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異世界で魔物使いやってます  作者:
異世界に来ました
54/276

貴族なら!頭を高くして!



 グレルトーディアに到着してから気付けば6日目になっていた。

 そろそろ次の町に移動しないとなー、護衛の依頼とかあると良いんだけどなーなんて考えながらギルドに来たらシルヴィアさんに、



「ミーヤと話がしたいってお客様が昨日来て、もし話してくれるのであれば明日、つまりは今日ギルドの個室で待って居てくれないかって」



 と言われたから何故か依頼ボードの前ではなくギルドの個室に座っています。

 いやあの、怪しくないかとは思ったんだけどバーンズ家って言ってたからさ。バーンズ家って事はイーニアスか執事さんなのかな?何でもお礼を言いたいけど秘密の相談事だったしという事で個室との事。

 今から連絡するからお茶でも飲んで待っててねと言われたので、現在私は大人しくソファに座ってお茶を飲んでおります。ちなみにイースは普通にリラックスした様子でお茶を飲み、ハニーはお茶菓子を摘まみ、ラミィはイースが出した干し肉を食べ、コンは座りながらもふんふんと鼻を鳴らして部屋の中の匂いを探っている。



 そういえばなんだけど、グレルトーディア滞在4日目に無事私ことミーヤはFランクからEランクへと昇格しました!これでちょっと依頼の幅が広がるよ!

 護衛の依頼もEランクからなんだよね。護衛は結構大変らしいけど、特に行き先が決まってない私としては良い依頼だと思う。イース凄いし、ハニー速いし、ラミィ強いし、コン鼻が利くし。

 商人や商品を守りながらっていうのは難しいけど、幸いこっちは仲間が多い魔物使いだ。あと商人だからこそのお話が聞けるかもしれない。

 でも護衛依頼で良さそうなの無いかなって思いながらギルドに来たら、依頼ボードを確認する前にシルヴィアさんに呼ばれちゃったからね。丁度良い依頼は貼ってあるんだろうか。護衛依頼が無かったら無かったで適当に行く方向決めて出発するけどね。



「………」



 うーむ、まだかな。暇過ぎてスマホでネットの色んな情報を見たい気持ちに襲われるが、残念ながらスマホ使用には色々とルールが出来ちゃったからな。

 どんなルールかと言うと、アニメや漫画にゲームなんかは時間をめちゃくちゃ消費するし目や耳に悪い。何よりそれに夢中になってたら旅が進まないから、アニメとゲームはトータルで一日一時間まで。漫画はアニメとゲームとは別扱いだけどそれも一日一時間までと言われたのである。

 一応せめて二時間で!って言ってはみたけど、



「それだとトータル四時間の消費になっちゃうでしょう?四時間で移動出来る距離を考えると……ねぇ?」



 と言われてはぐうの音も出ない。

 冒険者にとって時間は有効活用するべきものだし、そう考えると二時間も許可してもらえただけ充分過ぎるよね。あと一時間しか見れないし!って思ってアニメを見ると凄い集中するからか細かい動きとかも把握出来て結構楽しかった。私のレベル上がったから動体視力も上がったとかだったりするのかな?

 余談だがイース以外の従魔には日本のアニメが理解不能だったらしい。まあ言語が違うからね。スマホのカメラによる動画を見せた事はあるから何となく似たようなものだと理解はしてくれたけど、正直今までで一番異世界との溝を感じた。



「…来たみたいよぉ」



 イースがふと扉の方を向いてそう言った。その言葉に、私を含めたイース以外の全員がささっと身なりを整える。ダラダラとお菓子食べてお茶飲んでた姿のままで貴族と会うのはやっぱりちょっと……アレじゃん?

 数秒後、扉がトントンと軽くノックされる音が響く。おお、流石はイース。未来予知のスキルでも持ってるのかな。それとも単純に透視でもしたんだろうか。

 ノックに対してどうぞと答えると、お盆の上にお茶を二つ乗せたシルヴィアさんが入って来た。その後ろから見覚えのある金髪の美少女……美少年も入ってくる。



「お久しぶりです、ミーヤさん」


「久しぶり、イーニアス」


「…………」



 軽く会釈してそう言ったイーニアスに手を振りながらそう返す。するとイーニアスの後ろに居た見覚えの無い藍色の髪の男も入ってきて、軽く会釈してくれたからこっちも会釈で返す。

 ……藍色の短髪?

