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見習い魔術師とちっちゃな真祖  作者: であぼろ
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37. ミキサーブレード

 ここは迷宮の四階層である。

 最下層のモンスターより少し格下とはいえ、人間視点では十分にバケモノと呼ばれるようなものらが跋扈する中を、少女が歩いている。それらよりさらなる次元の悪魔達を引き連れて。


 フシュゥゥ...


 過剰とも言える面子だが、こうでもしないと、これからやってくるであろう、あの『四人組』を倒す事は難しいと、彼女は考えている。いつもは傲慢にでかい口を叩いていたが、実力を測りそこねる程馬鹿では無い。


 だからと言って、彼女は自らの滅びを覚悟した訳では無いし、残していった者らに、「もしもの事があれば」などと話していない。

 必ず勝ち、オールスターズに流れる最上の血液を我が物に出来ると思い込んでいる。したがって、彼女の表情は自然と笑っていた。


 そしてアルカルドはある地点で立ち止まり、彼らを恋人の如く待つ。それから十数分程経過すると、彼女は何かしらの変化を感じ取った。

「(モンスター共の気配が無くなってきた...)」

 その時、アルカルドは予想が当たった、と思った。それと同時に、モンスターとは別の大きな反応が近付いてくるという事も感じた。


 とうとうそいつらは彼女の前に姿を現す。上層の怪物程度ではものともしないぞと言わんばかりの足付きで、迷宮の大ボスへと歩み寄る。


「待ちかねたぞ」


 照明の呪文を浴び、小さな姿を晒すアルカルドは来訪者達に軽く挨拶をした。その後ろの怪獣達は、彼女の口先や動作一つで襲いかかる準備は出来ている。


「お前がここの主人だな...」


 最初に言葉を発したのは、先頭のトシオと呼ばれるサムライだ。道半ばで会ったにも関わらず、彼は彼女を迷宮の支配者であると見抜いていた。


「如何にも!」


 アルカルドはそう力強く肯定すると、腕をばっ、とかざした。


 ...!


 その『合図』を確認したブラックドラゴンの群れは大口を開いて熱気を集め、巨大な悪魔達はブツブツと呪文を練り始めた。

 同時にトシオとその仲間達も、モンスターに対する準備を整えた。


「来るぞ...!」


 ウオォォォォム!


 直後、ドラゴン達が勢いよく吼えた。耳をつんざく轟音は、地獄の業火となって、目の前の外敵らを焼き尽くさんと突き進む。


「(さて、どう出てくるかな)」


 津波の如く押し寄せる大量のブレス攻撃。並の冒険者ならば、数人分の生命力を刈り取られ、灰を通り越して、肉体が消滅するであろう圧倒的熱量。

 しかし、四人の勇者達は、目を背けず、瞑らずに直面していた。トシオと、『君主(ロード)』のバナンの二人は、ブレスに構わず駆け抜けようとする。


 勿論、これはやぶれかぶれな行動では無い。

 次の瞬間には、二人の後ろから飛んできた呪文とブレスがぶつかり合い、相殺されたからだ。

 ブレスをかき消したのは、エルフの魔術師、エーコと、司祭のヨクと呼ばれる呪文使い。

 魔術師系最上位呪文の『核撃』と、僧侶系最上位呪文の『神の怒り』を用いて、無理矢理無力化する荒技。これが許されるのは、この一団だけだ。


「ッつあぁぁあ!」


 相殺によって出来た煙霧を抜け、顔を出したのは、トシオとバナン。


 シュパ、シュパンッ!


 二人はそれぞれの得物を、攻撃後のブラックドラゴンへ振るい、突き立てた。


 ギエェェェェェェェエ!


 刃が通り過ぎた時、二体のけたたましい断末魔があがった。一体は正確に急所を射られ、もう一体は、頭から胴体に至るまで寸断されていた。


「やるな」


 モンスターを切り捨てた二人は、残りのドラゴンをすり抜け、続け様にアルカルドへ詰め寄る。


「大人しく最後尾で見ていればいいものの! くらえ!」


 『ムラマサ』と、バナンが持つ渦巻き状の『ミキサーブレード』が迫った。



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