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異世界で魔物使いやってます  作者:
ツィツィートガル編
203/276

ちょっと称号だけ確認しよう



 エヴァンさんから色々と聞いた日の翌日、の晩。現在私達はイースの作る晩御飯待ちだった。だだっ広い土地のど真ん中で、土魔法で作った椅子に座りながら私は言う。



「野宿するの、何か凄い久々な気がするよね」


「言われて見ればそうだな」


「俺、野宿って始めてだ、です」


「魔王城の後はヒイズルクニ、ヒイズルクニの後は海の王国に行って、そのままツィツィートガルの王都でしたからね」



 上から私、コン、ヒース、ハニーの順である。

 何故私達が王都から出て野宿をしているのかと言えば、メルヴィルさんに伝えられた指名依頼を請けたから。ちなみに依頼人はニーラクス学園の学園長からで、依頼内容は「かつての勇者の一人が書いた本が日本という異世界の国の言語で書かれていて読めないから解読して欲しい」との事だった。

 ……うん、何かもう、色々と脳内を駆け巡ったよね。

 ニーラクス学園ってユラさんが言ってたあの!?コミケみたいなマーケットを開いてるっていうあの!?てかユラさんがそこの卒業生だって言ってたからてっきり魔王国の学園かと思ってたらツィツィートガルの学園だったの!?とか、学園長!?何で!?私関わり無いよ!?とか、何で日本語読めるって事がバレてんだよ!って感じでそれぞれの荒ぶる私が脳内を駆け巡った。

 でも日本語読める事をどうして相手が知っているのかに関しては既にわかっている。

 何でもその学園長さんは王様と親しくて色々と報告を聞いているらしくて、まずは上級ドラゴンであるファフニールに頼もうとしたらしい。元異世界人であるアランも居るなら是非、と。しかし人間嫌いのファフニールは断固として断り、そしてしつこく頼まれるのを断る為に私の名前を出したんだとか。



「アイツは大体の言語を話せるし読めるという称号を持っている上、故郷が勇者伝説の濃い所だったらしくてな。故に地球文化に詳しいからソイツに頼め」



 ……まあ、そんな事を相手に言ったらしい。メルヴィルさんから渡されたアランからの手紙にそう書かれていた。あと「ごめん。マモレナカッタ……。亜乱」とも書かれていた。

 ちなみに手紙の文字は日本語で書かれてたっていうね。普通にメルヴィルさんの目の前で知らずに読んじゃって「あ、本当に読めるんだ」って言われたよ畜生。

 覚えておけよアラン…!今度、あの、アレだ。とりあえずヤマイモとかの精がつく感じの食べ物プレゼントしてやるからな。ファフニールに。絞られろ。あ、駄目だ今のアラン5歳だから無理だわ。どうしよう。よし、スタンダードにセレスにチクる方向にしようそうしよう。

 ……で、どうやらニーラクス学園とやらはツィツィートガルで一番大きい学園らしくて、場所は王都の南の方にあるとの事だった。ハイドと出会ったコブジトゥよりも南らしい。ただしコブジトゥは西側と南側に鉱山があるからという事で、今回はコブジトゥを経由しないルートに決定した。



「えーと…コブジトゥから王都までは確か三日だったよね?」


「はい。そして王都からニーラクス学園へは徒歩での移動だと一週間は掛かると言っていましたね」



 ハニーの返答に私は頷く。



「「馬車あるよ?」ってメルヴィルさんには言われたけど……」


「……ラミィ、幅……取る」


「我達も背が高い奴が多いし」


「人数も多いからね!でも自分陸を二足歩行する感覚楽しいから良いよ!それに陸に慣れてないのに馬車みたいなのに乗ったら酔いそうだし!」



 「あー、確かにそれもあるね」と私はマリンの緩くウェーブしている髪を梳くように撫でる。

 ……海の王の魔法ってやっぱ凄いんだね。まったく水気を感じない。でもマリンの髪には瑞々しさがあるし水分不足でカサカサってわけでもない。あ、そういや水気を飛ばす陸上生活用魔法以外にも人魚には特性みたいのがあったんだっけ。気合入れないと認識出来るようにはならない粘液が。ツヤツヤで瑞々しいキューティクルにはその粘液の効果もあるのかな?

 撫でつつ、ちょいちょい耳にあるヒレの感触を楽しんでいたらマリンは「ちょっと手伝ってくれるぅ?」とイースに呼ばれた。



「うん!自分料理作るのとかも興味あるよ!水中じゃ基本的に素材そのままだったからね!あ、ミーヤ!頭撫でてくれてありがとう!でも自分料理手伝ってくるから!また後で撫でてね!」


「了解」



 終わりの合図として頭を軽くぽんぽんとすると、マリンは可愛らしい笑顔でイースの方に向かった。……うっかりすると忘れそうになるけど、マリンって私より一個年下なんだよね。身長163センチはありそうで私より大きいけど。

 でも年齢を考えると爽やかなセーラー服がとても似合って……年齢考えると百歳オーバーの人魚もセーラー服着てたからこれは考えないでおこう。うん。年齢と絡ませるのはよくないね。セーラー服は人魚の服。私覚えた。



