カエルのような平常心ってなんだ
……よし、オッケーだ。落ち着いた。
「つまりぃ、ハーレムを認めるって事よねぇ?」
「いや認めないよ!?まず私女だしイースもハニーもラミアも女!ハーレムじゃないよはい論破!」
「でも勝手に名乗る分には問題無いわよねぇ?少なくとも従魔である以上、ミーヤに人生の全てを捧げてるようなものだしぃ」
む…。…うーん、とりあえず嫁って言葉は別に嫌じゃないけど、やっぱりハーレムとか第二夫人だの何だのってのに違和感が……。
「大丈夫よぉ。これから働いてぇ、皆を養えるようになっちゃえば良いのよぉ」
「な、成る程…?」
何かがずれている気がするけど、確かにその通りとも言える…のか?嫁が複数居ようと養えればオッケーだし…。何よりこれからも従魔が増えるだろうっていう事を考えると頑張って働いてお金を稼いで余裕を持った生活を……なんかおかしくない?あとさっきからイースの目が万華鏡のようにクラクラする光を灯しているような気がするんだけど。
「うふふ、軽い刷り込みよぉ」
「待って!?私何かめっちゃ怖い事されてない!?」
「内容はハーレムを認めるっていうのだけだから大丈夫よぉ♡」
それだけの為に洗脳するっておかしくない!?いや、でも、何か、だんだんと違和感が……。
「ってあっぶねえ!よーしわかったハーレムは保留!でも名乗りたければ好きに名乗ってね以上!どっちにしろ私の従魔に対する対応は変わりません!名乗る気無いなら名乗らなくて良し!って事で!よっしこの話これで終わり!ね!」
「チッ」
イースが笑顔のまま口元を手で隠したが、悔しそうな舌打ちまでは隠せていない。え、そんなに私をハーレムの主にしたかったの?何で?
「これから従魔が増えたら独り占めしたくても出来ないでしょお?だったらせめて全員で共有出来る方法を探そうと思ってぇ…」
「それが何でハーレムに…」
そう言うと、イースは少し寂しそうな顔で言う。
「……だってぇ、従魔である以上結婚相手とはやっぱり違うからぁ、ミーヤにアタックする人間が居ても私達じゃ威嚇するのが精一杯になっちゃうじゃなぁい?主を取られるのを嫌がる犬のように嫌がる事しか出来ないわぁ。でも、結局伴侶にはなれない事に変わりは無い。………だったらぁ、先にその位置を貰っちゃえば良いと思ってぇ…」
「イース……その気持ちは嬉しいけど洗脳は止めよう?さっきの言葉を前言撤回する気無いからね」
「チィッ!」
あ、やっぱり洗脳使ってたのか。
イースの言葉が脳内に反響してたからもしやとは思ったけど…。
しかしイースは私をハーレムの主にする計画を止める気は無いのかぼそぼそと呟く。
「……まあ、新しく従魔になる子も居るでしょうしぃ…。その子達もきっとミーヤの特別になりたがるわよねぇ…。時間と数で押していけば……」
……全部聞こえてるんだよなー。
まあ良いや。私は何も聞かなかった。ハーレムとか知りません。夫人を自称するのは好きにしてくれって感じだ。嫁でも従魔でも関係なく愛は注ぐから私からすれば変わりはしない。
「……さて話を戻そうか!ラミアと従魔契約が本題だったよね!」
必殺、「それはさておき」を発動!
この技を発動するとさっきまで話していた内容を置き去りにして別の話を開始出来る!
おふざけはともかく、実際従魔契約は大事な本題だと思うんだ。
目の前に緩くとぐろを巻いて座っているラミアに一応聞く。
「えーっと、従魔契約をすると契約印を体に付けないと駄目で……ラミアはそういうの平気?」
「…ん、平気…。契約印、イースの胸、ハニーの頭…に、あるやつ…?」
「あ、うん。そうなんだけど、町中とかでこの子従魔ですよーって証明にもなるから盗難除け……誘拐除け?になるみたいなんだよね。だから見える位置に付けたいんだけど…」
「……わかった…。……ラミア、どこでも良い…。どこ、付ける…?」
どこに付けるか聞かれても!私が決めるの!?そうなの!?