 入って来たイーニアスは向かいのソファに座り、私と同年代くらいに見える見覚えの無い男もイーニアスの隣に座った。

 シルヴィアさんはその二人の前にお茶を出し、軽く頭を下げて部屋から出て行った。プライバシーにちゃんと配慮してくれてるらしい。ファンタジー小説だとその辺ガバガバな印象だったけどやっぱ現実的なファンタジーだとその辺配慮されてるんだね。

 …現実的なファンタジーって何だ。というか話の切り出し方がわからなくて無言辛い。

 そう考えていると、イーニアスが口を開いた。



「ミーヤさん、まずは先日の件と今日待っていてくれた事に対してお礼を言わせてください。ありがとうございます」


「ありがとうございます」


「えっ、あ」



 開幕貴族に頭を下げさせてしまった!イーニアスもうちょっと頭を高くして生きよう!?ね!?私の心臓に悪いから!あと藍色の髪の君も頭下げなくて良いよ!てか君誰だ!

 うっかり脳内がパニックになりかけたが、どうにか平静を保って言う。



「えっと、どういたしまして。でも本当大した事してないんでマジ頭を上げてください。頭をもうちょっと高くしてどうぞ」



 ああクッソ私の口がポンコツなせいで平静が保てていないのがバレる!イースさんちょっと!笑うの堪える為に下唇を噛むの止めなさい!隠せてないぞ!

 私の発言にイーニアスがふふっと笑って顔を上げた。藍色の髪の男もイーニアスの動きを見て同じ様に顔を上げる。

 そういえば今日のイーニアスはドレスじゃないんだね。前に見た時は素性を隠す意味を込めて女装していたイーニアスだったが、今日は普通に男の子に見える格好だ。ハーフアップにしていた長い金髪は首の後ろで一つに纏められているし、服も清楚なドレスじゃなくて高そうだが少年だとわかる服装。

 ………あの時は化粧してて、今日はすっぴんなんだろうけど普通に美少年なの凄いな。貴族のパワー的な何かなんだろうか。



「今日は先日の件の報告と、紹介と、感謝の気持ちを伝えに来たんです」


「ほ、ほほう?」



 先日の件の報告って、そんなに早く話が纏まったの?貴族の婚約者だの色々と重要な話だからもうちょい時間かかると思ってたよ。あと紹介と感謝の気持ちってなんだ。感謝の気持ちって事は上手くいったのかな。

 イーニアスはすっと左手で隣に座っている藍色の髪の男を示して、頬を染めた笑顔で言う。



「まずは彼の紹介から。彼がフェロール家の長男であり、僕の恋人の」



 イーニアスが言い切る前に、男はイーニアスの肩を抱き寄せて言う。



「ライナス。ライナス・フェロールだ。イーニアスと交際している」



 藍色の……もういいか。わかってたけどやっぱりこの人がライナスだったんだね。15歳にしては高めの身長のライナスは、金色の目で私の方を見据えた。

 あー、やっぱりこっちもイケメンなのか。15歳なのに大人っぽい。色合いも重なってとても大人っぽいイケメンだ。清潔感がある短髪に少し鋭い目付き、高めの身長にしっかりした体付きとか乙女ゲームの世界の住人みたい。



「話は聞いた。……イーニアスが、とても悩んでいた事。そして貴女が解決策を考えてくれた事」



 無駄の無い動きでライナスの頭が下がる。



「俺達の為に、茶化さず真摯に相談を受け止めて案を考えてくれた貴女に、俺達は感謝する」


「本当に、ありがとうございます」



 流れるような動きで再びイーニアスの頭も下がった。

 ……いやだからさあ!



