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沼レベル4・コメダの聖地巡礼へ行く

 コメダを知り、コメダに通い、コメダのグッズを買う。そんなコメダの沼レベリングが順調に進んでいる最中の2022年10月。彼氏にフラれた。「俺とコメダ、どっちが大事なんだよ!?」と言われたわけではない。そうだったら面白かったのだが。私たちには心理的にも物理的にも距離があって、互いにそれを埋める努力をしなかった。もしくはその努力をするに値しない人間だと評価し、評価されていたのだと思う。今では記憶がなさすぎて、いつから、何年間付き合っていたのかも定かでない。なのに、なぜフラれた年月だけは分かるのかというと、その時期に販売されていたシロノワールが、2022年秋の「オレンジと小倉あんのシロノワール」だったからである。あの時のオレンジソースは苦かった。

 今では無事に記憶を消去できているが、当時は本当に病んだ。その上、仕事にも悩まされていた。上司との関係が悪く、閉鎖的な職場では致命的な状況にあったのだ。ストレスチェックに引っかかったのでカウンセラーに相談したが、想定通りのやり取りをこなすだけで気が晴れない。そんな辛い時期に切り出された、突然の別れだった。

 もしも私が死んだら、彼の心にダメージを与えられるだろうか。別に私の死を悲しんでくれなくたっていい。別れたことを後悔しなくたっていい。ただ、後味の悪い思いを生涯引きずってくれたらそれでいい。そんな思いから、本気で死のうと計画を立てた。薬物濫用による死亡事例を調べ、ドラッグストアを回って薬を買い集めた。死後なるべく家族に迷惑をかけないようにと色々な会員サービスをリストアップして、解約を始めた。だが、メールではなく書類が必要だったり、パスワードが分からず再設定をしたり。そうこうしている間に色々と面倒になってきて、死ぬのは一旦保留することにした。

 ちなみにドラッグストアの薬で健康被害を起こした場合、死ぬよりも障害が残る確率の方が高い。他にも色々と自死の方法を調べたが、なるべく多くの人に迷惑をかけず、ひっそりと死ぬ方法は、たったひとつだけ。病院や施設など、専門のスタッフの下で看取られて、医師の死亡判断を受け、然るべき手続きをしてもらうことだ。つまり、天寿を全うする。これが唯一の「正式に」死ぬ方法であるというわけだ。自然界の理に反した死に方は、大勢に迷惑をかけてしまう。

 こうして自死を行動の選択から外したものの、依然として病みステータスは回復しないまま。病んでいる時、どこへ行けばいいのだろうと考えた。

 そうだ、東尋坊へ行こう。

 東尋坊と言えば、その昔は自殺の名所。鬱々とした気分で崖を歩き、そこから飛び降りたであろう先人に思いを馳せるのも悪くない。福井県か。ついでに大阪や名古屋にも行けそうだな。そう思った私は、人生初のひとり旅を計画し始めた。お酒が好きな彼氏に合わせて居酒屋に行かなくたっていい。朝が苦手な彼氏に遠慮して朝食を諦めなくたっていい。そう、ひとりならどこへだって行ける。何をしたっていい。私は自由だ。

 もうお気づきかもしれないが、この時点で傷心はどこへやら。私はひとり旅が楽しみで仕方がなくなっていた。

 

 そうして迎えたひとり旅。新幹線で田舎を脱出すると、まずは一杯のラーメンを食べるためだけに大阪で下車。座銀というお店の鶏そばが、個人的な世界一なのだ。それから再び新幹線に乗り、名古屋へ。こんなもったいない時間とお金の使い方、友達との旅行じゃ絶対にできない。

 さて、名古屋といえば、コメダが生まれた地。ここで狙う聖地は、コメダ珈琲店の本店。さらにその向かいには、コメダの和風甘味喫茶「おかげ庵」の本店もある。コメダブランド二大巨頭の本店がある土地。これはコメダの聖地と言っていいだろう。コメダ珈琲店の本店では、スタンダードなモーニングでほっと一息。おかげ庵の本店では、おにぎりセットを楽しんだ。それから特急列車に乗って、福井へ。

 長い北陸トンネルを抜けた瞬間、パッと雪国の景色が広がる。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は、あまりにも名文。特急列車で芦原温泉駅に着いた後は、バスで東尋坊へ。

 想像以上に壮大な岩壁が一面に広がっていて、感動。そして、ロープとか安全柵とか、そういった守りが一切ない。それなのに、周りの観光客たちは崖の先へとガン攻めしており、その姿を見るのも怖かった。