「……そうだわぁ。ミーヤ、ちょっと良い?」


「ん、何?」


「ミーヤのステータス、確認しておいたらぁ?」


「ステータス?」



 あ、そういや魔王国で確認したのが最後だったっけ。……んー、でも、



「魔王城からヒイズルクニ、ヒイズルクニから海の王国にって経由してる間全然バトルしたりしてないからあんまり変わって無いと思うよ?」


「確かに。ツィツィートガルに来てちょっとした依頼を受けた時に久々に魔物を狩ったって感じだったし、今日もそれなりに襲ってきた魔物は狩ったけど基本的に戦ってたの僕達だけだしね」


「ね」



 背後から覆い被さるように抱き憑いてきたアレクが被っている宝石が散りばめられたフードの中に手を突っ込んでわしゃわしゃとその透けた水色の髪を撫でると、アレクは「えっへへ~」と緩んだ笑みを浮かべた。可愛い。



「確かにスキルとかも増えてはないけどぉ、称号は確認した方が良いと思うわよぉ?増えてるからぁ」


「おうっふ」



 あー、あー、あー………そういやそれがあったか。バトル無くてもあんだけ色んな人と関わってりゃそりゃ称号増えるよね……え、やだ確認したくない……。



「確認しておいた方が安心感はあると思うわよぉ?」


「んーむ……」



 まあ、それもそうなんだよね……。

 仕方ないとでもいうような笑顔を浮かべながらくすくす笑うイースは可愛いなあと思いつつ、納得したので「そうだね、とりあえず称号だけ確認しよっか」と言って私はアイテムポーチからギルドカードを取り出してステータスを表示し、称号を確認する。



 名前:ミーヤ(17)

 称号:異世界人、(長いので略)、神のメル友、ゲテモノ食い、性差の壁無し、魔王の友人、高過ぎる順応性、SAN値MAX、貴族が困った時の頼り先、大衆の人気者



 おうっふ。



「……これは……」


「あー……でもホラ、前にゲットした神のメル友って称号よりはマシなのばっかだから!」


「それはそうだけども」



 でも神のメル友って称号に比べたら殆どがマシな気がするよね。まあ、うん、アレクなりに頑張ってフォローしてくれたんだろうと思ってアレクの頭を撫でておく。実際これフォロー難しいからね。よく頑張った。



「……とりあえず、詳細も確認してみたらどうだ、ますか、ですか?」


「うん、そうだね」



 近付いて私のギルドカードを覗き込んだヒースの言葉に頷きつつ、ヒースの頭も軽く撫でる。うん、最初のゴワゴワは何だったんだと思うようなふんわり手触り。

 さておき、称号の詳細はこうだった。



 ゲテモノ食い

 ゲテモノを美味しく食べれる者に贈られる称号。ゲテモノ枠にはタコやウナギも入ります。この称号を持っていると虫の素揚げのような見慣れないゲテモノ類を食べる時に不思議と拒否感が薄れて美味しく食べれる。


 性差の壁無し

 性別の壁を気にしない者に贈られる称号。この場合は心が女性であるなら完全に女性として認識するというタイプ。この称号があると性別の壁をあまり感じなくなる。性別にコンプレックスを持っている相手に好印象。


 魔王の友人

 俺達はもう友達だよな。


 高過ぎる順応性

 住めば都。アンタにかかりゃ地獄だって桃源郷サ。


 SAN値MAX

 SAN値が下がる光景を見ても耐えれた者の中でも抜きん出てやばい光景に耐えた者に贈られる称号。この称号があればどんな化け物を見ようとSAN値は減らない。精神的ストレスは知らん。


 貴族が困った時の頼り先

 貴族達にとっての駆け込み寺と認識された者に贈られる称号。正確には貴族とそれより上の存在から困った時の頼り先と認識される。頑張れ。


 大衆の人気者

 大衆から好印象を抱かれている者に贈られる称号。この称号があると名も知らぬその辺の人と長年の付き合いであるかのように仲良くなれる。そして身の上話が始まりやすくなるので時間が無い時は話を早めに切り上げよう。



 称号の詳細を書いてる奴出て来い!今すぐにだ!



「ゲテモノ食いは魔王城でのアレかな?」


「だからミーヤ様も虫の素揚げを普通に食べていたのですね。人間の女性は虫系を苦手とする事が多いから、流石に食べるのまではミーヤ様でも厳しいのではと思っていたのですが…」


「性差の壁無しってのは」


「多分アレじゃないかしら?ホラ、エドウィンと一緒にお風呂入った時の。エドウィンは体こそ男だったけど、心は完全に女だからって事で一緒にお風呂入ったから……うん、アレだと思う」


「魔王様、部下達とは気安い仲だけど友人かと言われると……みたいな感じだったからな。でもこれ謎に圧がないか?」


「……高過ぎる、順応性……は、わかる、気が、する……」


「結構あっさり馴染むもんな。お陰で俺らも気を張る必要無いんだって気を抜けるから助か……いや別にミーヤが気を抜いてたら一緒に何かゆったりした感じになったりとかそんなんじゃないんだからな!?ちゃんと周囲の匂いは確認してるし!」


