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異世界で魔物使いやってます  作者:
バーバヤガ編
275/276

さて、どこに行く事になるのかな



 時が経つのは早いもので、バーバヤガとの戦争から1ヶ月が経過した。

 ……いやまあ、結果的に早く感じるってだけで1ヶ月の間はそれなりに長かったけどね。天使さん達に事情聴取頼んだり、バーバヤガ国王の権限とか何ちゃらかんちゃらをツィツィートガルに移譲だか何だかとかの諸々とかで。

 けどまあ結論から言えば、バーバヤガの件は無事に片付いたと言える。

 あの後、バーバヤガ国王は完全に正気を失っていると判断された。兵士達の証言からも、今回の件で正気を失ったというよりは前からかなりガチめにやばい精神の持ち主だったというのが発覚したしね。

 というわけでバーバヤガ国王を続けさせるわけにはいかない、でも側近達も王に据えるわけにはいかない奴等ばかり、後継者とされる血縁の人達も居ないor軽じゃないタイプの犯罪犯してるという地獄のような人間関係だったので、結果的に言うとバーバヤガはツィツィートガルに吸収された。

 ……最初はね、バーバヤガをそのまま小国として維持させようか的な考えもあったらしいんだけどね。コレ放置あかんわと判断され、ツィツィートガルの管理下に入ったという。

 そんな感じで元バーバヤガは現在、ツィツィートガルの西の方にあるバーバヤガ地方みたいな扱いになっている。色々と整えた結果治安の良さも多少向上したので、これからはヒイズルクニとの交渉の時とかに使う事もあるかもらしい。丁度中間の位置だから、って事で。

 さて、バーバヤガの事はこの辺でさておくとして、私達の事だ。私達は現在、王城に居た。いつも通りに大人数が揃っている室内で、私は言う。



「まあそういう感じでバーバヤガも安定したみたいだし、私達もそろそろ王都を出ようかなって」



 紅茶を飲んでからそう発言した瞬間、私達以外から「え!?」という驚きの声が上がった。



「出るんですか!?」


「うん」



 思わずといったように身を乗り出したセレスにそう返すと、目をパチクリとさせていた。可愛い。



「……まあ確かに、安定はし始めてますケドね」



 「ふぅー……」と深い溜め息を吐きながらそう言ったのはタバサだ。雇い主と同じ空間だろうと緩んだ姿勢を崩さないタバサは、頬杖をつきながら言う。



「やっぱ、冒険者達が戻って来るからっすか?」


「うん」



 私はエヴァンさんレシピでケインさんが作ったらしいケーキを摘まみながら頷いた。



「バーバヤガが安定し出したって事で、向こうに仕事しに言ってた人達が帰って来る。そしたら暇になるだろうから、あちこち見て回ろうかなーって」



 バーバヤガは治安が悪かった。それはもう酷かった。冒険者ギルドもあるにはあるがまったくと言って良い程に機能していなかった。

 なので冒険者ギルドはキッチリと立て直され、ツィツィートガルからの冒険者が呼ばれた。バーバヤガの冒険者達に心構えなどを教えるというのもあるが、人手の為だ。

 例えば野良の獣達。バーバヤガは野良の獣や魔物が割りとその辺をウロチョロしていた。なのでそれらを捕まえて保護したりの人手。あとまあバーバヤガ全体の外観を整えたりの人手とかもかな。設備用のお金は大体が横領されてたらしくて、殆どがボロの状態だった。

 それらの色々をバーバヤガの人間にやらせ……るのは勿論だが、バーバヤガ人はサボる。あと向上心が無いせいできちんとした建て直し方とかも知らなかった。

 なので雑用もこなす冒険者を始めとしたツィツィートガルの仕事人達がバーバヤガに派遣されたわけなんだけど、そうするとツィツィートガル側の人手が薄くなる。一応王都に居る兵士達が代理をしにあちこち行ってくれてたんだけど、そうすると王都の人手が薄くなるっていう。

 まあそんな感じの理由があって、私達は王都で雑用係をしていたわけだ。基本はギルドに頼まれた雑用依頼をこなすのがメインって感じだったけどね。私を含めて二十一人も居るお陰で雑用がめっちゃ捗ったわ。

 ちょっと途中でメルヴィルさんの策略により昇格試験をうっかりクリアしてDランクに昇格するというハプニングもあったが、まあ仕方あるまいと受け入れた。

 実際町ではあんだけ依頼クリアしてるのにEランクのままとかメルヴィルさんがわざと昇格させないようにしてるんじゃないか疑惑が発生してたから、そんな騙し討ちをするのも仕方ないだろう。汚名を被せかけたようで誠に申し訳なかった。