 東尋坊散策は、階段の上り下りと山登りの複合みたいなものだ。一通り歩いて疲れたので、帰りのバスまで休憩タイム。転ばないよう慎重に歩いたので、凍った路面を歩くのと同じような筋肉の使い方をした気がする。明日は筋肉痛だろう。そんなことを思いながら、無の時間を過ごす。同行者に遠慮する必要がないから、自分のタイミングでボーッとしたっていいのだ。

 あまり大きな声で言えることではないが、東尋坊は自殺願望を抱く人には「オススメ」だ。これは決して自殺に適しているという意味ではない。危険な場所に身を晒すことで、死に対して近い状態で向き合えるからだ。バンジージャンプと似たような恐怖かもしれないが、東尋坊には安全装置すら存在しないのが大きな違い。刑事ドラマの追い詰められた犯人ばりに、崖の先に身を乗り出してごらん。ジェットコースターやお化け屋敷とは違う、這い寄るような「死への恐怖」を味わうことができる。どうしてこれ以上は崖先を攻める勇気が出ないのか?そこで初めて己の生存欲求を感じ、自分の天寿はまだ先であると悟ることができよう。


 無事にひとり旅を終えた私は、次なる聖地に狙いを定める。それが「オールドコメダ」であった。オールドコメダとは、コメダ珈琲店の1号店から10号店までを指す名称だ。私が初めてコメダ珈琲店そのものを知った時、まだ1号店は存在していた。1号店の姿は、メニュー表の表紙裏に載っている。今のチェーン店とは異なる、レトロな店構え。いつか名古屋に行く機会があれば、寄ってみても面白いだろうな、くらいに思っていた。

 しかし、2014年3月。1号店は閉店を迎えた。ああ、私の判断の何と遅いこと!私の近所にコメダができたのは2015年9月。コメダへの愛が高まるよりも先に閉店してしまったのだ。残るオールドコメダは、高岳店と今池店。この2店も、私がのんびりしていたら閉店・改装してしまうかもしれない。オールドコメダについて調べていると、後悔と危機感は募る一方。

 同じ頃、世間では「推し」という言葉がピックアップされるように。推しは推せるうちに推せ。この言葉が私を名古屋へと駆り立てた。失くなってしまったら、もう取り返しがつかない。早く行かねば……!

 名古屋市民ならば、聖地巡礼のハードルは低い。だが私は広島の、しかも新幹線へのアクセスが悪い田舎の人間。遠征費用も労力もかかるのだ。でも、コメダのためなら旅費の捻出だって面倒な予約手配だって厭わない。

 2023年6月。最初のひとり旅から4か月後。私は再び新幹線に乗り、古きコメダの聖地巡礼を敢行したのだった。


 まずはコメダ珈琲店・高岳店について。高岳店は、コメダの2号店。現存する中で最古のコメダ珈琲店である。土日休みで、7時から15時までしかやっていない。さらに、臨時休業も多い。ホームページには詳細な休業情報があるため、行きたい人は要チェックだ。

 そんな高岳店に行くべく、5時40分に起床。ホテルを出て朝日を浴びながら向かうと、木製の古めかしい店構えが見えてくる。足を踏み入れると、まず「20歳以上ですか?」という確認が。喫煙可の店舗であるため確認が入るのだと口コミで見たことがあった。喫煙できる証拠に、灰皿が置かれている。私はタバコが苦手なので、臭いに耐えられるかという懸念があった。タバコを吸ってる人はいたが、そんなに臭いがしなかったので良かった。

 お店は、キッチンのお父さんとテキパキしたお母さんが切り盛りなさっているようだった。スチールワゴンを押して運んだり片付けたり。いいな、そのシステム。

 目を惹くのは木製のメニュー看板。それからアンティークのようなオシャレなライト。天井との接続部にも装飾が施されていて好きだった。コメダの店舗の照明も、デザインが凝っている。もしかしたらその源流となる存在なのかもしれない。

 注文するものは既に決めていた。ブレンドコーヒーとモーニング。そしてここにしかない商品を何かひとつ。メニューを眺めていると、デザートにプリンという字が。プリンソフトなるメニューを発見したのだ。一般的なコメダには存在しないので、これにしよう。商品が運ばれてくるのを待っている間にも、ドンドコお客さんがやってくる。私の後に3組入ったが、もうそれで満席だった。お母さんの「ごめんなさいねー」が4回は聞こえた。5時40分に起きた甲斐があったというものだ。

