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異世界で魔物使いやってます  作者:
バーバヤガ編
265/276

第十七夫人と他種族対応メニュー



 何でも鳥人は、鳥と同じ様に刷り込まれる事があるらしい。

 とは言っても初めて見た相手を親と認識するような刷り込みでは無く、「相方」や「大事な存在」としての刷り込みらしい。



「ニーラクス学園には永遠の図書館程では無いとはいえ、多種多様な知識が集められていた。そしてニーラクス学園は一般の本には記されていないような内面に関する知識が多くてな。生徒の中には鳥人が居た事もあり、その鳥人に他の生徒達が色々と聞いたお陰で、儂は鳥人の特性についても知っている」



 ロンはそう言った。

 どうやら感覚的には獣人が定める主に近いものらしい。主持ち獣人が主に拒否されたりすると衰弱して最悪死ぬのと同様、鳥人も大事と刷り込まれた相手に拒絶されたりすると衰弱して死ぬ事もあるんだとか。

 ……獣人も鳥人も大変な特性持ってるね。

 で、基本的に獣人の主と同様、鳥人の刷り込みも対象を変更とかキャンセルとかは出来ないらしい。……まあ確かに、雛は人間を親鳥って刷り込まれたらそのままずっと人間を親だと思うらしいもんね。雛の期間をゾウガメと過ごしたらしい孔雀はゾウガメに対して尾羽を広げたっていうし。



「私はもうミーヤから離れる気は一切無いぞ」



 ……うん、イーグルさんもそんな感じだったしね。

 そんなわけで、イーグルさん、改めイーグルは従魔兼嫁になった。折角奴隷じゃなくなったのに本当にそれで良いのかとは聞いたけど、イーグルは一切引かなかった。

 それにコンやロン、フローラとリオにまで勧められては頷くしかない。どうも鳥人の感覚がわかったり、刷り込みに関してを知っているからこそ協力したくなったらしかった。

 まあ、うん、私としては別に何人増えようが今更良いけどね。本人がそれで良いなら良いよ。

 という感じで嫁になったイーグルは、右の翼の外側に契約印を望んだ。



「ココなら普通にしていても見える位置だからな。目立つ方が良いならココが一番だろう」



 イーグルは微笑みながらそう言っていた。

 それだと羽が生え変わると同時に消えるんじゃないかなと思ったけど、イース曰く契約印は魔力で魂に契約を刻んでいるモノだから、肉体がどう変化しようと問題は無いらしい。言っちゃえば右腕に印があるからって右腕を斬り落としたところで、契約は破棄されないし契約印は斬った腕の断面に現れるとか何とか。

 よくわからんし途中怖い話が混ざったけど、まあ要するに羽部分に印を刻もうが問題は無いという事らしい。というわけでイーグルの契約印は右翼の外側である。

 ちなみにその後すぐにステータスも確認した。



「そういうのは先に確認した方が面倒も無いだろう」



 とイーグル本人が言ったからである。

 ……うん、時々確認を忘れ掛ける私には中々攻撃力の高い正論だったよ。時と場合によっちゃ自己紹介すらせんままに契約する事さえあったからね。ええそうですリオの時です。

 とにかく、イーグルのステータスは以下の通り。



 名前:イーグル(28)

 レベル:41

 種族:オオワシ鳥人

 HP:890

 MP:530

 スキル:身体強化、暗視、威嚇

 称号:水場の生態系の破壊者、元奴隷、刷り込み済み鳥人、従魔、第十七夫人、愛の加護



 何というか、思わず「おお、久々に普通のステータスを見た……」って呟いちゃったよね。



「本当ですね、とても安心感のあるステータスです」


「……ロン……から、ステータス、見れない……事、多くなってた、から……」


「平均的って安心っつー意味なんだな……」


「ようこそイーグル!初期メンバーとはいえ比較的普通な僕達としてはこのステータス、最高に大歓迎!やっぱ普通に生きてたらこういうステータスになるのが普通だよね!まあ僕は普通に死んだわけなんだけど!」



 ……うん、微妙に失礼なような、でも感動しているのは伝わるような、何とも言えない感じだった。幸いだったのはイーグルが「歓迎されていると受け取るぞ」って言ってくれた事かな。

 実際歓迎である事には違い無いからね。良かったイーグルが相手の内心を読み取れるタイプで。いやまあ言葉をそのまま受け取っても普通に歓迎ではあるんだけどね?

