、ずっと俺の前でうろちょろと講釈垂れてやがるが、今のうちにお前を叩きのめしちまえば『縛蛇会』とやらも終わりだな」
「そう粋がるなよ小童。いいか? 俺を殴るなり蹴るなりしてみろ。結果裁かれるのは貴様なんだからな。俺らは正当な対価でもって、ここを無断通過したことを赦そうって言うのに、貴様が手を上げたらそれこそ法は貴様を延々と追跡するだろうなぁぁ〜?」
「ちッ、金の次は法かよ。つくづくやりにくい野郎だな」
グランは反省の意図を全く見せず、一貫して悪態で相手を逆撫でする。もっとも、この者らに反省する必要など元々無いのだが。
すると、エメルドの裏から褐色の女が前に躍り出る。
「ちょっとギルド会長? 出てこいなんて命令しといて、いつまであたしら待たせるつもりなんだい」
「おっとこりゃいかん! つい長話をしちまった」
「それと会長。さっき女風呂入っても出ればどうとか言ってたあれ、普通にキモいんだけど。なんで即興でそんな例えが出てくる。まさか四六時中そんなこと考えてるんじゃないだろうね」
「許してくれって。生がある内に覗いてみたくなるんだなぁ男ってのはよ。と、それはさて置き貴様、ドルネの不満が全面に出てきた以上、重症を覚悟しな」
「はん、不満の原因は会長にあるんだがね。あたしゃ『縛蛇会』用心棒筆頭メンバーが一人、ドルネ。他の筆頭メンバーが出払ってるからって、おんどれクソ坊主に引けを取る用心棒組じゃねぇ。ぶっ潰すよ」
言いながらサーベルを両手に掴み、刃先をグランに向ける。また全方位からの害意を感じとって首を回すと、他のメンバーも斧やら槌やらナイフやら、物騒なものばかり持っていた。
「いやいやいや、野蛮すぎるだろ…………」
「安心しな。斬りやしねぇ。だが、峰打ちは受け入れろ」
斬撃が無いと分かったところで、斧や槌の破壊力を舐める訳にはいかない。安心できるはずもないのだ。
「おいエメルドとやら。この国の法律では俺がこいつらを反撃するのは禁じられているんだったな」
「イェァァァス。さっきも言ったが、これから起こることは正当な対価。拒むことはできないってことよぉ」
「なら、この場合はどうだ? 反撃として危害を加えることで対価の支払いを拒むんでなく、あくまでもお前らが勝手に戦意喪失した場合。これなら俺は無償で通り抜けてもセーフだよな?」
「たわけめクソッタレ坊主。法的に見れば、支払いを受ける側がその意思を無くした時なら、まあ支払う側はその義務を放棄できる。でもあたしらが自然と意気消沈するなんて可能性、それこそ王直属の精鋭『銀字軍』相手でもない限り無に近しいってものね」
「ふぅん。法が俺を罰しないってことだけ判れば十分だ。俺はそのなんとか軍でもないし、スラなんたらって役職でもないただの一般人」
「なら安心ね。じゃあ無駄なお喋りはここでしまいにして」
エメルドとグラン以外が一斉に武器を構える。
そして高らかに、
「「「「請求の時間と洒落込み______ 」」」」
「______させねーよ」
執行を誦じようとして、グランが割り込んだ。
刹那の刻、微かに踏み込んだグランの体躯から、申し訳程度の「怒」の込められた世界が広がる。
視認できる限りの『縛蛇会』メンバー全てを躙り包み、それはさながら、立ちあがる者を屈服させる獄中。
つまり、威厳を以って全てを竦み上がらせたのだ。
「そんな、馬鹿…………な」
「貴様、こんな力…………何もんだ」
流石の胆力か、会長エメルドと筆頭ドルネは怯んではいるものの会話を続けるだけの気力を残しているらしい。返せば、二人以外は狼狽えながら後退する者や叫んで尻もちつく者がほとんどだ。
冒険者を嬲ってきたとは言っても、彼らも町人レベルに過ぎなかった。
「言ったろ。俺はなんとか軍でも何でもない、一般人だと」
身分的には、という副詞が抜けていることは置いといて、当然その言葉が相手に受け入れられるはずもなく、
「こんの砂利坊主がぁ。そんな訳、ないじゃないッ……!!」
「そうか? なら、そうだな。俺は、少々怒ると怖いタイプの人間なんだ。なんて言っても、今はちょっぴり苛ついてるだけで怒ってないんだが」
グランにとっては、こんなところで力を多少なりとも発揮することになるとは考えていなかった。
何かに巻き込まれる可能性を見越していなかったわけではないものの、穏便に、或いは単なる物理的な対応のみで解決できるだろうと予想を立てていたのだ。
( ほんの少しでも、普通の人からすれば強大な圧になる。それはこいつらの反応をみりゃ明らかだ。だからあえて注目を浴びるようなことはしまいと動いていたのに、結局…… )
「はぁ……確か意思喪失したなら、ここ通ってもいいんだったよな?」
「何を言って、あたしはまだ」
「へぇ?」
加えてほんの小さじ一杯、気迫を溶かしてあげる。
苛立ちとは些細なものでも、少しの空気の変化が見えない毒となることがある。恐怖を押し付け、果てには「自分が悪い」とさえ思い込ませるほどの思考鈍化作用まで付随する場合だってある。
「ひィッ!! ま、まさかまだ温存してるんじゃ____」
「そんな身震いしてんなら諦めろー? 悔い改めることをお勧めするがな俺は」
それでも諦めない者は英雄だろうか。
「馬鹿言え! 身共率いる『縛蛇会』が国からの黙認を受けている限り、活動は終息を迎えないぃ!」
