第一話「きみの消失」
見てくださりありがとうございますぅ。
第一話は長めの尺になっています。
いつもなら、美しい夜空に心地よい風が吹く。
だが今夜は悪夢のようなことが起きる。
今朝のわたしは、それをまだ知らない。
朝の6時頃私は...
「あああもう!この楽曲難しいってぇ。」
音ゲーをしていた。最近ハマっているゲームだ。友達に誘われて試しにやってみたら、意外とハマってしまって、ほぼ毎日やる始末だった。
「えぐ。やっぱ未来ちゃんランク高いなぁ」
未来ちゃん...[神代 未来]ちゃん。
わたしの親友だ。未来ちゃんの家計は神社を営んでいるらしく、未来ちゃんは将来巫女さんになるみたい。でも、その神社からはよくない噂があるらしいんだよね。それでみんなからは「不運の巫女」って言われてて、一方的に嫌われてるんだよね。すごいムカつく!私は噂なんか気にしてないから普通に親友として関わっている。あと、未来ちゃんは結構コミュ障だから、友達以外とはほとんど話してないんだよね。わたしも一緒だけど。
そうして、わたしは登校時間まで、音ゲーをしていた。
わたしは[黒宮 御崎]
いたって普通の高校1年生だ。
未来ちゃんとは、小学生の頃からの付き合いで、とっても仲がいい。未来ちゃんは基本無口だけど、わたしと話す時は楽しそうに話してくれてる。それでゲームがすごいうまい。特に、音ゲーが得意らしい。最近はわたしも始めたが、めっちゃ難しい。「のーつ」ってのが飛んできて、それをタイミングよく、線にタップするゲームなのだが、わたしは特になぞるノーツが苦手なんだよね。よくあのゲームができるよね。たくさん練習しないとなあ。未来ちゃんに勝つのはたぶん...いや絶対無理だ。
そんな1日の学校の下校中のことだった。
いつもみたいに未来ちゃんと話をしていた時だった。
「あの楽曲ってどうやってやるのぉ?!」
「あの楽曲はね、パッとやってパパパァってやるんだよー」
わかるかぁぁぁ!!
「もうちょっと詳しく...」
「ねぇちょっといいかな?」
!?だ、だれ?
後ろから声をかけられ振り向く。
そこには同じクラスの陽キャ男子がいた。
まさか陽キャ男子が陰キャ女子2人組である私たちに話しかけてくるなんて、なんかの脅し?
「な、なにかよ、用でですか?」
めっちゃ噛むし、敬語になってしまう。
「そんなに、動揺しなくてもいいし、タメ口でもいいよ。」
「そ、そう?。そそれで、何か用?」
未来ちゃんは、すっかり怯えきっているため、話せなさそうだ。
「今夜予定空いてる?」
「あ、空いてるけど。」
な、なに?夜の予定を聞くってカラオケとか行くのかな。絶対行きたくない!!
「そっか!肝試しに行こうと思ってね。C区のある廃屋なんだけど...」
肝試しか。怖いのは結構好きだけど、行くなら仲のいい友達と行きたいかな。未来ちゃんは怖いの大丈夫なのかな?
「わ、私もい、行ってもいいでしょうか?」
あ、未来ちゃんも興味あったりするのかな?
「ん?未来ちゃんも来るの?えーとちょっと待ってて。」
彼は仲間に相談に行ったみたいだ。
ていうか、わたしだけ誘おうとしてたわけ!?