「このまま王都に居ても良いんじゃないの?」



 ファフニールの膝の上に座りながら、アランがそう言った。



「屋台の人達と世間話を頻繁にするくらいには馴染んでるらしいしさ」


「そうだ!」



 音を立てて机を叩いたアンナさんがアランの意見に続くように叫んだ。



「勇者の書いた建設用の本などはとっくの昔に処分だの経年劣化だので存在していなかったが、今回必要だろうと言って写本をくれたリオのお陰で読む事が、ではなくとても助かったんだ!まだ他にも読みたいと思っていた本が、ではなくまだこう、あの、ほら、必要なアレとかソレとかあと、何だ?まあそういうアレやコレやの為に端的に言ってもうちょっと滞在して私に絶版状態の本達を読ませてくれ!」


「アンナさんめっちゃ本音漏れてますよ」



 取り繕う事すら間に合ってないし。超本音漏れてる。

 そんなアンナさんに対し、リオは「ふむ」と周囲に広げた巻物を浮かせながら顎に手を当てた。



「書籍らは本であるが故に眠ったりしないからな。暇潰しも兼ねてミーヤに出会う前も、出会ってからも写本をするのが趣味だったが……写本するという行為自体がメインだから、別に写本自体を譲るのは構わんぞ」


「本当か!?」


「ああ。ミーヤも良いか?」



 前髪ガードが固くて視線の動きが見えないが、リオは窺うようにこっちに顔を向けた。



「勿論良いよ。そもそも写本とかはリオ自身の事だしね」


「……そうか」



 うっすらと口の端を緩めながら、リオは頷いた。



「というわけでアンナ、許可が出たから読みたい本をリストアップしろ。そしたら後は書籍らが写本として渡す。写本をしていないものでもリストにあったら写本を新しく作って渡す。それで良いか?」


「言っておくが私は容赦なく巻物より長いかもしれないリストを作るが、良いか?」


「書籍らは別に構わん」


「よしわかったありがとうちょっと待っててくれ今からリストを作る!リスト書き終わったらいつもの宿屋に持って行くからそれまで王都を出たりはするなよ!アボットとリーンも来い!」


「え、ちょっ!?」


「わっ!?」



 リオの返答に暴走スイッチが入ったらしいアンナさんは、アボットとリーンちゃんの首根っこを引っ掴んで部屋から出て行った。めっちゃ引き摺ってたけど大丈夫なのかなアレ。一応カーブの所でアボットが慌ててリーンちゃんを抱きかかえて角にぶつからないよう庇ってたから大丈夫だとは思うけど……。



「……アンナがリストを作って写本を作ってもらうまでの期間は、ミーヤ様が王都に居るって事よね」



 待って今セレス何か呟かなかった?私地獄耳だから聞こえてるんだけど。



「?」



 あ、何のことでしょうって音声が聞こえる綺麗な笑みで返された。はい何でも無いっす。



「すまぬな、ミーヤ」



 そう思っていると、王様が微笑みながらそう言った。



「セレスはここまで親しくなれた友人が遠くに行ってしまうのが寂しくて引き止めようとしているのだろう。決してミーヤ達の出発を妨害しようと思っているわけでは無いのだ。悪く思うな」


「あ、はい、それはもうセレスの性格とかからそんな事する子じゃないってのはわかってるんで誤解はしませんけど……」



 「ただそれはそれとして一国の王が一般人にさらっと「すまん」とか言わないでください」と言うと、王様は「わかった、一般人にはそう簡単にはしないでおこう」と頷いた。

 ……今、「一般人」の部分強調しなかった?

