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勇者などいない世界にて  作者: 一二三
第一章 二つの世界
29/92

第一章27 大都市ユニベルグズ散歩


 朝、窓から光が漏れる時間帯、メイアは目覚めた。

 部屋を出てダイニングを見回すと、もうナハトは家を出た後だなとわかる。彼女は、メイアのために神代の伝記を買って情報収集に力を注いでくれているのだ。

 本当ならメイアも手伝いたいところではあるのだが、ナハトに休むか街を探索するかしてろと言われてしまったのでそうするしかあるまい。


「午前中いっぱい使ったら、どのくらい街を散歩できるかな?」


 正直、この街に来てからほとんどを修行に費やしているため2ヶ月の滞在を経ても大都市ユニベルグズには不案内だ。目に入った観光案内板に近寄って地図を眺めようにも、細かく書かれすぎている。


「こ、こんなの観光客が見ても理解できないんじゃ……??」


 上層の主要施設は勿論のことだが、主に中層が凄い。


「店の名前と場所を線で結んでるせいで蜘蛛の巣みたいだし、なんなら沢山のお店を紹介し過ぎててどこに行くかなんて決められないよこれ」


 この街の偉い人達は一体何を思ってこの観光案内を作ったのだろうかとさえ思ってしまう。それだけ沢山廻って欲しいと言うことなのだろうが、それにしてもやりすぎだ。


「と、とりあえず、オススメの中層を一周ぐるりと回ってみようかな」


 ふぅ、と白い息を吐いて、メイアは雑踏に溶け込んでいった。






 その頃、ナハト・ブルーメは重い荷物を重力に委ねるように丸テーブルに置いた。案の定大きな音が響いて周囲の数人を驚かせてしまった訳だが、「ああすまん」と言って軽くすます。

 そのナハトの持ってきた重い荷物というのが、メイアが資料集めの一環として注文した『神殺し』という本だ。数百ページもあり、写真集レベルの大きさを誇るそれが堂々とテーブルを陣取る。



「高価で、そしてとてつもなく分量が多いぞこれは……メイアのやつ、確か兄が好きで子供の頃から読んでたとか言ってたが、これを子供が読むとか信じられんな。バケモンか」


 思わず、本音が漏れてしまう。でも、漏れてしまうほどに予想以上のボリュームだ。


「仕方ない。あくまでも目的は内容の把握じゃなく、ヒントになりそうな部分の抽出だ。部分的に内容を拾いながら読んでいくか。と、その前に」


 ナハトは本を開く______ことはせず、何か思い出したように部屋を出て行く。


「メイアに特別ゲストを呼んでやるとか言っておきながら、例のゲストにお願いするのを忘れるところだった」



 大都市ユニベルグズ最大の魔法研究施設なだけあって廊下も長く、かつ縦にも長い。一度移動するのにも階段を登ったりエレベーターを使ったりなどで中々面倒だったりするのだが、今ナハトが向かう場所は大して離れた場所にはなかった。

 一度廊下を抜け中央エントランスに出ると、少し進んでまた左に別の廊下に入る。そして少し歩く内にあっという間に突き当たり、最奥の部屋に到着する。


()()()()()