「SAN値?ってのはわからないけど、何か凄そうだね!どんな化け物見ても平気って凄い!見た目で脅かしてくるやつにも余裕そう!」


「貴族の頼り先っていうのはミーヤに負担がありそうだが……そもそもミーヤには幸福の運び人という称号の効果でミーヤがどうにか出来るレベルの依頼しか来ないはずだからな。そう考えれば上客みたいなものか」


「大衆の人気者……ってのはいまいち腑に落ちないけど、何か納得。ジュース屋台のおっさんとかエヴァンさんとか、あとブラッドさんにアディさんもかな?いや、ファフニールもか……」



 通りで何かやたらと身の上話を話されるはずだよ。この称号の効果だったのね。

 ちなみに上からノア、ハニー、アレク、アリス、ヒース、ラミィ、コン、マリン、ハイド、私の順である。そんな風にそれぞれ私の称号についてコメントしていると、イースが「ご飯出来たわよぉ」と私達に呼びかけた。



「おお、待ってました!」


「今日は何だ?」



 ハイドの問いに、イースは「ふふふ」と微笑んだ。



「今日はお肉と魚が入ったお鍋よぉ。味付けは和風…というか、ヒイズルクニ風ねぇ。あ、ハニーの分は甘い味付けにしておいたからぁ」


「ありがとうございます、イース様」



 イースがよそってくれたお椀を受け取ると、中には野菜と肉と魚がたっぷり入っていた。おお、具沢山だね。全員に料理が配られた事を確認してからいただきますをして、それぞれ食べ始めた。

 よし、じゃあ私も食べよう。まずは野菜を……。



「………………」



 な、何かマリンからキラキラした視線が刺さるんだけど何でだろう。箸で摘まんだ野菜を食べると、マリンは惜しい!というような表情になった。



「……マリン?」


「!うん!何!?」


「いや何っていうかマリンの方がどうかした?凄い見てたけど」


「何でもないよ!ただ自分が手伝ったから、味とかどうかなって思ってるだけだよ!」



 ああ、成る程。確かに初めて手伝った時って相手がどんな反応するか気になるよね。とりあえず箸で肉を摘まんで食べると、マリンは再びあー……という表情になった。

 ……て事は、マリンが担当したのは魚か。まあ確かに人魚なら魚担当が妥当……か?妥当じゃない気がするけど、うん、普通に魚食べてたらしいから慣れた食材から慣らしていこうというイースの考えなんだろう。多分。少なくとも海で生きてきたマリンからすると陸の野菜や肉よりはハードル低そう。

 そう考えつつ箸で魚を摘まむと、マリンがわくわくした表情になった。あ、やっぱ魚担当だったんだ。



「あむ」


「!」



 摘まんだ魚を口に入れ、ゆっくりと味わう。ふむふむ、骨の感触は無し。皮はあるけど鱗はしっかり取ってあるっぽいからそのまま食べれるね。

 色が赤っぽかったから赤身系の味かと思ったけど、食べてみると白身系の味。マグロっぽいかと思ってたけど…まあ、鍋なら白身魚か。それに赤身のイメージがある鮭だってアレで白身魚らしいし、この魚もそういう感じなのかな。

 しっかりと噛み締めた魚を飲み込み、私は言う。



「美味しいよ」


「本当!?」


「うん。鍋だからほろほろって身が崩れるかと思ったら結構しっかりしてるし、でも噛むとすぐに崩れて良いね、コレ。生臭く無くて味をちゃんと楽しめるし、骨とかが引っ掛かったりもしないし、それに出汁も出てるのか汁も美味しいし」


「やった!」



 私の正直な感想に、マリンは満面の笑みを浮かべてガッツポーズした。



「料理の手伝いなんて初めてだし、そもそも料理する事自体始めてだったからちょっと心配だったんだ!でもミーヤが美味しいって言ってくれて良かった!」



 そう言い、私の方を気にしてまだ食べていなかったマリンはスプーンでお椀の中身を掬って食べ始める。



「んー……でもこの魚って何かな?色赤いよね?でも鮭では無いっぽいし…」


「ヒントは海の魚だよ!」


「……念の為聞くけど、こっちの世界にしか居ない魚だったりする?」


「そうよぉ♡」


「それってつまり私には答えわかんないって事だよね」



 くすくす笑ってるイースが可愛いから良いけどさ。ヒント出してくれたマリンには申し訳ないけどね。でも流石にこっちの世界特有の魚の名前は無理だ。わからん。



「まあ、美味しいから良いんじゃないかな」


「……それもそうだね、ノアの言う通り。美味しけりゃ良っか」



 そんな風に美味しい鍋に舌鼓を打ち終わってからお風呂に入ったりしていると、あっという間に夜は更けていった。



別にレベルが上がった時のステータスを考えるのが面倒だったわけじゃありませんよ(目逸らし)。

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