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勇者などいない世界にて  作者: 一二三
第一章 二つの世界
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第一章28 施設内最強の男


 メイアと黒衣の男が迷子、つまり魔法研究施設アルティへの道が分からなくなってから数分。

 2人は案内掲示板を見つけ、ようやく正しい道にありつくことができた。目的地までの道をなんとかインプットして、現状、あとは坂を真っ直ぐ登っていけばその内到着するというところだ。


 途中余りにもぐだってしまい、メイアは申し訳なさそうに口を開く。



「ご、ごめんなさいぃ。私も今日初めてまともにこの街を探索したものでして……」


「はは、いいねいいね。たまにはこう言うハプニングがあるってのもまた一興だよ」


 男性の寛容な一言に自責の念も和らいでいく。

 自信満々に案内すると豪語してしまった挙句迷子になると言うのは流石に恥ずかしく、メイアは内心「ばかばかばか!」と可愛らしくも罵倒の嵐が飛んでいる。


「そうそう、君は名前なんて言うのかな?」


 迷子という事件による同様で完全に忘れていた。

 ここまで歩いてきてまだ相手の名前すら知らないと言う状況に気付くと、メイアは再び自責の念に捕らえられる。


「私、そう言えばまだ自己紹介してませんでしたね!すみません、私、メイア・スマクラフティーっていいます!」


「メイア君か、よろしく。で、俺の名前だけど」


 ほんの少しだけ何か逡巡したような、しかし誰も気にしないような微妙な間を経て、黒衣の男も名乗る。


「俺は、レガリア・ド・エテプセラだ」


「……ん???」



 余りにも聞き慣れない名前に戸惑いを隠しきれなかったメイアは、顔をしかめて睨みつけるような表情になっていた。名前を聞いただけでこの反応と表情をするのは完全に失礼なことのようにも思えるが、レガリアと名乗る男はそれを気にする様子はない。

 それどころか、普通に自己紹介の続きをし始める。


「とは言っても、周りからはウロボロスだとかR(アール)だとか呼ばれてるね。何か色々と特殊だよね」


「た、確かに。じゃ、じゃあアールさんって呼ばせてもらいますね!」


 レガリア、ウロボロス、アールと3つの名前を聞き、その中でも呼びやすい名前を取る。


「新しい呼び名を作ってくれてもいいんだよ?」


「ええっ!? い、いえ! これ以上呼び方が増えるとややこしくなりそうなので、えと、アールさんのままで」


「ははっ、そうだね。それでいいよ」



 レガリア_____改め、アールの軽い話し方のおかげで潤滑に話が進むが、一度トークが途切れるとその円滑な状況は一変する。

 さっき会ったばかり、それもただ道案内をするだけという関係でしかないため、何か話そうにも中々言葉が出でこない。いつものメイアの元気も今回ばかりは制限されてしまう。

 が、そこで沈黙状態を断ったのはやはり(アール)の方だった。


「そういえば、さっき『なんでこんなに強いんだ』的な疑問について歩きながら話そう!ってコトになってたよね」


「……!! それだ、それです!何というか、まさに文字通りの鎧袖一触って感じでした。何かもう凄かったです!」


「鎧を着た人を触れるだけで吹き飛ばす、か。確かに」



 メイアはつい数分前の事件を振り返る。

 凶暴な男が店の壁を破壊しながら大通りに姿を現し、剣呑な雰囲気の中メイアと衝突、つまり街中での戦闘が勃発するかと言ったところでアールが干渉。結果メイアは戦うことなく、男はアールに軽く押されるような形で吹き飛んでいった。

 ここまで歩いてくる中でもう何度となく回想したメイアだが、何度やったところでそこにトリックなど見出せなかった。



「やっぱ、アールさんの力量が桁違い……?? 」


「そうなるかな」


「おおぉぉ……ってことは、もしかして巷では有名人だったり?!」


「いやぁどうだろうね。特にこの世界のどこにいっても有名では無いと思う」


 アールの言葉ひとつひとつに目を輝かせたり表情を変えたりと忙しいメイアを見ながら、会話を続けていく。


「ちょっと話変わるけど、さっきメイア君はあの凶暴な漢に立ち向かおうとしていたよね。 と言うことは、君も中々強いんじゃないのか?」


「…………」


「?」



 問いに対して答えが返って来ない。数秒前まで元気に話していたはずなのに、何も反応が無い。


「どうし………」


 何事かと思い横目でメイアの様子を確かめる。

 すると、小声で「私は強いのだろうか、いやでも、アールさんと比べると甚だしいまでに劣るし、強いって何を以ってして強いと言えるんだろうかというかやっぱまだまだ弱いよねうん」などと呟いて自分の世界に入り込んでしまっているようだった。

