どうやら異世界で確定のようで
「あははははは!痴女って!あっははははは!」
「いや本当命の恩人相手に申し訳御座いませんでした」
現在、カオスである。
ついさっき角の生えたウサギにより腹に穴を開けられ臓物ブシャーで現世にサヨナラを告げなくてはという状況のところ、助けてくれた人がいた。背後に居たその人にお礼を言わねばと振り向いたら、その人は超絶美人でおっぱいボインでセクシーが過ぎる感じのエッチなお姉さんだった。
命の危機から脱したという状況で気が抜けていた私は思わず「痴女?」と言ってしまった。するとお姉さんは色気を振りまきながら笑い出し、私は土下座するしかなくなったという状況である。
いや、確かに土下座は突然が過ぎるかもしれないけど、謝罪は大事だと思うんだよ。笑い終わった瞬間に「じゃあ死ね」ってなるかもしれないじゃん。サイコパスな人だったらあり得るじゃん。
あとコスプレでも無さそうな外人フェイス。そして格好。だが言葉が通じる。
つまり媚を売るしか無いって事ですよ。
いやわかってる!アレでしょ!?異世界でしょ!?最近流行りの異世界へゴートゥーヘルな奴でしょ!?いやヘルでは無いかもしれないけど!
まあアレです。言語が通じる第一村人とは仲良くしなさいって奴だ。第一村人から話を聞かないとどうにもならないし、他の人も言語が通じるとは限らないし。
何よりこのお姉さん、一瞬で角の生えたウサギを燃えカスにした。
つまり強い人だ。
強い人のそばに居たいじゃん!弱い商人より強いしエッチなお姉さんの方が良いじゃん!
強い筋肉ムキムキ汗臭い冒険者と強いナイスバディ甘い香りのエッチなお姉さんならエッチなお姉さん選びたいじゃん!
女だっておっきいおっぱいが好きなんだよ!自分の胸はどっちかと言うとささやかだったから余計におっきいおっぱいに憧れがあるんだよ!
「あっはははははやめて!待って!思考!思考止めて!笑いが止まらなあははははは!」
「へ?」
思考?
とりあえず土下座スタイルを止め、普通の正座スタイルにチェンジした。
笑い転げるお姉さんにはどうしたもんかと考えていたら、どうやら自力でどうにかしたらしい。
うん、適当だけど本当にどうにかしたんだなーって感じじゃん?途中で、
「し、深呼吸…ップ、無理ぃ…っ!えーっと、そうね、落ち着いて…こないだの短小を思い出してテンションを下げないと…!」
って言ってたけどよくわからんです。
未経験の女子高生にはわかんないです。ええ、知りません。やっぱりエッチなお姉さんなんだなーとは思ったけど。
そう考えた瞬間にまたお姉さんが噴き出してたけど。
「コホン、ごめんなさいね?つい笑っちゃって…」
「あ、いえ大丈夫です。こちらこそ開口一番にお礼を言うべきなのに痴女って言ってごめんなさいでした」
「プフッ。フ、フフ、ええ、良いのよ。本当の事だものねぇ」
笑顔でそう言ってはいるけど、凄い震えてる。体も声も凄い震えてるよお姉さん。隠せてないよ。
深呼吸を繰り返してどうにか普通に喋れるようになったお姉さんは立ったまま話し出す。
「さて…貴女は…人間、よね?」
「そこ疑わないでください!人間です!森の物の怪とかじゃないです!」
「そうよねぇ。でも…」
お姉さんはじろじろと私の服とカバンを見てくる。
ごめんもうちょっと詳しく説明すると赤色が混ざってる綺麗な紫の瞳で舐めるように色っぽい仕草で見てくる。
これは男も興奮するよ。女の私でも色っぽさがわかるもん。
「プフッ、だ、だから笑わせないでって…!」
「え?」
…さっきからおかしくない?何も言って無いしやってないよね私?
でもお姉さんは笑わせないでと「私に」言った…もしかしてだけど。
「心、読めちゃう人だったりします?」
「ええ、私、心が読めちゃったりする人なのよぉ」
どうしよう。普通なら慌てるのに凄い納得してしまう。この人心読めてもおかしくないって謎の納得感がある。
だってこの人の笑顔揺らがないもん!信じれるっていうか信じたいレベルの凄い綺麗な笑顔なんだもん!あと今気付いたけどこの人の目の奥ハートなんだけど!リアルで目がハート初めて見た!!