「わかりました!わかったこちらこそわざわざ頭下げてくれてありがとう頭下げさせてごめんね!?でも貴族がそう簡単に頭下げちゃ駄目だよ!貴族なら頭を高くもって!」


「ぶふっ」



 イース笑わないで!心読めるんだから私の内心が焦りまくりなのも読めるでしょ!

 私の言葉にイーニアスとライナスはすぐに頭を上げてくれたからほっと一息。本当心臓に悪いから貴族が平民に頭下げるの止めて欲しい。貴族のつむじ見る平民の気持ちわかる?めっちゃいたたまれないよ。

 私が居心地悪そうにもぞもぞしていたのを見て、イーニアスはくすくすと笑った。口元に手を持ってきてくすくす笑うのは女装の一貫かと思ってたら素なのね。似合ってるから良いと思うよ。



「それで、先日の件の後の話なんだが」


「あ、そうだった」



 ライナスの言葉にイーニアスが思い出したように呟き、コホンと一度咳払いをする。



「あの後、両親に話してみたんです。僕は跡継ぎになる気は無いから、弟を作ってくれませんかって」


「ド直球で言ったね」



 ご両親目ン玉飛び出なかった?大丈夫?

 イーニアスはその時の事を思い出しているのか目を伏せ、



「そしたら両親は「なんて親孝行な子!」と感涙を流しながら僕にハグをして、そのまま寝室に二人っきりで入ってその日の夕食にも出てきませんでした」



 凄い綺麗に微笑んだ。

 ってそうじゃないだろう両親!どういう両親だ!なんて親孝行な子!ってどういう意味だ!イース左手でわっか作って右手の人差し指を突っ込むんじゃありません!ラブラブだなバーンズ家!私はどんな表情をしたら良いのかわからなくて顔を覆うしか出来ないよ!



「翌日話を聞いて、俺の両親にその話をしたら「いよっしゃあよく言ったぞ息子!正直子供二人だけってのも寂しかったし!まだ間に合うから子供作るぞ!」って父が叫んで母と一緒に寝室に籠もり、丸一日出て来なかった」



 はーいさっきよりもどういう顔をしたら良いのかわかりません!!

 というかイースはそのハンドサインを止めろ!ハニーはお茶菓子に夢中にならないで!ラミィは瞳を輝かせて聞くのを止めなさい!コンもうんうん頷かない!何に頷いてるんだお前は!

 ああもうツッコミが追いつかない!そもそもツッコミが少ない気がするぞ私の従魔!これって相当驚きな反応だと思うんだけど、こっちの世界じゃそうでもないの!?これが普通なの!?



「そして翌朝、両親は言ったんです。「お前達が問題無いなら、跡継ぎは今から私達が作ろう」って」


「「もう家に縛られる必要も無くなるから、好きな人と自由に暮らしなさい」とも言ってくれた。……貴女の案のお陰で、俺達は別れる必要が無くなった」



 イーニアスは微笑み、その笑みを見たライナスも表情を緩めてイーニアスの手を握って恋人繋ぎをしていた。これBLなのになんで少女漫画みたいな雰囲気なんだろう。花の背景が見える。てかご両親それ寝室に篭る前に言うべき事じゃないっすかね。



「もう僕達は別れるしか無くて、好きでも無い女を抱いて子供を作らなくてはならないのかと血反吐を吐きたいくらいに悩み苦しんだ日々でしたが……そんな未来は無くなったんです!」



 イーニアス!?凄い笑顔だけど今ちょっとキャラ違わなかった!?



「ライナスが僕では無い、しかも好きというわけでもない女を抱くのかと考えるだけで相手の女の飲み物全てに排水を混ぜ込んでやろうかと思う程に見知らぬ誰かに殺意が湧いていましたが……もうそんな事も考えなくて良くなったんです!」



 めっちゃくちゃ眩しい笑顔だけど言ってる事が怖い!女のいじめか!?お隣のライナスさん控えめに驚いた顔して冷や汗掻いてるよ!でも繋いだ手は解かないんだね!愛だね!私に一体どんな反応をしろっちゅうんじゃい!(パニック)



「……ああ、うん、良かったっすね」



 それ以外に言葉が無いよね!下手な事言ったらアカン気がするよ!