 ……というかアレクの死は割りと普通じゃ無いと思う。当主の座を狙った血の繋がらない弟、が雇った暗殺組織に殺されてるし。……まあ今更だし良いか。アレクを殺した暗殺組織ことスノードロップはツィツィートガルの王族直属の部隊になったわけだし。何部隊かは知らん。多分諜報メインの部隊じゃないかな。

 さておき、スキルの詳細は以下の通り。



 身体強化

 肉体を強化するスキル。このスキルがあれば自分より大きくて重い獣も軽々持てる。そして飛べる。基本的にラストは落としてデッドエンドさせて食べるまでが一連の流れ。


 暗視

 暗いところでも問題無く見えるスキル。鳥人は夜目が利かないのでかなりレア。


 威嚇

 相手を怯えさせるスキル。基本的に睨むだけで効果あり。心臓が弱い相手だと弱睨みでハートが麻痺る。食べます。



 ……いや、うん、まあ、何というか、幾ら詳細とはいえ「食べるまでが」とか「食べます」とかの補足は要らんのでは無いかって思ったよね。まあ良いけど。魔物討伐依頼の時とか凄い助かりそうだしね。

 他の子だと戦力が過剰過ぎたりするから、威嚇とかのスキルは助かる。ロンなんて一緒に森に言ったら大半の獣が死んだ振りや失神、もしくは逃亡してたりするからね。

 パンドラはそういう事無いんだけど……野生の魔物からすると、上級ドラゴンの気配=死って方式になってるのかな。初代魔王の場合は活動時期が昔過ぎて脅威とは判断してないとか?あ、凄いあり得そう。

 次は称号だけど、称号はこんな感じ。



 水場の生態系の破壊者

 池や川などの魚をとにかく喰い尽した結果何箇所も生態系を崩した者に贈られる称号。現地の人にめっちゃ嫌がられる。


 刷り込み済み鳥人

 刷り込まれた鳥人に贈られる称号。一度「相方」もしくは「大事な存在」と刷り込まれたら相手から殆ど離れなくなる。別行動?予め日数決めておかないと無理。


 第十七夫人

 十七人目の嫁。政略結婚した王族ならともかく恋愛結婚でこの人数行った一般人初めて。



 最後のコメントはどう反応せいっちゅーんじゃって感じだからスルーとして、イーグル昔はワルだったんだろうか。日本だったら現地の人によって駆除されかねない事やらかしてる。

 ……お腹空いてたんだろうなあ。実際お昼ご飯の時もめっちゃ食べてたし。

 そういえば鳥って飛ぶ為に食ったら出す食ったら出すって作りになってるらしいんだよね。それもあってよく食べるって部分が鳥人に残ってるのかな。

 ……いや、よく考えたら獣人もよく食べるわ。肉食系は大食いって事かな、多分。食費は充分にあるし、宿屋での食事はセレス達のお陰で無料だから良いけど。

 そうそう、食事と言えばだけど、



「流石ツィツィートガルの王都にある高級宿屋の姉妹店だよね。バーバヤガなのに広いし清潔だし安全」



 現在私達は、夕食の為に全員で食堂に来ていた。

 ああそうだよさっきから回想だったのは私達が既に食堂に移動していたからだよ。色々話聞いてたり、イーグル嫁入り&ステータス確認の後にイーグルのズボンをハイド手作りのちゃんとしたやつに変えたり、ホリィさん救出作戦とか考えてたりしたらすっかりそれなりの時間になってたんだよね。そりゃ食堂行くわ。

 いやーここ凄いね!バーバヤガ人お断りなだけあってセキュリティがしっかりしてるの!何でもアンナさんが作った防犯魔法がしっかりと掛けられているお陰で、バーバヤガ人は中に入れないらしい。

 最近ではアボットとリーンちゃんによって改良され、この宿屋の宿泊客に絡んだり攻撃したりすると相手の個人情報が把握出来るとか何とか。ちょっと怖い気もするけど、このバーバヤガではそのくらいしないと駄目なんだろう。

 ……どうしてバーバヤガはこうも好感度を下げれるんだろうか。全然好感度上がってくれないよ。強いて言うならやたら死亡フラグな台詞を言ってるトコくらいだよ。駄目だ全然好感度アップじゃねえなコレ。



