ステータスの説明をしてもらいました
「じゃあ言うわよぉ」
「お願いします!」
異世界に来て早々命の危険!サヨナラ世界と思ったらエッチで美人なお姉さんが助けてくれた!そのお姉さんは心が読めてステータスも見れちゃう凄い人だった!
というわけで現在私のステータスを見てもらっています。教えてもらいつつ、スマホのメモ帳に内容を書いていく。
「それにしても、鑑定を持ってない異世界人、ねぇ。でも称号には確かに「異世界人」って書かれてるし…」
「待って下さいまたよくわかんない言葉が出てきたんですけど称号って何ですか」
「称号は…例えば誰かが「剣の達人」みたいな称号を持っていると、その人が剣を使った時の攻撃に少しダメージボーナスが入る感じのやつ、かしらね」
「わかりやすい」
「異世界人って称号は、異世界から来た人間である事の証明って感じかしら」
ちなみにお姉さんが言うには、今まで異世界人は何人か実在したし実際に会った事もあるらしい。何でも、その人達全員が鑑定のスキルを持っていたので当然私も鑑定持ちで、ある程度は把握出来てると思ってたそうだ。
鑑定なんてスキル持ってませんよ。だって私は一般人。一般人が鑑定持ってたらおかしいっしょ。
そう言ったら今までの人は「勇者」として召喚されてたから持っていたのかもしれないと言ってくれた。美人に気を使わせてしまった。
まあ気を取り直し、お姉さんに見てもらった私のステータスはこうである。
名前:ミヤ・ミツオカ(17)
レベル:1
種族:人間
HP:20
MP:50
職業:無職
スキル:従魔契約、妄想癖
称号:異世界人、変人、人外好き
「…無職じゃないもん!学生だもん!」
「あ、気になるのはそこなのね?」
「いや他にも言いたい事ありますよ!?妄想癖ってスキルなの!?あと変人と人外好きっていう称号お前ら誰だよ!どういう事だ!」
「変人の称号は、多分私が凄い変わった子って認識しちゃったからかもしれないわ。ごめんなさいね?」
「あ、ならオッケーです。美人からの貰い物だやっふー」
む、これが変わった子扱いの元かもしれない。お姉さんの目が生温い。セクシーな目なのに生温いとはどういうこっちゃ。
んー、でもこれだけ聞いても困るな。鑑定が使えない上にこの世界初心者の私では何もわからない。どうやらテンプレ通りお姉さんの目にはステータスが映り、詳細説明も出るらしいのでガンガン聞いていこう。
「質問しても良いですか?」
「ええ、良いわよ」
「スキルって何ですか!」
「発動をイメージしながら口にすれば使用可能なもの、かしら。別に口にしなくても、頭の中で思うだけでも使えるわ。私も口に出さずに鑑定を使っていたでしょう?」
「確かに」
言われてみるとお姉さん、私のステータスを見る時に「鑑定」って言ってないな。ステータスって言われて初めてステータスなんてものがあるって知ったし。
…もしや心を読めるやつもスキルなのかな?読心とか?あ、正解っぽい。優しく微笑まれた。眼福眼福。
「従魔契約って奴はなんとなくわかるんですけど、妄想癖って何ですか?」
「このスキルがあると、呪文の詠唱無しでイメージ通りの魔法が使えるわぁ」
「マジですか!?」
「ええ。ただし、魔力をオーバーしてる魔法は使えないし、イメージがハッキリしていないと失敗するから気をつけてね?今の魔力量だとファイヤーボールを何回か発動させたら倒れちゃうわよ」
「やだ何それ怖い」
HPと言う名の体力が切れたら多分死ぬんだろうけど、MPという名の魔力切れは気絶するのか。覚えておこう。
お姉さんいわく、普通のレベル1の人のMPは20あるか無いかだからこれでも多めらしい。寧ろ普通の人はHPの方が50くらいあるからそこが逆だと言われた。貧弱なゆとり世代でございます。
ファイヤーボールに関しては多分名前の通りに火の玉だと思う。使う時は配管工のおじ様みたいなやつをイメージすれば攻撃力あるよね、うん。
別に火の玉って想像すると幽霊の横に浮かんでるだけのアレがイメージされちゃうってわけじゃないよ。動いて攻撃するイメージが配管工のおじ様のやつじゃないとしっくり来ないだけだよ。
「ちなみにこの妄想癖は常時発動型だから意識しなくても詠唱無しで魔法が使えるわよ」
「え、何それ凄い!」
「ふふふ。スキルには自動で発動してるものと意識的に発動させないといけないものがあるからぁ、気をつけてね?」
「はい!」
この説明聞いてなかったら毎回妄想癖!って脳内で唱えていたかもしれない。この世界では常識だろうにちゃんと説明してくれるお姉さんめっちゃ優しい。
「えっと、それじゃあ称号の説明もお願いします」
