表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で魔物使いやってます  作者:
異世界に来ました
82/276

単独行動すると碌な事が無い



「ベルも俺と一緒に居たい癖に俺に冷たいのはあの化け物への生け贄にならないといけないからだって俺はわかってる。でもそんな目に遭わなくても良いんだ。生け贄なんて、代わりを差し出せば良いんだから…!他の女はこの村から出て出稼ぎに行ってるし、中々外の人間も立ち寄らないしで困ってたけど、やっぱり俺の愛は本物だった!こんなに丁度良い身代わりが来てくれたんだから!」



 あああああああああアウトだああああああああ!!

 この男がストーカー野郎でもガチでベルさんの旦那だったとしてもアウト!全力でアウト!!あかんこいつ頭がとても大変な事になってるクズ野郎だ!というかこの感じだと観光名所とか結界とかも全部嘘だな!?



「バーバヤガから出てきて一文無しで野垂れ死にしそうだった俺に優しくしてくれたベル、そんな愛しいベルをあんな化け物に食わせるなんて許せない…!だからさ、代わりに食われてくれる?」



 ストーカーのバーバヤガ野郎こいつだぁあああああ!!てかバーバヤガ野郎ってそういう意味か!バーバヤガ出身だからか!えっちょ、てかやばくない?これ私めっちゃヤバくない!?

 え、これイース達に連絡……ミサンガが無いと連絡が出来ない!?あ、いや待て私には従魔用テレパシーがある!アレクにはまだ回線繋げてなかったけど他の皆には前にやったからいけるはず!アレクに対してもぶっつけ本番だよ!

 私は魔力を繋げるイメージで従魔用テレパシーを発動させる。



(皆!ちょ、やばい命の危険がヘルプ!!)


(ミーヤ?)



 あ、イースから反応あった!



(ミーヤ様!?命の危険とはどういう事ですか!?)


(え、何これ頭の中に声が!?あ、いや今ちょっと何かミーヤの声が)


(アレク!会話と思考が混ざってるぞ!)


(………ミーヤ、何…が、あった………の?)



 よっし他の皆とも繋がった!…ハニーとラミィは心配してくれたけどアレクとコンだけ意識逸れてない?うん、まあ、初めての従魔用テレパシーだからアレクの反応はわからんでもないし、コンの反応も先輩としての注意だと考えると間違ってないから何も言えないね。

 というか今大ピンチ真っ最中なんだよね!



(いや、うん、なんというかストーカー野郎がベルさんの旦那って自己紹介しやがったので思いっきり騙されてホイホイ付いて行ったらベルさんの代理として何かの生け贄にされかけてて命のピンチ)


(まだ無事よねぇ?現在地はぁ?)



 あ、イースからの魔力が怒ってる魔力になってる。これ即答しないとあかんやつ。



(山のトンネル。宝石キラキラ。魔力たっぷりの光る岩)


(生け贄って事も足すとあの鉱山ねぇ?すぐにコブジトゥに戻るからそれまで無事で居られるぅ?)



 喋りはいつも通りだけど、頭に響くイースの声がとても怒りを孕んでいて私の冷や汗が止まらない。命の危険は目前なのに味方からの圧の方が強いっておかしいね。

 でも無事で居られるか、か……。



「化け物ォ!!人間一匹くれてやるから持って行け!!」


「うげっ!?」



 無理ゲー過ぎないかな!?コイツ叫びやがった畜生!

 とにかくこの野郎を仕留めてさっさとこの場所から逃げないと、と思って腰に下げている鞭を手に取った瞬間。



「………ぬ?」



 私の手首に、何かが巻き付いていた。



「いっだぁっ!?」



 それは私の手首をギリィッと締め上げ、その痛みで思わず鞭を落としてしまう。うっげ、私の大事な武器が!え、これもう魔法でどうにかしないと駄目なパターンなの?そうなの?

 そんな事を考えている隙に、両手がそれに拘束された。両足も拘束された。座ってる体勢だったからダメージ少ないし怪我もしなかったけどこれ立ってたら確実に怪我してたよね!?

 しかし、それが私の体を蓑虫のようにぐるぐる巻きにして地面に転がした事で「それ」が何なのかわかった。これ、糸だ。細くて白い糸。

 あとさ……………暗闇に目が慣れてきたからか、トンネルの中が見えるようになったんだよね。

 トンネルの中、蜘蛛の巣があちこちに張られてますやん。ああそうさパニックさ!この状況でパニックにならん人間が居ると思うのかね!?

 やべえなこれ、どうしよと思っていたら体がずり、と動いた。私が動かしたわけじゃない。この糸は釣竿のようにトンネルの奥の方に繋がっている。あっはっは、つまり引き寄せられてるって事じゃないですかー。



(いやあああああヘルプ!これあかんやつだ!今現在私謎の糸によって全身拘束されて蓑虫状態!しかもトンネルの奥の方に引き摺られてるっぽい!あとストーカー野郎であるクアドラードがトンネル前でめちゃくちゃ高笑いしてるであります!)