ん?待てよ、心が読める人なら異世界から来ちゃったっぽいですとか言っても良いんじゃない?
普通なら異世界人ですって情報は伏せてド田舎から来ましたーって言うけど、これ隠しても無駄じゃない?
寧ろはっきりとこっちの事情を話してお助けくださいって言った方が良くない?
この後出会う人が良い人かわかんない以上、私を助けてくれたし美人だし良い匂いだしおっぱい大きいこの人と一緒の方がメンタル的に癒されるし。
「アハ、アハハハハッ。こ、心読めるって、言ってるのに!」
「あ、やっぱり心の声のせいで笑ってたんですね、お姉さん」
「試すためだけに笑わせないで!アハハハハ!」
いや、普通に素の思考なんですけどね。
「ところであの、心が読めるならわかっちゃったかも知れないんですが、私どうも異世界から来たかもしれなくて困ってます」
「フ、ッフフ、ふぅ…コホン。ええ、さっきそう考えてたわね。どうしてそう思ったのか、って…聞いても良いかしらぁ?」
「はい、普通に起きたら森の中だったのが異常の一つです。私帰り道歩いてたはずなのに森の中だし、夕方だったはずなのにお昼ぐらいっぽいし。あとウサギに角生えてました。ウサギはあんな肉食獣みたいなエグい目付きしないはずです。もうちょっとファンシーで可愛くて女の子にキャーキャー言われる感じの見た目のはずなんです」
私のその言葉に、お姉さんは私の目をじっと見てからふぅ、と息を吐いた。
「嘘はついて無いわねぇ。でも異世界から…前例はあるけど、でもねぇ」
「え、前例あるんですか?!」
小声だったが、前例があるという言葉に私は食い付いた。
前例あるなら話が早い!頭おかしい子扱いが回避可能かもしれない!
「前例はあるんだけど、一番最近のでも既に五百年以上昔の話なのよぉ。それも魔王様退治の為に勇者召喚っていう奴だったし…こんな森の中に捨てるような事はありえないわぁ」
「ごひゃっ……」
「当時の魔王様は私達から見ても良い王様では無かったから仕方ないと思ってるわ。でも今の魔王様は一応仕事もちゃんとしてるし、国との友好関係も結べてるし…何より、貴女は勇者じゃなさそうだものねぇ」
「はい、勇者とかあり得ないです。ここ来る前にチャラいイケメン神様とか色気ムンムン女神様とかのじゃロリ系女神様にも会ってません!」
「な、なんでそんなピンポイントなイメージなのよ…フフッ」
「テンプレじゃないですか」
「テンプレ?」
うわあ、この人首を傾げる姿すら色っぽいとか凄いな。というか普通に首を傾げる動きでおっぱいが揺れた。凄い。
しかもこの人の胸、紐に布…説明が難しいな。世界一の大泥棒な三代目の人がお城の映画の時に手品で出したような、あの、国旗?ああいう感じの布なんだわ。
要するに胸の大事な部分が見えないように、カーテンのように布が垂らしてあるのだ。
ただし隠れているだけ。下で留めたりとかしてないからこれ捲れたら普通にポロリってかフワァーオだと思う。
というかあの、今私座ってる状態で、お姉さん立ってる状態なわけですよ。ちらっと見えそうで見えないわけよ。でも上向いて寝転がったら見えそう。そんな感じの服を着てらっしゃるわけですよ。
最初の痴女呼びは仕方ないと思うんだ、うん。
「アハハハハ!貴女って面白い子ねぇ」
「え、あ、やべ心読まれてるんだった」
「うふふふふ、忘れててあの思考?」
「すみません…」
「良いわよ、面白いもの。さて…どうしようかしらねぇ。貴女のステータスを見る限り、剣士とか無理そうだし…魔法使いも微妙ねぇ。スキルに従魔契約があるみたいだし、魔物使いになって魔物を従魔にするのがおすすめかしらぁ」
「え?」
「え?」
今何て言った?ステータス?スキル?え、今私のステータスを見てって言った?
「言ったわ」
「心の声に返さないでください驚くんで。…え?ステータス?え?」
「…もしかして、「鑑定」スキル持ってな…持ってないわね」
「今確認しましたよね。ステータスとやらを見ましたよね。ステータスって…え?あんの?この世界あるんですかステータス」
「…言いましょうか?確認したいわよね?」
「したいですお願いします!」
どうやらこの世界には、ステータスがあるらしい。