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「ねえ、どうしてお話ししてくれないの? まだ、お眠なの?」と女の子は言った。そして相も変わらず木の葉の体を左右にゆさゆさと揺さぶった。
「起きてるよ」と木の葉は言った。「もうそんなには眠くはない」その言葉は嘘ではない。
木の葉の意識は太陽の光に当てられたことで、……いや、女の子の声を聞くことで急速に覚醒していった。一度寝覚めると、不思議と眠気はすぐになくなった。よく寝たな、という気持ちの良い目覚めの感覚だけが木の葉の中に残っていた。木の葉は寝ることが好きなほうだし、寝起きもあんまりよくないほうだったので、自分の寝起きの体調の良さに少し驚いていたくらいだった。
「本当?」と女の子は言った。「本当」と木の葉は女の子に返事をした。
「よかった」と女の子は言った。
なにがよかったのか、木の葉には理解できなかったけど、女の子は木々を揺らす四月の風の中で嬉しそうに笑っていた。だから木の葉はきっと僕の知らないところで、とてもいいことが起こったのだろうと確信をした。
木の葉はとても澄んだ青い空を一度見上げて、それから視線を下げて周囲に永遠と広がる緑色の大地を見渡した。
ここはとても不思議な場所だった。どこか遠いところにある、とても広大な自然公園の中のように思える。あのテレビや映画などでよく見かける小さな子供のいる家族連れや仲の良い学生たちがお花見をしたり、ピクニックの真似事をしたりする大きな公園の中だ。そこそこ立派な遊具があって、そこで子供たちが全力で遊んだり駆け回ったりすることができるくらいの大きさのある公園のどこか隅っこのほう。その敷地はとても広くて、緑色に終わりが見えない。




