出発
決まった...とは言っても...俺嫌だなぁ。
国を上げて決められてしまった物に反対なんか出来ないんだけどさ...。
早速明日には俺が帝国に出向くことになってしまったし...。
しかもまだ協力相手候補を見つけてすらいないのはまだいいが、それを俺に現地で探せ、と言うのはなかなかに鬼畜の所業では?
「と言う訳で帝国に出向く訳になったんだが...ラミュ、着いてきてくれるか?」
「勿論です! ...でも何で私なんですか?」
「それは...ラミュ、君に来てほしいからだ」
ラミュに来て欲しい、と言うかラミュ以外に居ないというのが正しいだろう。エルは国の主戦力だから来てくれないらしいし、他に兵士が着いてきてくれるわけでもない。かと言って俺が一人で行くと「こんな王子に着いて大丈夫か?」なんて考えられるかもしれないからな。
俺の事をSランク冒険者として信用してくれているのだろうけど...。どこの貴族や大臣も俺に護衛に関しての話を振ってくれなかったあたり...。
いやまあ仕方がないのだろうけど。
各地を治める貴族たち。しかし、貴族の当主は議会に参加しなくてはならない。
その為、当主は貴格に住居を構え、地方は息子などの跡継ぎや部下に任せるのが主流だ。珍しい所だと隠居後の先代当主に投げることもあるらしい。老後も働かされるとか頭おかしくなるわ。
議会については代理を頼んで当主が地方で直接治めることも出来るが...。それをやっているものは殆どいない。まあ面倒そうだし、やらなくて良いならやらないだろう。
要するに王都でならグータラ生活がいつでも可能なのだ。
そんな生活が五十年。議会招集があったのは一回きり。特に目立ったイベントも無く...。
要するに、今の貴族や大臣は王族に対してどう接すれば良いのかよく分からない奴らばかりなのだ。
ましてや全く王宮に姿を現さない俺にコンタクトをとろうなんて常人じゃ無理な考えだ。
こうゆう有事なんて皆初めてだろうからな。俺もだけどな。どう動いたらいいのかわからないだろうし、まず王子一人で動くって国王から思いっきり言われちゃったもんな。手を出すのは野暮...そう思っちゃったんだろお前ら? そんなんで貴族は務まらないんじゃないか?
閑話休題っ。
「私なんかが行ってもいいのでしょうか?」
「ああ。ラミュはもう俺の立派な従者だからな」
「ノア様...嬉しいです!」
嬉しそうにはしゃぐラミュ。あ、尻尾揺れてる。
「では、行って参ります」
「頼んだぞ、ノアルトよ」
国王や一部の大臣や貴族に見送られて、王宮を出る。
正式な使いなら沢山見送りがあるのだろうが、今回は正式、と言う訳ではない。
内密に誰かと繋がり、軍の撃退の実績を擦り付ける必要があるからだ。
慎重な行動が要求されるだろう。
従者も少なめに...俺が動かせる従者一人だけじゃねえか。
遅れて本当に申し訳ございません。
ただ、聡明な学生読者(居るのか?)諸君ならばなぜ私がこの時期に更新が止まったかわかるだろう?
そういうことだ。
長らく執筆していなかったので、ちょっと短めでしたがゆるしてくださいなんでもしません