 付近のお客さんの会話からも、オールドコメダという単語がチラッと聞こえた。やはりここが特別なコメダであると知って来ている人が多いようだった。かつてのオールドコメダはどこもこんな雰囲気だったのだろうか。惜しい店たちをなくしたものだ。

 まずやってきたのはブレンドコーヒー。コメダのロゴや店名など、何のプリントもされていない、シンプルな白いカップ。使い込まれた感じはあるものの、汚れはひとつも付いていない。今までに見たどのコメダのカップとも違う。そのお味は、初手から苦味強め。しかし、酸味が苦手な私にとってはありがたい。ミルクが要らないくらい、最後まで飲みやすかった。私がコメダブレンドを飲む際は、途中で酸味がキツくなって、ミルクを投入している。この現象が起きないというのは初めてだった。

 モーニングの山食パンは厚切りではないが、フワフワのモチモチ。そして何よりたまごペーストが違う。普通のコメダより粒が細かいというか、もっと潰されているというか。もう一段階ペーストに近い滑らかさ。こちらも山食パンによく馴染んで美味しかった。

 デザートはプリンソフト。ソフトクリームの味自体は、一般的なコメダの味と同じだった。プリンは昔ながらのしっかりとしたタイプ。しかもちゃんと高さがある。底には焼きプリンのような、茶色い美味しい膜が付いている。朝からモーニングにデザートと、贅沢な時間を過ごさせてもらった。

 さて、お次はコメダ珈琲店・今池店。地下鉄の今池駅から歩くと、街角にレトロな外観が。ドキドキしながら、いざ入店。

 店内で真っ先に目を惹くのは、大きな木彫りのパーテーション。穴だらけのスカスカお洒落パーテーションなのに、座っている人の顔はちょうど見えない。意外と計算されたシロモノなのかもしれない。コメダといえば赤いソファだが、こちらはソファというより椅子。座面だけが見慣れた縦縞レッドだった。テーブルはもっと独特で、雲みたいにかわいい形をしていた。脚もアンティーク家具っぽい凝ったデザイン。見上げると、暗い色調の天井、渋い色の梁、黒いエアコン。照明も歴史を感じるデザイン。全てが、あまりにも、あまりにもカッコ良い。

 メニューは裏表の紙1枚きりだが、豊富である。コーヒー1杯は450円。行きつけ店舗の520円から見ればとても安い。しかもコーヒーチケット10枚を4000円で買えるそうじゃないか。するとコーヒー1杯が400円。安すぎる。いいなぁ、私、ここの子になりたいよ。

 高岳店同様、店舗独自のメニューもある。気になるところだが、ここはスタンダードにレギュラーコーヒーとミニシロノワールで。年季が入っているものの、清潔感のある食器類で運ばれてきた。

 まずはレギュラーコーヒーから頂く。カップを手に取ると、何だか持った感じが軽い。コメダのカップといえば有田焼だが、こちらにはAokiという表記がなされていた。事前に調べたネット情報では、自家焙煎のコーヒーだそうで。しかし、コメダブレンドとそれほどかけ離れた味ではないように感じた。いつものコメダブレンドは苦味より酸味を感じるが、こちらのレギュラーコーヒーは、酸味より苦味が強い。酸味が苦手な私にとっては、より飲みやすいコーヒーという印象だった。

 続いてミニシロノワール。さくらんぼが無いのと、深皿での提供という点が異なっていた。溶けたソフトクリームやメープルシロップは、別に平皿でも溢れるわけではない。だが、深さのある器だとこれはこれで何だか安心感を覚える。さあソフトクリームを一口。いつもコメダで食べるソフトクリームとは違うように感じられた。スプーンの入り方が若干重いのは確かだと思う。そして味わいはやや濃厚であるように感じられた。これで通常のコメダと全く同じソフトクリームを使っていたら、恥ずかしいったらありゃしない。どうか誰も真相を追求しないでほしい。さて、今度はソフトクリームの下のデニッシュパンをひと口。表面がサクサクだが、このサクサク感には覚えがある。シロノワールには、デニッシュパンをしっかり焼く「よく焼き」というオプションが存在する。その場合、デニッシュパンがサクサクする代わりに、溶けたソフトクリームはあまり染み込まなくなる。ところがこの今池デニッシュパン、サクサクなのにソフトクリームがしっかり染み込んでいくではないか。よく焼きと通常のいいとこ取りだなんて、最強かもしれない。