 ぱっと見重そうな扉を普通に開けて、ゆっくり部屋に入る。ナハト・ブルーメはこの施設で第二位の実力を保持しており、ほぼ敬語など使う例がない。

 しかし、たった一人だけ、例外が存在する。


「おや、ナハト君か。どうしました?」


 それは、このアルティの所長にして、唯一無二の第一位の実力者である。

 様々なリボンや飾緒などを付けた軍服のようなものを、腕を袖に通さず肩に掛けるようにして羽織っており、頭にはヘアバンド、そして脅威の20代前半。

 灰色の髪と橙赤色の目の対称的な感じが、また不思議な異彩を放っている。


 そんな所長の前に立ち、ナハトはここを訪れた要件を伝える。


「単刀直入に言います。今日の午後、私がここ最近監督しているメイア・スマクラフティーの鍛錬をお任せしたいのですが、よろしいですか? 所長」


「ああ、あの子か。今日の午後は時間もあるので、構いませんよ。もしかして、ナハト君は他にやることが?」


「ええ。彼女の目的は以前お話ししたのでご存知とは思います。その目的達成の為の情報収集をしていることも」


「そうだね」


「今日、メイアの依頼でヒントを得られそうな資料を買ってきましたので、そちらをできる内に読み進めておこうかと」



 ナハトの話を一通り聞くと、所長は優しい表情で言った。


「もともと原石だった彼女が凄い勢いでそのポテンシャルを発揮していってるって評判だったので、私も実はメイア君の噂を聞いて気になっていましたから。じゃあ、今日のスケジュールはナハト君のお願い通りにいきましょうか」




====================




 メイアは決して無一文ではない。

 毎週1〜2日の休みの日があり、しかしメイアはその休日を使ってギルドのクエストをコツコツとこなしている。だから報酬金は手に入るし、それでもお金の用途はないからじゃんじゃん溜まっていく。

 メイアほどの実力ともなれば、短時間でできて且つ報酬も比較的多めのクエストを達成できる場合もある為、2ヶ月も経てば相当、お金に余裕ができていたりする。

 


 そして今日という日。

 時間的余裕ができた今、メイアはついにそのお金を使う時がやってきた。



「お買い上げありがとうございま〜す!」


 元気な女性店員(とても可愛い)から商品を受け取り、メイアは少し離れたところにあるベンチに座った。他にも何個か並んでベンチやテーブルが置かれているが、さすがの人口なだけあって全部埋まっている。


「ふわぁ〜美味しそう〜!」


 先程メイアが買ったのはいつも人気で昼には売り切れていると噂のポテトだ。今日は平日で、更には午前中であったお陰で少し並びはしたものの普通に買うことができた。


 袋の中から漏れるポテトの香り。塩やチーズ、味噌やフルーツなど、様々なフレーバーから味を選ぶことができるのだが、メイアは迷わず『期間限定!辛辛ホットフレーバー!』を選んだ。そのため、当然スパイシーな、いかにも辛い匂いが溢れ出ている。

 


「ぐ……!! こ、これは相当良い闘いが繰り広げられる予感がするっ!」


 かく言うメイア、実は辛いものに初挑戦だ。

 村では周辺で取れる果物や牧畜で得られる乳製品など、そういったありふれた食材は目にする。が、少なからず香辛料はあるとは言っても、明らかに辛そうなものというのは出回っていなかった。


 だから、『期間限定!辛辛ホットフレーバー!』という文字を見た瞬間、メイアの好奇心と闘争心は最大限まで燃え上がった。

 まずは一本、スティック状のポテトを手に取って眺める。


「絶対、この粉が辛さの正体よね。村でも見る赤いものじゃなくって、なんというか、唐紅(からくれない)って感じからしてもう凄い」


 しかし、その食べたいと言う欲求はもう限界寸前!


「いけない、よだれが出ちゃいそう! いただきます!」


 そして、その口内に紅の棒状芋が放り込まれた。ひと噛み、ふた噛み、、、思ったほど辛みは無く、逆に旨味が滲み出てくるような感じさえする。

 それはそうだ。人気店、つまり子供も沢山来るような場所で激辛なんて売り出したら号泣の嵐になっているに違いないのだから。


(な〜んだ。でも、ちょっと残念だなぁ、楽しみだったから)


 安堵と共に落胆にも苛まれ、なんだか複雑な気分になり、渋々もう一本を口に含む。

 その時。



「うわあああん! おがあざぁぁあん!いだいよお!」



 何か、隣のベンチに座る親子から不穏な号が聞こえたような気がした。今絶対に、号泣する子供が「痛い」と言った。ポテトの袋を持っている。メイアも、それを持っている。



「ん……??」


 ポテトを飲み込んでほんの数秒後、舌から喉にかけて、何か違和感、爆弾を口に含んでいるかのような感覚に襲われ始めた。


「もも、も、もももしかして、時間、差ァァァァ?!?!?!」


 じわじわと徐々に忍び寄る特徴は時限爆弾のそれと似ている。緊張が走り、気付いた時にはもう爆発____いや、大噴火していた!!