 じっとりと王様の方に視線を向けると、フォークをくわえたままのセインが笑った。



「ミーヤは最早一般人枠に収まってねえからなー」


「……馬鹿に同意するのは癪だが、同意だ」


「なあアディ、俺アディも結構一言余計だと思うんですだ」


「だが確かにミーヤはもう一般人とは言えないだろう」


「……そうだな。王族とこうしてプライベートで普通に話しているのもそうだが、バーバヤガとの戦争を無血で終わらせた立役者でもある」


「これで一般人だなんて、本当の一般人はどうなっちゃうのかしら」


「……客?」


「ケイン様、一般人=ミーヤ=立役者=舞台上の人間、つまりそれ以外は観客って思考になったのはわかるけど、ソレ多分口に出さない限り俺かエヴァンくらいしか察せないと思うよ?」


「おいアラン、お前は察せるか?」


「無理無理。ケインお兄様雰囲気は表現力高いけど表情筋は殆ど動かないもん。寧ろ短い付き合いでケインお兄様のそんな細かい思考を読めるようになったらしいエヴァンって人に敬意を抱くね」


「……もう、お父様ったら。過保護なんだから……」


「そー言って照れてんのはマルワカリっすよ姫様。もしガチでおこってたら「お母様にお父様がとても元気を有り余らせていると言いますよ」くらい言うでしょーからね」


「…………というかアーウェル、リーンが連れて行かれたが良いのか?」


「町歩いてたりする時にアンナさんにリーンが連れてかれるのはよくある。今回はアボットさんも居るから割りと平和だ」


「居ない時は平和じゃないのか……?」


「時々目撃した事があるが、アンナとリーンの二人だけだとブレーキが掛からねェみたいなんだよなァ。アボットはその辺の管理がキチッとしてっから、居ると寝不足や空腹で倒れたりがねェんだよ」



 上からセイン、アディさん、セイン、ニコラスさん、デリックさん、ロロさん、ケインさん、ブラッドさん、ファフニール、アラン、セレス、タバサ、ギルベルト、アーウェル、ルーク、オルコットの順である。

 ……アボット、初対面の時はあれ程に犯罪者だったというのに常識人枠なのか。王の剣メンバーどんだけキャラが濃いんだろう。いや私が言える事でも無いんだけどさ。

 そんな事を思いつつ、私は「えーと」と口を開く。



「とりあえずね、セレス。確かに写本渡すまで私は王都に居るだろうけど、別に王都出ても王都に二度と帰って来ないわけじゃないからね?」


「それはそうかもしれませんが……前のように交渉代理を頼まれに頼まれなくては、中々帰って来ないかもしれませんわ」



 ぐうの音も出ねえ。



「んじゃどっか行っては王都に戻って来て王城にお土産持って来るよ。それなら安心?」


「……そうですわね」



 セレスはくすりと微笑んでから、「ミーヤ様との約束なら、安心ですわ」と言って大輪の花が咲いたように笑った。

 ……うん、安心してくれたなら良かった。

 それじゃあ話も纏ったところで、と別れを告げて王城から出ると、



「ミーヤ!」



 門の所でアーウェルに呼び止められた。



「アーウェル?」


「……ミーヤ、その、聞きたい事があってな」


「うん」



 「何?」と聞くと、アーウェルは拳を強く握りながら言った。



「俺が成人したら、俺をミーヤの嫁にしてくれるか……!?」



 ソコ嫁で良いの?いや私は嫁娶る気しかないから助かるけどさ。

 ……んー……。

 正直アーウェルに告白されたのは大分初期だったから、あの時はあやふやな返答をしちゃったんだよね。私の覚悟もいまいち足りてなかったし。

 でも、今は大分覚悟も出来てる。従魔ならともかくいたいけな子供の一生を背負うのは……ってなって曖昧な答えを返してた私は悲しい事にもうおらんのじゃ。多分ヒイズルクニかトシロセージュ辺りでその私は死んだ。

 でもそれはそれとして一応皆に視線に確認の意味を込めて視線を向けると、全員が全員頷いてくれた。イーグルとホリィは少し首を傾げながらだったけど、周囲の反応で意味を察したのか頷いていた。



