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異世界で魔物使いやってます  作者:
バーバヤガ編
261/276

初めての奴隷商



 現在私は、イースとオールの三人でバーバヤガにある奴隷商に来ていた。高級系なタイプでは無く、かなりボロいタイプの店。何故奴隷商に来たのかって?



「何をするにもまずは確かな証言を集めた方が良いな。そっちの方が確実性が高い分話が早い。証拠や証言が無いと、ツィツィートガルの諜報係が真偽を探る為に動く羽目になる上に余分な日数が増えるからバーバヤガの戦争準備が整ってしまう」



 ってパンドラが言って、



「ふむ、確かに余の正体を王族に開示するわけにはいかないからね。なら情報を持ってる奴等をリストアップしようか。現在の時点で情報を持っている者なら全てわかる」



 ってオールが言って、そっから何かパンドラが「なら一番平和的かつ効率の良いルートに行く為の布石をだな」とか言ってイースとロンとパンドラとオールという色々凄い組がメインで難しい事を話し合って、



「それじゃあミーヤ、奴隷商に行ってオオワシ鳥人を買いましょう」



 ってめっちゃ良い笑顔でイースが言ったから、かな。

 いや、うん、ちゃんと説明はしてもらったよ。何でもそのオオワシ鳥人はバーバヤガにとっ捕まって、王城に連れてかれたけど何か条件?をクリアして無かったからとかで奴隷に売られたらしくて、でもホリィさんを即座に助けないと!ってなる情報と戦争を無血で終わらせる為のヒントとなる情報?を持ってるらしくて、だから買って助けてその情報を得ようぜみたいな感じの云々らしい。

 ……うん、明確な情報は明かされてないんだよね。話し合いは一晩まるっと使って行われてたから殆ど寝てる間の事だったし。幾ら私の耳が良いと言っても寝てる間の話し声までは聞き取れんぜよ。

 まあ聞こえてても難しい系の話と認識したら耳から耳へと擦り抜けるんだけどね!脳みそのスペックがポンコツだから!



「ああ?んだよ客っつってもガキか……」



 何じゃいコイツ。声掛けても中々奴隷商人出てこねえなって思ったら開口一番この野郎。三日くらい風呂に入って無さそうなベッタリしてる上にうねった頭しやがって。聞こえるか聞こえないかの音量でも余裕で聞こえる地獄耳舐めんなよ。

 ……いかん、何故か脳内が喧嘩腰に。奴隷商人か?奴隷商人がイライラするという感情を私に向けたのか?そのせいか?

 中年くらいに見えるヒゲを生やした奴隷商人は欠伸をしながらこっちを見て、私の後ろに控えているイースとオールを見た。



「……いや、連れてんのは随分と上級だな」



 変なの、主にナンパ野郎とかなどに絡まれないよう、イースとオールは認識阻害を使用してくれている。基本的には居ても気にされないストーンハット的な感じで。しかも誰かに接してもモブにしか見えないし、接し終わると三分前後で「あれ?さっきの誰だったっけ?」みたいな感じになるんだとか。証拠隠滅が完璧過ぎる。

 ただし奴隷商相手にだけはこう、売ってもらう時にスムーズに事が運ぶよう貴族っぽい感じに見えるらしい。

 イースが言うには、



「コンセプトはお忍びで自分だけの奴隷を買いに来た貴族の子とその付き添いって感じかしらねぇ」



 との事だった。薄ぼんやりとそういう感じの雰囲気とかに見えたり感じたりするんだとか。冷静に考えるとそこまで出来ちゃう認識阻害が結構怖い気もするけど、まあ身の安全には変えられまい。

 恐らくそんな風に見えたのだろう、奴隷商人はギラリと目を光らせた。



「おい小娘、いや、坊主か?」



 どっからどう見ても娘の方じゃろがい。

 ……と、そういうこっちゃ無いのか。認識阻害で男か女かもわかりにくくしてるんだろう。じゃなければ子供と間違われる事はあろうと男女を間違えられた事無い私が男扱いとかおかしいもんね。だって私普通に一応胸も比較的ある方ではあるし。巨乳では無いけど。

 奴隷商人はギラギラした目を誤魔化す事無く、私を値踏みするように見下した。



「その後ろの奴等を売るんじゃなくて、客として来たんだよな?いく」


「私にこの二人を売るなんて選択肢があると思ってんのかおいそれは奴隷じゃなくて喧嘩売ってんのかコラ」


「ら、も……って……」



 おっといかんついマジな怒りが。でも嫁を軽く見られると地雷が破裂するのが私なんじゃすまんかったな。あ、駄目だこの奴隷商人相手だと本当駄目だな私。優しくなれない。成る程コレが感情の鏡返し。

 世間知らずの子供をちょっと脅かしてお金を多めに取ろうとしたんだろう奴隷商人は、突然私にガン飛ばされてちょっと意表を突かれたらしい。声が酷く弱弱しくなって呆然としてしまっている。