「が、(がら)いッ!まさか、本当に激辛だった、なんて! こ、これは、負けてられないぃ〜!! 」



 口内の大炎上はたちまち闘志にも燃え移ったか、『期間限定!辛辛ホットフレーバー!』の文字を涙を浮かべながら睨み、がむしゃらに喰らっていく。

 体感ではもう半分以上食べた気分でいるのに、まだ実際は7本目____大体全部で20本以上はあるようにみえる____と言うことに驚きを隠せない。


( 中々の、強敵! でも、私は負けないよ!)


 メイアは夢中で気付いていないが、だだ漏れのその熱気に号泣していた子供も泣くのを忘れ、ただひたすらに涙を浮かべて食べ続ける少女の姿を見ていた。

 街ゆく人たちも同様、通り過ぎる際に横目で必ず注目するほどの温度差を生んでいる。


 身体がうねうねと悶え、客観的に見れば異常かも知れないのだが、メイアにとっては大真面目な闘いだ。


 もはや、口内を伝う痛覚と身が燃えるような感覚によって、最初のひと口目の旨味など皆無だ。汗をかき、拍動を加速させ、水を摂らず、目の前にある残り数本の唐紅と対峙するのみ。

 ある意味で、とてつもなく激しい戦闘領域。



「あ、後5本! よおおおおおし!もう終わりじゃあああああああああああ!」



 袋の口を整え、ラッパ飲みの容量で一気に紅蓮のポテトと底に沈んでいた紅の粉を流し込む!


「むぐぁッ!!」


 案の定、地獄を見た。喉が焼け死にそうになる。

 けれども、ポテトの入っていたその袋の中身はもう空っぽになっている!



「っし! (わだじ)の、勝利(じょうり)ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」



 たった一品の、期間限定商品を食べただけでここまで達成感を感じられるなんて思っても見なかったことだった。生物の基本行動のひとつ「食」に挑戦という意味を付与することで新たな楽しみを得る。

 これは、いま休みを取って街を散策していたからこその発見だ。


( ナハトさん。私にこの出逢いの機会を与えてくれて、ありがとうございす!)



