異世界よ、こんにちは
とうとう始めてしまいました。
ちなみに小説大好きです。
しがない社畜、奴隷には隙間の時間に読む小説は心のオアシスです。
時間は遡り数時間前。
時間は深夜2時。
明穂はパソコンの画面を眺めていた。
「あなたも異世界に行きますか?だって…ぶふっ、何が異世界だよ。しかも時間指定してあるじゃん。どこぞの地獄の女の子だよ」
明穂は画面を下にスクロールしていく。
ちなみに独り言が多いのは残念な性格とあまり友達が…とか、性格の問題である。
ーーあなたは今の世界を捨てる勇気はありますか?
準備が出来た方は項目を埋め次へをクリックして下さい。ーー
明穂はどんどん空白の項目を埋めていく。
名前 アキ
使用武器 ⬇︎グラディウス(片手剣)
「ふむふむ、沢山種類はあるが武器なんて握ったことすらないからなぁ。なんかグラディウスってあれだろ、洋画の闘技場のやつ。あれの主人公がローマのコロッセオで使ってたやつ。これでいいだろ」
意外にノリノリの明穂である。
次々に空白の項目を埋めていく。
「服は、今のままっと。スーツ着っぱなしだったなぁ。所持品はカバンの中身でと…」
明穂はビジネスカバンの中身を漁り出す。自分の部屋にあった必要そうな物品を入れていく。
「えぇっと、カロリーフレンドに美味しい水道水のペットボトル、あと、ノート…ちょうど新しいのがないな。コピー用紙でいいか。ボールペンに…うひょ〜そういえば、おやじが持ってて貰ったこれがあったなぁ」
明穂の手にされているのはなんと『金』である。しっかりと99.9と刻印され5gと表示されている。
本人が言うには何かの懸賞に応募し当たったといっていた。
当時珍しさからリビングの棚に飾ってあったが埃を被るまでそう時間はかからなかった。気がつけば明穂が勝手に貰ったといい部屋に飾ったのである。
そして既に飽きつつ、カバンの中に適当に入れていく。
趣味という趣味も無いため、またビジネスカバンの容量的にもあまり沢山は入らなかったが、スリムなりに入るところまでは入れた。
カロリーフレンド
ペットボトル入りの水
コピー用紙10枚
ボールペン2本
金5g
財布
スマホ
煙草
ライター2本
栄養ドリンク
「なんか、明日の仕事の準備品みたいだな。まぁ明日は休みだから仕事はないけど。まぁ所詮…異世界なんて小説の世界だけだろ。しかも一番下にはアフィリエイトのバナーあるし…うさんくせぇ」
そういいながら明穂は『次へ』をクリックする。
能力を入力して下さい。
「ふむ。意外に細かいな…えぇっと、職業はと…魔術師と。まぁうん、リアルでも魔術師だがな!生まれて25年目だよ!そんで…うわぁめんどくさ!スキルは10個までかよ。しかも魔術師のスキル多いな。個別スキルまであんのかよ」
くだらない独り言をいいながら適当に決めていく。
「だいたいこんなもんだろ。職業が魔術師なのにグラディウスとか…剣は男のロマン!気にしたら負けだよな」
職業 魔術師
魔術師スキル
飛行 回復 闇属性 風属性 魔術知識
個別スキル
異世界知識 言語理解 接近戦知識
空間把握能力 不死身
「うわぁ…我ながら完全に中二病だな。まぁこれだけあれば異世界には困らないだろうし、テンプレ乙!しかもなぜか少し楽しいな。」
そして『完了』のボタンをクリックする…。
………。
「あれ?読み込まないなぁ」
しばらくしてもページを読み込まない。
404 not found
「ん?おかしいなぁ…」
更新ボタンを押しても404 not foundの文字が表示されるのみ。
「なんだ…結局かよ。あぁ〜あ無駄な時間使っちゃったなぁ」
次の瞬間、画面から眩しいほどの光が溢れることはなかった…。
「まぁ、わかってたけどね」
明穂は溜息を尽きながら椅子から立ち上がり、凝り固まった肩を揉みながら部屋の扉を開ける。
「とりあえずビールでも飲みながら適当に寝るか。風呂は明日でいいや」
そういいながら前を見ると家の見慣れた廊下では無かった。
目の前には夕暮れ時の森が広がっていたのだ。
咄嗟に振り返るが部屋の扉はない。
扉の代わりに後ろも前も森の中である。
「わぁぁお。何故に!?」
急速に回転する脳内の思考。
だが、考えられるのは一つ。
先ほどのネットのサイトしか思いつかない。
「まじかよ…」
面白半分で入力した画面。
「今さっきの自分をぶん殴ってやりたい気分だぜ…」