 しかしすぐ、もうアールのことなどそっちのけと言ったような状態で歩いているのに気付いたか「多分弱いです!」とはっきり言い切る。



( すぐに自分を弱いって言い切らない辺り、それがもうある程度の強さがあるって事だと思うんだけどな )


「でも、自分が弱いと思っているならまだ上がある。つまり伸び代があるってことだよ。あ、君が強くなることを望んでいないなら別の話だけど、、」


「いいえ、私は強くなりますよ」


「……」


 その言葉には、芯があった。ただの強がりによる言葉じゃない、高みへの憧憬。天真爛漫な性格なのは目に見えて分かるし、今までの会話ではその明るさが満面に出ていた。


 しかし、この「強くなる」と言う言葉だけは違う。


 その表情は同じでも、目には決心が宿り、声には覚悟の色が伺える。それらには凛々しささえもが感じ取れ、まさに大志を抱いた乙女戦士だ。



「……なるほど」


 つい、少女の謎の気迫にアールの瞳が揺れた。


 アールに限らず、多くの人が共通認識として頭に染み付いていることとして、基本、女性はわざわざ強くなろうとしない、と言うものがある。実際この世界では正しい。

 その理由は単純で、研究者として魔法を覚える人はいるものの、だからと言って強くなる必要など無いからだ。


( たまたま他の女性より強いのかな、程度にしか思っていなかったけど、この子はなかなか )


 一般的な見解から大きく外れる少女。だからと言って異端でも何でもない、逆に褒め称えるべきだとも思う。

 だから、


「メイア君には強くなりたい理由があるんだね。なら、それを忘れてはイケないよ。その理由を胸に、日に日に鍛錬を積み重ねて行けば必ず、目指す理想像にたどり着ける」


 そして更に一言。


「そうすれば、いつかは僕を超える強さだって手に入れられるかも知らないね」


「はいっ!!」


 その返事と満面の笑顔のセットには、誰も彼もを振り向かせ惹きつける魔性の力があった。



「あ! あそこです、あれが魔法研究施設アルティ!」


 タイミングばっちり、話に一区切りついたところでメイアが視線の先にある大きな建物を指差す。あと数十メートルの距離。高層に登るにつれ巨大建設物が増えて来ているが、それでも異彩を放つ規模だ。


「し、白いねぇ。なんだか、何処かにある神殿でも見ているような気分だ」


「凄いですよね〜、頻繁に誰かがピカピカに掃除してくれているとかなんとか。流石、ユニベルグズ随一の施設って感じです。ささ、早く行きましょ!」


 そう言って、メイアはアールを引っ張るように研究所へ小走りで向かっていった。




==================




「こんにちは〜!」


 入り口扉をいささか強く押しすぎたか、いつも以上に大きな音を立てて中に入る。

 人々はもうそのメイアの行動に慣れきって気にする様子もないが、ただ一人、背後からその様子を見ていたアールだけが反応を示す。


「随分と力強く扉を開けるんだね。頑丈そうには見えるけど、壊れたりしないのかい?」


「ん、数回破壊してますよ?」


「えぇ?」


「その度に反省して大人しくなります。でも、そのうちまた元気が有り余って勢い任せに開けてしまうので、最近いつの間にか壊れないように扉が特注で作られてました」


「説明書みたいな説明をどうも」


 アールも苦笑を隠せない。

 メイア意外にそれをする人が居ないのだろう。特注、と言うのは「メイアの為の扉」であることを意味しているんだろうな〜などと考えを巡らせながら施設エントランスの様子を見渡す。

