作戦説明
王位争い→帝位争いに変えます
紛らわしくてすみません
翌日、レイアが皇帝に出撃許可を貰い、たった数百人ではあるが王宮魔術師達を連れて行くことが出来るようになった。
「これで全員」
レイアが指を指す方には杖を片手に持った三角帽のザ・魔法使いといった面々が揃っている。
彼らはいきなり現れた異国の王子を目の前にして、驚きの表情を浮かべている。
魔力量もかなりあり、手練れの者ならこれらが精鋭だと一発で見抜けるだろう。
...だが。こいつ等には悪いが、今回こいつ等の出番は殆どない。
「いきなりで悪いが作戦を説明する。お前達は頑張ってアルディア砦まで進む! 絶対間に合わないから飛行魔法を使える奴で先行してガルアナ達を足止め! 足止めと言っても俺とレイアで広範囲を吹き飛ばしてガルアナ軍を全滅させる気で行く。てか全滅させる」
とんでもない作戦だが、レイアの魔法の才はピカイチ。常時ブースト下の俺の魔法...とまでは行かないが、数発撃てば町を破壊できる威力はしているだろう。
そこに俺が混ざり数万の兵士を吹き飛ばす。
他の魔術師はそこまでの実力も無いようだし...いや、世間一般からしたら十分エリートだろうが。
ぶっちゃけると魔術師たちはオマケ。俺が出陣していると言う事がバレないようにする為のモノ。
全部レイアがやってくれた、と言う事にしないとこっちに飛び火する危険性もあるからな。
三百ちょいがなんかの間違いでとんでもない速さで移動して砦から集中砲火、敵全滅!
と言う構図を作り上げたいのだ。
反乱者達なのでブッ飛ばしても問題ないだろうし、これが一番合理的なのだ。
「ちょっと待ってください!」
俺に声を上げたのは魔術師の少年。
かなり若い為、結構な才能があると見られる。それか相当努力したか。
「飛行魔法が使える魔術師なんてそうそう居ませんし、貴方と姫様だけで軍を全滅できるとは思えません! その作戦には穴がありすぎます!」
コイツ、俺が誰か知らない系男子だな? それに武功も欲しいと見た。
「おい! この方は隣国のアルカディア王国第一王子様だぞ!? あの冒険者としてもSランクとして名高い古代魔法使いの!」
「いや、古代魔法使いでは無いのだが...」
別に現代魔法だってブーストの力で自由自在に操れるし、なんなら古代魔法なんて全然使ってないぞ...。アレ一部除いて訳わからんモノしか無いし...。
「古代魔法!? なら転移魔法を使えばいいじゃないですか!」
「いや...それは無理だ」
「な、なぜ!?」
「...単純に面倒だ。お前達を早く連れて行ったってそこまでメリットは無い」
嘘だ。本当は魔力が足りないのだ。
転移魔法はその性質上、魔力を本当に多く使う。
俺はよく無限の魔力を持っていると思われがちだが、それは似ているどころか全く違う。
保持魔力量もそこまで多い訳では無い。
が、俺は魔力を使い果たした瞬間に魔力回復速度にブーストを掛け、瞬時に魔力を満タンにしているのだ。
するとほぼ永遠に魔法が打てるが...自分の魔力限界より多く魔力を消費するモノは勿論使えない。
「そんなのが許されると...」
「――いいの。これは私が決めたこと。私はノアルト王子を信じる」
「ですが姫様...」
「文句があるなら帰って」
「う...」
レイアに睨まれ、意気消沈する少年。
ノアルト王子を信じる...か。
「私はここでノアルト王子やアルカディア王国を信じないと帝位争いで負けてしまう。そしたら王宮魔術師の扱いは悪くなるかも...それは嫌でしょ? それに、ノアルト王子は私が帝位争いで勝つと信じてくれたから協力をしてくれた。そしたら私もノアルト王子を信用すべき」
レイアの目には有無を言わせぬ力強さがあった。
「...はっ! 我ら王宮魔術師はレイア様に付き従います!」
...どうやら作戦は決行されるようだ。
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