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誘拐

 その後、適当に取っておいた宿に戻る。


「お疲れ様ですノア様!」


 戻って部屋に入ると、ラミュがお出迎えをしてくれた。

 まだ従者らしい事は何も教えてないので従者っぽい事はやらなくても良いとは言ったが、ラミュは頑なに止めようとしない。

 ラミュ曰く、


「ノア様の従者が怠けてなんていたらノア様の評価が下がっちゃいますから、形だけでもやらなきゃだめなんです!」


 との事。

 正直その心構えだけでもかなり嬉しい。


「...あ! そうだ、私、こんな感じの服じゃなくてもうちょっと従者っぽい感じのお洋服が着たいんです!」


 服? まあ確かに、今のラミュの服は貴族の娘が着ていてもおかしくないような服ではある。

 城から出る際に特に何も考えず適当な奴を引っ張ってきたのだが、それが気に入らなかったのか。

 女の子は服装に気を使うからな...地球でもそうだったな。

 

「じゃあ俺が何か買ってきてやるか?

「あ、いえ、自分で選びたいんです」


 もしかして俺に美的センスが無いと言う事か? 実際そうだろうけどさ......。


「...じゃあ分かった。明日何枚か金貨を渡すから、それで適当に何着か買って来ていいぞ。ただ、俺が帰って来るまで...んーと、夕方までには帰って来るんだぞ」

「ありがとうございます!」


 おつかい程度の事だし、経験して貰う方が良いだろう。




 次の日。帝国の城で情報収集をする。

 使うのは勿論ブースト。聴力にもブーストを掛けることは可能だ。

 ただし聴力ブースト中に至近距離で大声を出されたら耳が潰れる。

 そこだけ注意だ。


「ガルアナは何処にいるのだ!?」

「それが、アルカディア王国のアルディア砦に向かっているらしく――」

「あやつは阿呆なのか!? 軍を率いて別国に向かうなどと...ガハッ...」

「へ、陛下!? やはりそのお体では...」

「...気にするな。この程度、何でもない。...只、誰かがあやつを止めなくては...」


 恐らく帝国の現帝王と側近の会話だろう。

 やはり第三皇子は帝王の合意を得ていない...!

 それと他にも、軍隊の詳細情報等も知ることが出来たので満足だ。


「レイア、少し良いか?」

「貴方...何でまた窓から入って来るの...?」

「俺が帝国にいることがバレたらマズイから...だな」

「...そう」

「それで、早速計画について話をさせて貰う」


 俺は、レイアの指示やアルカディア王国への説得により、素早く第三皇子達を捕らえ、アルカディア王国とも円滑な関係を築く事に成功した...つまり、アルカディア王国が、突然襲ってきた軍に対してレイアがそれを追い払うことにより恩として正式にレイアの協力者となる...と言う感じで話が進むよう説明をした。


「...分かった。けど、ガルアナを捕らえたら後はどうなるの?」

「そこもレイアが俺達を説得した事にして帝国に丸投げする」

「ん、分かった」

「行動は早い方が良いだろうから、明日にはここを出ようと思う。それまでに準備をしておいてくれ」


 そう言い残してからレイアの部屋を後にした。




 宿に帰ってきたのは夕方。だが、そこにラミュの姿は――。

 一体何処に?


 慌てて魔法を発動。

 使うのはブーストを掛けていない風魔法。

 ブーストは嗅覚に使う。

 風を集めてラミュの臭いを辿る。

 ブーストが掛かってない為精度が荒いが、そこら一体をサーチすることは可能だ。


 ――見つけた。

 意外とあっさり見つけられたな。

 しかし、ラミュの近くから別の臭いもする。

 

 ...急がなくては。

 




 不覚だった。いくら獣人とは言え、ラミュは貴族のような姿をしていた為人攫いに狙われることくらい想定すべきだった。

 獣人は殆どが帝国の領地拡大の際に餌食になった国出身な為、帝国では何においても優遇されてはいない。その為犯罪に走る獣人や孤児である獣人が多く、帝国では獣人の奴隷が半分を占めているようだ。

 アルカディアやオルフェウスは獣人についてはどうでもいいスタンスだが、帝国から獣人奴隷が流れて来るのでこの大陸では獣人の奴隷率が非常に高い。

 そんな獣人には目もくれないだろう、と高を括っていた俺が浅はかだった...。

 しかし時に人攫いよ。

 お前たちは誰の従者を攫おうとしたのか......その決断、後悔することになるぞ?

かんそうぶくまひょうかぜひ

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