第1話 ある少年の物語 survivor's story
俺はシスコンかよwww
「戻ってきたぞぉぉぉ、久しぶりの我が家だー」
そのまま勢いで玄関にブーツを脱ぎ捨て、奥の部屋にあるベッドにゾンビのような足取りでフラフラと進んでいく。が、その前に欲望に抗ってでもしなければならないことを思い出し、1つ前の部屋入っていく
「ただいま、父さん、母さん、...リエル」
そう言い近くでとってきた今では数少ない普通の花を手向けておく
「もう3年か。短いもんだな」
湿っぽくなってしまった感情をベッドの中にうずくまって治めようとすると少年は寝込んでしまった
少年グリスは円満な家庭に生を受けその三年後妹リエルが産まれた
兄グリス・ヴェルホーンはリエルを溺愛していた
兄は周囲から変態などと言われ続けたが気になどしていなかった
そこにリエルさえ居れば…
『厄災』_______
それが彼の幸せの象徴を奪っていった
今から三年前、2058年グリスが15歳になって約一か月経った日の朝方ソレは姿を露わにした
異形の怪物、後に第二世代と呼称される世界に不必要だと考えたモノを喰らうバケモノである
形は様々であるが共通点が一つ
今までいた人間以外の生物を模しているかのような容姿だ
グリス自身が見てきた中でそのほとんどが人間に恐怖や悪寒を与えるように意図的に創られたとしか思えない姿形をしていて、また、その中では人間に似ているモノは一切なく、他の生き残ったヒトからも同じ回答が得られた
その中でも特に巨大な体を持ち、ほとんど動かず常に仲間を増やし続けている個体が5大陸にそれぞれ一体づつ鎮座し、活動は今でも続いているという
大きさは正確にはわかっていないが、その体躯は雲にも届いていたという
それが『厄災』
それが彼から幸せを奪っていったモノ
それが彼にとっての怨念そのもの
それが・・・
それが・・・
それが・・・
それが・・・
それがヒト(グリス)基、兄の復讐しなければならない相手
朝が来た、彼は目を覚まし彼の誓いを毎日のように幾度となく口ずさむ
彼だけが知っている
小屋の裏側に染み付いた異形の血液を
━━━復讐のための代償を