「……えーと、とりあえずいつも通り……って注文するわけにも行かないし、普通に人数分の酒とジュースとおすすめ料理を人数分で良いかな?」



 普通にそう言うと、皆は「はい」「それで良いぜ、です」という感じで頷いた、が、



「……!?」



 イーグルだけは羽を膨らませていた。



「あれ、他にも何か頼みたかったりした?」


「いや……随分豪快に頼むんだな、と」


「ああ……」



 そうね、普通はもうちょっとちみちみ頼むよね。でも無料だし大食い多いしどうせ酒飲むから長時間食べる事になるしって思うとね、この頼み方が楽なんだよ。先に大皿を頼んどくと後で食べたいのをそれぞれ頼めるし。

 ……明らかに女子高生が持つべきでは無い注文スキルな気がするなあ、コレ。どっちかというと大勢で飲み慣れたおっさんの持つスキルのような……まあ良いや。女子力が底を尽いてるとか今更今更。旦那力さえあってくれれば私は構わん。女子力は嫁に任せるべや。

 そう思っていると、リオが軽く首を傾げながら言う。



「ミーヤ、酒やジュースも良いとは思うが、書籍ら用にインクはないか?」


「んー……」



 インクはなー……。



「ごめん、魔王国とかならあるかもだけど、流石に人間用の食事場にインクは」


「あるけど」


「!?」



 後ろから突如掛けられた見知らぬ声に慌てて振り向くと、そこには黒い目出し帽を被った男性が立っていた。



「……ご、強盗ですか?」


ちげーわ」



 た、確かに強盗が被ってるのとは違って目元にしか穴が開いてない。まあ、そもそも目出し帽って防寒目的だもんね。そう考えると……ん?目元だけ開いてるのってフェイスマスクだっけ?駄目だわからん。



「マールさん、気配消して近付いたりするからそんな風に警戒されるんですよ」


「そんな俺の後ろに隠れて気配隠蔽の恩恵に預かってた奴に言われたくねーんだけど」



 目出し帽男性の背後からひょこっと出てきた女性は、目出し帽男性の言葉に「酷いです」と頬を膨らませた。わあ、可愛い……けど、何か養殖っぽい匂いがする。うちのイースの方がもっと玄人だからこれからも頑張りましょう。あれ、私何の先生役?

 ……奴隷商とか行って頑張ったせいで、脳みそが限界になったかな。

 まあそんな私のポンコツ具合は日常だからさておくとして、何でこの人達気配消して近付いて来たんだろう。もっとも気付いて無かったのは私だけで、他の皆は普通に視界に入ってたりで気づいてたっぽいけど。



「私は誘惑したり以外てんで駄目なんですから、マールさんに守ってもらわないと駄目なんですよ」


「エイダ、お前の男心を擽るポイントをしっかり覚えた上で実践もするってトコは好きだけど、仲間にはやんないでくんね?内部崩壊の芽とか見たくないから」


「ブレイスは脳筋だから誘惑しても意味ありませんし、オースティンは毒にしか興味無い毒男ですし、エステルは変装用の皮としてしか相手を見ないんですもん。頭には何しても「はいはい可愛い可愛い」って流されますし」


「……エイダ、お前にハニトラ教えたの俺とエマだから。俺にハニトラしても「成長したな」としか思わねーからな」


「そこは引っ掛かってくださいよ!私が自信無くしたらどうするんですか!」


「その辺のちょろい男引っ掛けて回復しとけ」



 ……ん?今何か、凄い聞き覚えのある名前、が…………。



「……あっ!肉饅頭売りのお兄さんに踏み付けられてたスノードロップメンバー!」


「それは忘れろ!」



 目出し帽男性、もといマールさんは、酷く落ち込んだようにしゃがみ込んで「手加減はする気だったが加減なんてしてなかったっつーのに……アイツ背後にも目がある種族だったんじゃねえの……?」とぶつぶつ呟き始めてしまった。

 ……やっべ、地雷踏んだかな。

 そう思ったが、サラサラな青い長髪の女性、エイダさんは「気にしなくて良いですよ」と笑った。



「マールさん心弱いんで」


「弱くねーわ」



 あ、復活した。



「……あのさあ」



 声に反応して視線を向けると、ローランがメニューを指先で弄りながら酷く冷めた目でマールさん達の事を見ていた。



「マールもエイダも、漫才しに来たならとっとと帰れば?」


「元仲間なのに酷い事言いますね、ローラン。というか普通に、情報交換しましょうよって本題がありますよ。ミーヤさんにこちらが集めただけの情報を、ミーヤさんからミーヤさんが集めただけの情報を、って」



