人里で冒険者登録!って、やっと?
現在、人里に到着しました。
え、展開が速いって?だってずっと森を歩いてるだけだったんだから仕方ない。
とは言っても、まだ人里の中には入ってないんだけどね。
町があって、町の入り口には門がある。町の周りは塀で囲ってあって、イースいわく「魔物が入ってこれないように」とのこと。
そんで、門を通らないといけないんだけど…。
「身分証は?」
門番に止められました。
イースに予め言われてたから慌てず素直に「田舎から出てきたばっかりで持ってません」と言うと、門番は冒険者ギルドと商人ギルドの場所を教えてくれた。性に合ってる方で登録して、ギルドカード貰ってきたらまたここに来てギルドカードを見せるように、と言われた。
一応人質?みたいな感じで、銀貨一枚を持って行かれた。ちゃんとギルドカードを見せに来れば返してもらえるらしいから良いけど。
「ねぇ?大丈夫だったでしょぉ?」
「うん、もっと厳しいかと思ってた」
「うふふ、身分証を持ってない子なんてよくいるものぉ。あ、ギルドカードは身分証でもあるけどぉ、自分の魔力を通せば自分のステータスを見る事も出来るから便利よぉ」
「へー…」
「ヴヴー…」
冒険者ギルドへと向かいながらイースの説明を聞く。
あ、今町中なんだけど、あのお色気マックスな衣装じゃ色々と問題があるって事でイースは着替えました。………首や肩がガッツリ出てて、胸は隠してあるけど胸元は開いてる白いワンピースだけどね!ワンピースかどうかわからんけど多分ワンピース!もしくはドレス!チューブトップタイプの!
デザインがわかり辛ければ、とりあえず全裸にバスタオル巻いたイメージをしてみよう。んでその巻いてるバスタオルの足側の布をぐいーんと伸ばします。くるぶしくらいまで。ちなみに左側に思いっきりスリットあるからね。そんで、バスタオルの上から胸の下、つまりくびれを強調するように紫の布できゅっと締めます。はい出来上がり!
完全に夜のパーティとかに出れるよ!凄い美人だよ!似合ってるよ!でも結局露出が多いのには変わりないと思うんだけどどうなんでしょうか!?
「うふふふふ、だって胸元が見える服じゃないとぉ、ミーヤとの契約印が見えないでしょぉ?」
ちなみにさっきの門番さんと話した時、イースは姿を消してました。角とか隠してパッと見人間だし、回避出来る面倒事は回避したいもんねー。ハニーは私が魔物使いだから連れてますって言ったらオッケーだったけど、イースみたいに完全に人型だと色々面倒らしい。
……ギルドに行く道すがら、町中に色々な屋台が出ているのを目撃する。日本じゃ祭りの時くらいしか屋台なんて見なかったから新鮮な気分だ。
というか凄い視線を感じる。主にイースに視線が向かっているのを感じる。
視線を無視し続けて、どうにか冒険者ギルドに到着。
あー何かこれだけで疲れた。森の方が気楽ってどういう事だよ。
とりあえず、まずは受付のお姉さんに話しかける。
「すいませーん」
「はい、何でしょうか?」
「冒険者として登録をお願いしたいんですけど」
「かしこまりました。原則として、冒険者になるにはレベルが5を超えている事。そして登録料として銀貨一枚が必要となっております。よろしいですか?」
「はい、お金あります」
そう言って銀貨一枚をお姉さんに渡す。
ちなみにイースの授業で知ったが、この世界は紙幣が無いらしい。全部硬貨。
価値が低い順に、小銅貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨とある。
小銅貨は十円くらいで、銅貨は百円。銀貨は千円で金貨は一万円くらい。白金貨は一枚で五十万円くらいと一気に高くなる。基本的に庶民が使うのは銀貨までで、金貨は貴族やレベルの高い冒険者くらいにならないと使わないそうだ。
余談だが、イースは白金貨も持ってた。かなり古い硬貨も持ってた。今私が出してる銀貨もイースのお金だから頑張って稼いで返さないとって思う。
「はい、銀貨一枚ですね。お連れの方は?」
「私はただの付き添いだからぁ」
「かしこまりました。それではこちらの水晶に手をかざしてください」
「これは?」
お姉さんに聞くと、この水晶は相手の魔力で情報を読み取るらしい。それでステータスや魔力をギルドカードに印刷するらしいのだが、レベルが5未満だと出来ないんだとか。
へー、と思いながら手をかざすと水晶が綺麗な水色の光を放った。え、何これ?
