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見習い魔術師とちっちゃな真祖  作者: であぼろ
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10. 人外共め

「はぁ...はぁ...」


 地下3階、2階も隅々まで歩き回ったアンドレ軍団。最早彼の足は乳酸漬けであった。


「もう無理無理戦えなくなる...」

「お前達もそう思うよなー?」


 しかし、アンドレの声に応じてくれる者は居なかった。何故だ。ペンタグラムから召喚したモンスター達は忠実な筈なのに。


「人外共め...」

「諦めてくださいな。アンドレ君」


「と、言いたい所ですが、上階に進む前に一休みしましょうか」


「やったぁ!」


 溜まりに溜まった疲労感からの解放に思わず声を出してガッツポーズを決めてしまったアンドレ。何だか子供のような気分だった。


 という訳で、アンドレ達はダンジョンのフロアに腰掛ける事にした。




 アンドレに付き従う魔物の群れも同じく膝をついたが、中には三角座りをするゾンビもおり、思わず口を抑えてしまった。


「どうしたのですか?」


「...いや、大した事じゃないんだけど、敵の場合と味方の場合の落差を考えるとつい...」


「ふふっ、ちょっと分かります」

「私も最初、そんな感じの反応をとってましたから」


「え?」

「...いや、そうか」


「?」


 彼女が元人間だという事に一瞬疑いを持ったが、

 そもそも『ヴァンパイアロード』以外の個体は、人間が強い呪術に自らかかるか、ロードが対象の血を啜り『感染』させて出来あがったものだった。


 人間からヴァンパイアへの心境の変化でもこの際だから問いたい所だが...


 ぐぎゅるるるる...


「....いい時期だな」


 そんな事よりも食べたい欲求に駆られたアンドレ。


 幸い、携帯食がまだ残っていたので、モンスター達をよそにそれをかじった。


「...げっ」


 しかし、アンドレの様子を嗅ぎつけ、ヴォーパルバニーのグループがこちらへ駆け寄ってきた。


 *物欲しそうな目でアンドレを見ている*


「や、やめろ。そんな目で僕を見るなよ」


 三匹のウサギに囲まれて口を動かせないでいるアンドレ。


 兎に角近いし、鼻息が荒い。これ以上顎を動かせばすぐさまクリティカルをお見舞いされそうだ。


『飼い犬に手を噛まれる』ならぬ『飼い兎に首を切られる』なんて洒落にもならない。飼ってないけど。


「...そりゃお前達もお腹は空くもんなぁ...」

「その代わりちょっと撫でさせろよな」


 観念して携帯食を差し出そうとした時、


「!」


 ウサギ達は他の何かを感じ取ったのか、別の方向へ飛び去ってしまった。


「えぇっ、そんなに嫌なの⁉︎」


 ショックを受けながら、ヴォーパルバニーの向かった先へと振り向くと、


 なんとウサギ共は、何故か持っている謎の肉を吊るしたシェリダンに群がっていた。


「....」


「はいはいケンカしないで下さいねー」


「何それ」


「『ブリーブ』の肉ですよ」

「ぶ、ブリーブ?」


『ブリーブ』とは、大きなカエルのようなモンスターと聞いている。

 しかし、食べられるものかどうかまでは聞いていないが...


 シェリダンはまたもや、何故か持っていたナイフを用いて、三つにおろした。

 そして、ウサギ達にそれをやると、そいつらは待ち兼ねたかのようにガジガジと高速で貪った。


「ウサギって草食じゃなかったっけ?」

「この子達は雑食です。何でも食べますよ」


「ヒトだって、ね」


「...ごくり」


 言葉よりも彼女の微かに見せた微笑みが怖い。


「アンドレ君も、食べます?」


 シェリダンは謎の黒い立方体からまたもや先程の肉を取り出した。


「食べるって、それ生じゃないか」


「そうでした。貴方人間でしたね」


 そう言って彼女はつまんだ肉をちゅるん、と口に入れた。

 そして普通に咀嚼している。


「...吸血鬼も雑食なのかな」

「毒でも喰らえますよ」


 ...普通に答えないで欲しかった。



 それにしても『黒い立方体』が急に湧いてきたが、何だろうか。そこからカエル肉を取り出したようだが...


 分からないままにしておくのもアレなので彼女に尋ねようとしたその時、


「!」


 こつん、こつん、と複数の足音らしきものが響いてきた。


 発生源は階段の方向、数は...およそ6人。大抵のパーティはその人数で組まれるので、冒険者の可能性が高い。


「聞こえるか、シェリダンさん」

「ええ」


「敵襲だ」










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