 ぷん、とエイダさんは頬を膨らませた。



「あとこの宿屋のメニューに関しても教えてやろうと思っただけだっつの。気配消してたのは、アレだ。他意は無い。ただちょっと自信回復させたかっただけで」


「マールさん、こないだの肉饅頭売りに気配を悟られたもんだから気配消すのに躍起になってるんです」


「黙っとけエイダ」



 マールさんはエイダさんの頭を軽く叩き、近くの席から二人分の椅子を私達のテーブルへと持って来て座った。

 マールさんは背もたれに思いっきり体重を掛けながら「さっきインクがあるって言ったのはな」と私が持っているメニューを指差して言う。



「正確には「他種族対応のメニューもある」って意味だ」


「他種族対応のメニュー?」


「そ」



 マールさんは従業員さんに呼び掛け、その他種族対応のメニュー表を頼んだ。そして持って来て貰ったソレを渡してくれたので、私はソレを受け取……分厚いなあ、このメニュー。何コレ電話帳か何か?



「あ」



 軽くページを捲ってみると、確かにコレは他種族対応のメニューだった。電話帳じゃ無かった。



「獣人用ページとかあるんですね。しかも草食と肉食で分けられてる」


「種族によっちゃ生肉とか、クローバーとか好む奴も居るからな」



 「まあ普通は仕入れる量が増えるし、管理もめんどうだしって事で中々ねーけど」とマールさんは言った。



「だから同じように人間が食うのとは違うのを食う種族がやってる店か、こういう高級店じゃないと他種族用メニューは無い。そして客の方から言わない限り、メニューを出したりもしねー。中々人間相手には出しにくい内容がずらっと並んでるからな」


「あー、確かに」



 ペラペラと捲ると、新鮮な獣の臓物(生)とかある。中には猫の目玉とか、生きたカエルとか、土とかまで……土って誰用だ。土製ゴーレム用だろうか。



「おお、よく見ると石もあるんですね。詳しいページだと成分まで書かれてる。ジェム、石頼む?」


「たのむ、して、いい、なら、ジェム、たのむ、する、したい!」



 スタールビーの瞳をキラキラと輝かせてそう言ったジェムに、私は笑いながら「了解」と返す。



「鳥人用に生魚ってのもあるけど、イーグルは」


「鮭を」



 右翼を上げてそう言ったイーグルに、私は再び笑いながら「了解」と返す。本当に鮭が好きなんだね。



「んーと後は……あれ、でも何か、インク無いですけど」


「無いのか!?」



 前髪ガードで目元こそ隠れているが、リオは酷くショックを受けた様子でそう叫んだ。



「ねーやつは今まで頼まれた事がねーからねーんだよ。ラストのページ見てみろ」



 言われるがまま捲ってみると、



「……「このメニューに載っているのは今まで注文された事のある物だけです。もし、メニューに載っていないが自分はコレを食べたい、というのがありましたら、種族や体質などを説明の上、従業員にお申し付けください。当日は確保出来るなら周辺から確保、確保出来ないのであれば後日になりますが、一度注文してくださればその後他種族対応メニューに常駐する事になりますので、是非また後日お越しください」……」



 ……まあ、確かに、種族によっては当日確保は無理だもんね。

 というか小文字で「大変申し訳ありませんが、当店は人肉の提供を行っておりません」って書いてあるんだけど。注文された事があるんだろうか。

 何というか、流石は高級宿屋って感じ。あまり来ないだろう他種族に対してもしっかりと対応してるんだね。最近生物離れした子が嫁に増えた身としてはとてもありがたい。

 「それじゃあ」と私は従業員さんを呼び、ざざっと注文。リオについても「本の念が形になった種族」と説明し、インクと糊と糸を頼んだ。

 ……ここの従業員さん凄いね。注文内容中々の内容なのに、しっかり笑顔で注文を承ってくれた。流石はプロ。



「んじゃ、ミーヤ」



 まずは飲み物とサラダ類が来た辺りで、マールさんがビールの入ったジョッキを持ちながら言う。



「情報交換と、今日行った活動について教えてくんね?」


「私達、王族直々の命でミーヤさん達が大丈夫かどうかっていう報告書も書かないといけないんです」


「あらま、それはお手数を掛けまして」



 多分セレスが言い出したんだろうけど、依頼内容の割りに過保護な依頼人だなあ。



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