「そりゃまあ無限に湧き出る愛の泉の持ち主にそんな態度を取られたらね。気付いていなくても人は無意識にそういう部分を察しているものだ。本人の態度が悪かったとはいえ、中々の精神ダメージだろう。もっとも、本人には「異様な程心に刺さる言葉」という扱いだろうけどね」



 オール、認識阻害で奴隷商人や周りの人に聞こえないようにした上で喋ってるんだろうけど、普通に聞こえてる私の気が逸れそう。あとソレあんま関係無いと思うの。



「……まあミーヤはミーヤでいまいち自覚し切れていない部分もあるからね。うんうん了解、余は少し黙っておく事にするよ」



 奴隷商人に隙を見せないように、とにかく背筋を真っ直ぐにして向き合うように。こっちに視線向けちゃ駄目よ、というイースの指示があるから振り返ったり頭撫でたり出来ないけど、とりあえず脳内でありがとうと念じておく。



「お礼というのは嬉しいね。神が施しをすると誰もが感謝を捧げてくれるけれども、その分そんな日常的な感じは無いから。ふふ、誰かに指示を出すのでは無くて誰かと会話をするというのは楽しくて良い」



 黙っておくとは何だったのかと頭の片隅で思いつつ、私はまだ呆然としている奴隷商人に話しかける。



「ああ、すみません。少々気に障るような事を言われたのでつい乱暴な言葉を。ええ、ええ、大人しく記憶を失っていただけると」



 駄目だ、コイツ相手に平和的な話し掛け方が出来ない。どうしても喧嘩を売るような言い方になってしまう。何故だ。



「ところで私はとある種族の奴隷が欲しくてここに来たんですよ。ここにその種族が居ると聞いたので。ああ、お金はちゃんとありますからご心配無く。まあ適正価格で売らずに吹っ掛けでもしてきたら即座に喧嘩を売ったと判断しますが、ええ、奴隷商人などという職なのですから、賢明な判断をしていただけると思っていますよ」



 誰だよこの口調!口からぽんぽん思っても無い言葉が放たれるんだけど何なの!?でも喧嘩売る以外に無駄が無い言い方で助かる!

 もしかしてイースかオールのどっちかが言わせたのかな?と思ったが、特に魔力が動いた感じは無かった。つまり私の実力か。何その秘められた不要な才能。個人的にこの口調クラスメイトのクズイケメンを思い出すから嫌なんだけど。あ、いやでも邪神を思い出すような口調でもある。ようしあの時の邪神の口調だと思おう。そっちの方が好感度高い分精神的に安定する。

 ……クラスメイトより邪神寄りと思った方が安定する精神もどうなのよ、我ながら。



「……ガキ、どこの家のモンだ」


「言うと思いますか?」



 こっちの世界には無いから言えないだけだけどね!あと貴族と思ってるからこその質問なんだろうけど、申し訳ない。私はただの一般の三岡家生まれでござんす。

 奴隷商人は「チッ」と舌打ちをして、くいっと顎を動かして店に入るようにとジェスチャーした。そして先を行く奴隷商人に続くと、奴隷商人は言う。



「一点狙いか。ついでにおまけで安い奴隷を買うつもりは?」


「ありませんね」



 本当は買って解放してあげたいけれど、全員を全員面倒見れるわけじゃない。それに何より奴隷が売れる事で奴隷にされる人が増えても嫌だ。

 うーん、この辺のアレコレは難しくて困るよね。まあ私一般人だしその辺の事はもっと偉い人達が考えるだろうから考えない事としよう、うん。



「……おら、ここが客と契約だの何だのをやる個室だよ。一点狙いなら奴隷達見せんのも無駄だからな」



 ふむ、殺風景な個室。テーブルと、向かい合うように椅子が二つしかない部屋だ。まあ使用理由から考えると物が沢山ある部屋でも困るか。こっちの方が無駄が無くて良いだろうしね。



「……で?連れてきてやっから言え。どの種族が目的だ?」



 私は片方の椅子に座り、簡潔に「オオワシ鳥人」と答えた。



「ああ、アイツか。確かに鳥人は巣立ちした後は巣に相応しい場を見つけるまで飛び回るからな。それも戦闘能力の高い猛禽類と来れば滅多に奴隷にはならないし、納得だ。んじゃ連れてくるからここで待ってろよ」



 「防犯として監視用魔道具使ってっから変な真似すんじゃねえぞ」と言い残し、奴隷商人は部屋から出て行った。

 ……こんなボロくてもちゃんと防犯はされてんのね。まあ治安悪い事で有名なバーバヤガならそれがデフォルトなのかな。

 というか待っている間不安で仕方ないのだが、監視カメラがあるとわかっててイース達の方に振り向いたりは出来ない。認識阻害は最低限で済ませたいし、うっかり今のオンモードが切れても困るしね。

