そのよん その頃のポマス父とマーク
大国リオンが誇る王立博物館。
大きな翼のあるトカゲの標本にまんまる黒眼鏡の少年が大興奮していた
「すごい!すごい!飛竜の王様、ゴールドドラゴンの化石があるなんで!」
「そうじゃろ、そじゃろ。手に入れるに相当苦労したんじゃぞ、なにせ、ゴールドドラゴンは千年に一度しか卵を生まないから貴重なんじゃ」
あたまは丸はげなのにお髭は無駄に白く長い、博物館長が得意げに笑う。
ちなみに息子のポマスは髭さえ生えないマルッパゲ。
髭でも生えたわし、勝ち組。
博物館長は最近、外部学芸員として受け入れているアークレッドのまんまるメガネのこの少年がとてもお気に入り。
こっそり、博物館の受け付け令嬢の孫娘と結婚させたいと画作してるのは、ここだけの話。
孫は女の子ばかり5人いる。
ひとりくらいわしの跡継ぎくれていいだろ。
ちなみにまるっパゲ大臣は次男で娘はふたり。ひとりは女騎士として、姫の近衛騎士に。
もうひとりは、学院で姫の同級生。
次男の嫁怖いから、受け付けには長男娘。
ぼん、きゅっ、ぽんのナイスバディ。
…まったく興味なさそうなまんまる黒メガネ。
男として大丈夫?
サナダムシは嫁なれないぞ?
髭だけ館長、勝手に心配。
素知らぬマークは飛竜の王に大興奮。
「かっこいいなあ、ゴールドドラゴン。たしか生まれてたった1日で人が乗れる大きさになるんですよね?」
「そうじゃな。ゴールドドラゴンはあの大山脈アルバの過酷な環境で卵を生むから、はやく成長する必要がある。アルバには色んな動物がいるからのう」
ふさふさお髭を撫で付ける。次男にはできない芸当ざまあみろ。
ちなみに母に似た長男はどっちもフサフサ。あたまはゆるゆる。
髪の毛のかわりに神の毛手に入れた次男。
まるっパゲでもいい男。若い頃、コンプレックスだらけのツルッパゲでも、リオンでも1、2位を争う美人でできた嫁さん手に入れた。
ちょっと、いや、かなり気は強いけど。
優しすぎる次男にはあれでいい。じゃないと困ると大国リオンの王様右腕の大臣。
ちなみに左腕は長男。次男に丸投げ長男。
あれは、あれで大丈夫。
身の丈知った丸投げだ。
優秀な息子達のおかげで趣味満喫。
最近、アークレッドの雪山で元近衛兵長が手に入れた大きな飛竜の氷漬けの化石。
万年雪のおかげでかなり状態がいい。
ちなみに「臭い!臭い!このお代は高いぞ」と大山脈アルバの魔女から移動代ぼったくりあうのを止めてくれたのも、アークレッドのこのまんまる黒メガネ。
「わあ、ありがとう!ヤーガバーバ!」
キラキラ瞳に魔女脱力。
さすがは大天才マリア・フォン・ランドルを骨抜きにしたアークレッドの子供達。
マリアだけでなく、館長も姫さまもメロメロ。
アークレッドが敵なのは、大国リオンの王様。
1番、敵にしたくないやつ。
まあ、息子しかいない自分には一生わからない。
それにしたって大きな竜。
「まあ、ゴールドドラゴンは飛竜の王様だからなあ。人は乗せないだろう。それこそ、懐く事が奇跡だ」
飛竜は人に懐かない。
この世界の常識だ。
ーあっ、常識通じない国あったっけ。