何があったのかの一部始終
やっほー私ミーヤ!気付いたら異世界に来ちゃってた17歳の高校生二年生!
色々あって淫魔とキラービーとラミアと狐獣人とリッチが従魔兼嫁になって、このメンバーで異世界を旅してるの!そんな中、王都に行く前に立ち寄った村で大変な事に巻き込まれちゃった!
村長の娘さんがストーカー男にメンタルボロボロにされちゃってて、しばらくの間ボディガードをする事になった私達!護衛と荷物持ちを従魔に任せて私は一人寂しくお留守番してたんだけど、娘さんの旦那さんを名乗る男に村おこしの参考にしたいからちょっと名所にしたい場所まで来てくれない?と誘われた!はいはーいと頷いてホイホイ付いて行ったら、なんとその男が件のストーカー男だった!
その男によってトンネル……今更だけどこれってどっちかっていうと洞窟……まあ良いや。崖から相手を落として殺そうとする感じにドンッとトンネルの中に突き飛ばされ、私は謎の糸に全身を拘束されたの!そのままトンネルの奥まで引き摺られ、最奥と思われる空洞で拘束からは解放されたんだけど………目の前に居たのはとてつもなく大きい蜘蛛!
私の人生、ここで終了しちゃうの~!?
「………………」
なーんて漫画のあらすじみたいな茶番を脳内で展開しても現状は変わらないんだよね。
目の前にドデカい蜘蛛が居るなんて夢の中でしかあり得ないって思ってたのにな。現実ってどうしてこう残酷なんだ。事実は小説よりも奇なりってか?うっせぇ事実より奇な小説を出せばそれで良いんだよグリーンだよ。私がプレイした事あるのは中古のファイヤーな赤色さんだけどね!あっはっはネタわかる人いらっしゃるのかしらねあっはっはー。
ああそうさパニック状態さ!
こんなデカい蜘蛛を目の前にして混乱せぬ女がおると思うんか!?こっちゃ蜘蛛もムカデもそうそう見ない町で生きてきたんだよ!ミミズだってそう見た事ありませんわい!セミのやかましい鳴き声による合唱なら聞いた事あるけど!でも!蜘蛛!8メートル級の蜘蛛!8メートルレベルって有り得んだろうがおい!駆逐する人達呼んで来て!駄目だ蜘蛛の項がわかりません隊長!ん?あの漫画だと兵長だっけ?いや隊長っぽいリーダーの人も居たような……って今それどころじゃないっつってんだろうがよ私!現実さんをきちんと見据えなさいっておばちゃん言ったでしょ!誰だよおばちゃん!(パニック)
「…………落ち着け私」
小声でそう自分に言い聞かせ、最低限の動きで深呼吸をする。うっかり派手な動きをして捕食対象と認識されるのは嫌だからね!私は銅像!
……深呼吸してちょっと落ち着いたけど、冷静になって考えると洞窟の中という空気が篭った空間。しかも巨大な蜘蛛と同じ空間。ここの空気大丈夫なんだろうかっていう不安がメキメキと湧き上がるのでとても辛い。いや、うん、まあ大丈夫だろう。多分。
「…ふぅーーーー……」
よし、現状を把握せよ私。
まず空洞。この空洞は目の前の巨大蜘蛛が余裕で入れるくらいにはスペースがある。そして壁……というか岩壁は発光する岩がかなり混ざっているらしく、光っていない部分の方が少ない気がする。つまりとても明るくて蜘蛛がハッキリと見えるって事でやんす。見えるって良い事だけとは限らないよね。
ええと、そんで、私の真正面を時計の12時とするなら私から見て8時の方向辺りに出入り口がある。来た時もあそこからだったと思うし、パッと見あそこ以外出入り口は無いっぽい。可能なら今すぐにでも駆け出したい気分だけど、現在進行形で蜘蛛が糸を出してその出入り口を封鎖しちゃったので逃げ道が消滅した。畜生。
