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異世界で魔物使いやってます  作者:
バーバヤガ編
258/276

そ、そういやそんな説もあったね!



 依頼を請け、いつもの宿屋にいつもの部屋を用意してもらい、その部屋の大きいベッドに腰掛け「さて」と私は言う。



「どーーーーしよ……」


「何の策も無く引き受けちゃったの?」


「うん……」



 頭を抱えてフローラの言葉に頷くと、ヒースが「まあ、あの場じゃああ言うしか無かったからな……です」と言って頭を撫でてくれた。うん、ヒースが私の頭を撫でてくれる程馴染んでくれて嬉しいよ。



「確かに、あの空気じゃ……というか大前提として断れなかったしな。どっちにしろ引き受けるって結論に変わり無いんだし、そう考えると姫様との友情にヒビを入れなかっただけ最善の返答か」



 「お疲れ、ミーヤ」とローランは笑顔で私を労ってくれた。



「ありがと、ローラン」



 私はヘラリと笑ってローランに礼を言う。愛してるぜローラン。



「しかし無理難題を引き受けてしまった事にも変わりは無いぞ」



 リオはスマホで電子書籍を見つつ、宙に浮いている巻物に筆でその内容を写しながら言う。



「情報収集なら未来視も可能なパンドラが居る上に、察知能力の高いコンとフローラ、そして相手の心を読む事が可能なイースとロンが居るとはいえ……」


「俺は?」


「ローランの場合は既に潜入しているらしいスノードロップと大差無い情報しか取れなさそうだからな」


「うっわ正論」



 「確かに同じようなやり口だと似たような情報しかなさそうか」とローランは唇を尖らせた。



「あ、少し良いか?」


「……どうしたの、パンドラ……?」



 手を上げたパンドラにラミィが首を傾げると、パンドラは目を伏せたまま「ああいや、大した事では無いんだが」と首を横に振った。



「今回の情報収集、俺様はあまり協力出来ないと思うぞ?」


「え!?一番有力なのに!?」



 驚いたようにそう言うマリンに同意して頷くと、パンドラは「だってなあ……」と頭を掻く。



「俺様のエルピスはあくまで「あり得る可能性全ての観測」だ。確率こそ把握可能だが、だからといって絶対にその未来になるというわけでもない。そして何より証拠が無い」



 「確実な裏付けが無くては難しいだろう」とパンドラは溜め息を吐いた。



「あー、そっか、人間ってそういう確固たる証拠あった方が安心するもんね」


「人間であるミーヤが人外側みたいな事を言っているのは素かい?それともツッコミ待ち?」


「ごめん素です」



 ノアの指摘に思わず顔を覆う。いかんうっかり人間という自覚が薄れていた。薄れるもんなのか人間という自覚。



「しょうこ、ある、すれば、いい?」


「何か考えがあるのか?」



 コンの問いに、ジェムは満面の笑みで「うん!」と頷いた。



「ジェム、けずる、する、バーバヤガ、うる!ジェム、カケラ、かんかく、つながる、してる!しょうこ、かくほ、する、できる!」


「とりあえずそういう文字通り身を削る系は却下ねー」



 私の膝の上に頭を乗せていたジェムのヘマタイトのメッシュが入ったローズクォーツの髪を掻き回すように……いやまあ宝石だから出来ないんだけど、それと同じようにわしゃわしゃとジェムを撫で回す。ジェムは楽しそうに「きゃー!」と笑った。可愛い。



「まぁ、先に情報だけ確保しておいてぇ、後から裏付けだけ取れれば問題は無いわねぇ。情報収集はそれをメインにしつつ、それぞれで調べる、って形かしらぁ」


「え、別行動するの?」


「この人数で動く気ぃ?」


「無理だね」



 王都ならともかく、十七人も居るこの現状で情報収集とか普通に無理。王都ですらどうよってレベルの人数だからねもう。旅芸人か私達は。



「というか、バーバヤガ内じゃ宿屋にお留守番してた方が良い子も多いもんね」



 セレスが言うには、一応バーバヤガ内にツィツィートガル国民用の安全宿屋があるらしい。今私達の泊まっているこの宿屋の姉妹店だとか何とか。諜報係の人達もそこを拠点にしてるらしく、情報交換や安全確保の為に私達もそこに泊まる事になっている。



