捕らわれの身なんじゃ……?
浩介がしぶしぶ運転席に身を沈めた瞬間――
ダッシュボードのランプが光り、甲高い声が響いた。
「ヘイ! 相棒! 俺は《ブルーカー》だ! これからよろしくな!!」
「……は?」
「今日はどうするんだい? どこへでもかっ飛んでくぜ!」
「うわっ、しゃ、しゃべった!?」
浩介は思わずのけぞる。
「しかも……ちょっと苦手なタイプかもしれない……」
「ヘイ! 相棒! 元気がねぇな!」
ブルーカーのテンションは無駄に高い。
「歌でも歌ってやろうか?」
「いや、ごめん……。黙って横浜埠頭へ向かってくれ……」
浩介の懇願に、ブルーカーは甲高く笑った。
「随分つめてぇな、相棒! だが心配すんな! 目的地までの間、俺のトークで楽しませてやるからよ!」
「遠慮するって言ってるんだけどなぁ……」
「それじゃ行くぜぇ!!」
次の瞬間、マシーンは爆音とともに地面を蹴り飛ばすように発進した。
視界がブレる。重力がのしかかる。まるで戦闘機に放り込まれたような加速。
「ちょ、速っ……!!」
浩介の顔が引きつる。
「これ……絶対どこかで捕まるやつだろ……!!」
――横浜埠頭。
スーパーカー(?)から降り立った浩介は、完全にぐったりしていた。
「……はぁ……。ブルーカの話、終始オチがなかったな……」
心なしか膝が笑っている。
「どうした相棒!」
降り際にもブルーカは元気いっぱい。
「俺の話が楽しすぎて、まだマシーンから降りたくなくなったかい!?」
「いや……出来れば二度と乗りたくはない……」
浩介は小さくため息をつく。
(帰りは……電車で帰ろう……絶対に……)
そのとき――耳元から二人の声が飛び込んできた。
「ブルーらしく、シャキッと行動なさい!」
「バトルスーツの輝きに負けないで!!」
「えっ!? どこから!?」
浩介は周囲を見回す。倉庫、コンテナ、海……誰もいない。
「上よ、上!!」
声に導かれ顔を上げると、空にドローンが浮かんでいた。
「な、なんだこれ……!」
「茜です! ブルーカに搭載されたサポート機能よ!」
「わたくしたちが、あなたを監視……じゃなくて、見守るためにつけたのですわ!」
「……今、“監視”って聞こえたんですけど……?」
浩介の顔がひきつる。
「これ……実は俺、捕らわれの身なんじゃ……?」