「未来ちゃん、どうして行くって言ったの?怖いのとか興味あったけ?」
「そ、それは...」
言い切る前に男子が戻ってきた。
「おっけーだってよ!その代わり、御崎ちゃんも絶対来てね。」
男からのちゃん付け…馴れ馴れしいなぁ。
「わ、わかったよ。集合場所は?」
「A番通りのコンビニに6時集合で。」
「わかった。それじゃあまた。」
彼は手でグッとして去って行った。
ふぅ。なんとか退治できた。
それより、どうして未来ちゃんは肝試しに行くと言ったのだろうか。
「未来ちゃん、さっき聞きそびれちゃったけど、どうして、行くって言ったの?」
「そそれは、な、なんでもないよ。なんとなく興味があるからね。」
ほんとかな。これだけ長い付き合いだ。こんな嘘なんて簡単にわかる。でもやさしい未来ちゃんた。もしかしたら危険なことからわたしを守るためにやっていることかもしれない。それなら深い詮索はやめておこう。
「そっか。でも無理しないでね。もしかしたら、めっちゃ怖いかもしれないし。」
「う、うん。御崎ちゃんこそね。ふふふ。」
なぜか笑みを浮かべる未来。
「ん?なんかわたしの顔に付いてる?」
「いや、御崎ちゃんがお化けに怯えてるところを想像したら面白くって。」
「え!そんな怖がりじゃないし。未来ちゃんだってさっきのビクビクした表情めっちゃ面白かったし!」
「そ、それはいきなり話しかけられたらびっくりするでしょ!」
こうしてわたしたちはいろんな事を話しながら帰り、それぞれの家と向かった。
そして、時間が過ぎていき、集合の時間となった。
集合場所のコンビニ。そこには下校中に話してきた陽キャ男子とその仲間の男子、合わせて4人。そして、女子がわたしと未来ちゃん含めて5人いた。
「それじゃあみんな集まったみたいだから行くよ!」
みんな彼の後ろについて行く。
わたし達は慣れない空気に言葉が出てこないが、他の人達はすごい会話している。
「ねぇ御崎ちゃんと未来ちゃんって好きな人はいるの?」
「ふぇ?」
思わず変な声がでる。
話題に関係なく急にわたしの名前が呼ばれたのだから。
「ふぇってかわいいね!やっぱ御崎ちゃん誘ってよかったかも。」
「それで?好きな人いるの?」
す、すごい圧力。たぶん未来ちゃん反応すらできないやつだ。
「わ、わたしはいないかな。やっぱり男子って怖いイメージがあるから話しづらいっていうか、なんていうかそんな感じなんだよね。」
「そっかー。好きな人がいると幸せだよ!そこにいるだけでドキドキして幸せなんだから。」
「ふぅん?そうなんだね」
いまいちピンとこない。そもそもわたひは恋というものをしたことがないからそういう感情がわからない。
「未来ちゃんはいるの?好きな人?」
そういえば未来ちゃんは好きな人っているのかな。そういう話題にならかいからまったく予想がつかない。てか、話せる?
「わ、私はい、いま、せんけど、頼もしい人が、いいかな。」
へえ。なんとなくそんな感じだろうと思っていた答えが出てきた。
「そうだよねぇ。男子だったら頼もしくないといけないよねぇ。わかってるわぁこの子。」
未来ちゃんは、軽く頷くだけで喋りはしなかった。わたしは女子ならある程度会話できるんだけど未来ちゃんは女子も無理なんだよね。
「よし!着いたよ。ここだ。」
一目見てわかった。ここはやばい。廃屋のようだが敷地が広い。
「すごい雰囲気ね。ワクワクしてきたわ。」
わたし達はドキドキなんだけど。
「じゃあルールを説明するよ」
え?なに?みんなで行くんじゃないの?
「男1人女1人の2人組で時計回りで廃屋の奥にある井戸まで移動して、そこから同じように時計回りで戻ってきて。それがルールだよ」
まじか。男子と行くとか最悪だぁ。
未来ちゃん大丈夫かなってあれ?
男子4人で女子5人って女子1人多いんだけど。
「青木と御崎と未来は3人で行って。」
「おっけー改めてよろしく御崎ちゃん未来ちゃん。」
よかったあ。未来ちゃんと行けるなら問題ないね。ていうかわたし達に話しかけてきた男子って青木っていうんだなぁ。知らなかったなあ。
「それじゃあ私達もパパッとパートナーを選びましょう。」
こうして2人組と3人組のチームができたので順番に行くことになった。わたし達が1番最後だ。なにも起こらないといいけどなあ。
未来ちゃんをチラッとみた。とても思い詰めた表情をしている。こんな顔初めて見た。
そして、何も起こらずわたし達の番になった。時刻は8時。結構わたし達まで時間かかっちゃったなぁ。
「よし。いこっか。大丈夫!何も起こらないから。」
こわぁぁぁぁあ
って思ってたけど中に入ると月明かりが通ってて意外と明るかった。
このまま井戸に向かえばいいんだね。雰囲気はバッチリなんだけど。
「...」
「...」
「...」
めっちゃ無言。でもこんなところでわいわい話すわけにもいかないか。
「...あれだよね。」
あ、見えた。なんか、なんとなく嫌な感じがするなぁ。
「あの井戸の中どうなってるんだろうね。」
急に青木が井戸の方に向かった。
「!?ま、待ってください。」
それを未来ちゃんが止める。
「いいじゃん。ちょっとだけ覗くだけだよ。」
確かに中は気になるけど怖気付いてないんだ。だけど、あんなに未来ちゃんは必死にやめさせようとしている。わたしはどうすればいいかわからずその場から動けずにいた。
「つまんねえやつだな。そこをどけ。」
「きゃっ」
なんと青木が未来ちゃんを突き飛ばした。
「大丈夫!?未来ちゃん!」
わたしは急いで未来ちゃんに駆け寄った。幸い怪我はなさそうだ。その間にも青木は井戸に近づいて行く。未来が叫んだ。
「やめてー!」
とその瞬間だった。青木が気絶し、それと同時に背筋が凍りつくような寒気がした。未来ちゃんは絶望的な表情をしている。そして、井戸の少し奥には...
