沼レベル2・コメダに通う
本格的にコメダにハマったのは、社会人になった2019年。私の仕事は月2回、午前だけの土曜出勤がある。一日の半分を仕事に奪われてしまうのなら、せめてもう半分は有意義に過ごしたい。そんな思いから、働き始めた当初は、仕事終わりにカフェ巡りができないものかとリサーチしていた。しかし、仕事が終わって街を歩けるようになるのは14時過ぎ。個人経営のカフェは、13時半がラストオーダーの店が多かった。14時で一旦閉店して、次は17時に開店する。そのため、意外にもカフェを巡りづらいという事実に直面したのだ。そんな私をあたたかく受け入れてくれたのが、コメダ珈琲店。7時から23時まで休みなく迎えてくれる素晴らしさ。今までは新作シロノワールの様子を見に行くだけだったが、今度は仕事終わりの遅いランチとしてお世話になることに。自由に使えるお金ができたこと、通勤ルートがコメダの前を通ることも影響して、私はコンスタントにコメダへ通う習慣が身についた。
沼レベル1にて、フードメニューに苦戦していた学生時代の私。ところが仕事終わりの空腹状態は、学生時代の朝食抜きなど比べ物にならない。少食の私でも、その空腹を利用して色々なフードメニューにチャレンジすることができた。最も苦戦したのは「ボリュームたっぷり まんぷくプレート」という括りで並んでいる商品たち。通常運転ではボリュームたっぷりを意識していないと言うコメダが、わざわざボリュームたっぷりと宣言するレベルなのだ。例えば、レギュラーサイズのヒレカツプレート。レギュラーサイズという言葉から、既に危険な香りが漂っている。大きな皿に盛られてやってきたのは、ヒレカツ5個、パン2個。ひとつひとつのヒレカツは、そこまでの大きさではない。ここまでは大丈夫。他が問題なのだ。まず、付け合わせのポテトサラダ。サーティーワンのアイスクリームくらいある。それから、物凄く大きいキュウリ。同じく、物凄く広大なレタス。ウサギにやるエサかと思うレベルだ。そして極め付けは、山盛りのキャベツ!二郎系ラーメンの上部構造と同じくらいに盛り盛りなのだ。私はまんぷくプレートについてくるこのキャベツを「キャベツ界の二郎」と形容するようになった。まんぷくプレートはヒレカツ以外にもジャーマンやエビフライもあるが、ポテトサラダとデカ野菜、二郎系キャベツは漏れなく付いてくる。野菜を食べられるので健康的なのだろうが、付け合わせの野菜だけでまんぷくになりそうなプレートだ。しかし、多くの人にあの二郎系キャベツを見てほしい。ミニサイズのヒレカツプレートなら、ヒレカツやパンの数も少ないし、少しは野菜も減る。まんぷくプレートの入門編としてちょうどいいかもしれない。途轍もなくお腹が空いている時、ぜひ一度お試しあれ。
コメダへの通い方がエスカレートしたのは、2021年の冬。コメダは「季節のケーキ」と銘打って、年に3回、約4種類のケーキを発売している。そのオシャレな広告を目にした時、私は「ショコラズベリー」というケーキがとても魅力的に見えた。丸いショコラ生地の上にかかった、真っ赤なフランボワーズピューレ。その鮮やかな赤色に目を奪われたのだ。ショコラズベリー、早く食べてみたい。あのケーキだけは、次の土曜出勤まで待てない。そう思うと我慢できなかった私は、平日の仕事終わり、家族には内緒でコメダへ寄った。晩ご飯が用意されているのに、ケーキを食べたなんてバレてしまってはいけない。念願のショコラズベリーを注文し、ワクワクしながら口に運んだ。正直なところ、感動的な美味しさではなかった。考えてみれば、私はベリーの類がそれほど好きというわけでもなかったのだ。完全に「衝動買い」ならぬ「衝動食い」だった。だが、この経験を通して、私は気づいてしまう。何も休日だけに限らなくていい。平日の仕事終わりでも、コメダに寄るという手があったのだ。こうして平日でも、私は時々コメダへ通うようになった。
そして、半年後の夏。そのシーズンのケーキは、どれも本当に美味しかった。甘酸っぱいオレンジとクリームチーズが爽やかな「口どけオレンジ」。ブルーベリーのクリームが美味しいモンブラン「熊本ベリー」。柑橘の風味がシフォンケーキにたっぷり詰まった「ふ和っと柑橘」。凍ったまま味わうチョコケーキ「氷点下ショコラ」。私はこの夏、4種類全てのケーキを2回以上食べた。ここで遂に、推しメニューのリピートまでも覚えてしまったのだ。
季節のケーキは、全く同じものが再登場することは滅多にない。そのため販売期間中にしっかり味わう必要がある。とはいえ、焦って一度に2つ攻略するのは御法度。空腹からスタートして基準を揃えないと、満腹感で美味しさが阻害され、正確に評価できなくなる可能性がある。発売日から、毎日ひとつずつ攻略していくのだ。その後、気に入ったケーキはリピート。ハマらなかったケーキでも、ネットの口コミを見た状態で味わい直して、シーズンを過ごす。次なる季節のケーキが告知されたら、シーズン切り替わりの合図。最後に食べ納めをして、全てのケーキに別れと感謝を告げるのだ。
攻略、リピート、食べ納め。今や、季節のケーキはワンシーズン3周の周回プレイがデフォルトとなっている。4種類のケーキを3周、3シーズン。最低でも、年に36個のケーキをコメダで食べている計算だ。そう考えると、摂取する糖質や脂質は……いや、これ以上は考えない方がいい。
最近では「仕事のストレスやばい!こんなんコメダが無けりゃやってらんねえよ!」という意味不明な理由付けを行い、新メニューが出ていなくても週2でコメダに通っている。新商品が多く発売されたり、限定メニューにハマったりした際には、週7で通うこともある。
幸か不幸か、私の出勤時間までにはコメダが開かない。もしも出勤前に間に合っていたならば、私は毎朝コメダのモーニングに通い、仕事終わりにも寄り、コメダの化け物として倍以上の出費をしていたことだろう。
ありがとう、コメダ。私をまだ人間でいさせてくれて。
読んで頂きありがとうございます!
完結まで頑張ります!