「アーウェル」



 私はアーウェルの頭を軽く撫でる。



「成人した時もまだその気だったら、おいで。嫁として全力で愛するから」


「……ああ!」



 アーウェルはニッとした笑みを浮かべ、「言質取ったって皆に報告して来る!」と言って王城の中へ戻って行った。言質て。



「若いって良いねー、元気で」



 その背中を見ながらアレクがケラケラ笑って言うと、ロンが煙を吐きながら「はは」と笑って目を細めた。



「言動が年寄り臭いぞ、アレク」


「そりゃ万歳超えてるロンからすれば子供どころかタマゴに見えてるだろうけどね?僕ってばこれでも27なんだよ。享年も27」


「えっ!?」


「そうなんですか!?」



 アレクの言葉に、ローランとホリィが反応した。



「嘘だろ年上だったとかマジか……」


「年齢とかこのメンバーの中じゃあんま意味無いって事で聞いたりもしてませんでしたけど……え、童顔過ぎません?」


「僕の場合産みの母親がアレな性格でね、この顔実は僕自身の顔じゃないっていう闇があったりするんだよ」



 「わお」と驚いたらしい二人に、くすくすと笑っているハニーが声を掛けた。



「それを言ったら私も本当の姿ではありませんよ?」


「ハニーもそうだが、我もだな。というか擬態を使っている奴は全員本当の姿じゃないぞ」


「私なんて貌が無い故に千の貌を持ってますからねーえ。割りとよくある事ですよーお?」


「そうだね、そもそも生き物の時点で皮を剥げば基本は肉と血でしか無いんだし」



 天使の羽が舞っているような幻覚が見えそうなくらい綺麗な笑みを浮かべながらのオールの発言に、パンドラがスパンとその頭を叩いた。



「そういう事は生き物相手には言わない方が良い」


「別に彼らはそういった事を言っても気にしないよ?ちゃんとその辺りを判断した上で言ったとも」


「他に通行人が居るような道端でそういう話題を口に出すなって事だ」


「ふむ、難しいけど……うん、そういうのを理解した方がミーヤ達を困らせずに済むだろうからね。気をつけるよ」



 にっこりと微笑んだオールに対し、パンドラは目を伏せたまま疲れたように溜め息を吐いた。

 うん、お疲れパンドラ。パンドラって元が一つだったからか結構オールの思考を読めてるんだよね。だから結果的にパンドラがオールに常識的コミュニケーションの仕方を教えるって感じになるという……うん、本当ありがとうパンドラ。そしてお疲れ。



「……ところで、ミーヤ……」


「何?ラミィ」



 しゅるりと右腕に抱きついたラミィによっておっきいおっぱいの感触を腕に感じつつ聞くと、「……どうする、の……?」と口を開いた。



「……リオ、の、写本……渡した、後……ドコ行く……?」


「あー……まだ決めて無いもんねえ」


「ん……」



 「ドコでも良いんだけどドコ行こうかねー」と私は苦笑気味に言う。

 うーん、正直本当にドコでも良いんだよね。強いて言うなら皆と一緒に色んなトコ行って思い出を共有とかしたいなってくらいの気持ちだし。

 ……本当にドコ行こう。クレナイしか見てないからヒイズルクニとか?あー、でも魔王国もゆっくり見て回りたいかも。いやいやツィツィートガル内も全員でゆっくり回るとなると結構違うんじゃないかうーん……。



「あ!じゃあじゃあ!」



 そう思っていると、ラミィが抱きついていない方である左腕に飛び付くように抱きつきながら、マリンが水掻きのある手を上げた。



「トシロセージュ行こうミーヤ!自分が居れば水の中でも余裕だから全然行けるよ!」


「あー、トシロセージュも良いね」



 海の王にはバーバヤガの件で協力してもらったし。結局あの後は忙しくて防水加工のお礼の手紙出しただけだし、ちゃんとお礼言いに行くのは良いかも。海の中の景色楽しめそうだし。



「だよね!じゃあトシロセージュに」


「まった!」



 そう言ったのはジェムだった。



「ジェム、まおうこく、いく、する、したい!フラン、ゴーロク、ジェム、いろいろ、たのしい、けいけん、する、した、ほうこく、する、したい!」


「それなら儂も魔王国に一票だな。前はあまりゆっくり出来なかったから、今度はゆっくりとユラを初めとした卒業生達と語り合いたいと思っていてなあ」



 言い切って「むふー」ってなってるジェム可愛いし、ユラさん達と話す内容を考えてるのか機嫌が良さげなロンも可愛い。



「あ、そんなら俺も魔王国に一票入れるぜ、です、ます。色々世話になった分、改めて礼を言いたい、です」



 挙手をしたヒースによって、魔王国行こうぜ票が三票になった。



「トシロセージュが故郷なの自分しか居ないから自分凄く不利だねコレ!他トシロセージュ行きたい人はー?」



 そう言いながらも楽しげに笑っているマリンが皆に向かって問い掛けると、ノアとアリスとリオとフローラが顔を見合わせた。



「僕達の場合はどこでも良いからね……どうしよっか」


「妾の居るデリートゥノール山は寒いもんね。ノアの居たお屋敷は消滅済みだし」


「書籍らが居た場所も遺跡状態だったからな」


「わたくしの居た花の国も行けないだろうから……」



 そう言ってから、フローラは少し思案げに細い茶色の指を唇に当てた。



「トシロセージュってどんなところかしら。素敵なところ?」


「すっごく素敵!海の中だから太陽の光が反射してキラキラしてて、珊瑚とかが綺麗!あと魚の鱗も綺麗!でも多分代わり映えはそこまでしないからある程度見たら満足して陸に戻りたいって思うと思う!」