「お姉さん、すごい!」


「え?」


 隣のベンチ、目に涙の跡をのこして顔を赤くする男の子が拍手をしている。激辛ポテトを食べ号泣していたあの親子だ。


「あんな辛いの、ばくばく!って食べてて、強いんだね!」


「ああ、すみませんいきなり。でも、私も凄いって思いましたよ。大人の私が食べても辛いですから」


 そのお母さんからも称賛の声と拍手が送られる。


「え、あ、あの……はい、ありがとうございます!私、頑張りました」


 えへへ、、と照れて顔を赤らめ、また近いうちに食べに来ようとメイアは誓うのであった。

 その後親子と別れ、まだ特訓再開まで時間を余らせていたメイアは再び大都中層を歩くことにした。







 そして1時間程のユニベルグズ散歩の末、結局メイアは少し食べ歩きをする程度で他に何か買い物をすることなく探索を終えていた。


「んー、一周はできなかったけど、またそれは時間ができた時に幾らでもできるからね。でも、楽しかったぁ〜」


 散歩を始めるまでは早く特訓を始めないといけない、なんて考えていたが、初めてしまえばそんな考えも消え失せていたなと振り返る。


「今になって考えれば私って相当追い込まれてたんだなぁ。自分じゃ分からないこと、というか、気付かないことってのもあるんだね」


 太陽も高くまで昇り、空は晴天。

 街に設置されている時計は11時を指している。


「少し早いけど、もうそろそろアルティに行ってもいいかな」


「そこの君、桃色ショートヘアの、ちょっといいかな?」


「え、私ですか?」


「そうそう、君」


 突然話しかけてきたのは、見知らぬ男性だった。黒いハンブルグハットを頭に被り、首から下も基本的に黒を基調とした外套を見に纏っている。

 ワイドスリーブシャツが特徴で、ボタンの空いたそのシャツの中に白い服を着ている。


「私に、何か?」


「いやね、今からアルティに行くって聞いて。アルティってのはこの街最大の魔法研究施設のことだろ? 今からそこに行きたいんだけど、道が分からなくってね」


「あ〜、なるほど! 私も今から行こうとしてたので、じゃあ私と一緒に行_____」



 ドォォォォォォォォォォォッッ__________!!!!!!!!!!!



 大轟音がメイアの言葉を、それどころか街の賑やかな音すらも遮って響き渡った。メイアの視線の先、一軒の店の壁がごっそり粉々に砕かれた音だ。


「え、何??」


「おやおや、何か事件でも起きたのかな?」


 ボロボロの店と怪我人が数人見受けられるが、どうやら瓦礫の下敷きになっている人はいないようだ。

 と、その店の中から一人、大きな男が出てくる。怪我は無し、驚いている様子もない。


「どうやら、あの男が犯人らしいね」


 メイアの隣にいる黒衣の男が冷静に判断する。


「なぜあの人が犯人だと?」


「ほら見てみ。あいつの手、魔法を使ったらしい」


 言われた通りに犯人らしき男の手を凝視すると、確かに魔法の光が手の周囲に漂っていた。にしても、それを瞬時に見抜いた黒衣の男はかなりの観察力だ。只者には思えないような凄さがあるとメイアは間近で見ていて感じた。



「おい!今俺のことを見てら奴。全員ぶっ殺してやらぁッ!動くんじゃねぇぞゴラァ!俺には魔法がある。見たろ?俺がこの店を破壊するところをよぉ!動くなよ。動いた奴から潰してやるからなぁ!」



「あ、あいつ……!! 私がいっちょ改心させてやらないと」


「待って」


「な、何よ! 私はこう見えても戦えるの、心配しないでも」



「おいそこの黒い男と女ァ!何この状況で喋ってやがる!先にぶち殺されたいのか?」


 男の身体がいかに洗練されたものかがよく分かる。こんな街中で暴れるだけの実力は確かにあるのだろう。でも、この前の刺客に比べれば怖くないと思うのも事実だった。


「どんな形相で睨まれたって、怖かないわ!」


「あぁん?」


 一歩、男が動く。少しずつ、距離が縮まる。男と少女の争いが勃発するのは目に見えて明らかだ。いや、恐怖で動けない人々からすれば、男による蹂躙が始まると思っているかもしれない。


 そして、メイアが魔法『コルティツァ』を発動しようとした、その時。


「おいおい。まさか君はこんな可愛い女の子を蹂躙する気かい? そりゃ人間の所業とは思えないね」


「「?!」」


 その場にいる誰もが、割り込んできた黒衣の男に驚きの表情で目を向けた。


「いいだろう、お前の方から死にたいらしい。歯食いしばれよ?」


「そうだね、そっくりそのままお返ししようか」


 ピクッと(まぶた)が動き、殺意に満ち溢れた男は嫌悪の形相で腕を振りかぶる。それでも、メイアを庇うように立ち塞がる謎の男は余裕の表情で相手の目を凝視する。

 両者の視線のやり取りは、刹那ながらにして誰の干渉も許さないというような不思議な気を漂わせている。



「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」



 魔力で覆うことにより威力を底上げした強靭な腕撃が、黒衣の男へ突き刺さらんと、


「笑止」


 しかしその一言で、男の凶暴な叫び声は消失した。いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、というのが正確だろうか。


 それを引き金として訪れる驚嘆による唖然と静寂。信じられないものを見た、という顔でその瞬間を目撃した人々は固まってしまっていた。


「まったく、こんな大都市で暴れるから結局痛い目に遭うってのに。この魔法研究に力を入れる街でやるからには相当の実力と自信があったらしいけど、どうせこうなる運命だったようだね」