「とりあえずヒースとマリンとジェムとリオは確実にお留守番かな」


「良いのか、ですか?」



 ちょっぴり不安そうにそう言ったヒースに、私は笑う。



「勿論。バーバヤガに行くって決まった時からちょっと不安そうだったしね。嫌な記憶も多いだろうから無理しなくて良いよ。何ならツィツィートガルでおるすば」


「置いていかれるのだけは嫌だ!」



 「それなら例えバーバヤガだろうと一緒に行ってミーヤ様が帰ってくる部屋で待つ!」とヒースは涙目で叫んだ。お、おう、何か不安にさせてしまったようで申し訳ない。

 とりあえずヒースの頭を撫でて落ち着かせていると、マリンが「自分も?」と水掻きのある手を上げた。



「だってマリン人魚で、向こうはバーバヤガだよ?確実に危険」


「確かに!」



 「一番危険って王様言ってた!」とマリンは納得したように頷いた。

 ……うん、ツィツィートガルや魔王国は平和だったもんね。結果人魚は人間と接しちゃ駄目って言われてた理由をド忘れしてたのね。



「ちなみに書籍らとジェムが留守番役である理由は何だ?」


「ジェムは宝石だから誘拐される可能性があるし、油断したらこっそり自分を削って誰かのポケットに忍ばせかねないから」


「ミーヤ、こころ、よむ、できる?」


「きょとんとした顔で見上げられても私からは「やっぱそういう事する気だったか」としか言えないよ」



 もう一度思いっきり撫で回すと、ジェムは再び楽しそうに「わきゃー!」とはしゃいだ。可愛い。



「で、リオの場合は露出度が高過ぎるから」


「書籍らは本にしては充分過ぎる程覆われていると思うが。これ以上覆うと読めなくなってしまう」


「リオからすると素肌部分は本文が書かれたページみたいな感覚なのかもしれないけど、人間からすると最低限の最低限しか覆われてないんだわ。変な人に声掛けられたら嫌だからお留守番です」



 「ちゃんとお土産にバーバヤガの本買ってあげるから」と言うと、リオは嬉しそうな声色で「なら仕方ないな!」と笑った。

 ……うん、良かったリオが本好きで。本好きっていうか本そのものなんだけどさ。でもやっぱりこんなにも露出が高いと……ねえ?見た目子供だからこそバーバヤガのような場所では危険が伴い過ぎる。



「んーと、とりあえず行動する時の組み分けはバーバヤガ行って様子見てから決めるとして……」



 戦争を無血で終結させる云々は今考えてもどうしようも無いから保留として、即座に行った方が良いのはルークの姉、ホリィさんの救出だろう。



「ホリィさんが捕らわれてる部屋まではわかってないんだっけ」


「タバサが言うには、バーバヤガの王城は日替わりで部屋の位置が変わるから、って事らしいけど……」


「勇者が掛けた魔法らしいが、バーバヤガはどれだけ勇者の怒りを買ったんだ?嫌がらせ以外のなにものでも無いだろう、その魔法」


「ね」



 アリスとハイドの言う通り、バーバヤガの王城には日替わりで部屋の位置が変化する魔法が掛けられているらしい。昨日まで使用人の部屋があったはずの場所に王の寝室があったりするとか。

 一回壊して建て直せよそんな不便な城、と思わないでも無いけど、それは何度かやったらしい。勇者の魔法はそれに勝る程根深かったという事だ。本当にどんだけ恨み買ったんだバーバヤガの王族。



