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異世界で魔物使いやってます  作者:
ニーラクス学園編
214/276

一体どこでフラグが立った



 あの後、



「お前が好きなのはご都合主義のハッピーエンドだろうがあ!メリバ好きに押し付けんなあ!別にデウス・エクス・マキナを否定はしねえけどこっちゃメリーバッドエンドが好きなんだよ!愛し合って愛し合って、障害があろうと乗り越えて……そしてその結果のメリーバッドエンド!読者からしたらバッドエンド!しかし主人公達からしたらハッピーエンドな物語が好きなんだよ!自分と好みが違うからって否定した上で自分の好きな作品押し付けんなや!せめてそっちも歩み寄りの姿勢を見せろ!」


「人ならざる存在故に人間にトラウマを持っていた化け物!しかしそんな事は気にしない姉御系ヒロインに拾われ、彼は変わっていく……っていうのが性癖なんだよ!心優しい純朴な少女がそんな化け物を助ける展開も嫌いじゃねえけど!俺は!姉御系が!好きなの!」


「あの野郎が毎回毎回毎回毎回無理矢理読ませようとしてくるせいで苦手な属性が生まれちまったよどーーーーーしてくれんだおい!好きだったのに!親友が自己犠牲精神強めが性癖だったのにあの野郎が「主人公とヒロイン以外は引き立たせる為なのですから、ここで死ななければ存在する意義も無いでしょうからね」って!そんな理由で彼らは死んだんじゃねえ!アイツらは、アイツらは大事な存在の為に自分を犠牲にしたんだーーーーー!」


「女が触手系描くなとかうっっさいのよあの野郎!触手×年端も行かない少年少女!これこそが私の創作意欲の八割を占めている要素!いたいけな子供が触手に蹂躙される姿!それこそが私の至高!だっつーのにあの野郎倫理的にどうのこうのとうっせーのよボケ!現実でそんな事件起こすわけねえだろ起きた時点でトラウマになるわ馬鹿!妄想だから!燃え上がるし萌え上がるの!そっちの主観で世界捉えんな!」



 と、いうような叫びが数時間に渡って体育館的な建物内に響いた。

 ちなみに賞品をゲットしたのは、家の事情にぐちぐち口を出されるわ部屋に侵入されて本パクられるわ良い成績なのにぐちぐち言われるわ服装についてあれやこれや苦言されるわ、他にもその他諸々の被害を受けていたジェラードだった。

 ジェラードの魂の叫びは凄かった。



「そりゃ俺の実家は複雑だよ!下の方とはいえ貴族は貴族!だから同性愛者の父さんと母さんは結婚して俺という子を作ったけどその後それぞれ彼氏彼女が居たりして!俺も子供の時は父さんに彼氏が居る事や母さんに彼女が居る事を不思議に思ったりしなかった!てか今も四人共幸せそうだから良いんじゃないかって思ってる!だっつーのに他人様の家庭環境に口出しすんなや!良いんだよ幸せだから!全員納得してんだよ口挟むな!つかあの野郎前に俺の部屋に侵入して女物の服勝手に捨てやがった事もあっからな!?男は男の服を着ろってやかましいんだよ!ニーラクス学園じゃ校章さえ見える位置に付いてりゃ基本服装自由だろうがあ!!」



 そして続けられる副学園長への恨み言により、見事ジェラードが一割引券をゲットした。

 どうも話を聞いてると年長であればある程当然のように被害の数が多かったんだけど、ジェラードはその中でも目を付けられでもしてるのか一段と被害が酷かった。なので満場一致でジェラードが一番被害を受けた生徒という事に決定した。



「この五年間の地獄は無駄じゃなかった……!」



 ……うん、賞品を受け取った瞬間のジェラードの言葉はドチャクソ重かったよね。

 何でもこのニーラクス学園は十歳から十五歳までの六年間タイプらしい。つまり多感な時期にそんな奴に目を付けられていたという事である。大変。

 学園自体は良い学園だし、他の先生や生徒達も良い人ばかりだからセーフだったんだろう。もしそっちも微妙だったらジェラードは引き篭もりになっていたかもしれない。そう考えると危なかったね。



「しかし、本当にあの馬鹿は……思っていた数倍酷いぞ」



 溜め息を吐きながらそう言う学園長の手には、生徒達が叫んだ内容が書かれている被害届があった。

 どうやら叫んだ人の名前と内容が被害届の紙に自動的に書かれるという仕様の魔法を使っていたらしい。その結果、壇上には被害届がみっしり詰まった箱が十個以上重ねられていた。

 ……卒業生含めたらどうなるんだろうね、あれ。



「だがこれだけあれば充分副学園長を辞めさせる事は可能だろう。というか普通に窃盗などの罪も犯しているから、普通に国王に伝えて兵士を呼んだ方が早いかもしれんな」


「え、あ、これ王様に報告するレベルでやばいんですね?」


「それもあるが、国王に報告しておいた方が話が早い」



 成る程、それは確かに。

 王様ってラチェスの本性見抜けなかったくらいには優しい人っぽいし、一緒にポテもちチーズ食べちゃうくらいにはフレンドリーだったもんね。ちゃんと報告しといた方が副学園長に騙される心配も無くなるから良いんだろう、うん。