……今気付いたけど、蜘蛛の向こう側の壁の方には山の様に積まれた物があった。いや、何と聞かれても物としか答えようが無いんだけど……。服っぽいのとか、食べ物だったんだろうなって感じのとか、綺麗な武器や鎧とかが適当に壁の近くに積まれていた。え、戦利品?戦利品なの?この蜘蛛の戦利品なの?アレ。
「………………」
さて、そろそろ現実を見よう。目の前に居るのは目測で多分8メートルくらいあるんじゃないかなというサイズの蜘蛛。色合いは紫のような紺色のような色をしている。完全に毒を持ってる感じの色彩な気がするが気にしないようにしよう。メンタルの自衛大事。
蜘蛛は出入り口を完全に封鎖し、体ごと動かして私の方に視線を向ける。
あー、蜘蛛って本当に目が八つあるんだー…。赤くて黒っぽい八つの目がこっちを見てるよー。ぎょろりとこっちを見たって表現をしたいけど、別に瞳をきょろきょろ動かしてこっちを見てるわけじゃないからそういう表現が出来ないんだよねー。おっといかん、意識の半分くらいがうっかり幼児返りしかけてた。恐怖の度が過ぎると幼児返りしかけるんだね。知りたく無かったよ。
蜘蛛はこっちに一歩近付いた。他の足も動いてたから本当に一歩という表現で合っているのか?みたいな気分になるけど、人間で例えるなら一歩だから。距離は人間で例えると十歩分くらい縮められたけど。
あ、この蜘蛛の足結構細いね。細くて鋭い。毛深くてムッチリしてるタイプでは無いらしくてちょっと安心した。いや、このサイズで毛深くてムッチリしたタイプの蜘蛛だとちょっと……ね?毛全部が毒針に見えそうで…。
「ピエッ!?」
とか何とか考えてたら蜘蛛が!蜘蛛が顔を!下げて!目の前に!蜘蛛の顔が!フェイスが!とても近い!あ、何か今理科の先生の声が脳内で聞こえた。「蜘蛛は上顎に毒があってね、噛み付いて相手に毒を入れるんだよ。そして相手の中身をスムージーみたいな液状にしてジュージュー吸うんだ。ちなみに中が空になったら外の皮に用は無いので捨てます」って声が……今その情報要らなかった!先生それ今欲しい情報と違う!今欲しいのは蜘蛛の撃退法なの!蜘蛛の顔が近付いてるのが死亡フラグでしか無いって断言されたようなもんじゃないか!そんな苦しみそうな死因嫌だー!
噛まれる前にどうにかあの封鎖された出入り口以外に逃げるルートは無いかと壁に視線を向けた瞬間、
『………大丈夫だったか?』
「へ?」
脳内に、聞き覚え皆無な男性の声が響いた。
……周りを見渡しても蜘蛛しか居ないね。うん、知ってる。つまり今の声はこの蜘蛛…?
『岩にぶつけないように途中からスピードを上げて浮かしたんだが…どこかぶつけてしまったか?一応この山の内部に張り巡らせた糸で角度の調整をしてはいたんだが』
「あ、いえ、ちょっと放心してただけで怪我は無いです」
脳内に響く声に気遣いを感じ、反射的にそう返すと目の前の蜘蛛は驚いたように一歩下がって私から距離を取った。
あ、完全にこの蜘蛛が脳内に響いてる声の主だわ。オスだったんすね。
………っていやいやいや!?おかしくない!?何でこの蜘蛛が私を気遣ってんのさ!?大丈夫だったかとかぶつけてないかとか!一体全体どういう事だ!?私を突き飛ばしたクアドラードよりも良心的だぞこの蜘蛛!
