表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で魔物使いやってます  作者:
ニーラクス学園編
211/276

特色出るなあ



 あの後寮に移動し、生徒達からの質問を返したり黙秘したりして親交を深め、翌朝の現在。



「ミーヤさん達って本の解読するのも本当だけど、実はあのクソッタレ副学園長を退職させるって依頼の為に来たんですよね?」


「もし聞きたい事あったら何でも聞いてくださいね!」


「俺、全力で応援します!」


「あの野郎、人の作品盗作したり改変したりしやがった前科もあるからな……!」


「しかも製本するの遅れたって言ってマーケット前日に内容を改変、っていうか改悪した本持って来たりするんですよ!?悪質過ぎ!」


「まあこの学園では最初に文字や絵をコピーして白紙の紙に写すっていう魔法を習うんで、最近じゃ自分で製本する生徒も多いんですけどね」


「あの、昨日はうちの後輩達が押しかけたようですみませんでした」


「今日のデザートはカットフルーツとゼリーがあるらしいんですけどミーヤさん達どっち食べます?持って来ますよ!」



 とりあえず半々で、と頼んでおく。

 ……いやあ、この学園ってちょっと閉鎖的な部分があるのか情報の伝達がハンパなく早いね。一晩で本当の目的までバレてーら。



「……えーっと、副学園長の方の依頼についてはあんま大きい声で言わないようにお願い出来るかな」


「わかりました!」


「本人に聞かれたら面倒ですしね!」



 素直な良い子達だけど大丈夫かな。不安がちょっぴり残るんですが。……まあ、ミサンガ反応してないから大丈夫かな。

 というか何か生徒達にものっそい懐かれたんだけど何でじゃ。

 そう思いながら運ばれてきたカットフルーツを食べていると、頭に誰かの手が乗せられた。



「それはやはり、生徒達の質問に可能な限り答えようとした誠意のお陰ではないか?」


「え?」



 あ、ロンさん。



「というかロンさん、七不思議扱いなのに朝から居たりするんだ」


「ははは、まあな。どうしているか気になったというのもあったが……うん、良い関係を築けたようで何よりだ」



 笑いながらロンさんは私の頭を撫で始めた。

 ……まあ、学園生徒達の保護者みたいな存在だもんね。うちの生徒は他所の子と仲良く出来るかしらと心配する教師または親御さんのような気持ちだったんだろう。多分。



「ハニー、フルーツ私の分も食べる?」


「良いのですか?」


「うん」


「では……」



 少し頬を赤くして嬉しそうに微笑んだハニーに、私は「はいあーん」とフォークに刺したフルーツを差し出す。



「あー……ん」



 私が差し出したフォークから素直にフルーツを食べ、ハニーは幸せそうにフルーツを噛み締めた。うんうん、結構美味しいよねこのフルーツ。



「公式……!」


「供給が凄い」


「ありがとうございますありがとうございます」


「日常……雰囲気的にこれは確実に日常」


「神は居た。ありがとう神様」



 うわあ。

 何だろうね、コミケ会場で時々見る歓喜の余り天を仰いでる人達の集まりみたいになってる。



「……大丈夫かな?」



 心配そうに生徒達を見るアレクに、私の頭を撫で終えて近くの椅子を引っ張って来て座ったロンさんが笑って答える。



「ああ、よくある事だから気にするな。何でも「内側から萌えが血液の如く巡り始めてどうしたら良いかわからず必死に暴走を逃がそうとしている図」らしい」


「意味がわからないんだけど」



 首を傾げたノアの反応にまあそうだよねと頷く。

 同じオタクにはわかるけどそうじゃない人にはわからなくて当然だ。感覚的にはもう内側で暴発しそうなマグマを必死に抑え込んでるって感じなんだけどね。ちなみに涙を流してる人は抑え切れなかった分が漏れた感じである。同属だからわかる。



「……っていうか!」



 生徒の一人が復活した。



「爺さん、ロンって名前だったのか!?」


「あ、そうじゃん!」


「本当だ!」


「お爺さん名前あったの!?」


「ははははは」



 次々復活していく生徒達からの問いを笑ってスルーし、ロンさんは「それよりも」と私達に向かって口を開いた。



「ミーヤは理解があるようだから良いのだが……お主らはどう思っている?」


「…………どう、って……?」


「この学園について」



 ロンさんは「儂は特に嫌悪感を感じた事は無いのだがな」と長い顎鬚を撫でた。



「だが、外部の者から見てどうだ?生徒達は自分を正直にさらけ出しているだけだが、生徒達が作った本では外部の者からはあまり快くは思われないらしいから気になってな」


「そうねぇ……」



 ゼリーを食べ終えてスプーンを器に置いたイースはくすりと微笑んで答える。



「私としては大歓迎よぉ?虚像に焦がれ性欲をどんどん強くするっていうのは、私の存在を形作ってるモノだものねぇ」



 ああ、そういやそんな話を前に聞いたような。

 確か淫魔と違う種族との間に生まれたサキュバスやインキュバスとは違ってイースは生粋の「淫魔」なんだっけ。人間が抑制した性欲が集まって具現化、淫魔誕生パンパカパーンって感じの話だった気がする。