 至る所にある黒板やホワイトボードと、そこに貼られた複数の資料。グラフや計算式が書かれているようなのが遠目からでも分かる。


「あの、目を細めてまで見る必要は無いと思いますが……」


「え? ああ、そうだけど、これだけの発展振りを見せるユニベルグズの魔法研究がどれほどが気になるじゃないか」


「なんかスパイ見たいで怪しいのでやめましょう。それに、全身真っ黒の服装はなんか怪しすぎます!」


「そ、そう言われてしまうと何も言えない。困ったなぁ」


 逆に今まで怪しまれた経験が無いのかとメイアは内心疑ったが、そこは口を噤む。



「お、大きな音と声が聞こえたと思えばやっぱメイアか。どうした、今日は午前は休めと言ったはずだが」


 エントランスの奥の方からメイアを呼ぶ声が届く。その方を見れば、白衣を来た女性がひとり歩いて来ていた。その貫禄からして、恐らく強者だろうなとアールは推察する。



「ナハトさん! えへへ〜、休みましたよ? 今日は期間限定の激辛フレーバーポテトを倒してきました!」


「まあ、その様子なら何の文句は言えんな。でも、今来てもまだやる事はないぞ?」


「いえ、今は私ではなくこちらの男性、アールさんがここに用事があるそうで」


「ほう?」


 メイアからの紹介をあずかり、アールはメイアの背後から姿を見せる。黒のハンブルグハットを取り、華麗に黒の外套を翻し、名乗る。


「私の名前はこちらのメイア君の通り、アールと言います。以後、お見知りおきを」


「私はナハト・ブルーメだ。このアルティで研究したりなんだりと……まあ、いろいろやってる。今はそこのメイアの特訓の監督が主な役割だな」


 互いに軽く自己紹介を済ませると、「それで」と一言、ナハトが会話の進行方向を切り替える。



「ここに用事があるとのことだが、それは?」


「それが、ハンニバル君に会いたくてね」



 アールの発した人名に、ナハトは顔を(しか)めた。加えて、そのアールを見る眼光がやや鋭くなったようにも思える。

 怪しい黒の外套を羽織る男を見定めるように素早く全身を確かめると、ナハトは漸く口を開く。


「……何か、アポイントメントは取っているのだろうか。流石に、誰もが簡単に会える人物ではないのだが」


「なるほど、確かにそうだ。しかし参ったな、アポイントメントとやらは無いんだ」


 残念だとばかりに首を横に振る仕草を見せるが、アールの声色に残念さがこもっていないのをナハトは看破した。


「アール、貴殿はもしや、会えると確信しての言動か? 何を根拠にそう考える。ちなみに私の温情に期待するなどもっての外、アポが無ければ通しはせんぞ」


 初対面の、それも施設に来た客に対してもナハトは慇懃(いんぎん)な態度を取らず、()を貫いている感じだ。言葉にやや棘が含まれている。



「そりゃ規則なんだろうから仕方ないさ。ただ、ハンニバル君に『ウロボロスが来た』とだけ伝えてくれれば良い」


「ウロ……ウロボロス?」



 聞き慣れない____というより聞いたことがない単語にナハトは難色を示す。

 

 そこで、口を挟まずに両者の会話を聞いていたメイアは「ウロボロス」という単語に反応した。

 それが何なのか詳しく知しらないが、ついさっきここへ来る前のこと、アールが『周りからはウロボロスだとかRだとか呼ばれている』なんてことを言っていたのを思い出す。


「あ、ウロボロスってのはアールさんの、もうひとつの呼ばれ方?見たいな感じで……てことはつまり、そのハンニバルって人がアールさんのことをウロボロスって呼んでる?」


「そう、そんな感じ」


「なるほど、知り合いという事だな。分かった。しかしこのまま通す訳にもいかない。『ウロボロスが来た』というのは伝えるが、あとはハンニバル殿()次第だ。それでいいか?」


 ナハトが尋ねると、アールは快く「もちろん」と返す。その短いやり取りを経ると、「じゃあ、そこらで待っててくれ」とだけ言い残し、踵を返してエントランス右奥の廊下の方へ消えていった。



