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見習い魔術師とちっちゃな真祖  作者: であぼろ
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9. 謀反者達は

「...流石に、いきなり最深部まで潜り込める冒険者はいなかったな」


そりゃそうだわな、この階層で見る奴はどいつもこいつも伝説級のバケモノ揃いだ。一体何回ビックリしたことか。



そんな訳で地下4階にやってきたのだ。

心なしか、プレッシャーが軽くなった気がする。


「こんな所でも冒険者が出られたら困るんだけどね...」

「シェリダンさん、もう急ぎ足で階段まで行きたいよ...」


「駄目です。しっかりマップを把握して頂かないと」

「ね?」


「はーい...」


ちなみに“クリアネス”の呪文は、一度通った地形でないとはっきり目視出来ないといった制約がある。なのでフルに活用する為には、一度マッパーに徹しなくてはならない。“回収”のついでであるし、彼らはどこで迷っているのか分からないのだ。


この後はバッチリともう一フロア中歩かされた。



「お前達はよく疲れないなぁ...」


死体にはスタミナの概念は無く、ウサギは天然の超脚力があるので分かるのだが、プリースト達は元々僕と同じヒューマンではないのか。息の荒い様子は無いし、どうなってるんだろう?デスマーチを生き抜いた猛者なのかな?


おんぶでもして貰おうと思ったが、流石に外道だからやめておこう。


まあ、これから人の道を外そうとしているのだが。



ーーー



T.レーゼの城にて



「...よろしいのですか?」

「何がだ?」


城内の通路では、一人の騎士が、隊長であるマーカスを早足で追うようについていっている。


「かの“御触れ”の事ですよ、もし冒険者によってあの洞窟が攻略されれば...」

「その時はその時だ。この『計画』はレンガの家では無いのだ」


未だ、かの洞窟を制覇してのけた者はいない。


しかし、見かけは小さなほら穴故に、新米はマージンを踏み違え帰ってこず、熟練の冒険者には、見返りが少ないと考え、素通りされる。


そんなこじんまりとした穴ぼこに、戦士達が殺到しようとしているのだ。その事に部下である騎士は、心配をしている。


「 ...大丈夫でしょうか?」

「弱気になるなよ。我々の『悲願』を達成する前に命を落とす事になるぞ」

「それもそうですね...すみません」


この“御触れ”によって、冒険者がこの国に集うという事は、武器防具がより売れる。死人や怪我人も沢山出るので、寺院稼業も更に儲かるなどの経済的な効果が予想される。二度は無い程の一大景気に突入しようとしていた。


しかし...


「マーカス様、大変です!」

「なんだ」


また騎士が一人、慌てて駆け寄ってくる。鎧越しだが、ただ事ではなさそうだというのが分かる様子だ。


「南の酒場で喧嘩が...!我々では手に負えないので至急、応援をお願いします!」


はぁ...、と無意識にため息をついてしまった。ここの騎士はやわに出来ていない筈だが...一体どんな規模の喧嘩をしているのだか。


「軟弱な奴等め、すぐ向かう。行くぞ」

「は、はい!」


騒ぎが行き過ぎれば、それは諍いへと発展する。そして、いずれ諸国から冒険者が集まれば、考えや文化の違いにより、更なる軋轢が生じるだろう。


仕事が多くなりそうだ。だが、もう少しの辛抱だ。




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