「え...?」
そこには髪の長い女性がいた。
そして、その女性からは呼吸を忘れるほどの負の感情を感じた。
「御崎ちゃんは急いで逃げて!」
その瞬間、謎の女性が気絶している青木がいる方にすごい速度で襲ってきた。その右手にはナイフを持っていた。
「えええ!未来ちゃん!?」
未来ちゃんが青木のほうへ謎の女性を超える速度で向かった。
2人が襲われた瞬間は見ることが出来ず膝から崩れる。でもその後に聞こえた音はカンっという音しか聞こえなかった。そっと見るとそこには未来ちゃんが謎の棒で女性の攻撃を受け止めている姿があった。
【霊壁!】
!?女性は驚いた。
「くらえ!」
その棒が青白く光った。
【霊波!】
棒から放たれた衝撃波で女性は吹っ飛ばされた。
「す、すごい。未来ちゃん!」
でも、未来ちゃんはまだ女性が吹っ飛ばされた方を見ている。
「おいおいアンタら何してんのさ。なんか叫び声が聞こえたから来たんだが...ってなんだよこの状況。」
そこにはあの6人がいた。待って、叫び声?そんなの誰も出してない。いったい誰が?
「え!?みみなさん!に、逃げてください。ここは危険なんです!」
未来ちゃんが訴えたが、青木と親しげにしていた男が抗議する。
「はぁ!?何が危険だ。そこに倒れてる青木をやったのはお前だろ!その棒で頭を打ったんだな!」
「!違うよ。未来ちゃんはそんなことしてな...」
御崎のフォローも男には聞こえない。他のメンバーも怪訝そうな顔をして私たちを見つめる。
「あああ?じゃあ誰がやったんだよ。てめぇは黙って...」
シュパッ
「え?」
「え?」
わたしが次見た時は、6人の首が...
なくなっていた。私はあまりの出来事にパニックになっていた。私の目の前が真っ暗になる。
「え?え?え?ど、どういうこと?」
首から血が吹き出す光景を見てしまった。
「そ、そんな。こんなの、夢なんだよね?あ、あ、あああ。」
「御崎ちゃん!落ち着いて!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
もうわたしは冷静になってなんかいられなかった。
「っ!そこだね!」
【霊波!】
女性は未来の攻撃をかわした。
女性は未来の後ろに一瞬で回り、攻撃をした。
「きゃ、」
ドドドド
女性と未来が激闘を繰り広げる中、御崎は少し離れたところで混乱状態。しばらく経って未来から声を掛けられるまでこの状態は続いた。
数分後
「御崎ちゃん。落ち着いて。あいつはぶっ倒したから。」
「み、未来ちゃん。よ、よかった。」
わたしは未来ちゃんに抱きつく。
「ごめん。パニックになっちゃって。」
わたし、どれくらい頭を抱えてたんだろう。
「帰ろう。あの6人は残念だけど、即死...だね。」
「青木は?」
わたしは青木が倒れたところを見たが。あれ?さっき青木が倒れてた場所に青木がいない。意識を取り戻して帰ったのかな?
そうわたしが考えた瞬間またあの寒気がわたし達を襲ってきた。
そして、さっきの女性が未来ちゃんの背後にいた。未来ちゃんからは死角だ。
「未来ちゃん!後ろに!」
「!?ま、まさか。」
わたしは急いで未来ちゃんを抱いたまま後転をしたが...