「んー……パンドラ、ホリィさんの居る部屋ってわかる?」


「…………そうだな」



 パンドラは、ふ、と薄く微笑み、ほんの少しだけ目を開けて綺麗な虹色の瞳でこちらを見た。



「部屋の配置はランダムのようだから翌日の配置はいまいちわからないが、当日であればわかる」



 「……が」とパンドラは目を伏せた。



「俺様はあくまで未来予知の能力であって、全てを知る能力じゃない」



 「そして今の俺様は別に和解しても良いなとさえ思っている」とパンドラは笑う。



「和解って?」


「ある意味、アイツのお陰でミーヤと一緒に過ごせているわけだからな。それにこの先の事を思うと、ミーヤの精神にダメージを与えない為にも友好的な姿勢を見せておくべきかと思って」


「だから何が?」



 パンドラって結構肝心な部分を隠しがちだよね。もうちょっとネタバレしてよ。未読勢に配慮する既読勢か。私ネタバレ歓迎派だから気にしなくて良いのに。寧ろネタバレして安心させてほしい。私はネタバレ無しではゲームの攻略が出来ないタイプだ。

 故にハテナマークを浮かべながら聞くと、パンドラは微笑みながら「もうすぐだから気にするな」と言った。いやだから何が?



「うわっ!?」



 と、思っていたらピロンという音と共にリオが驚いたような声を上げた。



「ミーヤ、何か表示が変わったぞ」



 「ほら」とスマホを返してくれたリオにメールという存在を教えつつ、私はスマホを操作してメールを確認する。差出人はやはり「神」だった。



「タイトル部分に「話をしたい」って書かれてるんだけど、パンドラが言ってたのってコレ?」


「ああ」



 パンドラは頷いた。



「それを開いてみろ」


「ん」



 とりあえず言われるがままメールを開くと、スマホから目が潰れるかと思う程の光が放たれた。何これデジャブ。パンドラの時もこんなんなった気がするんだけど気のせいだろうか。いやコレ気のせいじゃ無いな確実にデジャブだわ。



「うおお……あ、やっと目が慣れて来た……」



 まだしぱしぱする目をどうにか開けて周囲を確認すると、またもや知らない場所に居た。無限に広がる白い空間だ。あ、いや嘘。上は青かった。というかコレ空か?うわ、よく見ると床ってか地面ってかとにかく下が雲じゃん何コレ。



「これ、ふわふわ!」


「こらジェム、恐らくここに連れてきたのは神だろうから安全は保証されているとは思うが、だからといって警戒も無く雲で遊んではいかん。うっかり密度薄い場所に行ったら重いジェムの場合真っ逆さまになりかねんぞ」