『……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!すげぇ!すげぇなお前!!』


 その黒衣の男の言葉が静寂を破ると、どっと歓声が上がる。一人はその強さを称賛し、一人は泣きながら感謝し、一人は安堵の余り脱力してしまったり。

 そんな中。


「うそ、でしょ……」



 メイアはたったひとり、吹き飛んだ男、坂下で転がっているその男を見て未だ唖然としていた。一般市民からすれば、ただ強い男をそれよりも強い男が倒しただけだと思われているかもしれない。

 だが、既に一定以上の強さを持つ者からすれば、


「幾ら強くっても、あんな軽い一撃で普通、そんなことできないでしょ?」


「ん? 何か言ったかい?」


「え? あ、えと、強すぎますねって!!」


 メイアは確信していた。この黒衣の男は、ナハトよりも遥かに強いと。もしかしたら、研究所で最も強いと言う所長ですら倒してしまうのでは? とも思ってしまう。

 男のどこを見ても強者の貫禄というものは感じられない。


( その細い身体のどこからその強さが出ているの?)


「もしかして君、今『どうしてこの人がこんな強いんだ?』みたいなこと考えてた?」


「!! え、いや別に貴方のことを見下してたとかそんなわけではなくただ純粋に驚きすぎて逆に憧憬の念を抱きましたみたいなベクトルでえっとー」


 図星を突かれ早口で弁明を始めるメイアに男は笑みを溢す。


「ははっ。いいよ別にそんな早口にならんでも。その話は魔法研究施設(アルティ)に行く途中でしようか。ほら、ちょっとした事件に巻き込まれちゃったけど、君もそこへ行くつもりだったんだろう?」


「ああ、はい!……あの、さっきの男はどうするんです?」


「多分気絶してるから目覚めるのに時間はかかるだろうし、目覚めても痛くて動けないさ。何、すぐにポリスの人が捕まえてくれる。気にしなくていいと思うよ」



 放置で問題無しという言葉にメイアは不安を募らせる。が、しかしあれだけの強さを誇る男が言うのなら間違い無いのかも知れない。迷いどころだ。



「ささ、案内してくれたまえよ」


「え、ええ??」


 迷っている暇など与えてはくれない。未だ止まぬ人々の喧騒やメイアの混乱などお構いなしに男はすたすた坂を登り始めてしまう。

 自由すぎる行動にメイアは更に頭を混乱させられ、一瞬、無の時間がやってきたかと思えば、


( って、道が分からないのに勝手に歩き始めてる!!)


「ちょっと! 私より前で歩いて、迷子になっても知りませんからね?!」



 普段はどちらかと言えば人を振り回す側のメイアが、いとも簡単に振り回されてしまう。

 ただの散歩のつもりだったのに、何やらいつの間にか波乱の展開。からの、まるで何も無かったかのような男の振る舞い。

 何もかもが新鮮で疲れるが、でも、こういう普通とは違った展開もまた、メイアにとって有効な()()なのだ。


 休息。それは身体を休め、心をリセットする作業。


 物理的に休ませるという行為は勿論大事だし、これがあるからエネルギーは充填される。ただ、のんびり過ごすだけが休息かと言われればNo。

 同時、精神的に豊かにならなければ、意味はない。


 その意味で見れば、一旦修行という枠から外れて食べ歩きをしたり突然のイベントに出くわすという体験は有効だった。満ち足りた休息。修行という概念を完全に脳内から消し去る時間。



「ささ! ついて来てください。私が先導しないと迷子になりますからね!」


 そう言って数分。


「ここ、、ここどこですか!ねぇ!どこ!」



 こうして迷子になるのもまた、休息だ。




お読みいただきありがとうございます!

今回、少し話の終わらせ方に迷ってしまい少し強引な感じになってしまったのが悔しいです。


練習も兼ねてこれからも執筆を続けていくので、是非、これからも読んでいただけると嬉しいです!

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