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小さな花  作者: 雨世界
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 時折吹く暖かい春の桜色の四月の風が、木の葉を励ましてくれた。美しい星の光は夜の中でもきちんと木の葉を星の元まで導いてくれた。その光はまるで歩き続ける木の葉に向かって、『頑張れ!』 と言ってくれているみたいだった。だから木の葉は頑張った。だから木の葉は、こうして夜の中でも迷子にならずに済んだ。真っ暗な真夜中の中でも、木の葉はちゃんと木の葉のままでいられたんだ。それがとても嬉しかった。だから木の葉は歩き続けた。……いつまでも、いつまでも、木の葉は自分の星を目指して歩き続けようと思った。

 それが木の葉の生きる目的になったんだ。

「おめでとう」と誰かが木の葉の耳元で囁いた。

「ありがとう」と木の葉は心の中で、その不思議な声に返事をした。


 すると世界に変化が起こり始めた。

 星々が光り、夜空が歪み、天体が急速な運動を始めた。幾億、数十億の星々は、空の中でぐるぐると回転をし始めた。それはまるで宇宙にあるすべての星を詰め込んだ巨大な洗濯機の中でも覗いているような光景だった。いろんな星が高速で移動して星たちは自分の居場所を失い始めていた。普通なら木の葉の見つけた星もその渦の中に飲み込まれ、居場所を見失ってしまっていただろう。でも、木の葉は自分の星を見失うことはなかった。なぜなら木の葉の星はそんな洗濯機の渦の中心に位置していて、動き続ける天体の中で、たった一つだけまったく動いていなかったからだ。

 木の葉はその渦の中心に飛び込んでみることにした。

 その渦の中にはいろんなものがあるような気がした。

 ここが僕の旅の終焉の場所だと思った。ここが僕の約束の場所だと思った。ここが僕のたどり着かなければならない場所なんだと思った。……そして、僕はそんな大切な場所にちゃんと自分の足でたどり着くことができたのだと木の葉は思った。

 だからここで、『僕の長い旅は終わり』だ。

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