「はい、オッケーです。こちらの水晶は前科が無ければ水色に、前科があれば赤色に光ります。前科があるとペナルティが付きますが、大丈夫のようですね」
ペナルティって何だろう。依頼を受ける時に依頼人に「この人前科持ちですけど本当に良いですか?」って聞いたりするのかな?やだ地獄。
「ただいま水晶にインプットされた魔力データなどをギルドカードに印刷していますので、こちらの紙に名前と職業、年齢をお書き下さい。文字の読み書きは可能ですか?」
「あ、はい。大丈夫です」
「ではどうぞ」
差し出された紙に、渡されたペンを使って簡単に書いていく。実に不思議だけど、文字の読み書きは日本語なんだよね。いや正確には全然日本語じゃ無いんだけど、勝手に書けるし読める感じ?本当に助かる。
とりあえず家名は無い人が多いらしいから、名前の欄にはミーヤとだけ書いた。
職業は魔物使いで、年齢は17っと…。
「え!?……失礼致しました」
何で17って書き込んだら驚いたんだお姉さん。そんなに私は幼く見えていたのか?…うん、イースに聞いてたから子ども扱いされる覚悟は出来てるよ…。かろうじて胸があるからある程度の年齢である事は察してもらえるわよぉって言ってくれたけど、それってつまり胸が無かったら完全にガキ扱いって事だよね。
……外人が大人っぽいのと日本人は童顔が多いってだけだもん!
さておき、書き終わった紙をお姉さんに渡す。日本の契約書とかを思い出すと凄い簡潔な紙だったけど、こんくらいの方がわかりやすいもんね。
「はい、きちんと書けていますね。問題ありません。こちらの紙に書いてもらった内容もギルドカードに登録致しますので、少々お待ち下さい」
「はーい」
「待っている間に、質問などがありましたらお答えしますが」
一応イースが説明してくれたが、確認の為に聞いてみようかな。
「かしこまりました。まず、ギルドに関しての説明をさせていただきます。ギルドとは冒険者として登録し身分証となるギルドカードが発行出来る場所であり、依頼を受ける場所でもあります。一般の方は、困った事があればこちらに依頼をしにきます。ギルドは冒険者ギルドと商人ギルドがあり、商人ギルドの方では商人としての活動がメインです」
ふむふむ、やっぱりよくあるファンタジーって感じだ。
商人が護衛の依頼をする時は商人ギルドの方に貼り出されるんじゃなくて、ちゃんと冒険者ギルドの方に貼り出されるんだね。んで、何か売りたい物があったら商人ギルドの方に登録する事、っと。あ、魔物の素材を売ったりは冒険者でも問題無いのね。そりゃそうか。
「ギルドのルールですが、まず受注した依頼の日程は厳守する事。一度受注したらキャンセルは不可。どうしてもキャンセルするのであればキャンセル料が必要となります」
ああ、うん、そりゃまあね。仕方ないよね。
だって悪い冒険者が依頼を受注して、日程のギリギリでキャンセルを繰り返すような事をしたらギルドの信用は地に落ちるだろうし。金で解決出来るだけありがたいと思おう。
「もっとも、実際に受けた依頼の内容が聞いていた内容と違っていた場合は要相談です。依頼人の方と話して、本人達で納得するのであれば終わってから報告、という形でも問題ありません。ですが念の為、出来るだけ先にギルドに報告してくださいね」
「はい」
「依頼には庭の草抜きや壊れた棚の修理から魔物の討伐まで幅広くあります。魔物の討伐依頼を受けたら討伐した魔物の特定部位をあちらの窓口に見せてください。見せた部位はギルドが買い取りをいたします。何故かと言いますと、冒険者の中には特定部位を使いまわす最低冒険者もいますので」
あ、前に聞いたなコレ。