「はぁい。異世界人は異世界から来た人間であるって証明なのはさっき言ったわね。変人って称号は…多少変わった言動をしても気にされなくなるって出てるわ」
「え、異世界人としては凄い助かる奴じゃ無いですか。向こうの世界とこっちの世界では名前が違う野菜見つけた時とかに口走ってもスルーしてもらえるって事ですよね?うっわ助かる!ありがとうございます!」
「お礼を言われるとは思わなかったけど、どういたしまして。それで人外好きだけど…人外が好きなの?」
「うぐっ」
ハートが浮かんでいる瞳に見つめられて目を逸らす。
確かに私は人外が好きだ。人間よりも狐耳青年が居たらそっちを攻略するタイプだ。漫画やゲームでも人外キャラの方が好きだし、お姉ちゃんとやるTRPGでも人外のNPCキャラを口説きまくってる。
…いや、うん、どうせ隠せないし、うん。
「………はい、私は人外が好きです」
「いや、そんな罪を認めるみたいに言わなくても良いわよ?」
「でもこっちの世界ではどうかわかんないし、私結構重度の人外好きだと思うし…」
「重度?」
「猫耳レベルじゃなくて、獣人みたいなタイプの方が好きなんですよ…」
「そうなの?この世界には獣人もいるから良い事じゃない?」
「え!?いるんですか?!」
「いるわよぉ、色んなタイプ。昔は魔物扱いだったけど、今では獣人って扱いで人間と同じように暮らしてるわ。まあ、一部ではまだ迫害もされてるみたいだけどね」
テンプレかよ。
でもマジか、いるのか獣人。いよっしゃあ!!もし会えたらブラッシングさせてもらおう!
「獣人にとってブラッシングは親愛のキスみたいなものだから、ある程度の好意が無いと無理よぉ?」
「異種族の壁が強い!」
人に夢と書いて、儚いと読みます。つまり夢って所詮儚いものなのよね…ぐすん。良いもんもふもふな子を従魔にして素敵な毛並みにするんだから。
「じゃ、人外好きって称号の詳しい説明を続けるわよ?」
「あ、はい!」
「この称号を持っていると、人外に好かれやすくなりまぁす」
「マジでかよっしゃ!」
「その代わり人間との友好関係をちょっぴり築き難くなりまぁす」
「あ、それはもう諦めてるんで良いです」
向こうの世界でも友人はいたけど浅い友人だったし。
こっちでの友人とか普通に無理。まず顔と名前が覚えられないと思うし!日本人でも見分けがつかないのに外人の顔の見分けがつくはずないよね!色が黒けりゃインドかなって思うもん!ネパールとか色々あると思うけどまずインドかなって思うもん!白人だったらフランス…とか…多分…その辺?って感じだもん!フランスが白人かどうかも知らないよ!
そんな私が異世界の人を見分けられると思うのか?否!絶対に無理!なので人間との友好関係は諦めている。うん、魔物使いになるんなら多分人外と交友深める方が大事だよね!
「よし、頑張ろう」
「ふふふ、本当に面白い子ねぇ」
「あは、ありがとうございます。ところで、あの…一つ良いでしょうか」
「なぁに?」
私は周りを見る。森の中で道も水場も近くには無い。そして遠くで草を掻き分ける音が聞こえたり、鳥の鳴き声みたいなのが聞こえる。何より日が暮れてきて、もう夕方だ。
そう、つまり、
「今晩ご一緒してくれませんか」
「あら、夜のお誘いかしらぁ?」
「すんませんそっちじゃなくて普通に一人怖いです」
「そうねぇ、明らかに旅に出れるステータスでも無いものねぇ。…ねぇ、食べ物や飲み物はある?」
「無いです」
「ならあげるわぁ」
「マジですか!?」
「マジよぉ。…そ、の、か、わ、りぃ」
にっこり、と蠱惑的な笑みで、お姉さんはその完成された綺麗な顔を私の顔に近づけた。
うわああああもうちょいでキス出来るぞこの距離!と小学生男子のように暴れる自分を落ち着かせ、お姉さんの言葉を復唱する。
「そ、そのかわり?」
「魂、すこぉし貰っても良いかしらぁ?」
ずるり、と。いや音なんて無かったけどまるでそんな音が聞こえるような動きで、でも自然な動きで、お姉さんの紫がかった銀髪、耳の上辺りから、まるで羊のような形の黒くてツヤツヤした角が生えた。
布で隠されたりしていない綺麗な背中からは闇のように黒く、毒々しく紫で、欲情しているかのようなピンク色。光の加減でそれらの色が混ざったように不思議な色をした、悪魔の羽が生えた。
キュッとくびれた腰、ギリギリ隠れているかのようなお尻、その二つの境目辺りから先っちょがハートの形をした尻尾が生えた。
「………え?」
「本当に気付いてなかったのねぇ。……実は私、淫魔なの♡」
第一村人だと思っていたエッチなお姉さんは、モンスターだったらしいです。
今度こそ、サヨナラ世界!




