3. 従僕
「まったく...調子が狂うわい」
僕はなんて愚かなのだろうか、あろうことか最強の悪魔の住処で寛ごうとは、こればっかりは自業自得と言わざるを得ない(棒読み)
「本来ならば貴様の四肢を切断して、迷宮の入口に飾ってやりたい所だが...」
「(めっちゃ怖い事言ってる)」
「よし、その悪運の強さと大量の餌をもたらしてくれた事に免じて、『儂のしもべになる』と言へば許してやらんでもないぞ?」
「...悪魔に魂を売れってか。」
元々僕には罪は無い。しかし、これは魔族側に加担するという事になる。真に大罪人となるのだ。
「そういう事になるな。だが、今の貴様であればデメリットは無い、と断言しても良い。単に気持ちの問題だと思うがな?」
「....」
ここで蹴れば僕はこの少女に先程言っていた通りにされるだろう。しかし僕は...
いや、ここで死ねば散っていった仲間達はなんだったんだ。復讐をするのではないのか、母を守らなくてはいけないのではないのか。僕は決心した。
「...分かった、お前に従うよ。何だってやってやるよ。」
「口を改めろ、と言いたい所だがな。よろしい、たった今からお前は儂のしもべになった。」
「手始めに名前を聞こうか、小僧。」
「アンドレ、クラスは魔術師だ。」
「アンドレ、か。儂のことは”アルカルド”と呼ぶがいい。あまり『お前』などと言うなよ。」
「...わかったよ。アルカルド..」
「ふふんっ」
という訳で大悪魔の女の子とのダンジョン生活が始まった。
すると手始めにとアルカルドはこんな事を言って来た。
「うちの事務所ではなぁ、小僧のようなちょいとかじっただけで消滅するようなちっぽけなヤツには『けんしゅうきかん』という制度を設けておる。クルーを採った事は無いし、たった今決めた事だがな。」
「?」
「要するに、この儂がお前に魔道を教授してやると言っているのじゃ。感謝するがいい。」
「アルカルド、呪文使えるの?」
「あ?全部使えるわい。魔術師呪文も僧侶呪文もじゃ。儂を誰だと思っている。」
「疑うなら今ここで試してもいいんだぞ?」
彼女の周囲に魔力が集められ...
「ストップストップ!」
「むぅっ...」
冒険者の中には、このふたカテゴリの呪文を同時に覚える事は可能であるが、高レベル呪文の習得が遅れるという理由で、唯一、両方使える”司祭”のクラスにいきなり就くことはあまりお勧めされてはいない。
「アンドレは今何が使えるのじゃ?」
「えーとね、”火炎”と”睡眠”だけかな、使えるの。」
「物足りんが...新卒ならそんなもんじゃの。」
訓練生段階の魔術師ならこれだけ覚えているだけでも卒業できるレベルなんだが、以後はそれを軸に術を強化、枝分かれさせていく事になる。
「ならば...早速じゃが、”クリアネス”を習得してもらおうか。」
「いきなり習得⁉︎」
アルカルド先生の魔法教室が開講する...