「特定部位以外の魔物の素材や肉の売却は任意で行ってください。あまりに状態が悪い素材は買い取れませんのでご注意を。ちなみに隣の倉庫のような建物では魔物の解体も致しますので、解体が苦手だったり出来ないのであればそちらをご利用ください。先に言っておきますが、有料なので忘れないように」
「はい」
「そして冒険者同士での争いに、我々ギルドは関与致しません。絡まれたとしても自己責任。ただしギルド内での争いは厳禁ですので、最悪の場合ペナルティとなります」
だから何なんだよペナルティは。
「ペナルティって?」
「ペナルティは、冒険者のランクを一段階下げます。冒険者のランクについても説明が必要ですか?」
「一応お願いします」
「了解しました。冒険者のランクは上から、SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、G、となっております。新人はGランクからスタートですね。Bランクがペナルティを受けたらCランクに、Eランクがペナルティを受けたらFランクに、Gランクの方がペナルティを受けるとギルドカードを剥奪、という形になります」
「うっわ絶対ペナルティ受けたくない」
「こちらとしてもそうしていただけると助かります」
ところでさっきからお姉さんの表情が完璧な笑顔なんだけど。作り笑顔だなってわかるレベルで完璧過ぎて怖い。受付という壁よりも高くて厚い心の壁を感じる。
「Gランクは家のお手伝いや薬草摘みの依頼しか受けれません。報酬も子供のおこづかいレベルです。しかし、Gランクの依頼を幾つかこなせばFランクへと上がります。Fランクからは報酬の高い魔物の討伐依頼も受けれますが、それで怪我をしても自己責任でお願いします。依頼が貼られているボードはあちらにあり、入り口から見て右側のボードがDランクからGランクまでの依頼です。入り口から見て左側のボードがAランクからCランクの依頼ですね」
成る程、わかりやすい。
「依頼にはそれぞれの難易度でランクが振り分けられており、依頼のランクより低いランクでは受理出来ないルールになっております。何故かと言いますと、Dランク向けの魔物を討伐しにFランクの冒険者が行くと大体死体となって帰ってくるからです。万が一、どうしても、やむにやまれぬ事情があるのであれば、命の保障はしないし責任を持ちませんという契約の元見送ります。ですが今の所それをやって依頼を成功させたのは一割いるかいないかですので、命を大事にしたいのであればおすすめはしません」
「はい、無茶は絶対やりません」
「そうしてください。説明は以上となります」
「ありがとうございました!」
「そしてこちらが完成したギルドカードとなっております。今表示されているのはミーヤさんの名前と職業と年齢だけですが、ミーヤさんの魔力を流す事でステータスが開示されます。HPやMP、スキルや称号も見れるので便利ですよ。その代わり、人前では確認しないように。もしそれで何かが起きても我々は責任を持ちません」
「はい」
毎回責任取ってたらギルド潰れるだろうしね。
「ギルドカードは無くしても再発行出来ますが、最初を含めて三回までとなっております。四回目の再発行は出来ません。ギルドカードを無くすと再発行時にランクを一段階下げるのと、罰金として金貨一枚が必要となります。これはギルドカードで悪行を行われる可能性があるのにギルドカードを無くすという管理の甘さに対する罰ですので、絶対にこの処置は受けていただきます」
「了解です。絶対無くしません」
「はい、そうしてください」
そして受付の人はさっきよりも柔らかい笑顔でにっこりと笑った。
「それでは、楽しい冒険者ライフを!」
その言葉、ギルドの受付の決まりかなんかですか?
そう思うくらいには、心が篭っていない言葉だった。