 ミニシロノワールの後は、ドリンクサービスの小袋を開封。裏面にはヨコイピーナッツという表記。名古屋では老舗の会社らしい。中身はまさかの柿ピー。ヨコイ「ピーナッツ」だし、豆菓子の代わりに添えてあるんだからピーナッツなのだろうと思っていたので、柿の種も出てきてビックリした。

 店内の雰囲気を味わいつつ、残りのコーヒーを飲む。お店の方々は、色んなお客さんと親しげに話していた。常連さんばかりなんだなと思ったが、不思議とアウェー感や居心地の悪さは無かった。むしろ、とても居心地がいい。近くにこんな店があったら絶対に通いたい。滞在1時間の店なのに、こんな好きになることなんてあり得るのだろうか。しかし所詮はコミュ症。好きになっても、近寄ることはできない。お店の方に話しかけることもなく、ご馳走様でした、だけ言って退店。さようなら、今池店。どうかお元気で……!

 そして、翌朝。私は再び今池店の扉を開けていた。ただいま。せっかくの珍しい店舗だから、どうしてもモーニングが食べたかったのだ。昨日訪れたから今日は行っちゃダメなんてルールはどこにも存在しないはずだ。

 頼んだのは、小倉あんトッピングのモーニングと、アイスコーヒー。ミルクをお願いしたら、既に投入された状態で現れた。トーストはふわふわで、小倉あんとバターが馴染んでいて、最高だった。

 事情は分からないが、今池店はチェーン店ではない。だから、公式サイトの店舗一覧には載っていない。外観、内装、食器の全てに年季が入っており、慣れ親しんだコメダ珈琲店とは明らかに異なる雰囲気が漂っている。しかし、清潔感、あたたかみ、安心感はそこに間違いなく存在する。それらが合わさって生み出される居心地の良さは、確かにコメダ珈琲店の「くつろぎ」なのであった。


 本店。オールドコメダ。二度のひとり旅を経た今、私はひとつの説を提唱したい。

 ひとり旅とコメダは、すごく相性がいいのでは?

 ひとりカラオケ。ひとり映画。ひとり焼肉。世の中にはひとり〇〇が多く存在する。わざわざ「ひとり」が付くということは「本来は複数人での行動を、あえてひとりでとっている」という意味が込められているのだろう。ひとり通勤とかひとり風呂とか言わないのは、ひとりでやるのが当たり前だからだ。ひとり〇〇の中で、ひとり旅はどのくらいの難易度に位置しているのだろうか。もしや、映画や飲食店よりもハードルが高い?

 というのも、ひとり旅をした話をすると驚かれることが多いのだ。確かに私も、数年前までは自分がこんなにひとり旅を謳歌するとは思ってもいなかった。

 ひとりなら、全てが自分の自由。全ての食事をコメダで済ませてもいいし、モーニングのために5時起きしてもいい。誰にも気を遣わずに、思う存分好きなものを満喫できる。名古屋で大好きなコメダを摂取しまくったことで、私はひとり旅の楽しさに目覚めたのだった。

 そんなひとり旅に、コメダが最適だと思う理由は3つ。第一に、チェーン店である強み。コメダ珈琲店は全ての都道府県にある。系列店舗を含めると、2023年に1000店舗を突破しているのだ。最近では郊外だけでなく街の中心地にも出店するようになっている。お目当ての場所とコメダの位置関係だけ頭の片隅に置いておけば、旅の「ガッカリ妥協」に対応しやすいのだ。

 例えば「朝食付きの宿泊代は高いなぁ。朝はコンビニ飯で済ませるか……」というのは、低予算で行きたいひとり旅にありがちな妥協。せっかくの旅なのに、予約の段階からガッカリしてしまうなんてもったいない。ここでコメダを召喚!朝食なしでホテルを取り、コメダでモーニングを食べるのだ。コメダのモーニングは、ドリンクの値段のみでパンを食べることができる。朝からガッツリ食べたい人は、サンドイッチやバーガーを単品で頼んでもいいだろう。そうなると、ホテルはコメダの近くで一番安いところを選べば良い。なんと、ホテル選びで迷う時間すらカットできてしまうではないか。さらに言うと、コメダには「別に行かなくていい」というのも良いところである。他に美味しそうな店を見つけたら、素直にそこへ行けばいい。前日に食べ過ぎて朝ご飯が要らないなら、早起きせずゆっくり休めばいい。ホテルの朝食ならキャンセルをもったいなく感じるが、状況や体調に応じて気兼ねなく動けるのだ。