 学園長は手に持っていた被害届を箱の中に仕舞い、「では」と生徒達に向けて言う。



「目的は達成したので、以上これまで!」



 「後は好きに解散!」と学園長が言い切る前、「解散」の「かいさ」まで言った辺りで、ロンさんは「少し良いか?」と手を上げた。



「ん?……何か言いたい事があるのか?」



 学園長の問いに、ロンさんは少し気恥ずかしそうに笑いながら顎鬚を撫でた。



「まあ、そうだな」


「そうか。魔道具は要るか?」


「否、不要だ」


「わかった。好きに言うと良い」



 そう言ってマイクのような魔道具を持ったまま一歩下がった学園長に「感謝する」と頭を下げてから、



「ミーヤ」



 ロンさんは優しい声で私の名を呼んだ。



「はい?」


「少しこっちに来てくれぬか?」


「あ、はい」



 ロンさんの方、つまり壇上の中央に近付くと、ロンさんは「ああ、そうだ」と呟いた。



「少し聞いておきたいのだが」



 ロンさんは私に、ではなく壇上の端に居たイース達に向かってそう言った。



「何かしらぁ?」


「その位置だが、まだ枠は空いているか?儂はミーヤの記憶を読んだだけなのでな」



 イースは「ふぅん……?」と楽しそうに目を細めて微笑み、答える。



「勿論、空いてるわよぉ。幾らでも大歓迎だものぉ♡」


「そうか、それは良かった」



 その返答に安心したような吐息を零し、ロンさんは改めて私に視線を向けた。



「ミーヤよ」


「はい」



 今のは一体どういう会話だったんだろうと思っていると、ロンさんは真っ直ぐに私を見つめながらするりと私の手を取り、口を開いた。



「儂を、ミーヤのつがいにしてくれぬか」


「……えっ?」



 番?つがい?人間的に訳すと伴侶になってください?

 ……一体どこでフラグが立った!?



「ああ、皆と同じく従魔兼嫁という位置に立たせてくれという意味だ」


「は、え、え!?」



 思わず周囲を二度見三度見。

 イースは笑ってるし他の嫁達も皆「まあ良いんじゃないの?」って感じで頷いてるからツッコミは期待出来ないと見た。しかし学園長と生徒達は目を見開いて驚愕に満ちた表情をしている。

 うん、だよね、それが普通の反応だよね!?だって言ったのロンさんだもんね!?学園創立の頃から居るドラゴンが突然現れた通りすがりの冒険者相手にそんなプロポーズしたらそりゃ驚くよねそうだよね!?



「が、学園長、あの」



 とにかくこれって良いのかどうなのかを聞こうと思って口を開いた瞬間、



「う」



 生徒達の方から、



「うおおおおおおおドラゴンの爺ちゃんが告ったああああああ!」


「マーケットに使用された事のある建物内に人が密集してる際に告白すると一生幸せのまま共に居る事が出来るというニーラクス学園恋愛七ジンクスの内の一つ!」


「やっばい私このジンクス実行されるの初めて見た!」


「上級ドラゴンが自分から嫁入りしようとした瞬間の目撃者になれるとかやばくね!?俺明日死ぬの!?」


「死なせるわけないでしょアンタまだ私のリクエストしたイラスト描いてないんだから!でも心配になるのは超わかる!」


「公衆の面前で告白とか凄え!お爺ちゃんなのに全然枯れてねえな!?」


「賞品ゲットは出来なかったけどそれ以上のものを見れた気がする……!」


「つか爺さん、公衆の面前の上ジンクスまで絡めての告白とか……めちゃくちゃ本気じゃねえか美味しいです!」


「上級ドラゴンが嫁取りするのは何度か読んだ事あるけどまさかの嫁入り!?こりゃ次のマーケットで流行るぞうひゃっほーーーい!」



 怒涛の勢いでそんな言葉の波が襲い掛かってきた。

 え、良いの?生徒的には良いの?ガーディアン的な存在のドラゴンが学園から去る可能性あるんだけど本当に良いの?ロンさんの幸せを応援するスタイルなの?良い事だけど。

 思わず目を点にして生徒達の方に視線を向けていると、学園長の方から「……はあ」という溜め息が聞こえた。



「……成る程、わざわざ早朝に私の部屋に来た理由はコレか。あの馬鹿を学園から一旦離れさせ、生徒達を一箇所に集めて被害届を集めれば話は早いだろうと言い出した時はそれもそうだと頷いたが……まさか嫁入り宣言をする為だったとはな。通りでミーヤが解読を終えたという報告までしてくれるはずだ」