シュパッ
即死は避けることができたが未来ちゃんは深い傷を負ってしまった。
「未来ちゃん!!」
「拘束の...札!」
未来は痛み堪えながら札を放つ。
その札は女性にヒット!
「はあ、ふう御崎...ちゃん。聞いて欲しいことがあるんだ。お願い。」
未来の声は震えている。
「わ、わかった。聞くよ」
「冷静に聞いて。あの女性は幽霊、つまり怪異。それもそれなりに強力な部類の。私は御崎ちゃんが、行くっていったときもしかしたらこうなるかもって思って着いてきたんだ。でも、このままじゃ、あいつに勝てなさそう。だから、お願いがある。」
「な、なにをすればいい?」
正直、信じられない。けど、今起きてる状況と未来ちゃんの話していることが一致してしまっている。信じるしかない。
「...私を置いて逃げて。」
「!!い、いやだ!そんなこと絶対しない!」
「落ち着いて!私が本気になればあいつなんて余裕で倒せる。ただ、その間、御崎ちゃんを守れる保証がないだけなんだよ。」
「そ、それでも、勝てる保証もないじゃん。一緒に逃げるのは?」
「それは難しいの。おそらく効力が切れた途端に襲いに来る。ここはあの怪異のテリトリーである以上、2人で逃げるのは難しい。だから、」
必死に未来は説得するかが御崎は必死に反論する。
「それでも、嫌だって言ってるの!わたしは未来ちゃんと帰りたい!置いてなんかいけないの!」
未来は一度息を吐き、御崎を見つめる。そして、
「...これをあげるよ。」
わたしにあの棒を差し出す。
「!?そ、それは未来ちゃんの。」
「私にはもう必要ない。それがきっと御崎ちゃんを守ってくれるよ。だからあげる。私からの最後のお願いだよ。」
まるでその言い方じゃ、ここでお別れなんて言ってるようなものじゃん。わたしはもう泣かずにはいられなかった。
「最後なんて言わないで。また、この先、もっとお願いをしてよ。」
「わかった。また、お願い、するね。だから、行って。あと、あの楽曲はね、パッとやってパパパパ〜っとやるんだよ。」
「だから、わからないって。」
「ふふ、そうだったね。また、教えてあげるよ。」
「ありがとう。未来ちゃん!」
未来ちゃんにとって大切なもののはずだ。それを託すほどの覚悟が未来ちゃんにはある。わたしは未来ちゃんを信じる。
わたしは棒を受け取り、出口に向かった。
「...やるしないね。あれを」
と未来はつぶやいた。
私は家族の中では圧倒的に出来損ないの半端者だった。それでも、努力は続けた。でも期待に応えることはできなかった。私はずっと孤独だった。トモダチもなく、ただ、1人で努力をして絶望して、そんな日々だった。でも、そんなある日小学2年生の頃、私を孤独から救ってくれた唯一の人であり、親友。御崎ちゃん。御崎ちゃんは、私が最初うまく話せてなくても、しっかり聞いてくれて、反応してくれて、嬉しかった、とても。家では誰も話を聞いてくれない。学校では話に行けない。そんな私を親友と認めてくれて嬉しかった。
「やるしかないね。あれを」
あれは、隙が大きすぎる。さらに、制御が難しい。近くに御崎ちゃんがいたら巻き添えを食らう可能性が高い。
『あーー。逃しちゃうんだ。』
「そうだよ。こうでもしないとあんたには勝てない。ていうかあんたさっきからうるさい。」
そう。こいつはさっきから私たちにめっっっっちゃ話しかけていたのだ。
『やっと答えてくれた!けど、良かったの?あの小娘を悲しませても。』
「あの子が生きてるならそれでいいの。私はあの子に救われたからね。だから、今度は私が救う番なんだよ。」
『そぉなんだ。...つまんない』
あと少しで札の効力が...