 んでもってイース曰く、人間がそうやって性欲を持ち続ける限り淫魔は消滅しないとか何とか。

 人間の三大欲求の中に含まれ、生物の繁殖方法でもある性欲。それが尽きない限り存在し続ける事が出来るとかイース本当に凄いよね。



「私達としては……どうでしょう。私としては魔物に興奮するという性癖ならクイーンビー様の元に行ってくだされば繁殖がスムーズに行われそうで、繁殖に関する問題などを考えるととても良い事なのでは?と思いますが」


「え、マジで!?」



 少年が反応した。



「ちなみにそのクイーンビー様ってどんな見た目ですか。俺の性癖は複眼と多腕と人妻なんですが」



 キリっとした顔で何言ってんだこの少年。

 見た目中一くらいに見えるけどその発言どうよ。性の目覚めか?性の目覚めが起きた時期だからそんなに特殊性癖患ってんの?いやまあ人妻はタブー感あるけど比較的メジャーか。しかし複眼と多腕は結構特殊寄りだと思う。

 ……まあ私が言うこっちゃねえんだけど。

 そんな特殊性癖を患っているらしい少年に、上の右手でフルーツが刺さったフォークを持ちつつ下の両手でコップを持って中のジュースを飲み、喉を潤したハニーは真面目な顔で答える。



「クイーンビー様は、私と同じ様に複眼で多腕です。そして繁殖の為に人間の性欲を促しやすい体型……のはずです。私は人間では無い上に生殖機能を持たないキラービーなのでその辺りはよくわかりませんが。あと露出多めのドレスを着用しています」


「ああうん、確かにそうだったね……」



 最初の森で出会ったクイーンビー様の姿を思い出す。



「クイーンビー様はおっぱいおっきかったし、お尻も太もももむちむちしてたし、なのにくびれはきゅっと締まってて凄いセクシーだった記憶がある。いやセクシーって言うよりはどっちかというと扇情的とか、肉感的……?」


「他の巣のクイーンビーも同じ様な見た目だと思いますよ」


「俺将来は絶対クイーンビー様に会いに行く!」


「そういう好意的な方は中々居ないので是非。あ、出来ればツギルクの東にあるクブリエの森に行ってくれると助かります。実家なので」


「わかりました!」



 何故か少年の将来が決定した。本当に何故だ。いやまあお互いにとって得しかないから良いんだろうけど……良いなら良いか。考えるのを止めよう。



「ははは、本当に愉快だな、ミーヤ達は。……それで?他の従魔兼嫁であるお主らはどうだ?」



 ロンさんの改めての問いに、ラミィ達は顔を見合わせて首を傾げた。



「……ラミィ、ラミア……。……今は、ラミアの集落、インキュバス……のお陰、で、繁殖……出来る。……でも、その前……大変だった、から、そういう……性癖……?あるの、多分……ラミア、助かる……と、思う……」


「俺は別に……その、俺、獣人だし。人間が人間以外を好きになるのが特殊だって言うんなら獣人なのに人間であるミーヤを好きな俺も特殊だし……い、いや違うぞ!?別にミーヤの事が交尾したいくらい好きだとかそんな事はまあ無くもねえし寧ろあるけどいやそうじゃなくて…………パス!!」


「あっコンずるい!じゃあ僕もパス!」


「パス権は無いぞ?」


「そんな!?」



 ロンさんの言葉に「僕元人間だからそこまで割り切れて無いのに……」と赤くなった頬を骨の両手で押さえながらアレクはくねくねと揺れた。



「……まあ、うん、その辺は好きにすれば良いんじゃないかなとは思うよ?僕としては生前結構複雑な家庭環境だったわけだしね。僕は真っ当に生きるのを強制されて死んだようなものだし、自分に正直に好きなように生きるっていうのは大事だと思う。僕死んでるからこういう系の話本当洒落にならないけどね!」


「我は蜘蛛の魔物だから目が多く、そのせいで数百年山の中に閉じ込められた事があるから自分の多眼はあまり好きじゃなかったが……ミーヤはそんな我を好きだと言ってくれたからな。特殊であろうが何だろうが、我が多眼なのは生まれつきだ。それを惚れた相手に受け入れてもらえるなら我はそれで良い。惚れても無い奴に興味も無いしな。それだけの話だろう」


「あ、次妾?うーん、妾は氷水晶だから人間の性欲関係はあんまりよくわからないんだよね。まあ好きなら好きで良いんじゃない?多少特殊でも魔物の中にはそれに一致する特徴持ってるのもそれなりに居そうだし」