「やだ!ジェム、おとなしい、する!」


「うむ、そうしておけ」



 子供らしく雲で遊び始めたジェムを、ロンが素早く窘めてくれた。うん、うっかり遠く行っちゃってたら困るもんね。ありがとうロン。



「うわわわミーヤ、ミーヤ~~……」


「どしたのアレク」


「ひぃん……」



 何故かアレクが泣きべそを掻きながら私の首に抱き憑いて来た。



「……ここ、凄い光の魔力に満ちてる。アウェイ感強い……」


「あれま」



 よく見るとアレクだけでは無く、イースとパンドラも顔色が悪かった。そっか、生粋の魔系だからこういう……何だろう、天界?みたいな空間が根本的に合わないのかな。



「……現在進行形しかわからないのが全知の嫌なところだな。せめて先を予測するくらいしておけ」



 そう呟き、パンドラは目を開いた。その瞳はさっき見た虹色では無く、傲慢の橙色をしていた。



「……あ、何かぞわぞわ無くなった」


「光の魔力による影響を無効化しておいた。これでもう大丈夫のはずだ」



 そう言い、パンドラは再び目を伏せた。

 アレクと同じで気持ち悪さが消えたのか、イースが安心したように息を吐く。



「助かったわぁ。淫魔の正体って人間が抑圧した性欲だからぁ、こういうのには弱いのよねぇ」



 イースは「死にはしないけど居心地が悪くってぇ……」と言って、今度は疲れたような溜め息を吐いた。

 うーん、衝撃吸収材みたいな肉体が無い分光のダメージがダイレクトだったのかな。良かった、パンドラが何とかしてくれて。



「………それで?いつまで様子を見ているつもりだ?」



 すると、突然パンドラが何も居ない空間にそう言った。その直後、パンドラが声を掛けた空間に羽の生えた人型が四体現れた。



「大変申し訳ありません」


「黙って見ているつもりではありませんでしたが、取り込み中のご様子でしたもので」



 真ん中の二人がそう言って頭を下げた。

 ……外側の二人に比べて大人っぽいし、背中の羽も大きいなこの二人。

 というか四人共ローマっぽいデザインの白くて丈が長いワンピースを着た美人、そして性別がわからんくらい中性的かつ綺麗な見た目、最後に神関係の人だと考えると、この人達って天使なんだろうか。



「私達は神の使いである天使です」



 やっぱり天使だった!



「我らが神から動揺などしていないかを確認してくるように、と命じられ様子を見に参りました」


「少々問題はあったようですが、解決したようなので問題は無いと判断させていただきます」



 ……な、何か凄く真面目だなこのお二人。声が淡々としている。外側の子供っぽい見た目の二人はきょろきょろと珍しいものを見るような目でこっちを見てるのに。

 そう思って外側の二人の方に視線を向けていると、それに気付いたらしい真ん中二人が隣に立っている子供天使の頭を掴んで下げさせた。



「大変申し訳ありません。この者達はここ数百年で生まれた者達でして、無礼な態度を」


「ちょ、大先輩、あの、頭ギリギリするの止めてもらえませんか」


「見ての通りこの者達は天使らしからぬ軽薄さと自我を有しておりますが、神が「天使達に自我を与える」と決定した以上、私達天使はそれに従うしかありません。その結果ここ数百年の間にこのように軽々しい態度を取るような天使が生まれてしまいまして」


「大天使である大先輩達が頭固すぎるだけ、ぐ、圧がキツイ圧がキツイ圧がキツイ」



 何が起こっているのかまったくわからんぞ!?

 えっと、言葉から察するに元々天使は自我が無くて?でも神様が天使に自我を与えて?昔から居る天使の場合は昔の癖が抜けないから自我控えめだけど、最近生まれた天使達はそれが当然だから自我強め、みたいな、事、だろうか。

 天使達が現れた途端にイースは居心地悪そうにし始めたから正解かの確認は出来ないけど、多分これで合っている……と思う。

 というかえっと、代表っぽい天使さん達は大天使さんと呼ぼう。大天使さん達に押さえられた天使さん達は痛みこそ無いようだがアイアンクローによる圧は感じているらしい。こっちとしても反応に困るから、まずは話題を変えてみよう。



「えっと、あの、それは全然良いんですけど、えーと……見る限り中性的ですけど、天使って性別あるんですか?」



 馬鹿か私は。もっと他に良い話題あっただろ。



「……そうですね、基本的に天使に性別はありません。主に神からのお告げを伝える際に人間の前に姿を現す時、嫌悪感を抱かれない性別に、とは心掛けていますが」



 良かった話題変え作戦通じた!

 大天使さん達は天使さん達の頭から手を離し、片方は男の体に、もう片方は女の体へと変化した。



「このように、なろうと思えばどちらでも」


「肉体が無いので普段は無性ですが、お望みであれば好きな見た目にも変化可能です」


「あ、いえ完全なる知的好奇心だったのでお気に為さらず。丁寧な回答ありがとうございます。見た目は大天使さん達が楽な見た目でどうぞ」


「了解しました」



 頷き、大天使さん達はさっきまでの中性的な見た目に戻った。

 ……成る程理解した。この大天使さん達大分自主性が無いんだね。多分元々命令を受ける用に作られたとか……なんだろうか。でもこう……ゴーレムよりゴーレムっぽい感じ。あくまで私の偏見だけど。



