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協力者

 闇に沈む帝都。

 そんな中、一人自室で黄昏ている少し幼げの残る少女。彼女の銀色の髪が風に吹かれる。その立ち振る舞いには高貴さが滲み出ており、彼女の美貌も合わさり、それだけでまるで一枚の絵の様になる。

 彼女こそが第一皇子女であるレイアその人だ。

 そんな彼女の部屋の開け放たれた窓に、何者かが飛び乗る。


「......誰?」

「まさか気づかれるとはな」


 少しは驚くかと思ったんだが...随分と冷静だな。

 内心、気づかれるとは思っていなかっただけに逆にこちらが驚いてしまう。

 幻術魔法にブーストを掛けている筈の俺に気づくとは......相当魔力感知系に強いと見れるな。噂通り魔法の腕は一流のようだ。

 

「...その髪色に目...アルカディア王国の?」

「よく分かったな」

「...こんな所に何の用?」


 ぶっきらぼうにそう言い放つレイア。


「単刀直入に言おうか。帝王の座は欲しくないか?」


 俺の言葉を聞いた瞬間、彼女の赤色の双眸は大きく見開かれた。


「そ、それは...!?」

「第三皇子と第一皇子よりも功績を上げる為に俺と協力する。それだけだ」

「......一体何を企んでいるの?」

「企んでいない......と言ったら嘘になるな。......第三皇子の指示で軍隊がアルカディア王国に向かっているのは知っているよな?」

「...それくらいは嫌でも耳に入る」

「あの軍隊の侵攻は完全に第三皇子の独断で行われたんだよな?」

「そう。父上が止めろと言っても聞かない。それに、ガルアナは城を出て軍の人たちと一緒にどこかに行ってしまった」


 あれ? これって......反逆...。

 アルディア砦落として拠点にしてから自分以外の皇族全員皆殺しルートとか有りそうだぞ?

 とりあえず話を進めるか。


「そこでだ、俺達と協力して第三皇子を止めるんだ。そうすればお前は王位に近づける」

「ガルアナを...蹴落とす?」

「まあそうなるな」

「......そっちが此方に求める物は?」

「お前が女帝になること。後はそうだな......お前がアルヴェル帝国女帝になった時にアルカ―――」

「......分かった。協力する」

「―――ディア王国と...え?」


 いくら何でも決断までが速過ぎるだろ。


「ここから私が生き残る為には必要な事だから......よろしくね? えっと...」

「俺はノアルト。ノアルト・アルカディアだ。よろしく頼む」

「知ってると思うけど、私はレイア・アルヴェル。これからお願いね?」

「任せて欲しい」


 俺は力を込めてそう伝える。

 王位争いとか聞いたから、候補者は血気盛んなやべーやつだと勝手に思い込んでいたが、こうして実際に会ってみると、結構普通の女の子だった。......王族に普通はダメか。

 そんな彼女が帝国で王座を手にするのを少し楽しみになっている自分が居ることに気が付いた。


「......ふふっ」

「どうした?」

「...いきなり窓に飛び乗って協力を取り付けて来る王子だからちょっと怖かったけど、今の言葉で分かった。貴方は多分年相応の、普通の男の子。...だから安心したの」

「...奇遇だな、俺もほとんど同じ事を考えていた」

「...お互い失礼」

「それはお互い様だな」


 そう言ってから、思わず笑みを零してしまう。

 

「......やっぱり。初めて会ったのにどうして? 私、貴方と居ると落ち着く...」


 そう言いながら、レイアは少し頭を前に傾けた。

 動かない。

 ......寝た?

 幾ら安心するとは言え...マジか。


 レイアの体を抱えてベッドに寝かせてからそそくさと部屋を後にする。

 明日は情報収集に作戦会議、まずレイアをアルディア砦まで連れていく必要があるかもな。

 忙しいな。

ブクマ感想評価してくれると作者が鉄棒でプロペラ周り出来るようになるので是非

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