「僕もアリスと同じく生物じゃない生き人形だから性欲系はわからない。性交渉用ならともかく、僕は人形として分類するなら愛玩用だからね。だから同じ様に、好きなら好きで良いんじゃないのと言わせてもらうよ。後はまあ……僕は子供が欲しいお母様に子供として作られた人形だ。それなら愛する者をと念じて作られた本達は平面的でこそあれ、それくらいしか僕との違いは無い。なら大した問題でも無いだろう。それを問題と言うのならそれは僕の存在否定にも繋がるからね」


「え、あ、俺は……楽しくて学べるなら、それで良いんじゃねえかって思う。自分の全部を締め上げられるのは、辛いから」


「最後は自分だね!自分は良いと思うよ!だって自分人魚だから!卵生だから!基本的に人魚って卵産んでその上に子種掛けてもらって子供作るんだけど、人間ってそうじゃないよね?だから自分からすると交尾して子供を産む方が特殊!そりゃ海には交尾する魚も居るし自分のお腹の中で卵を孵して出産する魚も居るけど自分とかの人魚は基本的に卵生だから!つまり人魚から見ると普通のままでも特殊に見えるから普通も特殊も一緒!大丈夫!」



 ……うーん、特色出るなあ。

 というか本当、うちの嫁達って男女で意識の差が結構あるよね。男性陣は結構難しく考える事が多くて女性陣は結構さっぱりとした考え方って感じだ。性別が固定じゃなかったり無性別だったりのイースとノアは色々深く考えてるけどその分割り切っててサッパリしてるって感じかな。

 全員の答えを聞いたロンさんは顎鬚を撫で、「そうかそうか」と満足気に微笑んだ。



「生徒達よ」



 ロンさんは椅子から立ち上がり、生徒達に優しく語り掛ける。



「少なくとも十人以上はこの学園を肯定的に見てくれる外部の者が居る」



 そう言って、ロンさんは皺を増やして微笑んだ。



「良い事だな」



 そんなロンさんの言葉に、生徒達が「はい!」と答えた。



「さて、そんな良い事があった矢先に何だが」



 ロンさんは時計を指差した。



「急がんと遅刻するぞ」


「うわあああああああ!」


「聞き入ってたら時間が!?」


「時間泥棒だ!時間泥棒が出たぞ!」


「やだちょっと私まだ髪整えてないのにー!」



 わあ一瞬にしててんやわんや。

 身嗜みを整える為に自室に戻る子や慌てて食べてる途中だった食事を口の中に詰め込む子、そして準備は終わっていたのか寮を飛び出して校舎に向かう子達と一気に寮内が騒がしくなった。

 と、同時に。寮から飛び出た子とぶつかりそうになって「わっ」と声を上げて「走るなよ!」と注意してから、寮内に入ってくる子が居た。



「おっはよーミーヤさん」



 手に持った本をヒラヒラ振りながらそう言ってこっちに来たのはジェラードだった。



「おはよ、ジェラード。……そういや居なかったね」


「そ、もー朝から学園長に呼び出されてさー……」



 少しの無言の後、ジェラードは恥ずかしそうに顔を隠した。



「今日の俺時間無くてメイク薄めだからあんま見ないで」



 薄め……?

 結構ちゃんとメイクされてるように見えるけどなと思いつつ「了解」と頷くと、ジェラードは「んでコレ、ミーヤさんに学園長から」と言って手に持っていた本を私に渡した。

 受け取ってその本のタイトルを見ると、



「…………実録!ではない男達の友情。勇者の仲間達~剣士と魔法使い~……?」



 何じゃこのタイトル。しかも「ではない」の部分がめっちゃ小文字。



「あ、本当に読めるんだ」


「え?」


「それ、解読して欲しいっていう日本語で書かれてる本。本来はそれの解読目的だったし、カモフラにもなるから解読よろしくって。あと解読したら書かれてる文章をこっちに書き写して欲しいって言ってた」



 そう言ってジェラードに渡されたのは白紙の本だった。

 成る程、確かにそうだね。解読はある程度進めておかないと不自然だし、そもそもの本題はコレだ。読むのは大丈夫でも書き写すのは大変そうだけど……まあ、多少時間掛かるくらいの方がカモフラにはなるか。



「んじゃ、俺授業あるから後はよろしく!」


「あいよー」



 校舎に向かうジェラードに手を振って見送り、身嗜みを整え終わったらしい子達が走って出て行くのを見送ってから、私は日本語で書かれているらしい本の適当なページを開いて読んでみる。



「……魔法使いよ、このままでは俺の伝説の剣がファイヤーボールのように熱くそして土魔法スワンプのように蠢くお前の中でクロスカウンターしてしまう。俺はお前を先にエクスタシーさせたいというのに……?」



 何だこの変な日本語。



エロだけどエロくない描写を追及した結果生まれるのはギャグ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