「はい!ありがとうございます!」


「……そう、だな」



 イーニアスの言動に冷や汗を掻いていたライナスは、イーニアスの笑顔を見つめてからふっと微笑んだ。



「俺もイーニアスの事を愛しているから、イーニアスに色目を使う奴がイーニアスの傍に居るだけで殺意が湧く。そう思うと、本当に今が幸せだ」



 「俺の方も毎日交渉してどうにかしようとしていたが、聞き入れてはもらえなかったからな」とライナスは続けるが、お前も中々にハードな愛やんけ。もう私の口調がガッタガタだよ。クワガタの角のギザギザのようにガッタガタだよ。あ、あれって角だっけ?牙なんだっけ?どっちでもええわい。



「……うん、二人共めっちゃくちゃお似合いだよ」


「本当ですか!?えへへ、嬉しいな」



 頬を染めてそう笑うイーニアスは美少年でありながら美少女のようだった。しかしお前さっきの言動忘れてないからな。逆にちょっと怖い。

 でもまあ私の言葉は本心だ。愛が重い者同士歯車が合ってると思う。

 空いている右手で赤くなった頬を掻くイーニアスを愛おしそうに見つめながら、ライナスが口を開く。



「…良かったな、礼を言えて」


「うん!」



 ライナスの言葉に頷いたイーニアスは、こっちを向いて柔らかく微笑んだ。



「上手くいったから、あの案を出してくれたミーヤさんに是非ともお礼を言いたかったんです。でもほら、あの依頼は長期滞在しない冒険者限定の依頼だったじゃないですか」


「ああ、そういえばそうだったね」



 だからこそ怪しかったんだよね。普通の恋愛相談だったけど。



「だからもうグレルトーディアを出ちゃってて、お礼を言う事も出来てないんじゃ!?って思っちゃって。それで昨日ライナスに相談したら「ギルドに聞けばわかるんじゃないか」って」


「その後すぐにギルドで聞いて、まだ滞在してるようだったから受付に頼んでおいたんだ。断られたらそれまでだが、こうやって面と向かってきちんと礼を言いたかったからな」



 しっかりした15歳だなライナスは。



「律儀だね、二人共」


「いえ、これは律儀というよりも、僕がどうしてもお礼を言いたかっただけなんです」


「俺達の恩人だからな。結果が出る前と結果が出た後じゃ感謝の言葉に篭る気持ちも違うだろ」


「しっかりしてんね…」



 貴族教育の賜物なんだろうか。あ、いやでもアーウェルも結構しっかりしてたわ。こっちの世界じゃしっかりしてないと死ぬ可能性高いからかな。



「まあ、うん。感謝の気持ちは素直に受け取らせてもらうよ。こっちこそわざわざありがとね」


「いえ!僕達の自己満足の為ですから!」



 ファンタジーの貴族って言ったら嫌味のオンパレードみたいなブタ野郎のイメージが強かったけど、そうでも無いんだな。結構良い人だらけだこの世界。ただし悪い噂しかないバーバヤガを除くものとする。



「あ、それともう一つお礼として」



 そう切り出したイーニアスの言葉と共に、ライナスが腰に下げていた袋を机に置いた。



「僕達二人からの感謝の気持ちです。是非受け取ってください」



 ライナスが袋の紐を解いて袋を開けると、中には金色が沢山入っていた。

 ……ちょい待とう?



「流石に白金貨は無理ですが、二人のお小遣いから持てるだけ持ってきました!金貨40枚はあります!」


「俺達は本当に感謝しているんだ。是非、受け取ってくれ」



 ただのEランク冒険者が恋愛相談に乗っただけで受け取れる額じゃねえだろうがあ!!