 ナハトの姿が見えなくなっても、メイアは硬直したようにその消えていった方向を見続けていた。

 そして、硬直状態のままで素朴な疑問を呟く。



「ナハトさんが、人の名前に『殿』を付けた……?」



「ふむ、先程のナハト・ブルーメという人は強いのかい?」


 最後から声を掛けられ、メイアは素朴な疑問に入り浸り硬直してしまっていたことに気付く。

 気にならなかった施設エントランスの活気がどっと音となって感じられ、自分が静寂の中にいる訳じゃなかったのだと悟ると、アールのいる方へ振り返り投げかけられた質問に答える。



「それはもう。この施設で2番目の実力なんですよ」


 言うと、アールは「ふ〜ん」と声を漏らしながら、何か納得したような顔で頷いた。その意味がメイアには分からず無意識に首を斜めに傾げる。


「心配せずとも多分、すぐに何の事か分かるよ」


 メイアは結局何の事だが分からず仕舞いのまま置いてけぼりにされる。が、場の空気を切り替えるようにアールは両手をパンと鳴らし、「さて」と一言、話題を切り替えた。



「このちょっとした隙間時間に言わせてもらうけど」


「なんですか」


 横目でアールを視界に捉え、どこかムスッとした言い方で返す。それに気付きながらも、案の定アールは気にする様子もなくとんとん話を進めていく。


「君が強くなるのに必要なものはなんだと思うかね」


「それは、、日々の訓練と鍛錬、でしょう」


 それが当然だろと素直な意見を述べる。逆に、師の下で教えを享受し戦闘技術を磨くこと以外、一体どんな効率的な方法があるのだ、と言うような視線でアールに訴えかける。


「私には、それがベストだと思いますけど……」


「勿論、強くなった先の目的があることも十分な材料だ。君には芯がある。けどこれから遥か先の自分、つまり現状と大差を付けようとするならば、これは覚えておくといい。ただ我武者羅(がむしゃら)に教えを乞いて學ぶのでない、経験を積み、純粋に外を()ることこそ意外な近道だよ」


「アールさんは、私がここから離れるべきと、そう言いたいんです? さっきは、理由を胸に頑張りなさいとか言ったじゃないですか」


「いやいや、そうじゃない。君がここで鍛錬を積むのはとても有意義なことで、これからもここで上を目指すべきだ」


 「ただし」と、そこで言葉を区切り話を一転、依然として感情を読ませない表情で更に自論を展開していく。


「ここでしか修行をしないというのが効率的でない。そう俺は言っているんだ。ここではここの戦闘力強化理論があり、それに沿って先進的な技術発展を目指せるだろう? つまり君は『魔法研究施設アルティの型』に(はま)った人間になってしまう」



 もはやメイアには口を挟む隙も無かった。何か自分のやっていることを否定されているような気がして反論してやりたいと考えていたが、それさえも許してくれない。

 そもそも、まだ16歳の少女に何か知識的見地による議題に口を挟めるはずも無かった。


 それでも、まだまだアールの話は止まない。


「世界は広大だ。悠久の大自然に放り出されればまた、その環境に沿った新たな対抗技術を得なければいけない。そう、必要なのは幾多とある強さのパターンを経験することなんだ。ここでは学べない戦闘知識もあるし、今例に出したように自然の中にはモンスターだっている訳だ。どんな知識も、どんな経験も、何をするにしろ無駄にはならない」


「……何も」


「ん、何も?」


「何も、言い返すことができないじゃないですか! なんなんですかもしかして全部アールさんの体験談ですか人生の先輩ですか知識人なんですか!」


 自分でも責め立てる内容がトンチンカンだと言うことは分かっているが、とりあえず何か言っておかないと未だ素性の分からない黒衣の男に呑み込まれる気がして、メイアは饒舌に口を開く。

