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第一話 万引き

 俺の名前は新田玲司。

 今、見知らぬ土地で一人ぼっちになっている。

 なぜこんなことになっているかと言うと、


 さかのぼること30分前...。


 俺は旅館で働いていた。主にフロント係を担当していた。

 そんな時、世の中に未知の感染症が広がり、人々に恐怖と不安を与えていた。そのせいで客足が落ち、俺が働いていた旅館は潰れてしまった。仕事がなくなった俺は家賃も払えず、気がつくとホームレスになっていた。バイトを探してもホームレスの俺は受かるはずもなく、食事もままならない状況になっていた。


「ぐぅ~。」腹の音がなる。

「腹減ったな」

 そんな時、近くにあったパン屋の匂いにつられて、俺はいつの間にか店の中にいた。         そして気がつくと、俺はパンを片手に店から逃げていた。

 俺は必死に逃げた。人生で初めて万引きをしてしまったが、生きるためにはしょうがないという気持ちもあった。逃げている最中に目の前の信号が赤に変わろうとしている。そんな中、少女が横断歩道を渡っている。急いでいるようで、信号が赤に変わった事には気づいていないようだ。トラックが少女めがけてやってきている。運転手は気がついていないようで、「あぶない!!」俺はとっさに少女を守ろうと横断歩道に向かって走っていた。

「キイキイー!」


「ドンッ!!」







 遠くの方で救急車の音が聞こえる。

 意識が飛びそうな中、俺は走馬灯のように今までの出来事を頭の中で振り返っていた。

「俺の人生ってなんなんだろ。仕事はなくすし、やっとの思いで万引きしたパンも食べれずじまいさ。」

「俺、死ぬのかな」


 意識がなくなっていくのが分かった。



 目が覚めると、真っ白な何もない空間の中に俺はいた。

「ここはどこだ? 俺は死んだのか? 」

 何も分からないまま、周りを見渡すと、巨人でもいるのか?というくらいの鉄の扉が奥にあるのが見えた。

 その他には何もなく、扉に向かって歩きだそうとした時だった。

 急に眩しいくらいの光に包まれ、それは目が開けられないほどだった。

 光が弱まりうっすら目を開けて見ると、そこには全身真っ黒なスーツを着た

 60代くらいの老人が俺の目の前に立っていた。

 この状況が読み込めず、呆然としていると、


  「遅れてすまんの~ 急な会議が入ってしもうての」

  「それじゃー行こうかね。 アラタくん」


  「ちょっとまってくれ!! ここはどこなんだ? なぜ、俺の名前を

  知っている? 」


 頭の中にたくさんの疑問があったが、まずこの状況を確認することが優先だと思った。


  「これはすまんかった。なんの説明もなしに連れて行くところじゃっ

  たな。わしの悪い癖が出てしもうたわ」


  「ここは、地獄だ。いや、詳しく言うと地獄に行く前の部屋と言ったほうがいいかな。あそこに見え  る大きな鉄の扉が地獄に続いているというわけだ」


  「地獄?! 」


  「おれが万引きをしたからか? 」


 ここにいる時点で俺が死んでいるという事くらいは何となく検討がついていたが、まさか地獄とは。

 万引きをしたせいで、地獄に落ちたのだろうか?それにしても、つくづくついていない人生だな。と心の中で考えていた。


  「そうじゃ! 万引きをした者は地獄行きと決まっている。万引きだけ

  ではないが、他にも犯罪・殺人・自殺なども含まれるがな」


  「それで、おれは地獄行きなのか……。 まいったな…… 」


 地獄でもどこでもいってやるぜ。俺は新しい人生をはじめてやるんだ!前の人生よりいくらかマシならそれでいい。そんな気持ちが湧いてきていた。


  「受け入れているようじゃな。しかし、おぬしが行くところは地獄で

  はないのじゃ。地獄だったらわしも助かったのじゃがな。 ははは…… 」


  「いい忘れていたが、わしはサタンじゃ。先程の会議でおぬしを地獄行

  きから免除してやったのもわしじゃ」

 

  「はい?! 」


  俺の頭の中は疑問と驚きでいっぱいだった。


  「だから、おぬしは地獄行きではないぞ。 長話をしてしまったな。そろそろ行くとするかの」


  「地獄じゃないならおれはどこにいくんだ? 」


  「おぬしは死ぬ前に少女を助けたから、地獄行きではなくなったのじゃ。 だが、元いた世界には戻  れんがな。 これからいくところは見てのお楽しみじゃな」

  

  「あの少女は生きているのか!! よかった」


 少女が生きているのを知った俺はなんだか安心した。しかし、元いた世界とは別の世界とはなんだろう。そんな事を考えていると、またあの眩しい光が俺を包み込んでいくように広がった。


  「また、いい忘れていたが、おぬしにはわしからプレゼントとして魔法が全種類使えるようにしてお  いたぞ。がんばるんじゃぞ~。 困ったら心の中でわしを呼んでくれ」


 姿は見えないが、サタンの声だけが聞こえてきた。

 これからおれはどこにいくのだろうという思いもあったが、なんだか不安な気持ちは一切なく、これからの新しい人生に期待を持っていた。





ご覧くださりありがとうございます。

なるべくはやく次回話を投稿しますが、時間がかかる場合もございますので、ご了承ください。

皆さんに楽しんで読んで頂ける作品を投稿していきたいと思いますので、宜しくおねがいします。

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