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突然キッス!

「雅人……」

沙紀がふっと目を瞑る。

俺は、沙紀の唇にちゅっと軽くキスをした。

「あん……」

沙紀が少し不満げに俺を見詰める。

「ダメだぜ、沙紀。外には、お前の息子が居るんだ」

今までの人生の中でも最大限のやせ我慢をして俺は囁く。

「雅人、変わったね」

ふっと微笑みながら沙紀がもう一度、俺の唇に軽くキスをする。

「お前と付き合ってた頃の俺なら、こんな状況でもヤってたな」

クスリ、と笑い合い、俺達はぎゅっと抱きしめ合った。

「雅ちゃん、お汁粉出来たわよ〜!」

「は〜い!」

おばさんの声が響き、ドタドタと雅紀が部屋を出て行く。

俺達が押入れからそうっと出て、ささっと裏口に向かった。

「じゃあ、とりあえず靴借りてくわ」

「うん、今夜電話する」

沙紀と携帯番号を交換し、俺は雪がうっすらと残った道端をさくさくと歩く。

鼻の置くに、沙紀の薫りが残っているのを感じ、ついニヤけてしまった。


「ただいま」

ガラガラとドアを開けて家に入ると、

「あ!雅人さんお帰りなさい」

ピンク色の振袖を着た義姉さんが俺を出迎えた。


うお……可愛いじゃねぇか。


思わず見惚れる俺。

「えへへ、雅人さんが見たいって言うから着ちゃった」

頬を染めながら恥ずかしそうに言う義姉さんに、思わず顔が緩む。

「うん……凄く似合ってるよ、義姉さん」

「あは!嬉しいな!」

頬に手を当てて、くるくると回る。

「ね、私が作ったお汁粉が有るの!食べて食べて!」

義姉さんは俺の手を取ると、ぐんぐんと居間へ引っ張って行った。


「お待たせ!」

ホカホカと湯気を上げる汁粉を持って、義姉さんが嬉しそうにコタツに座る。そういえば、義姉さん意外誰も居ないな……?

「ねえ義姉さん、兄貴達はどうしたの?」

俺は汁粉の椀を持ちながら聞いてみる。

「はい、隣町のおじ様の所へお年始に行きました。

 私は雅人さんが帰ってきた時に家に入れないから、お留守番をしてたの」

「ふ〜ん」

俺はその言葉に何か違和感を感じたが、あまり気には留めずに汁粉を食べ始める。

「うん、美味い!」

義姉さんの汁粉は絶妙な甘さとコクで、本当に美味かった。

「ホント!?嬉しいな」

ニコニコと嬉しそうに笑う義姉さんは、年齢なりのあどけなさでとても可愛らしい。

俺は一気に汁粉を食べ切ると、

「あ〜、美味かった」

と言いながらゴロンと横になった。

「雅人さん、お行儀悪いよ」

ぷくっと頬を膨らませながら姉さんぶるのを見て思わず噴出す。

「何笑ってるの!?もう!」

小さな両手を握り締め、ポクポクと俺の胸を叩く。

「あはは、ゴメンゴメン」

俺は義姉さんの両手を捕まえ、起き上がろうとぐいっと力を込めた。


「あ!」

「おっと」

と、義姉さんがぐらっと俺に倒れ掛かり、どっすんと二人して転んでしまう。

「あん……」

再び寝転ぶ形になった俺の目の前に、義姉さんの小さな顔が位置している。

俺の胸には、義姉さんの仄かな膨らみの有る胸がぎゅっと押し付けられ、

振袖の厚い生地を通しても彼女のトクトクという鼓動が伝わってくる。

この感触は……!ヤベェ、また元気になって来やがった。


何故か、姉さんはどこうともせずにしばらく黙り込んで俺を見詰め、

「……義姉さん、どうしたの?」

と俺が声を掛けるとハッとした様に体を退かした。

俺も起き上がり、義姉さんを見ると、じっと俺を見詰めて黙り込んでいる。

「どうしたの?何か俺の顔に付いてる?」

俺がかなりドギマギしながら、努めて平静を装いつつ尋ねると

「……雅人さんって、恋人さんは居るの?」

唐突にそんな事を聞かれて慌ててしまう。

「え…?い、いや、今は居ないよ?なんで?」

義姉さんがすい、と膝を寄せてくる。

瞳は潤んだまま、俺を見詰めて居る。

「じゃ、じゃあ、あの、処理とかはどうしてるの……?」


……?処理?


「処理って何の!」

一瞬マジで意味が解らなくて、聞き返している途中に気付いた。

おいおいおい、何を言い出すんだこのヒトは!?

「おなにい、とかしてるの……?」

頬を真っ赤にし、可愛らしい唇をついっと舐める義姉さんの瞳は

ウルウルと潤みながら、淫猥な色を浮かべている。

なんだ、なんなんだこの状況は?

「ちょっと義姉さん、どうしたの?」

流石に冷静さを保てずに、少し声を高めて言う。

「だって、だって……」

一瞬瞳を閉じた義姉さんが、突然がばっと俺に抱きついて来て、

咄嗟の事に避けも出来ず俺はそのまま押し倒されてしまった。


「ちょ!義姉さん!?」

かなりうろたえながら叫ぶ俺の目の前に、再び義姉さんの顔が迫る。

「あのね、雅人さん、あのね……」

こくん、と喉を鳴らした義姉さんがふっと目を瞑りって

唇を少し突き出し、だんだんと顔を近づけてくる。

おいおい、まさか……?

俺は抵抗しようとした、が、体は動かず、気付いた時には

既に姉さんの柔らかな唇が俺のそれに重なっていた。



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