……よーし落ち着け。見やすいようにラミアが手を広げてくれたせいでおっぱいが丸見えになった事に動揺するな。平常心になれ。カエルのような平常心に……カエルのようなって何だ。
とにかく胸はイースと被るから却下で、額もハニーと被るから却下だよね?だとすると……腕とか?あ、でもラミアって腰めっちゃくびれてるからそっちの方が映える……いやいやいや、
「ミーヤはラミアの腰辺りに契約印を付けたいみたいよぉ?」
「イースさんやちょっと人の内心ばらすの止めて!?」
「うふふふふ」
「……腰に、付ける…?ラミア、気にしない…」
微笑むラミアに、なら良いかなーと思う。似合いそうだしね。
「じゃあ行くよ?「従魔契約」!」
そう言ってスキルを使用すると、いつも通り指先に魔力が集まるのを感じた。そしてそのまま、ラミアのヘソの斜め下の位置に触れる。ラミアからしたら左側、真正面にいる私からすれば右側の位置だ。
触れた所から可視化する程に濃縮された魔力が抜け、ラミアの腰に桜の花を描いていった。
描き終わると同時に、一瞬強く光った。魔力が定着された証だ。
「よし、契約完了!よろしくね!」
「ん…!」
よろしくねと言って握手のつもりで手を差し出したら笑顔のラミアに抱きつかれてしまった。さっきとは違い全力のハグ。……下半身の蛇部分で巻きつくのはハグと認識して良いんだろうか。日本人にはわかんないです。
「えーと……ところでラミア、従魔契約したしステータスって見せてもらっても良い?」
「…ん…。良い、けど……その前に、ラミアも、名前……欲しい」
「名前?」
「ん……。ラミア、種族の名前…。今のラミア、ミーヤのモノ…。だから、ミーヤに、名前…つけて欲しい……」
おっと蜂にハニーと名付けるレベルでネーミングセンス皆無な私に無理難題が来たぞ?
……いやでも、従魔になって最初のお願いだしな…。ラミア、ラミア……ラミー……ラミィ…。……ラミィで良くない?可愛いし。駄目だったら他に案を考えれば良いよね。
「じゃあ、ラミィは?」
「…ラミィ?それ、ラミアの名前……?」
「うん。あ、嫌なら別の名前を考えっぐっ!?」
蛇部分でいきなり絞め付けられたっ!?何故!?そんなに嫌だったの!?ごめんねネーミングセンスが無くて!なんか素直になれない子の歌みたいな謝罪になってるねコレ!
うっかりパニック状態になりかけたが、聞こえた声に安堵した。
「……嬉しい…。ラミア、これから、ラミィ…!……ありがと、ミーヤ…!」
心の底から嬉しいと言うような声に、ほっと息を吐く。喜んでもらえたようで何よりだ。……それよりももうちょい力緩めてくれないかなー…。息が苦しい。
数分後、私のヘルプに気付いたイースがラミィを引き剥がして注意してくれたが、正直中々にキツかった。蛇の巻きつきって強いんだね…。
ぐったりしている私にイースがくれた蜂蜜入りミルールの果汁を飲み干してどうにか回復。
「よし、復活した。それじゃあラミィ、ステータスを見ても良い?」
「…ん。ミーヤ、主だから。好きに見て、大丈夫…」
「そっか、ありがとねラミィ」
ラミィの頭を撫でて、「ステータス確認」っと…。
表示されたステータスはこんな感じだった。
名前:ラミィ(22)
レベル:38
種族:ラミア
HP:580
MP:400
スキル:蛇睨み、毒牙、ラミアの毒術
称号:温泉好き、のんびり屋、人食い、従魔、第二夫人
………おい最後!第二夫人って称号ゲットしちゃってるんだけどどういう事だ!
他のも気になるのが多いから詳細確認。まずはスキル見ないと!
蛇睨み
蛇のように鋭い眼光で睨みつける。このスキルがあると睨んだ相手を怯ませる事が可能。
毒牙
このスキルがあると牙の先から毒を分泌出来る。基本は一種類の毒しか分泌出来ないが、他に毒系のスキルがあれば他の種類の毒を分泌する事も可能。
ラミアの毒術
ラミアという種族が用いる毒術。相手を魅了したり操ったりするのはこれに含まれる。個体によって皮膚から毒を出したり香りを用いたりと多種多様。このスキルがあると効果が倍増する。
中々に強いスキル持ってるなラミィ。純粋に凄い。
さっきの話の馬車の外に居た奴隷商人を睨みつけたってもしかしてこの蛇睨みのスキルなのかな?あとラミアの毒術がめっちゃ凄い。範囲広くね?
