表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/59

帝国

 アルヴェル帝国。五十年近くも領土拡大に勤しんできた為、それは大陸随一の大きさを誇る。

 ハウンツ大陸の三分の一を占める為、人口、軍事力と全てがトップクラスだ。

 そんな大きなアルヴェル帝国の他に残された国は......不可山脈(デルタズ・ノア)の向こうを除けば、我らがアルカディア王国と竜国オルフェウスだけ。

 帝国にこの二国が勝るところがあるとしたら......アルカディアは多分勇者と申し訳程度の技術力、オルフェウスは竜騎士と聖女の回復能力くらい......じゃないだろうか。それくらい帝国は強大なのだ。

 こちらには一騎当千できる勇者が居た為、領土拡大の餌食になることは何とか避けられたが......。

 それでもアルカディアやオルフェウスに帝国が攻め入って来るのは誰の目にでも明らかだったが......。

 突如として、皇帝が病に侵されたのだ。

 それがつい昨年の事。

 寿命は持って一年あたり......だそうだ。

 その為、次期皇帝を決める事となったのらしいが、帝王は誰も指名しない。そういうしたきり何だそうだ。

 その為、今は三人の候補者が王位を狙い争っているらしい。

 最有力候補が、第一長男のサリバン。持ち前の聡明さで国内、主に国民関係の問題解決に当たってきた。

 第一長男と言う肩書に加えて、武力に頼らない俺ムーブをしているものだから、国民からの支持が一番厚いのはこの皇子だ。

 次、第三皇子のガルアナ。武術に優れ、帝国軍では大きな存在だ。軍部関係からの支持が厚い。

 実は王位争いで一番不利なのはコイツなのだが......何せ戦争が無かったら功績なんて上げられないからな。只、ガルアナは何を血迷ったのか......実は軍隊が アルカディアに攻め込んでいるのはコイツの指示なのだ。

 俺達はコイツを倒さなくては、と言う事になるだろう。

 最後、第一皇子女のレイア。母親譲りの魔法の才能を持ち、放たれる氷の魔法は大陸でも有数の火力を誇るそうだ。王宮魔術師の研究機関にも時折顔を見せ、魔法技術の向上にも貢献しているようだ。

 その為レイアは魔術師系統からの支持をかなり受けている。

 第一皇子女と言う肩書もまた彼女のアドバンテージになっているだろう。

 帝国の歴史では、女王も何人か居たらしく、女性が帝王......いや、女帝か?

 ただ......政治関係の立ち回りがかなりヘタクソらしく、未だに有力な貴族を自分の陣営に取り込めてないようだ。


 貴族は基本的に最も有利そうな者に着くか、あるいは静観するかの二択である。

 子供の時に読んでいた歴史の本や、前世の記憶があるとは言え、王位争いが起きなかったアルカディア王国王子の俺でもわかる単純なことだ。

 その点、一番貴族を自分の陣営に取り込めているのは皇子長男だろう。

 どのくらいの貴族を陣営に取り込めているのかは知らないが......帝国は良くも悪くも周りの国を全て潰してしまった。

 つまり、別国と手を組む、と言う状況が作りづらいのだ。

 少し前にアルヴェルの軍隊を追い返した後の報復が怖い、と言ったのだが、これは帝国側も同じだろう。

 勝手に別国殴り込みにいっちゃった報復が怖い、と。

 統治下ではない全くの別国に攻め入られるかもしれない、と少なからず不安がある筈だ

 そこがミソ。

 そのアルカディア王国と手を組む者が現れたとすると、状況は一転する。

 そんな状態で攻め入って来る筈はないだろうし、もしもアルカディア王国の協力者が王位争いで敗北したとすると......。

 国が協力者の人物に対抗するには、対抗者も同じく国を協力者にせざるを得ないが......。

 先述した通り、アルヴェル王国は周りの国を全て潰してしまった。

 要するに。これまでの様々の事柄から、アルカディア王国と手を組む相手の優位性が非常に上がる為、その者のこれからを左右するのだ。

 そうなると、こちらからの要望も通りやすくなるだろうし、候補者が俺達からの協力申請を断る訳が無いのだ。


 長々語ってしまったが、俺は第一皇子女のレイアとやらに協力申請を行おうと思う。

 ぶっちゃけると消去法だ。

 皇子長男はほっといても帝王になりそうだし、皇子三男はこっちに軍隊嗾けてきたから潰すし。

 今後の方針は決まった。






「うわぁ......!」


 ラミュを抱えながら飛行する。

 道のりの途中までは馬車で来たが、馬車は目立つし、俺のブースト飛行魔法の方が速いし見つかり辛いので変更した。

 あっちで使う為に貰った金貨やその他諸々をアイテムボックスと言う魔法で収納し、空を飛ぶ。

 アイテムボックスは、冒険者であれば習得するべき魔法だ。

 ただ、実はこの魔法は今に残る数少ない空間系の古代魔法なのだ。

 しかしまあ、ラミュは空を飛ぶの好きだな。

 別にそこまで眺めがいい訳ではないのにこんなに喜んでくれるとは、全く嬉しい限りだ。



 帝都では厳しい検問が行われているが、そこは幻術魔法にブーストを掛ける事で難なく密入成功。

 冒険者カードを使っても良いが、俺だと言う事がバレてしまうからあまり良くはない。

 なるべく内密に協力を取り付け、可能ならば協力者の王位継承が確実になるまでアルカディア王国との繋がりは隠しておきたいからな。

ブクマに感想、評価をしてくれると作者が嬉しさで倒立できるようになりますのでその気があれば是非

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