被害者:ライム、職業:ロボットデリヘル
俺は、"支配"という言葉に魅せられた男だ。
肉体よりも、精神よりも、「命令に従わせる」その行為に、抗えない快楽を覚える。だからこそ、ロボットデリヘルという存在を知ったとき、胸の内に熱を感じた。これはただの性欲処理じゃない。欲望の実験だ。
数日前、俺は初めてそれを試してみた。サイトから適当な嬢を選び、ホテルにチェックインしたのが深夜の一時過ぎ。
ノックの音もなく、静かに扉が開いた。
彼女が入ってきた。名前は「ライム」──アプリの画面に表示されていた名前。年齢18、メイド服、無表情。まるでアニメから抜け出たような完成された顔。艶やかな黒髪に、ボリュームある胸元がレースのフリル越しにわずかに波打っていた。
「こんばんは」
声をかけても、返事はない。彼女はただ、俺の方に近づき、黙って一台のスマホを差し出した。
画面には操作メニューがあり、命令入力という欄と、実行ボタンが並んでいた。
俺は命令入力に「ベッドに座れ」と打ち込んで、実行ボタンを押した。
彼女は何も言わず、ホテルのダブルベッドの端に腰掛けた。
その瞬間、俺の中にある異常な支配欲が刺激された。言葉一つで、動く。反論もしない。嫌悪もない。完全なる“人形”。それでいて、あまりにも美しい。
俺は、熱に浮かされたように、次々と命令を打ち込み、彼女に卑猥なことをさせた。無表情のまま、俺の指示に従い、体を預け、喘ぎ声ひとつあげずに腰を振る彼女。それが逆に、俺を強く昂らせた。
だが、終わった後、俺の脳裏にひとつの衝動が浮かんだ。
「この完璧な人形が、切腹するところを見たい」
俺はリョナ動画のコレクターでもある。中でも“自ら腹を割く女”が好物だった。
苦悶と悦楽が入り混じった顔。はち切れそうな臍下を、刃が裂く様──それを現実で見られるとしたら、これ以上の快楽があるだろうか?
俺は本物の匕首を買った。鍛造された刃渡り18センチ。そして、再びライムを呼び出した。
今夜、部屋に入ってきたライムは、前回と全く変わらぬ表情だった。黒のリボン、白いフリル、淡い青のメイド服。大きな胸が、呼吸にわずかに揺れている。
無言でスマホを差し出してくるその姿に、俺はあの夜と同じ高揚を感じた。
あの命令を下す前に、ライムに肉棒を咥えさせ、股を開かせた。
いよいよだ——。
ベッドの中央を指さし、「正座しろ」と入力して実行。
ライムは、素直にベッドの中央で両膝を折り、静かに正座した。手は膝の上、背筋はまっすぐ。胸元の谷間が自然に強調されている。
俺は枕の下に隠していた匕首を差し出し、スマホで「持て」と命令する。冷たく無機質な鋼を、ライムは何の疑問もなく受け取った。
俺はスマホに禁断の命令を入力する。
「切腹しろ」
俺は実行ボタンを押すのを躊躇った。
しかし、欲望には勝てなかった。
震える指で実行を強く押す……。
ロボットアームが動作するように、彼女は匕首の柄を両手で握り直し、刃を自分の方に向けた。
次の瞬間——。
ブスリ
「おっ……!」
初めて、漏らした。
腹から押し出されるような低い声。ロボットではない明確な、女の声だった。
ライムが自分の腹を刺した時、口と目が大きく開く瞬間を俺は見逃さなかった。あの人形のような顔に、"絶望"の色が宿る。切り裂かれた腹部から流れる血は、淡い青のメイド服を赤く染め上げ、太ももに沿って広がっていく。
その光景は、言葉にならないほど美しかった。乙女の命が、静かにこぼれていく。刃を抜くことなく、大きく口と目が開いたままライムはそのまま動かなくなった。
正座の姿勢のまま。
凛とした、美しい死の瞬間だった。
スマホを握りしめた俺は体の震えが収まらなかった。
俺はもう一度、スマホの画面を覗いた。
そこには「再注文する」というボタンが、光っていた。
次は必ず撮影しよう——。