次は称号だ。人食いと第二夫人について詳しく見せてもらおうか!
温泉好き
温泉が好きで短期間に何回も入った者に贈られる称号。この称号があると温泉やお風呂などでMPが回復する。
のんびり屋
危険な事態でも慌てずのんびりしていた者に贈られる称号。この称号があると危険時に慌てたりパニック状態にならない。ただし危険に少々鈍くなる。
人食い
食事として人間を食った者に贈られる称号。この称号があるとどんな人間を食っても消化が可能。ただし人間に嫌われやすい。
第二夫人
二番目の嫁。
おい色々言いたいけど最後投げやりじゃない!?もうちょっと詳しく表示しろよお前!頑張れよ!太陽神みたいなテニス選手のように頑張れよ!米足りてないんじゃないの!?
……よーしクールダウンだ私。落ち着け。熱血に呑まれるな。
えーと人食いに関してはやっぱり人を食ったからかーって感じ。まあこの称号があればどこかの一寸な法師がやったみたいに内側からチクチクされなくて良いんじゃないかな。あれ怖いよね。
うんうんと頷いていると、ラミィが不安そうにこちらを見上げてきた。
「……ミーヤ、ラミィ、嫌いになった?」
「え、何で?」
「…人食い……」
「ああ、うん、まあ驚いたけど私が食べられたわけじゃないし。一番最初に食べたのは奴隷商人だし、それ以前に悪いの全部奴隷商人だし。これから食べないようにすれば良いんじゃない?」
「………!…ミーヤ…!」
ラミィは感動したように私の名前を呼び、再び全身でハグしてきた。私の全身がまったく身動き取れない感じにホールドされてるけど、さっきに比べれば手加減されてるから良いか。
両手も思いっきりホールドされているせいでラミィの頭も撫でられずただ抱き締められていたら、くすくすと笑いながらイースが言う。
「それじゃあお風呂作っちゃうからぁ、ささっと入っちゃってねぇ。もう結構遅い時間よぉ?」
「えっ、あ、もうそんなに遅い時間?!」
「ご飯食べてから色々あったとはいえ、明日も歩くならもうそろそろ寝る準備をした方が良いと思うわぁ。あ、お風呂広めに作っておくからぁ、ミーヤとラミィの二人で入っちゃってねぇ」
「はーい」
「……ん」
返事をすると同時に、すぐ横にずももももっと土が盛り上がった。まず土が草原の草を飲み込み更地にして、土台を固める。そして中央部分がへこみ大きな穴が開き、そこの土も固定される。へこんだ分の土はへこみの横に移動し形を変え、髪や体を洗う場所が形成された。次に水魔法と火魔法を合わせたお湯がへこみ部分に入り、カポーンという効果音が聞こえそうなお風呂が完成する。最後にその周りの土が盛り上がり目隠しが作られる。出入り口部分はデパートのトイレにあるような形の目隠しだ。入って右曲がって左曲がってーってなるアレね。
これらがたった数秒の内に行われ、あっという間にお風呂が完成した。
初めて見たラミィは驚愕に目を見開き、広い風呂に入れるからか頬を赤く染めた。
「…凄い…!」
「やっぱ凄いよね、コレ」
「うふふふふ。ああ、そういえばラミアは毒の扱いに長けると同時に薬にも長けてたわよねぇ?お湯を温泉のようにする事って出来るぅ?」
「…温泉…?」
「まあミーヤの世界風に言うなら入浴剤なんだけどぉ…。そうねぇ、桃色や青色とかの色を付けたりぃ、ほっとする花の香りがするお湯にしたりぃって感じかしらぁ?勿論人体に害の無いやつで頼むわよぉ?」
「……ん。やった事、無い…けど、楽しそう、だから…。…やってみる」
「お願いねぇ~」
そしてイースは私の方を向いてにっこりと笑い、
「それとミーヤ、ラミアは基本的に火魔法と闇魔法しか使えないからぁ、ミーヤがラミィを洗ってあげてねぇ。ミーヤも魔法でシャワーみたいに出来るでしょう?」
と言った。
「あ、そっか。いつも自分でやってたけどそうだよね。うん、了解であります」
全属性使えるし、ハニーも魔石効果で簡単なのなら使えるようになってきてたから基本は得意な属性以外使えないの忘れてたや。確かに洗面器も無いから水魔法がいるよね。
「はい、シャンプーとかちゃんと持って行ってねぇ。お風呂から上がる時にタオルとラミィの着替えを持って行くわぁ。ラミアは地面を蛇部分で這うしぃ、戦う時も蛇のように下から行く時が多いからとりあえず胸当てだけで良いかしらぁ?」
「…ん。よろしく…」
「それじゃあお風呂入ってくるねー」
「はぁい、ごゆっくりぃ。それじゃあハニー、水魔法と風魔法でお皿を洗ってくれるぅ?水魔法の練習の為にねぇ」
「ヴヴヴ!」
「その間に私は色白雀の解体でもしておこうかしらぁ」
目隠しの中に入ると真っ暗だから光魔法で灯りを付ける。一応呼吸の為にも上部分が開いてるんだけど、日が暮れてるから光源が星しか無いんだよね。あと月。電灯が無いこの世界では結構明るいけどやっぱり火みたいに強い光じゃないから少し暗い。というわけで光魔法の出番というわけである。明るくて助かる。
ラミィは早速とばかりに浴槽へ……っとととストップ!
