そのに ウィルと金の卵
「ギャアオ‼︎」
と元気な声で生まれた大きなおめめの…
ーなんだ、これ?
金色鱗のトカゲ?いや、羽があるから虫?
ムシャムシャと自分の入っていた卵の殻をたべている
ひとつだけウィルが理解したことは、
(…僕の卵が…)
きれいさっぱり羽虫のお腹に食べられた。
「なんだ、ソレ。食えるのか?」
涙目の弟の隣に突き刺さる大鷲を地面からひっこぬいて兄がきく。
立派な大鷲に大満足なお兄ちゃん。
涙目の弟はどうでもいい。
今日はとりすき とりすき ルンルンルン。
鼻歌まじりに大鷲担ぐ。
「今日の晩飯は、ご馳走だぞウィル。ああ、そうだ。ちゃんとそのチビの親探してこいよ?卵なら食えるけど、どうみてもそいつ赤ちゃんだし、まずそうだし、無意味な殺生は悪い事だぞ」
じゃあな、と兄ちゃん去って行く。
三メール先で兄が外した鳩が
ぽっぽーっ!
とないた。
ますます涙目ウィル・フィル。
卵が食べたいウィル・フィル。
途方にくれたウィル・フィル。
ブンブンご機嫌に飛ぶ羽虫。
なんだか卵の殻食べて、ラグビーボールよりさらにでっかくなってきた?
とりあえず、羽虫のお母さん、探しに行こう。
むんずと羽虫の足を掴んで歩いてく。
大鷲は大魔女ヤーガバーバのいる山。
高度1万メートルだ。
がんばれウィル。
がんばれ羽虫。
金の卵の持ち主だあれ