そのじゅう 羽虫の事情
ブンブンブンブン、いい加減、羽虫の音もむかつくよ。
「もう少し、うるさくなく飛べないの?」
ってきけば、羽虫は無音でスィーっすいーって優雅にとぶ。
なんだかきれいなゴールドの薄い羽根。
やっはへんな羽虫。
途中で見つけた大鷲の、金の卵よりでっかい黒い卵が雪におちていたけど、
食べたかった卵だったけど、手に取れば暖かくていきていた。
さすがにウィルも登れない断崖絶壁も、羽虫なら一っ飛び。
卵料理食べたいけど、生きてるのなら巣穴にかえすのがアークレッドの常識だ。
くれぐれも食べないように言い聞かせ、(もし食べたら僕がお前を食べるとおどじ)ガクブルな羽虫さん。
しっかり卵を巣に返す。
そういえば、
「お前の母ちゃん父ちゃん心配してるよね。はやく探さないと」
雪女の雪から貰った防寒具しっかり耳までかぶって気合を入れてあるきだす。
その頭上を、ブンブンやめてスィースィーと優雅にとぶ羽虫。
探したってきっともういない。
千年に一度の卵、金の卵の飛龍の王様。
小さくたって、生まれたその日から縄張り争いまきこまれた。
大鷲に卵とられたのだって、同じ卵で生まれた兄弟がうまくやったから、
スィーツスィーツと大空舞う。
金の卵の持ち主は、きっとこれからもかわらない。
スィーツスィーツと大空か駆ける。
なんだか、そろそろあきてきた。
「あっ、ちょっ!」
.
少年の華奢な肩を軽く噛んで背にのせる。
「ふぇっ?」
.
間抜けな声でひとっ飛び。
大山脈アルバの頂上の、ヤーガバーバのむらについた。
「羽虫ってすごいなあ、重かっただろ?はい、つかれとれるよ、リーナの飴玉」
甘ったるいけど、酸味がきいた、すんごく美味しい食べ物もらい大満足。
ーもう、このまま羽虫でいいや、おれ、