「ははは、勿論被害届を集める方も本題だったぞ?」



 ロンさんの中では早朝の時点で既にプロポーズする事を決めてたのね。だって被害届を集める方「も」って事は本題は二つあるって事だもん。



「……あの、聞いておきたいんですけど」


「ああ、ミーヤからの返事に必要なら何でも聞いてくれ。それと儂に敬語を使う必要は無いぞ」



 「儂は番になる気しかないからな」と笑うロンさんに、マリンに続いて押しが強い人が続くなあとちょっと現実逃避した。いや別に現実逃避する程のこっちゃないんだけどインパクトが強すぎたからしゃーないであります。



「じゃあロン……えっと、何で私にプロポーズ?」


「ニーラクス学園での授業では恋に落ちるのに年齢も種族も他の全ても大した問題にはならんと教えているぞ」



 ほうほう、それは立派な。いやそういう返答を求めたんじゃないんだけど。

 ……要するに、「理由は無い。惚れた」って事だろうか。



「まあ強いて言うなら運命を感じた、という辺りか?」



 あ~~~運命か~~。

 強いて言うならって言ってる時点でお察しだけど、本当に理由は無いのね。ただ恋にスッテンコロリンしただけなのね。

 ……他にも良い人は居ただろうに何で私を選ぶのか。ありがたいし嬉しいけど。



「ふむ……」



 ロンは少し眉を顰め、私の手を握っていない方の手で長い顎鬚を撫でた。



「ミーヤは儂の見た目が気になっているのか?」


「え?」


「老人姿が気になるなら違う姿に擬態も可能だが」


「え、やだ勿体無い。素晴らしいイケメンお爺さんなんだからそのままで良いと思う」



 確かに見た目お爺さんだから皺だらけだけどパーツは普通にイケメンなんだよね。それにお姉ちゃんのお友達に新境地をバンバン開拓する人が居たから老人系も履修済みである。お陰で地球に居た頃から普通に範囲内だ。



「流石わかってるわねミーヤさん!老人だからこその皺だらけでカサついた肌!でも笑った時の皺の形が堪らない!」


「老人なのに眼光鋭い系は俺も膝を折るな。俺基本的にショタ派だけど眼光鋭い系は抗えない」


「実際、凄まじい老人が出て来る系って名作が多いのよね」


「「やれやれ、ここしばらくは隠居してまったり過ごしてたんだけどねえ……仕方ない!」って言ってのんびりしたお婆さんだと思ってた近所のお婆さんが超強い敵を瞬殺するのが好きです!」


「超わかる!瞬殺した敵の山を背景にしながらいつも通りに微笑みつつの「まったく、儂も衰えたものだ。この程度の敵に数秒も掛かってしまうとは」みたいなのには本当背筋痺れる!」



 あの、今叫んだ生徒さん達とちょっと好きな老人のタイプについて語ってきても良いですかね。



「ははは、少し知りたい気もするが先に返事を貰っておきたいな」


「ごもっとも……」



 あれ?私今口に出したっけ?ああ、そっか手を握られてるから記憶とか感情とか読まれてるのか。……ん?いや、さっきの私の心の言葉に反応したって事はつまり、



「ああ、先程から心を読ませてもらっているぞ」


「ねえソレ私の返事聞かなくても私が拒否する気皆無なの理解してるよね!?」


「然しもの上級ドラゴンとて好きな相手に告白したなら言葉で返事が欲しいものとは、いやはや長生きはするものだな。斯様に楽しく心が弾むとは良い事だ」



 確かにそれは良い事ですけども!けども私まだ微妙に羞恥心があるんだよ!羞恥心は完全に虫の息になってる気がするけど!でも流石に公衆の面前での告白シーンに耐えれる程の心臓は無いよ!?称号曰くSAN値MAXだけど!ああもうお爺ちゃんなのに笑顔が花咲いてるみたいで可愛いな!駄目だ結構その気になってるのが誤魔化せなくなってきた!



「……今さっきのうっかり発言の中の言葉が返事ってのは」


「一世一代の告白はしっかりと言葉で返してほしいと思うのはわがままか?」



 あーニヤって楽しそうに笑った顔が格好良くて可愛いなー。

 ……ま、今更は今更か。

 腹を括り、私は腕を広げて私の手を握っているロンの手を軽く引っ張って言う。



「おいで」



 手を引かれるがまま腕の中に収まったロンを……思ってたより身長高くていまいち収まってないな。コンとハイドの身長を思い出しつつ測ってみるに195センチとみた。まあ背中に手は届くから良いか。



「まあ、えーと……」



 私が抱き締めてるというか私がロンに覆い被さられるかのように抱き締められているかのような構図だけど身長差的に仕方あるまい。

 ロンの背中に回した手で軽くポンポンと叩き、私は言う。



「従魔兼嫁になる以上、私からも愛させてもらうからね」


「……ああ。不束者だが、よろしく頼もう」



 私の言葉にロンがそう返した次の瞬間、生徒達から歓声が轟いた。



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