「待ってラミィ、先に髪と体洗ってからじゃないと駄目」
「…?そう、なの?」
「うん。汚れを落としてからじゃないと浴槽の中に汚れが浮くから。一回入ってから出て体洗って、ってやったら、綺麗になった状態で汚くなったお風呂に入る事になるから勿体無いでしょ?」
「……わかった。でも、ラミィ、水魔法、使えない…。ミーヤ、先に洗って。ラミィ、イースに言われた……入浴、剤?のやつ、やってみる。ちゃんと、ミーヤに害、無くて…体、ほぐれるようなの…」
そういや考えてなかったけど、私がラミィを洗うって事はその間私は私を洗えないって事か。私が洗ってる間にそれが出来れば時間の有効活用だもんね。ラミィ頭良いな。もしくは私が馬鹿だな。
「うん、それじゃあお願いして良いかな?」
「ん…。ミーヤ、希望…ある?」
「うーん、まずこっちの花の名前も匂いもよく知らないからなー…」
メリーじいさんにエルフの事だけじゃなくて花の知識も教わっておけば良かった。でもバラをバラって言って違う名前だって言われたらやっべってなるかと思うと…ね。
「ラミィが好きなので良いよ。任せる」
「ん…!わかった…!」
ぐっと両手を拳の形に変えたラミィを微笑ましく見てから、洗い場の土で出来たお風呂用の椅子に座る。土で出来てるから流石に鏡は無いが、土が水で泥になって汚れたりしないだけ便利なので問題は無い。
ザバッと水魔法と火魔法を合わせて出したお湯を頭上から被り、シャンプーを泡立てて頭を洗う。洗いながら考えるのは椅子の事だ。イースが作る風呂椅子って必ず真ん中がへこんでるんだよね。漫画では時々エロネタとして使われてるのは知ってるけど具体的な利用法は知らないから反応に困る。まあ体洗う時に座ったままで良いから便利だって思おうかな。多分淫魔ジョークみたいなものだろうし。
体も洗い終わりお湯でザバッと泡を流してラミィの方を見ると、ふわりと花の良い香りが漂う白いお風呂が出来ていた。
「……百合?」
「…ん。これ、百合……。白くて、綺麗…な、花…。…色、香り、上手に出来た…。人体にも、害、無い…」
「おお、凄い!一発成功!?」
「んー…ん。色、付けても…香り、無かった…から、全部、別の方法、使った…」
つまり色付けと香り付けと人体に害が出ないようにと、何種類かの方法を組み合わせてくれたって事かな?ラミィは入浴剤の知識も無いのに、こんなに上手に出来ちゃうもんなんだなー…。凄い。
というか今わかったけど百合は百合なんだね。という事は地球とあんまり変わらないって事で良いのかな。茶蜜花からするとこっちの世界には地球には無い種類があるってだけで、地球にある花の場合は同じ名前なのかもしれない。ちょっと気が楽になった。
「これはお湯に浸かるのが楽しみだね!」
「…!楽しみ、本当、に?ラミィ、ラミア…。ラミアが手を入れたお湯、本当に、楽しみ?」
「え、うん。気持ち良さそうだし。というか頼んだのこっちだし」
「……そ、っか…」
ラミィがふわりと微笑んだ。え、今の会話の何処に喜ぶ言葉があった?