でもあの野郎は化け物とか生け贄とかって言ってたよね…?と考えていると、頭の中で再び声が響いた。
『……もしや、我の声が届いてるのか?』
今度の声は、恐る恐るというような声だった。自信は無いが確認しなくては、みたいな声。
「脳内にテレパシーみたいな感じの声なら届いてますね」
とりあえず頷いてそう返すと、蜘蛛はまた驚いたようにバックステップを踏んだ。え、何?テレパシー的なのなら聞こえるもんじゃないの?私にしか聞こえない声とかそういうタイプだったりすんの?面倒なストーリーに巻き込まれそうなんで嫌なんだけどそのスキル。
液晶の向こうから聞こえた既に面倒なストーリーに巻き込まれてるじゃんというツッコミはスルーさせていただきます。
蜘蛛は私から距離を取ったまま、頷くような動きをした。
『我の声が届く人間に会うのは久しぶりだ。我を見た人間は殆どが恐慌状態になるせいで我の声が届かないらしくて……』
蜘蛛はチラリ、と自分の背後を見る。私から見るとグォオッて感じの動きだったけどね。蜘蛛が見ているのはさっき見つけた戦利品っぽい物の山だ。
『だから誤解を解く事も出来ないし、ここに来た人間は必死で我から逃げようとするし……』
実際に吐いてるのかはわからないが、脳内で蜘蛛の溜め息が聞こえた。蜘蛛は再びこっちを見る。
『……お前、名前は何だ?』
「あ、ミーヤです」
『ミーヤか。ミーヤ、お前は何て言われてここに来たんだ?』
「何て……?」
何て言われてと聞かれたら、観光スポットにしたい場所があるんだという嘘に騙されて放り込まれましたとしか言い様が無いんだけど……。
『生け贄だとか、言われなかったか?』
「あ、それ言われました」
あのストーカー野郎に。
『…それはな、誤解なんだ』
「…………誤解」
もしや、意思疎通失敗で何か誤解をされてる、とかなんだろうか。ストーカー野郎は化け物呼びしてたし、生け贄だとかなんとか言ってたけど……ベルさんも、死ぬのが確定みたいな事言ってたよね。
ベルさんが数日後に死ぬって言ってたのがここへの生け贄として捧げられる事だとすると、私は人柱の人柱みたいな感じで放り込まれたわけだ。代わりに死ねって感じで。でもこの蜘蛛は誤解だと……んん? 理解出来ず首を傾げていると、蜘蛛は言う。
『我はただ、話し相手を寄越してくれと言っただけなんだ』
「何でそれが生け贄寄越せって誤解になるんですか!?」
翻訳ガバガバ過ぎない!?
『どう説明したら良いのか……まず、我は昔普通の猛毒スパイダーとしてその辺の森に居たんだ』
「はあ」
猛毒スパイダーとかめっちゃ怖い名前出てきた。
『普通の猛毒スパイダーはここまで大きくないんだが、我は幼い頃にうっかり即死級の危険な呪いを掛けられた』
「巨大化する感じの、ですか?」
ん?いや、でも即死級の危険な呪い…では無いよね?巨大化って。
『いや、普通に即死系の呪いだったんだが、無意識にその呪いを取り込んだらしくてな。そのせいで種族が闇毒スパイダーに変わったんだ。結果こんな巨体に』
「呪いに打ち勝つどころか取り込んでより強い存在になるとか凄いな」
少年漫画にありそう。
『そしたら………』
はぁ…と蜘蛛が深い溜め息を吐いたのが聞こえた。
『見た目が大きいせいで、危険視されたんだ……。しかも丁度近くを通りかかった勇者が蜘蛛を苦手とするタイプだったせいで……「アレ斬るとか無理!生理的に無理!アレの体液掛かった剣使うとかむーーーーりーーーーー!」と叫び、あの勇者は我をこの山の中に封じ込めた』
蜘蛛は『正確には土魔法で我を閉じ込めるようにした結果山が出来た、が正しいが』という補足を加えたが、正直うちの同郷がすみません…としか言えない。私もちょっと見た目でやべえぞコイツって思ったからアレだけど!アレなんだけど!でも現代人は虫が苦手なんだよ!