 マリン、そこまで正直に言う必要あった?あと娯楽系に関してはツィツィートガルとの同盟で改善されてく……んじゃないかな?わかんないけど。

 正直に言ったマリンに苦笑しながら、その会話にコンが参加する。



「戻りたいって思うかはともかくとして、トシロセージュが綺麗だったのは確かだぜ。あちこちが真っ青で、でも夕焼けで真っ赤になって、夜になると暗くて。陸と同じはずなのに、海の中だからかそれらが全然違って見えるんだよな」


「それは確かに興味深いが……」



 宙に浮いている巻物がくるくる回っているから本当に興味深いと思っているんだろうリオは、少し難しい感じの声色で言う。



「書籍らは本だからな……。防水加工の本もあるから書籍らはそこまで水が駄目というわけでは無いが、だからといって得意というわけではない。それにフローラの場合は花だからな……浸透圧が心配だ」


「浸透圧?」


「海水はしょっぱいから飲むと喉が渇く。それと同じで、花は海水で枯れるんだ」



 リオはフローラに簡単に説明し、「そこが心配でな……」と口元に手を当てた。



「うーん……自分の使う魔法は人間や獣人なら大丈夫だけど、フローラの場合は花の要素が強いから自分もいけるかどうかわかんない!」


「それなら俺様がどうにか出来るぞ?」



 目を伏せたまま、パンドラが手を上げた。



「俺様ならその辺りの問題を解消出来るから、そういう身体的問題は考えなくても大丈夫だ」


「助かるわ!ありがとうパンドラ!」


「はは、大事な嫁仲間だからな。気にするな」



 トシロセージュに関しての困っている部分が解消されたと考えると……トシロセージュは何票くらい入るんだろう。

 と、思っていたら軽く頭を小突かれる感触がした。振り向くと、イーグルがクチバシで私の頭を軽く叩いていたらしい。



「どしたの、イーグル」


「いや、結局ドコへ行く事になるんだろうかと思ってな」



 そう言うイーグルは少し翼を揺らしていて機嫌良さげだ。リオに借りる本は景色の写真集とかが多い事からも、イーグルって色んな景色を見るのが好きっぽいしね。楽しみなら良い事だ。



「私は昔魔王国になら少しだけ行った事があるんだが、ヒイズルクニにはまだ行った事が無い。というか行こうとしてバーバヤガを通ったら奴隷にされたからな」


「マジか」


「マジだ。だから私はヒイズルクニに一票を入れたい」



 そんな理由で奴隷として捕まってたのかイーグル。え、ヒイズルクニ行く?まずヒイズルクニ行く?クトゥルフに関してをお稲荷様、というか長照さんに全投げした挙げ句に今回の件だったから謝罪とかしに行きたかったし、ヒイズルクニ行く?前はメンタルにダメージ入るからって長居出来なかったけど今のメンタルなら平気かもだし、ヒイズルクニ行く?



「ミーヤの意識が一気にヒイズルクニに傾いたね」



 オールにくつくつと喉で笑われた。いやだってコレは傾くでしょ。



「まあミーヤ様はクレナイしか行っていないようですからね。他のミドリやシラユキなどを観光するのもまた良いと思いますよーお。ええ、ええ、ええ、それぞれ気候が結構違うので外観も違いますし。観光するには良い国だと思います」


「あ、俺も賢兼に神使の術教えてくれたお礼言いたいからヒイズルクニに一票で。ファフニールの時とかユグドラシルの時に助かったしな」



 ニーアとコンの後押しでめっちゃヒイズルクニに傾いてる。私今凄い傾いてる。



「えー、トシロセージュは?」


「……魔王国、行って……そのまま、ラミアの集落、行って……温泉、入ったり……したい……」


「どうするのぉ?ミーヤ」



 ニヤニヤした笑みを浮かべるイースに、



「宿屋に帰ったらくじ引きして、当たり引いた子の好きなトコって事にしよう!」



 私は両腕を拘束されながら、嫁である皆と居て楽しいという気分のままにニッと笑ってそう言った。



これにて完☆結!

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