 思わずヘドバンしてしまい額が自分の膝に刺さった。とても痛い。頭蓋骨が何かもう痛い。何なの?私の腹筋と精神を攻撃してきたと思ったらいきなり頭部まで痛くなったよ?頭蓋骨の痛みは私の自己責任だが展開が異常過ぎるせいによる頭痛は私の責任じゃないと思うんだ。

 溜め息を吐いて周囲を見渡す。

 イースはにこにこ笑顔、ハニーはお茶菓子を食べ終わってしまい物足りなさそう、ラミィは金貨を食べ物じゃないと認識して残念そう、コンは金貨の輝きに怯えて全身の毛を膨らましてる、イーニアスは満足そうな笑顔、ライナスも満足そうな笑顔。

 誰かまともにツッコミが出来る人をここに呼んで来い!銀貨一枚あげるから!!

 ……おーけい、大丈夫だ。宇宙なんだよ要するに。宇宙の事を考えれば誰だってクールになれるんだよ。だから私は冷静である。おーけい?イースさんちょっと風魔法使ってまで笑わないで。音を遮断してるんだろうけど魔力感知で魔法使ってるのがわかるんだよ。



「…念の為に聞くけど、このお金……親御さんに渡す許可は貰った?」


「はい!何だったら宝物庫からいくつか見繕って良いと言われましたが、冒険者であるミーヤさんには邪魔になるだけかと思いまして……」


「ああ、秘宝とか特殊な首飾りとか…換金しにくい物ばかりだからな」


「それに僕達だけでお礼をしたかった、っていうのもありますから」



 えへへと笑うイーニアスは可愛いが言ってる内容が可愛く無い。止めろよ親御さん。止めてくれよ。こんな大金怖くて仕方ねえわ。イースはもっと持ってるだろって?管理してるのイースだしそもそもイースのお金だからね!?私の管轄じゃないもん!

 というかこんな大金受け取りたくない。私は普通に仕事に見合ったお給金を貰って良い感じの生活がしたいんだ。働いてお金を受け取っての生活が良い。こんな大金を受け取ったら堕落してしまう。

 ……あ、良い事思いついた。



「よーし、じゃあ受け取らせてもらうね!」


「はい!」



 イーニアスとライナスが笑顔で頷いたのを見て、金貨の入った袋を手に取り……うっわ重っ!何だこれおっっっっも!よく袋破れなかったね!?てかこんな重いの腰に付けてたライナスも凄いな!

 さて、さっき思いついた良い事を実行だ。こんな怖い袋必要以上に長く持っていたくない。



「で、二人は結婚するんだったよね?」


「え、えっと……はい」



 頬を染めて恥ずかしそうにイーニアスがはにかんだ。



「俺達の両親が妊娠して男が生まれないと結婚は出来ないが…ちゃんと俺達は婚約者になった。俺もイーニアスもまだ未成年だしな。数年くらいなら結婚式を楽しみにしながら待つさ」



 そう言い、ライナスはニッと笑った。

 うんうんそうだね、結婚はやっぱりするんだね。



「ところでなんだけど、私の故郷では結婚する人にはお祝儀ってのを渡すんだ。結婚祝いのプレゼントって感じかな」



 にっこりと笑顔で私は言う。嘘は吐いて無いよ。本当の事だよ。

 と、いうわけで。



「この金貨40枚を二人の結婚資金として提供します」



 慌てたように二人は断ろうとしたが、有無を言わさずゴリ押しじゃい。

 貴族で同性で結婚なら色々大変だろうし新居に引っ越すんならもっと必要でしょ。何より結婚前の奴等がお金足りなくてどうすんの。このお金で一生の思い出になるような結婚式やんなさい。一生に一度だけなんだから。

 そう言って金貨の入った袋をイーニアスに……押し付けるにはちょっと重量的に重そうだからライナスに押し付けた。君結構力強そうだから大丈夫でしょ。持ってきたの君だし。



「ミーヤさん……何から何まで、本当にありがとうございます!」


「…俺達、絶対幸せになります!」


「うん!頑張れ!」



 そして感動しているところ悪いけど、単純にその金貨の詰まった袋を持つの怖いから押し付けただけだったりします。おめでたいって気持ちは本物だから!私はちゃんと一回受け取ったしね!貰った百円でジュース奢るのと内容は変わらないから!

 ……うん、行動と言動はともかくそれに内心を重ねると結構酷い事してる気がするね私。



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