特にあの、あのやべえ黒い悪魔もそうだけどさ、ムカデとかゲジゲジとか蜘蛛とかも結構厳しいっていうか……。正直言うと蜂も中々キツかったりする。ハニーは可愛いしふわふわしてるから良いけど、毛が生えてて可愛く見える虫と気持ち悪く見える虫が居たりするじゃん?そういう…そういう、なんか、蜘蛛とかには生理的嫌悪感が出ちゃうっていうか…。
必死に私が心の中で弁解と言い訳を重ねているのには気付いていないのか、蜘蛛は続ける。
『そしてこの中で我は、他に何か出来る事も無いしと眠っていた。しかし、今から400年程前にそこに穴が開いたんだ』
蜘蛛が長い前足で……前足だよね?合ってるよね?まあとにかく蜘蛛が前足で差したのは糸で封鎖された出入り口だった。あ、ああー、もしかして……。
「その穴を開けた村人がやばい魔物の封印を解いちゃったって誤解したパターンだったりします?」
『その通りだ』
おーまいごっど。私は右手で顔を覆う。
その後の蜘蛛の説明からすると、蜘蛛はまず外に出ようとちょっと暴れたらしい。でもこの巨体だから無理矢理穴を通る事も出来ず、鉱山を揺らして周囲に被害を出してしまったとの事。そりゃあかん魔物を起こしちゃって災害起きたって思われるわ…。
そして蜘蛛を倒しに冒険者が来る→蜘蛛は自分の身を守る為に冒険者を倒す→ついでにご飯として食べる→それを見ちゃった、または知っちゃった村の人が蜘蛛をガチでやばい魔物と認識しちゃうという結果に。
そんな感じで外に出ようとしつつ、時々攻撃してくる奴等を始末してたある日、話が通じる冒険者が来たらしい。どうして暴れるのかと聞いてきたその冒険者に蜘蛛は『ここ暇』と言ったとか。……うん、確かに暇だろうけどね。
冒険者はその言葉に、じゃあ定期的に話をしてくれる人がここに顔出せばオッケー?という感じで話を纏め、それからしばらくの間は村の人の中でも物怖じしない人達が定期的に話をしに来てくれてたらしい。時々村の人が日用品をここに持ち込んで泊りがけで話をするくらいには順調だったらしいんだけど……ここから急展開が始まる。
なんと、当時の人達が大体寿命で死んでからその辺の話が改変されたというか…改悪されてしまったらしく、山から出られない大蜘蛛は人間を生け贄に食らう化け物蜘蛛にされてしまっていたのです!
そのせいで話し相手では無く、生け贄として人間が来るようになっちゃったらしい。しかも一緒に食べ物とか酒とかお金とか色々も一緒に貢がれるとか。ただまあ本蜘蛛としては、結果話し相手になってくれるなら生け贄でも訂正しなくて良いかなって感じだったらしい。元々誤解には慣れてたし、との事。
ただ、その、生け贄として来た人間は蜘蛛の事を生け贄を食うめっちゃやべえ蜘蛛としか認識してないせいで内心パニックにパニックをミルフィーユしたようなレベルのパニック状態だったらしくて、殆どが話を聞いてくれなかったらしい。
結果、錯乱して蜘蛛に攻撃しようとする人間は蜘蛛が自分の身を守る為に殺し、蜘蛛から逃げた人間はトンネル内部の魔物によって殺され………生きて帰れた者はゼロ、という状態に。
さっきこの蜘蛛が入り口を塞いでたのは、錯乱して逃げ出してその辺の魔物に食われないように、という配慮だったらしい。でも逃げ道塞がれたっていう絶望感しか無かったよ、アレ。言わないけど。
しかもこの蜘蛛は生け贄が来なかった年に『もしかして村ごと引っ越したんじゃないか?周りに人が居ないならこの山壊してオッケー?』と思い、念の為暴れる前にトンネルの中から糸を出して村全体の様子を探ったら皆普通に生活してたせいでより一層誤解が深まったとかなんとか。
何でも、山の化け物が生け贄を催促してるぞ!村なんてどうにでも出来るんだからなって意味だろこの糸!みたいな感じに受け取られちゃったらしい。悪いタイプの勘違い属性なんだろうか、この蜘蛛。
『我はただこの山から出たいだけで、それが出来ないならせめて話し相手が欲しいと思っただけなんだけどな。誤解が広まり過ぎた結果、この山の宝石を採取するだけでも我の逆鱗に触れるみたいな話になって……どんどん我の悪評が……』
「おおう…ドンマイです」
話し終わり、蜘蛛は色々と思い出して辛くなったのか落ち込んだように頭部を地面に預けた。
いや、うん、これはキツいわ…。誤解が誤解を呼び、放置していた結果取り返しの付かない領域まで行っちゃった感じ。
『だが、それはもう良い』
「ん?」
むくりと起き上がり、蜘蛛は糸と前足を使って器用に奥から何かを取り出して私の前に置いた。
『ようやく話が出来る相手が来てくれたんだ。ミーヤ、お前の話を聞かせてくれ』
私の前に出されたのは、お茶だった。……え、どうやって淹れたの?