 もうひとつ例を出してみよう。「行きたいお店がどこもいっぱいで、結局空いていた微妙な飲食店で済ませてしまった……」これもありがちな妥協。一期一会に身を任せるのも旅の醍醐味ではあるが、メニューが微妙だったり金額が予想以上に高かったりして「やっぱり待ってでもあっちに行くべきだった……」などとガッカリするのは旅行でよく起きること。ここでコメダを召喚!コメダのフードメニューは充実している。加えてチェーン店なので、どこでも変わらない味である。過去に食べて美味しかったメニューがあるなら、それを頼めば確実に美味しい食事にありつける。ご当地気分は味わえないが、ガッカリすることも無いのだ。

 これらの例から、いかにコメダが旅の妥協ポイントをカバーしてくれる存在であることか、お分かり頂けただろうか。決してコメダありきで動くわけではない。コメダは言わば保険。自分が自由に動き、満足できる旅行にするための安心材料なのだ。

 ちなみに私はコメダオタクなので、コメダへ行くことそのものが推し活である。コメダを推す人間が旅行をする中で感じた最大のメリットは、食べるもの・食べるところに一切困らないこと。だって、目的地が飲食店だから。それに、食事と推し活を兼ねられる。何ともお得な活動ではないか。

 コメダがひとり旅に最適な第二の理由。それは、拠点としての安心感である。第一の理由を読んで下さった聡い皆さんなら、こう思っただろう。「別にコメダである必要ないよな?」と。そう、全国展開していて朝から開く飲食店なら、どこだっていい話だ。それでも私があえてコメダを勧めたいのは、コメダのあの空間があってこそ。コメダは街のリビングルームを名乗っており、その言葉通り、本当に居心地がいい。まさに、家が各地に点在している気分になるのだ。RPGのセーブポイントと同じくらい安心感がある。私はひとり旅に抵抗が無いというだけで、ひとり旅が得意というわけではない。なんせ方向音痴なのだ。これはひとり旅において致命的な短所である。例えスマホでマップを開いていようとも、大きな交差点のどこにいてどっちに渡ればいいか分からない。とりあえず進行方向を特定するためにしばらく歩いてみると、高確率で反対方向に進んでいる。

 頼れる同行者がいない環境下で、安心感の得られる拠点がいかに大切か!近くにコメダがあるだけで「最悪コメダに行けば大丈夫」と思える。時間的にも旅路的にも、迷った時はコメダに行けばいい。コメダで腰を落ち着けて、どこに行くかゆっくり考えて、Wi-Fiを繋げて調べればいいのだ。

 コメダがひとり旅に最適な第三の理由。「ひとり旅に興味があるけど、抵抗もある」という人に対しても相性がいいのだ。以前、叔母が「コメダって誰かと行くところだから」と行き渋っていたことがある。いや、何言ってんの?コメダはひとりで行くところでしょ?と内心では驚いたものだ。しかし考えてみれば、誰かと会話をするでもないのにカフェに独り入り浸る人間の方こそ異端なのかもしれない。私だって、どんなカフェでもひとりで行けるわけではない。四人席しかないオシャレなカフェなどは、ひとりで来ることを前提としてない雰囲気が非常にキツい。周りのカップルや女子集団などにも萎縮させられる。反対に硬派な喫茶店は、今度は喫煙可能で臭いが気になったり、あまりにも常連さんオンリーな空間だったり……。その点コメダにはおひとり様がいっぱいいるし、長居しやすい雰囲気作りがなされている。前述した、ひとりで行きづらいカフェではないのだ。むしろひとりでゆっくりするのにピッタリ。ソロ活を練習するならコメダで。コメダこそがソロ活コソ練の聖地とも言えよう。

 コメダで「ひとりカフェ」を行えば、ひとりで喫茶店に入ることに慣れていく。慣れたら「ひとりカフェ」からは「ひとり」が取れ、ただの「カフェに入る」という日常的な行動に変わる。そうすればひとりで飲食店に入る抵抗はなくなり、ひとりで行動することが苦にならなくなる。こうしてひとり旅ができる心持ちが育っていくのだ。

 もっとも、これが良いことなのかは分からない。集団から己を切り離すことに慣れてしまうので、社会性を欠如させる方法かもしれない。でも、ひとり旅は自由を味わえる楽しさがある。それだけは確かだ。コメダを介したひとり旅、ぜひご一考あれ。

読んで頂きありがとうございます!

完結まで頑張ります!

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