恐怖に抗う意思の強さについて言えば、そうだろう。
けど、男の悪態を見る限りだと、阿呆のひと言に尽きる。
「こいつら、いつかの山賊みたいな手ほどきが必要か?」
「おいおいちょいちょいちょい! 貴様が何を言ってるのか知らないが、これ以上は貴様の為にもやめておいた方がいいんじゃないかなぁ。周りの奴らに『危害』が生まれる前にさぁ」
言われてハッとする。
ほんの数滴に満たない力でも、一年以上も鍛錬を積んできたグランの抑圧に耐えられる人間は少ないはず。悔しいところだが法に罰せられる前に、ここはエメルドの言葉を素直に聞くしか無さそうだ。
「ふ、利口だぜ。仕方ねえから今回は通してやるさ、はは。けど次はこうも上手くいくと思うなよ…………身共の崇高な使命は終わらねぇ!」
「そうかよ」
グランはもうどうすることも諦めた。
角を曲がり、怯えた顔でへたり込む用心棒の間を縫うように道を行く。通り抜けてからやっと抑圧する「怒」のオーラをしまい、深く溜め息をつく。
「あいつらを対処する方法は三つだけしかない、か」
言ってしばらく歩いていると、徐々に町らしい喧騒が聞こえてくる。件の会が占めるのはほんの一角でも、町の規模を考えればそれだけでも十分広い。
彼らを対処するのは国の役目で、グランがどうこうするべきことじゃ無い。けど、もし可能なら、あの横暴を止められるならと考えてしまう。
「待て」
そんな考え今はよそうとため息ついた途端、すれ違った誰か、声からして男に引き止められる。
グランは逡巡した。
また金を払えと催促されるのか、なんて迷いでは決してない。もっと身の危険に関わるような不穏な空気が、男の辿った道に残されていたから。陰に落ちた異常が、グランの輪郭を粘質になぞる。
「其方、その身なりからして『縛蛇会』の者ではないな」
振り返るのも躊躇されたが、姿だけは把握しなくてはならない。そう判断して片足を動かそうとしたが、
「こちらを振り返るな。さもなくば消す」
明確な殺意を、グランは感じ取った。先程までの荒くれ者たちとは一線を画す、それどころか全盛期デアヒメルにも及ぶほどの人間ということも大いにあり得る。
言い方を改めるなら、振り返れば確実に殺される。
「あんたが誰かも教えてくれないのかよ…………いや、俺はあんたの言う通り『縛蛇会』の人間じゃない。さっきは酷い目にあったよ」
「なら、金を献上したと?」
「残念ながら俺は無一文だったんで、ご容赦いただいた」
「虚言を申すな」
「言いたいことは分かるが真実だよ。今からあいつらの所に行くってなら行って確認すればいい。俺はここで殺されるのはご免だよ」
反感を買わないよう注意を払いつつ、真実だけを述べていく。訝しんでいるのか沈黙の路地裏で殺気に当てられ続けたが、まもなく身の危険は退いていく。
恐る恐る振り向くと、そこにはもう誰の姿も無かった。
「なんだったんだ、アレ」
冷や汗が、こめかみから顎にかけて一筋滑っていく。妙にまだ拳と脚に力が籠ってしまい、緊張が解けきっていない。
( アレが『縛蛇会』の人間なら俺の命もあと少しかもだが、多分だけど、違う。もしそうなら、あの女の人が筆頭に並ぶのは明らかにおかしい。本当に正体がわからないな……)
グランも、この世界に来て早速沢山の厄介ごとに巻き込まれてると自覚をせざるを得ない。
「いつか今のが敵になることがあったなら、俺ひとりだと厳しそうだ」
束の間の心臓に悪い時間を乗り越え、『縛蛇会』の私有区画から抜け出したグラン。
横にちらっと目をやると、小さな看板に『この先私有地につき、特別な用のない者以外立ち入るべからず』と書かれていた。どうやらここで『縛蛇会』の占めている領地から出れたことになったらしい。
「って、はぁ!? んだこれ、こんな小さく書かれて、んなもん誰も気付かねぇーし! ったくあいつらぁ……」
やれやれ、なんて表現で済ましてしまっていいのか疑問に思うが、とりあえず不気味な道から脱することが出来たことに胸を撫で下ろす。
再び眼前にやってきた活気ある街並み。
岸壁に構える乾きのミスティカランドとは異なり、ロココ様式を思わせる洒落た外装。今までグランの訪れた街並みとはどれも相違なる景色で、つい観光気分にさせられるのにも無理はない。
「やっぱあいつらの領地はいい近道だったか。もっとも、邪魔が入ったおかげで結果的に遠回りしたようなものだけどな」
空を仰ぐと、蒼穹の光を受けより荘厳に構える王城はすぐそこまで迫っていた。
城下町よりやや高地に聳えているのだが、周りを囲む深い堀に大量の清流が放水されている。町より高所からの放水なので、一見すればそれは滝のようであり、城へ至るための一本の橋を渡る際にはより綺麗な景観を目にできるだろう。
「それにしても、城か。古城はラグラスロんとこで見たが、今も輝くちゃんとした建造物ってのはやっぱ感動的だ。俺らの住む都市大陸に国はないから城もない。よっし、やることやったら観光してから帰ろっと!」
スケジュールに入れた観光の予定。当然、グランの脳内にはメイアと一緒に巡るビジョンが浮かんでいた。
お疲れ様です。
今回からレーベン王国の用語や事情がやたらと主張を始めますが、少しずつ着いてきてください。作者たる私も絶賛頭を悩ませ中です。助けてください。
とまあ、何はともあれ、次回もよろしく頼んます!