思わず周りを見渡すと、さっき蜘蛛で見えなかった位置に水が湧いているのが見えた。成る程湧き水か。納得し、改めてお茶を見ると……凄いなこのコップ。コップっていうかティーカップって言うのかな?何か豪華。多分これも生け贄と一緒に貢がれた物なんだろうけど……。
『どうした?飲まないのか?』
「あ、すみませんつい。いただきまーす」
そう言って私はティーカップを手に、
『馬鹿か!?』
「うおわあ!?」
持とうとしたら蜘蛛の前足がティーカップを割った!?てか斬った!?斬ったってか壊したっていうか割ったというか……とにかくティーカップさんがご臨終しちゃったよ!?何で!?折角の高級そうなティーカップさんが死んだ!
『何故お前は我から出された物を疑いもせず触れようとした!?』
「えええええ理不尽!?お茶どうぞって出されて飲めって言われたから飲もうとしただけですよね私!?」
『闇毒スパイダーが淹れた茶だぞ!?毒が盛られてるとは思わないのか!?』
「盛ってたんですか!?」
『ああ一口で死ぬ量の毒をな!』
待ってマジで毒盛ってたの!?
「話し相手云々はどうなった!?何で毒盛ってんですか!?」
『我が毒を盛っても受け入れるような相手じゃなければ信用出来ないからだ!何度我が話し相手だと思って油断して人間に殺されかけたと思ってる!』
「私が知るかあ!!」
私の心からの叫びに蜘蛛は黙り込んだ。
というかコイツ、話聞いてる時はわかんなかったけどさては面倒なタイプの性格だな!?
『……すまん、つい疑心暗鬼になってしまった。我の悪評が広まってからのここ200年の間に声が届いた人間は皆我を殺そうとしてきたから……』
と、思ったら蜘蛛はしおらしく謝った。な、成る程、200年分の裏切られた経験のせいなら仕方ない、かな?
「あ、いえ、こっちもつい熱くなっちゃって」
とりあえずこっちも頭を下げておく。いや、毒盛られてこの対応は我ながら間違ってる気はするけどね?謝られたら謝っちゃうのは日本人の癖なんだよ。
すると、器用に糸で吊るしながら私の前に茶が入ったティーカップが再びコトリと置かれた。
『…お前は疑いもせず飲もうとしたからな。信じて大丈夫だろう』
『これには毒を入れていないから安心して飲むと良い』と蜘蛛が言う。
……まあ、天丼はしないだろうし。
「じゃあいただきます」
安心しろって言ってるし、同じネタは使わんだろうと思って私はティーカップに手を伸ばし、
『だから何故飲もうとする!』
持つ前に、再び蜘蛛の足によってティーカップが唐竹割りされた。
「また盛ったんですか!?私の信頼を何度ゴミ捨てのように放り投げりゃ気が済むんですか!ゴミ収集所の人が可燃ゴミか不燃ゴミか困るでしょうが分別しろ!」
『意味がわからん!というかお前もお前だろう!?我は闇毒スパイダー!我が淹れたらそれだけでただの水も毒になるのは当然だろうが!』
「知るかそんな常識!」
『冒険者が知らんでどうする!』
こいつ面倒臭え!