えーと…あ、もしかして魔物が毒の応用で色や香りを付けたお湯を私が喜んだから?それだけ?……この世界の魔物ってどれだけ警戒されてるんだろう。
「それじゃあラミィ、こっちおいで。まず頭を濡らしてからシャンプーで頭洗うから」
「ん…。おねがい、します」
「うん。痒いところあったら言ってねー」
ザバッとお湯をかけシャンプー開始。ラミィの髪は人間なら股下くらいと例える長さだからトリートメントとリンスが大変そうだ。シャンプーは基本地肌メインだからまだマシ。
時間がかかったがどうにかラミィの髪を洗い終わり、今度は体……。
「ラミィ、体は自分で洗うよね?」
「……どっち、でも…」
そう言われても、同性とはいえ流石に前側とかを洗うのはどうかと思うんだ。ラミィずっと上半身裸状態だったし、今なんてお風呂場だから私もすっぽんぽんだけど。でもそれはそれ、これはこれだから。
「じゃあラミィの下半身の蛇部分長くて洗うの大変そうだし、そっち洗うの手伝うね。ラミィが尻尾側洗って私がラミィの体を洗うんじゃやり難いだろうし」
私がラミィの腕を洗い始めたりしたら確実にラミィは自分の尻尾側を洗い難いだろうからね。尻尾側は両手で洗ったほうが良さそうだし。
「ん、わかった…」
「それじゃあ失礼しまーす、っと。これって胴体側から尻尾側に洗っていけば良いのかな?」
「…ん。鱗、流れがあるから…。そっちのが、良い…」
「りょうかーい」
イースがくれたスポンジを泡立ててラミィの赤い鱗を洗う。
……光がある場所で見ると赤いっていうか神社の鳥居みたいな色だな。ちょっとオレンジっぽい感じの色。何だっけ、朱色だっけ?
数メートルは確実にあるだろう蛇部分を洗っていると、ラミィの尾が私の体に緩く巻きついてきた。締め付ける感じでは無いし洗うのに合わせて尾が動いてくれるからありがたくそのまま洗わせてもらう。私から動かなくて良いから楽。
また時間はかかったがどうにか尾の先まで洗い終わり、お湯で体中の泡を洗い流す。尾に巻きつかれていたから私まで泡だらけになってしまった。
「ふー、ラミィのお風呂は重労働だね」
「ん…。だから、ラミアの集落、では、一日中温泉、いるの、多い…。温かいの、ラミア、好き…」
「時間かかるし温泉が好きだしってのも合わさってか。ラミアの集落にある温泉、凄い広そうだねー」
「……ん、広い…。ラミィより大きくて長いラミア、沢山入っても、余裕…」
「何かもう作った人に賞賛を贈りたいね、それ」
言いながら、湯船に入ってお湯に浸かる。あー、ラミィのお陰で入浴剤入りのお風呂が気持ち良い。花の香りがする白いお湯に首まで浸かって温まる。ラミィを洗うの手伝って時間かかったからちょっと湯冷めしてたっぽいなー。
………今横にラミィが座ってるんだけど、長い下半身が広い浴槽の殆どを埋めている。結構広いお風呂だと思うんだけど、これでラミィに丁度良いサイズなんだな…。本気でラミアの集落の温泉の大きさが気になってきた。どんなビッグサイズなんだろう。
「お風呂、久々…。こっち来てから…時々、火魔法で、水、お湯にして洗うしか、出来なかった…」
「ああ、その辺に温泉があったりはしないだろうからねー。イースのお陰で毎日広いお風呂に入れて本当にありがたいし、ラミィのお陰で今日は入浴剤入りのお風呂に入れちゃったし…。色々とありがとうね」
「……!…うん」
たっぷりと温まってからイースにタオルとラミィの着替えを持ってきてもらい、体を拭いてから髪をタオルで纏めて服を着た。その後いつも通りハニーに髪を乾かしてもらいつつ、ラミィの髪を乾かす。
夜も遅くなっていてすっかり眠気に呑まれかけていた私はその辺りで寝落ちたらしく、そこからの記憶は途切れている。