 そう思い、私は耳に触れた。正確には耳たぶに付けられている桜のピアスに、だ。

 これは昨日、パンドラが強欲の黒い瞳で具現化してくれた。本当はピアス系なんて耳に穴開けるようなのは怖いから嫌だったんだけどね。けれど、一番最初にオールが言った、



「どうせなら、ミーヤとも桜をお揃いにしたい」



 という言葉の力が強かった。

 確かに私、桜系の何かを見につけて無いんだよね。最初は靴下に桜のワンポイントがあったからっていうのが印の模様を桜にした理由だったけど、着替えてからは桜モチーフ皆無なわけだし。

 そして他の皆もそれに乗り気になり、



「じゃあどういう感じにする?」


「書籍らと同じように印で刻むのは駄目なのか?」


「ミーヤ様は肌の露出面積がほぼ無えから違うのが良いんじゃねえか?」


「ウィ、そうだね。……うーん、そうなるとアクセサリー系が良いんじゃない?」


「服に刺繍するなら出来るだろうが、そうだな。そっちの方が華やかそうだ」


「あ!髪飾りとかどうかな!」


「ミーヤは飾りのある髪飾りはあまり好みでは無いらしいから止めた方が良い。飾りの部分をどの位置にしようかと悩んでしまうらしいからな」


「それにあのヘアゴム、元々付けてたのが大分劣化してたからハイドがすり替えたやつだし。どうせならそのままの方が良いだろ」


「そうなると……どういうアクセサリーが良いのかしら」


「ジェム、いい、おもう、する、ゆびわ、ピアス、アンクレット。イヤリング、はずれる、する、かのうせい、ある。ブレスレット、ミサンガ、ある。ネックレス、おなじ」


「そうですね、ジェムの言う通りです。イヤリングなどでは旅の途中に外れかねませんし、ブレスレットとネックレスは既に枠が埋まってますから。ですが指輪の場合、慣れていないと違和感を感じやすいのではないでしょうか。桜を模した指輪の場合は飾り部分も大きくなりそうですし」


「…………アンクレット、ミーヤ……は、ブーツ、履いてる……から、違う、と、思う……」


「確かにそうだね。そうなるとピアスかな?」


「いや、でもピアスって開ける時ちょっと痛みがあるからな……」


「そうねぇ、それにロンの血肉のお陰で頑丈になってるとはいえ、桜の形のピアスとなるとそれなりの大きさよぉ?私みたいに肉体が無いならともかくぅ、体質次第ではピアスの重さで穴が広がっちゃう可能性があるわぁ」


「なら俺様が穴を開ける事も無く付けれるピアスを具現化しよう。強欲の邪眼を使えば桜の形も正確になるしな。少なくとも誰かに依頼するよりはずっと良いと思うぞ」



 というような会話で、最高品質のピアスを渡された。

 というかこのヘアゴム、不思議と持ちが良いなあって思ってたら服同様にこの子もすり替えられてたのね。まったく気付かなんだぜよ。

 ちなみに上からアレク、リオ、ヒース、ノア、ハイド、マリン、ロン、コン、フローラ、ジェム、ハニー、ラミィ、アリス、ローラン、イース、パンドラの順である。

 このピアスだが、流石強欲の邪眼で具現化されただけあって凄い。とても綺麗な桜の形をしててめちゃくちゃ好み。派手過ぎなくて、本当にただ桜!って感じ。無駄な飾りが無くて素晴らしい。

 しかもこう、針はあるのに刺さらない仕様になっている。

 何でも肉体に接触する際だけ空間の座標をずらす事で擦り抜けるようになってるんだとか。そして擦り抜けるのは肉体だけだから、物質である留め具はちゃんと使えるっていうね。

 これなら痛みも無いし穴も開かないし、でもちゃんと固定はされるという最高ピアス。皆が私の事を思った上で具現化されたものでもあるから嬉しいし。私は本当に素晴らしい嫁を持った。



「おう、待たせたな」



 イースとオールと会話が出来ないからこそピアスを触って荒ぶりそうになる内心を騎手のように落ち着かせていると、奴隷商人が部屋に戻って来た。



「コイツがくだんのオオワシ鳥人だ」


「…………」



 そして奴隷商人と共に、2メートルはあるハイドよりも大きそうに見えるオオワシ鳥人も部屋の中に入って来た。服はボロいズボンだけで、首には奴隷の首輪。飛ばせない為にか羽の上からぐるっと縄で拘束されている。そしてクチバシで突かれるのを防止する為なのか、クチバシには袋を被せられていた。



「さて、んじゃ詳しい商品説明からしていこうじゃねえか」



 「お前は随分やり手みたいだから、上客と同じように丁寧に説明してやるよ」と、奴隷商人は目を欲でギラギラと光らせながら言った。



実はミーヤってお風呂以外で露出皆無なんですよね。服装チェンジもしないから。なので男性陣はミーヤの生足すら見た事が無いという事実。(上の服も二枚重ねの上に色付きなので濡れ透けイベント無し)

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