『君つまんないよ。もっと怖がってくれれば、楽しいのに。』
「あいにく、私は怪異には何度も殲滅してるから、驚かないよ。それより、どうして倒されてなかったの?あの時確実に札は当たって気配も消えたはず。」
『あああ。それ気になる?いいよ。教えてあげる。それはね異能力を使ったの。私の異能力「死体変容」でね。』
やっぱり。これだけの強さは異能力持ちか。
『君が倒したと思っているのは私が操作していた人形にすぎない。』
「操作、人形...?」
『そう。私は殺したやつの死体は遺し利用している。こんな感じにね。』
その瞬間、首のない死体が2つ起き上がった。そして、怪異の体は青山の形になっていった。
「そういうことか!カラクリがわかった。あなたは実体のある人形...つまり、死体を自分の姿に変化させ、あたかも本体であると見せかけていた。」
『そう。正解よ。見ての通りこれは男のカラダ。そして、変容を解けば同時に3体の死体を操ることができるのさ。』
あの6人の首を切断したのは即死かつ、腕と足が残された状態で一度に殺す手段だったのね。
『これで話はおしまい。時間稼ぎもおわりだね。そろそろ殺すよ。』
「その余裕がどっから沸いてるのしらないけど、これをただ時間稼ぎだと思っていたのかな。違うよ。あなたを倒すための最後の手段の準備をしていた。この術で倒す。」
手加減なんていらない。守るものない。本気でやってやる____!
バチバチバチ。
未来の周りには赤黒い気が立ち込めている。
『な、なんだ、その術は!?』
「神代家代々伝わる魔術が一つ【業火】よ」
未来は右手の人差し指で女を指す。
「くらいなさい!」
【我が神代家に伝わる究極の魔術、
漆黒と紅の業火をもって、
焼き尽くせ!】
その瞬間、未来の指先から黒と紅の業火が解き放たれた!
『ああああ!あ、熱い!!なんだこの炎は!』
「まだ、終わりじゃないよ!」
攻撃は3つの死体にクリーンヒット!
未来はさらに構える。今度は両手を重ね、エネルギーを貯める。
【我が神代家に伝わる究極の魔術、
漆黒と藤の雷光をもって、
鳴り響け!】
両腕から放出された稲妻が残りの二体の怪異にむかって放たれる!
『うがあああ!』
つ、強い。あの小娘、たった二回の攻撃だけでここまでのダメージを出すなんて。
う、うそでしょ。あの怪異、2回の魔術でまだ耐えているなんて。あと2回程度しか使えない。この2回ですべてを決める!
未来は走り出した!
『近接戦!?ふっ、私に部があるぞ。』
激しい近接戦だ。未来はカウンター主体の攻撃に対し、怪異は数を生かしながら高速で攻撃を繰り出す!
先に隙を見せたのは...
いまだ!!
怪異が一箇所に集まった瞬間、未来が拘束の札を放ち、3体の怪異の動きが止まる。そして、
今だ!!
【我が神代家に伝わる究極の魔術、漆黒と...
ドゴッ
は、背後!?ありえない、怪異はここに...
まさか、異能力!?
『残念だったね。既にその死体は捨てているよ。』
しくじった。相手には他の死体を使う選択肢があるのを完全に捨てていた。おそらく、拘束の札で拘束されるのを見越して、あいつの死体保管場所近くまで誘導されていたのだろう。
まずいなあ。あいつの残機が幾つあるかわからない上に、あいつ本体にダメージを与えないと意味ないよね。私はただでさえ消耗しているのに相手はほとんど消耗していない。現状は最悪だね。
こうなったらあいつに直接ダメージを与えるしかない。正直使いたくないし、さらにリスクがあがるけど、これ以外であいつの本体にダメージを与える方法が見当たらない。
「すうう。はああ」
傷が痛い。なら、なおさらこの技で締めるしかない。
『そんな状態でまともに戦えるのかな?』
「私は、諦めない。ここまできたんだ。絶対に約束を守るんだ!」
直接的なダメージはあいつは受けない。それでも、異能力による繋がりは存在している。つまり、異能力から本体にダメージを入れる技を使えば勝算はある。もちろん本体を直接倒すのもいいけど、現実的じゃない。だから、私は。
未来は指を構える。
『もうわかったからね。君は詠唱しないと攻撃ができないってことはね!!』
「そう。それがどうしたっていうの」
バチン!
