記憶の断片かそれとも
場所:どこかの村
世界は暗闇に満ちていた。
昼夜を問わず、空には暗雲が垂れ込めている。
男「あの日から、ずっとこんな空模様か。魔物の活動も一層酷くなったし、恐らく神さまは。」
とある村の一軒家。
室内から窓越しに空を見つめ、男が呟く。
男は屈強な体付きをしながら、どことなく優しい雰囲気を持っている。
女「悪い方に考えるのはやめましょう、あなた。」
男の側に寄り添っている女が答える。
優しさが滲み出たような佇まいをしている。
腕には、まだ口が聞けないものの、天使のような笑顔を女に向けている赤ん坊が抱かれている。
男「しかしだな。中央の都市に行ったものは帰って来ず、都市は魔物に占拠されたという噂もある。いかにここが片田舎と言っても、魔物に襲われる日も遠くないかもしれない。もしそうなったら、私はお前とこの子を...」
赤ん坊の頭を撫でながら、男は不安を露わにする。
女「やめて下さい。あなたも私も、この子の成長を側で見守り続ける必要があるんです。どんなことがあっても」
女は男の話を遮る。
女「大丈夫ですよ。きっと神さまは、今でもこの世界を見守ってくれてます。そうでなければ、身体が弱かった私に、こんな元気で可愛らしい赤ん坊は産めなかったんですから」
自身にもある不安を隠し、女は赤ん坊を愛おしげに見つめながら続けた。
赤ん坊も、まるで話を理解しているかのように、より一層の笑顔を男に向ける。
そこで、夢は終わった。