「うんうん、楽しそうに話しているようで何よりだ」



 突然、空から声が響いた。



「けれど余の存在を忘れられても困るよ」



 声のする方を見ると、前方に雲で出来た階段があった。そしてその頂上の部分にある玉座に、誰かが座っていた。



「それでは私達はこれにて」


「失礼致します」


「え、私まだ何もぅっ!?」


「待ってくださもうちょい人間と話しぃっ!?」



 うわ移動早い。

 玉座に座っているその誰かを認識した瞬間に、大天使さん達は天使さん達の首元を掴んで何処かへと消えた。……羽で飛んだ感じじゃ無いっぽかったけど、テレポート使えるのかな、天使って。



「あはは、ごめんねうちの天使達が騒がしくって。魔王……ああ、今はパンドラか。パンドラが眠った後に暇だったから自我を与えてみたら、思ったより生き物らしくなってね。良い事だ」



 うんうんと頷きながら中性的な声でそう言うのは……神様、で良いんだろうか。



「えーと……ちょっと質問なんですが」


「ああ、余がミーヤにメールを送っていた神だよ。合っているから不安がったりする必要は無いさ」



 先読みされた!

 ……いやまあ、前にも先読みされた事はあったか。なら良いや。問題はそれじゃ無いんだから。

 そう、問題はただ一つ、神様の見た目である。頭部はあるし腕は二つだし足も二本だ。けれどあくまで人型というだけで、人間の見た目では無いのである。

 神様は、発光していた。

 何だろう、こう、非常口みたいな一般的な人型を想像してみるとわかりやすい。ああいう人型が電球みたいな感じで光り輝いている。つまり、その、神様っぽくはあるけど神様ですか?みたいな感じになるというかなんというか。



「ふむ、今まで特に見た目を指摘された事は無かったけれど、ミーヤは気になるのか」



 だから何故さっきから心をそうポンポン読んでくるんだ。



「ミーヤ、知っているだろうがあの神は全知を有している。つまりこの世の全てを知覚する事が出来るんだ。本質を見抜く事が出来るとも言えるが……要するに先読みは出来ないが、進行形で思っている事などは全て読み取られていると思って良い」


「何ソレ凄いし大変」



 人間だったら脳みその容量余裕で超えそう。



「そんなに気にする事は無いさ。余にとっては物心ついた瞬間から当然のようにあったものだからね」


「それなら良いんですけ、ど!?」



 うわビックリしたビックリした!視線をパンドラに向けてたらいつの間にか神様が目の前に居た!超ビックリした眩しい!



「……ふむ、この見た目に慣れていない事もそうだけれど、眩しいとも思うのか。なら少し変えてみよう」



 そう言って神様がその光にコーティングされている手で頭に触れ、髪を撫でるようにさらりと動かすと、



「こんなものかな」



 一瞬にして、神様の姿が変化していた。

 三つ編みハーフアップになった長く綺麗な金髪。中性的な顔に、十字架型に光っている特徴的な瞳孔。骨格こそ少し男性的だが、肉の付き方は女性的な体。

 流石は神と言うべきか、輝かんばかりの美貌……だったが、全裸だった。

 何故か全裸だった。

 その上、見る限り乳首もヘソも性器も無い。つるんとした生き物らしく無い作りの体だ。

 ……生物じゃ無いから、かな。確かに人型になるからって内臓とかまで人間に寄せる必要は無いもんね。うん、大丈夫。性器が無いならデッサン人形と対して変わらぬ。眩しくないだけありがたい。



「うん、問題は無いみたいだね」



 私の思考を読んでか、神様はそう言って微笑んだ。わー美形。でも問題が無いっつーか私が問題を見て見ぬ振りをしたというかもうめんどいから良いや。



「えっと、それで神様は何故に私達を……天界的空間に?」


「的じゃなくて天界だよ。一番上の雲の上に存在しているのがこの世界、天界だ」



 成る程だから空に雲が一つも無いんだー。



「で、理由は」


「簡単な事だよ」



 神様は女性にしては大きめな、しかし男性にしては華奢な指で私を指差す。



「ミーヤ、いや、三岡美夜。余は君をこの世界に召喚したのがバーバヤガの王だと知っている。そして、君が召喚された理由についても、だ」



 ……え、あ、そういやバーバヤガが召喚したせいで私がこの世界に来たんじゃないか説あったね!



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