『ナ、ナンダコノ壁!?』
「それは結界の札。霊気を流す事でその周辺に結界を生成する。大技の防御には使えないけど、時間稼ぎぐらいにはなるんだよね。」
【我が神代家に伝わる究極の魔術、
漆黒と真紅の光輝をもって、
『ふ、ふん。おまえの攻撃は私にはまったく効かないんだよ!諦めて殺されて...』
滅ぼせ!】
怪異の体が赤黒く光る。
『ナ、ナンダコノヒカリ。マサカ!』
「そう。この技はマーキングした敵を滅却する技。必中な分、マーキング条件が大変な上に火力を出すには命気の消耗が激しいから使いたくなかったけど、これで終わりだよ。」
怪異の声が途切れ途切れになる。
『嘘だ!うそだうそだ...だ!ありえ...い。この...しが...で...れる...て、...な...』
そして、怪異が出していた、異様な気配は完全に消えた。
「はあはあはあはあ。なんとか倒せた。よかった。御崎ちゃん無事だといいけ...」
「すごいねえキミ。ボクのペットが倒されるなんてなあ。ここら辺の連中じゃ倒せないから安全だと思ってたんだけど。」
「!?だれだ。」
私は振り返る。そこにはスーツを着た男が立っていた。
「そう怖い顔しないの。せっかくのかわいいお顔が台無しだよお?」
「だまれ。セクハラで訴えるぞ。」
「はあ。釣れないねえ。事実を言っているだけなんだけど。」
残念そうに男が首を振る。
「何が目的だ。なぜここにいる?」
「なぜって、言わなかったっけ?ペットがここにいるんだから飼い主がここにいても不自然じゃなくない?それとも...」
男に殺気がみなぎる。
「ボクのペットを殺した罰を与えるためにいるっていうほうが正しいかな?」
こいつ私をやる気だ!
【我が神代家に伝わ...
「だめだめー。そんな技使っちゃボクもキミもただじゃすまない。」
こいつ、さっきのやつより速い!?
「せっかくボクのペットを殺したんだ。飼い主であるボクが責任持って制裁しないといけないだろ?自滅じゃボクの気持ちは収まらない。」
こいつは今の私では絶対に勝てない相手だ!
なんとかして逃げないと!
「逃げないとって思っているだろ?不可能さ。」
【霊気結界[オーラアリーナ]】
2人の周囲に霊気の結界が張り巡らされる。
「はい、これで逃げられないよー」
うそでしょ。こんな強固な霊気結界を一瞬で...
「さあてと。どう痛めつけようかなー。ここじゃ何しても外から中の様子は見えないしね。」
「これだけの霊気結界を使ったのなら消耗もあるはず。霊気結界には繊細な霊気コントロールが求められる。少しでも乱せば簡単に崩れる。そうでしょ?」
「そんなことは知ってるさ。でもね君なんかにボクの霊気コントロールを乱せるほどの実力も体力もないでしょ?」
「そんなのやってみなきゃわかんないよ。」
「ふーん?あっそ。もう少し遊んでたい気持ちがあるけど、時間がないからね。すぐ消えてもらうよ。」
その瞬間男の姿は消え、未来の背後に現れた!そして、その手にはナイフ!
「はい、これで終わ、」
【拘束の札!】
バチん!
私の四方八方にはすでに拘束の札が貼られている!
「なに!?」
引っかかった!チャンスはこの一回だ。私のすべてを込めてこいつを倒す!
未来は男を掴む。
【我が神代家に伝わる究極の魔術、漆黒と群青の光輝をもって、我が命と共に消え失せろ!】
詠唱完了!いけー...
詠唱終了と同時に男の体から衝撃波が放たれる。その衝撃は拘束の効果を破壊し、未来にダイレクトにヒットした。
バリン!ブオオオン!
「あがっ。」
未来は気を失ってしまった。
「ふー。危ない危ない。あと1秒遅ければ当たってたよ。まあ、それでも死なないけどwってあれ?気を失ってる?あーあ。せっかく若々しい甘美な悲鳴が聞けると思ったのに。まあいいや。」
男は正面に手を伸ばす。そこから黒い渦が出現。そこから、、、
黒いナニかが現れた。
「やあやあ。ボクの最高のペットよ!今回は結構早めにいい食材が手に入ったんだ!ぜひ、美味しく召し上がれ!」
その黒いナニかは倒れた未来の肉体を...
ぐちゃぐちゃ。ぐちゃぐちゃ。
「うんうん。いい食べっぷりだ。」
『グオオオオオオ!!』
「はああ。また発動しちゃったか。【傲慢支配】。あと1年半くらいで完成するのかな。そうだ、後始末をしないと「奴ら」にばれちゃうね。」
誰だよあいつ。未来ちゃんここで退場。