 従魔用テレパシーでそう伝えた瞬間、クアドラードはパッとトンネルの入り口から立ち去った。てか走り去った。え、テレパシー聞こえた!?聞こえてないよね!?



(ごめん今の訂正!クアドラードの奴どっか行った!走ってどっか行った!今トンネルの中私だけ!ずりずり奥の方へ引き摺られてる!)


(引き摺られている速度はどのくらいですか!?遅いのであれば今からでもまだ)



 ハニーの言葉を聞き終わるより前に、糸の速度が変化した。



(あばばばまってまってそくどあげるのまってゆっくりからそくどあげるとかジェットコースターか貴様ああああああああ!!)



 ずり、ずり、ずりという引き摺り方だったのに、感覚を掴んだのかずりりりりりり!って感じの引き摺り方にレベルアップしやがった!何て嫌なレベルアップだ!糸で蓑虫状態なお陰で引き摺られてても痛みゼロだけど!むき出しの顔部分にもダメージ来ないコースでやってくれてるみたいだけど!でもこの気遣いおかしくないかね!?



(ミー…!………って、その……で………る?!)


(え!?何!?ノイズが酷いよ!?)



 イースからの声がとてつもなく聞こえ難い。殆ど聞こえなかった。

 次の瞬間、ブツンッと従魔用テレパシーが強制的に切られた音が頭に響く。……回線が切れやがった!!確かに詳細説明に距離とか磁場とか何かその辺で切れるみたいな事言ってたけど!今大事なトコ!!もし私がアメリカの人だったらファッキンって叫ぶぞおい!!

 私は糸にずりりりりりっと引き寄せられながら、まあ顔がどっかにぶつかりそうな時は周囲の蜘蛛の巣がトランポリンみたいにバウンドしてくれるお陰で無事だし、体も締め付けられてて痛いけど無事っちゃ無事だし、この後どうにか生き延びれればどうにかなる、かな?と考える。

 少なくとも生き延びれていればイースがどうにかしてくれるはず。

 ところでさっきから電車に乗ってる時みたいに風景が流れていくんだけどさ、チラホラ辺りに魔物が見えるんだよね。洞窟に居る感じの魔物が多い。

 …………やっぱり魔物が入れないとかの結界もホラかあの野郎!!ええ見抜けなかった私がお間抜けですよごめんなさいね!!ああもう情緒不安定か私は!?(パニック)



「………っ!」



 …てかさ、さっきまでずりりりりって引き摺るような音だったのに最早速度が速すぎて浮いているからね?耳元で風を切る音がしてて心臓に悪い。ひゅんひゅん言ってる。あとこの速度で角曲がるのも超怖い。蜘蛛の巣が良い感じにバウンドしてぽよ~んっと私を弾いて調整をしてくれてるから良いものの蜘蛛の巣が無かったら大怪我だわ!

 つか空気!何よりも空気!私に呼吸をさせろ!勢い早すぎて呼吸しようもんなら舌噛むぞこれ!

 そう思っていたら、急に開けたとてつもなく広い空間に出た。びょい~~んっという擬音が聞こえそうな感じに空中に跳ね上がった私は釣り上げられた魚の気分を味わった。何だ?料理されるのか?成る程釣り上げられて空中に放られた魚は皆死を覚悟するんだな……とちょっと泣きそうになった。他人事だなって?現実逃避だよ!

 ああ、私はこのまま地面に激突してミンチになって化け物に食われるのか……いやお断りだわそんな最期!こっちにゃ従魔兼嫁が五人居るんだよ!あの子達置いて死んで堪るかぁ!

 気合を入れ直し、回転でも加えれば落下のダメージを少なく出来るんじゃ?と考えた瞬間。



「ぐおっぶ!?」



 繋がっていた糸が引っ張られたらしく、落下の前に私は空中で停止した。ところで勢いが強すぎたせいで重力さんが私の内臓にダメージ入れてきたんですが。吐きそう。

 落ちて死ぬのでは?という恐怖よりも吐き気とのバトルをしていたら、蓑虫状態の私はゆっくりと地面に下ろされた。

 ………おろ?

 しかも私を蓑虫にしていた糸もしゅるしゅるっと解かれた。よっしゃ自由の身キタコレ。まだ脳内は微妙にパニックさんな気はするが仕方あるまい。これでパニくらん現代人は訓練された現代人だ。パニくる私は訓練されてない現代人ですどうぞよろしゅう。

 とりあえず両手の感覚を取り戻す為にグッパーグッパーと握ったり開いたりしていると、ふと周辺に影が掛かっている事に気付く。このデカい空洞は他よりも魔力を含んだ岩が多いのかさっきの空中浮遊時は明るかったのに。

 何でだろう、と思って顔を上げると、



「……う、ぉおう…」



 パッと見、恐らく8メートルはありそうな巨大蜘蛛がそこに居た。

 あ、これ死ぬわ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