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見習い魔術師とちっちゃな真祖  作者: であぼろ
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33. 大炎の呪文

 独り言のように呟いて、ソファに横にしているアルマを見やった。勿論、ただ見やっただけだ、そこには何の気持ちも無い...

 多分...

 だが、見過ぎても何も思わない保証は無い。よこしまな感想がチラつく前に視線と話を戻そうとした。


「まぁ、アルカルドはいつも通りに過ごせと言ってるんだ、シェリダンさんが良ければ、今回も指導を頼むよ」

「ええ、勿論ですわ」


 またニッコリと微笑んで頷いて貰うと、僕は棚の方から赤い書物を取り出して、まだ開かないが、それを彼女によこす。


「3ページ目からでしたよね」


 強力な魔術師でもある彼女はその先をある程度知っている為か、平気だそうだ。

 なので、僕は魔法を学ぶ事において、原典は“読んでもらっている”。就寝直前の年端もいかない子供が母親に子守唄を聞かされるように幼い行為だが、あれは教本であると一緒に、『指導者』向けの優れたマニュアルでもある。無理をし過ぎ無いようにと彼女がその方法を勧めてくれたのだ。


「今回は何処までやってくれるんだ?」


 シェリダンさんはページをめくりながらキリの良い所を探している。しかし、めくり過ぎないか?


「じゃあ、“大炎”呪文の習得まで頑張っていただきましょうか、ざっと24ページ目まで!」

「ちょっと多くない...⁉︎」


 今までは1、2ページとちまちまやっていたが、これは大きく出過ぎだ。『読んでもらってる』とは言ったが、整理がついた段階で、僕も原典を少し見るので、それでも痛みは伴うものだ


「弱音は吐きません、嵐卿の始末と今回の冒険を乗り越えたアンドレ君なら、それに耐えうる十分なキャパシティを持っているはずですよ」

「そ、そんな実感は無いけどなぁ...」


 シェリダンさんは少し叱りつけるような表情から、またまたニコリと笑みを見せた。この場合にされると、かえって恐ろしくなってきたぞ...


「時間もある事ですし...ね?」

「オス...」


 元気の無い返事をした後は、取り組みを始めた。シェリダンさんは手始めにと呪文の概要を語る。


「“大炎”は、“火炎”や“火花”よりも出力を高めた上位の呪文ですが、形式は人によって異なります」

「まずは自分に合ったタイプを決める、という事か?」

「話が早くて助かります」


 それを聞いて、訓練所にいた時を思い出した。あの呪文は放射状に吹き出すものもあれば、光線状に集約させるタイプなどあり、様々だ。また、“大炎”の習得が、職業的地位の低い魔術師のターニングポイントという事もあってか、同僚達の間でそれを考えるのは、ちょっとした楽しみの一つだ。

 ちなみに僕はもう決めている。


「僕は、『光線』の方向でいこうかな」


 かといってマイナーな奴を選ぶつもりは無い。しかし、僕にとって、これは一番身近なものだ、父とお揃いだし。


「あら、私と一緒ですね」

「へぇ、そうだったのか」


 意外にも彼女もその方法をとっていたと聞くと、少し嬉しい気分になった。まぁ、ポピュラーな部類だから被っていてもおかしくは無いけどな。



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