 が、しかし。


「俺の体験談だし人生の先輩だし知識人だと思うけど、だからこんな話をしたんだよ?」


「む、むぐぅ〜!! 」


 悔しいが、メイアの完敗だ。

 正論パンチを喰らい、メイアの必死の抗いも完封され、目の前に掲げられた「経験を積もう」という題に打ちひしがれる。


「おっと、この話はもう終わりかな」


「なっ、ここで話を終わらせるんですか?! 」


「だってほら、向こう」



 アールはメイアの後方を見るよう仕草で伝える。振り返ると多くの研究員達があくせくと働いており人の流れが絶えないそのエントランスの状況が目に入る。

 とは言え、アールが指しているのはその中の2人だろう。


「ひとりはナハトさんですけど、もうひとり居ますね? もしかして、あの人が?」


 聞くと、ただ無言でアールは頷いた。



「連れてきたぞ〜」


 雑踏の音でかき消されることの無きよう声で(くだん)の人物の到来を告げる。

 彼女の隣の、軍服に似た衣服を羽織るように肩にかけた若い男性がそうであろう。メイアの記憶では一度たりとも出会った事が無い人物。あのナハト・ブルーメが珍しくも敬語を使う人物。


「あ……」


 かなりのラグを要して、ここで漸くメイアは気付く。

 ナハトが敬称で呼ぶ相手が誰であるのか。


「メイアにもちょうど紹介しておきたかったから丁度いい機会だったな。紹介する。この方が、ユニベルグズ魔法研究施設アルティの所長にして、第一位のハンニバル・K 殿だ」


(ナハトさんが名前に殿を付けるのは、ハンニバルさんが所長だったから。 さっきアールさんがすぐに分かると言ったのはこのことだったのね!)



「どうも初めまして、私が、ここの最強・最高監督者ハンニバル・K です。以後、お見知り置きを」


 軽い会釈と共に言うと、姿勢はそのまま顔だけを上げ、紅の目をメイアのそれと絡ませる。その視線の圧に、メイアは軽度の硬直を強いられた感覚を味わった。

 素早く跳ねるように小一歩、ハンニバルとの間に距離を取る。


( 第一位と名乗るだけの力は、伊達じゃない!! )



 ナハトはメイアが距離を取ろうとしたのを見抜く。動物的本能かよ(笑) とツッコミたくなるのを抑え、可愛い愛弟子をハンニバルの横からじーっと凝視していた。



(!!……ナハトさんの視線!第一位と第二位に圧をかけられている?! )


 更に一歩、後方へ下がる。

 そこへ更に横から全身を黒衣に包んだ存在感満載のアールの視線が纏わりついてきた。前方の強者ふたりとはまた違った、好奇の眼差しが突き刺さる。


「ははっ。メイア君、なんだか兎みたいな反応してるね」


「う、兎?! 」


( 捕食される?! )



 じーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。



 その状況は名付けて凝視パラダイス。地獄だ。

 しかし、他の研究員達からすればこのパラダイスもただの談笑中にしか見えない。あまつさえ、その忙しさのために見向きもしない人が殆ど、メイアを救う者などいない!


 四面楚歌____いや、三面だろうか、強者の注目を浴びると言う状況に思わずメイアは立ちすくむ。


(というかなんで?! そういえばなんでこんな状況に?! )


 これ以上圧を掛けるのはやめてくれと懇願したくなるような状況、だが、そんな時ほど事態は悪化する。これぞ世の常。



 ガタン_____ッ!!



「今日も今日とて、こんにちはぁ!」


「……こ、今度は何!!」


「おぉ? 君はこの2ヶ月で知名度を高めまくってるメイア・スマクラフティーじゃーん!ナハトさんとハンニバルさんもこんにちはっす!」



 そこに投入されたのは嵐のような男性だった。施設第三位のアルベド・ロダン、メイアに似て元気潑剌な人柄が特徴。並外れた戦闘感覚で、気付いた時には戦闘がアルベドの優勢になってしまうと言う。

 遂に揃った、強者4人。


「こ、これが、四面楚歌……?! 」


「なんそれ、なんかやってるんすか?」


「「「いいや?」」」



 アルベドの疑問は他の強者3人により即答で否定された。





 今回もお読みいただきありがとうございます!


 作者自身がこう言ってしまうのも何ですが、この作品、今のところそこまで読んでても面白くはないと思うんですよね?

 が、しかし!です。

 これから、ここから少しずつ挽回していけるよう精進しますので。第一章は人気が皆無な『闇の世界』がメインストーリーの舞台という事もあり若輩者の私にはまだ話の展開が難しすぎました……


 なので、メイアサイドの時にできるだけ面白味を引き出せるようなんとかしますので、第二章まで続けてお読みいただきたいと思います!

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