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6話 怒☆ら☆れ☆ま☆し☆た(人物紹介つき)

人物紹介はあとがきにあります

ドラゴンを狩ってから翌日の早朝、昨日の続き空はカラッと晴れている。いい家火事日和だ、敵が暗雲を立ち込めさせる系のことをしてこないっぽいから嬉しい。置くところとかがないから鱗が付いたままのドラゴンの尻尾は外に放置する形になっちゃってたけど、盗られたりしてなかった。まあ、盗むには重さや大きさ的な意味で無理があるか。剥き出しの表面は特に腐ってる感じはなかった。それはホントに嬉しい。まあ腐ってたらその部分はスライムにあげればいいかなって思ってたけど。シルトちゃんには昨日よりちょっとだけかわいいのを着せてる。今日は戦闘する気はないからね。

海外の家は枠組みが木でできてるやつがないからが燃えにくいような気がしたので、シルトちゃんに燃えやすそうなものを探してもらうついでに私は私で油を探してた(運んだのはもちろんシルトちゃんだ)。置いてある家が多かったから結構集まった。ま、避難するのに持っていくようなものじゃないしね。これで家火事を起こす家全体にまんべんなく油を敷けそうだ。ってこれ、考え方が放火魔っぽくない?

ま、何にしろやるしかないか。胃もたれしそうな気がしなくもないけど昨日の夜まともに食べてなかったし大丈夫か。


「それじゃあシルトちゃん準備するよ!」

「はーい!」


まずは家火事にする家に油を敷いて、燃えやすそうなものを中と外に配置、そして家を叩き壊す(・・・・)

ドラゴンの尻尾がデカすぎるから乗せるときは支えられても、焼いてるときに崩れるかもしれないからそれで被害が広がらないようにするためだけど、シルトちゃんがドラゴンの尻尾をぶん回して破壊する様子はなんかすごいスッキリした。周りの家も破壊してはけたけどこれで大丈夫かな?私の方から全体が見えるように、屋根の奥の方を高くして平らな斜面、って言えばいいのかな?そんな感じにした。

肉はシルトちゃんに中から20枚くらいに分けて輪切り状で抉り出してもらった。それには昨日見つけたサバイバルナイフを使っている。いずれ必要だとは思ってたし、家を何件か探せばあると楽観視してたけど、モブおじの家であっさり見つかるとは思ってなかったなぁ。自身はご都合展開はないって言ってたけど、モブおじ自身は結構ご都合キャラしてると思う。それにしても普通にサバイバルナイフで肉を抉り出せるあたり、中の肉は結構柔らかいみたい。触ってみて弾力も結構あったし。

大きい方の肉10枚を壊した家の上にギッチギチに寄せて敷いてもらって準備完了だ。これらをもう一回やるのは厳し面倒くさいかなぁってことで一発で成功させたい(肉を切り出すのに時間がかかりすぎてここまでで昼くらいになってる)。まあ、残り半分くらいあるわけだけど、今回ほどの労力はたぶんいらないと思うし。そんな祈りを込めて、私はマッチで毛布に着火した。


着火した直後、私が想像していた以上に火の勢いがすごく、一気に燃え広がって熱波がこっちにも来た。

熱っ!ドラゴンの火よりかはマシだけど熱っ!とりあえず避難して遠くから眺めてみると壮観だった。肉焼きセットで肉を焼いてるところを(あり)視点で見てる感じって言えばいいのかな。モクモクと天にまで昇る黒い煙と、ボジュウというもはや騒音並みの音になってる肉の油が焼ける音がおいしそうに見える。


あれ?そういえばどうやってお肉をとればいいんだろう?

……どうしよう、考えてなかった……。

どうしようこのままだと焦げる!ドラゴンの火ほど熱くはないとは感じたけど熱いのには変わりないから近づきにくいし、燃えなくてあの巨大な肉を動かせるような巨大な棒か何かがあるわけでもない。

うん、ドジったわぁ……。仕方ない、焦げたやつでも食べるしかないかなぁ、もったいないことしたなぁ……。

……?なんかシルトちゃんに向かって変な期待が寄せられたような気がするけど、気のせいかな?まあ何度も驚くようなことをして助けてくれたわけではあるけれども、さすがに今回はね?

そう思ってシルトちゃんがいるところに目を向けるといなかった(・・・・・)


……いないのかよ!またなんかやらかしパターンだよもう読めちゃったよ何をしでかすのかまでは分からないけど!シルトちゃんを探すついでに何かいいものが無いかと探したけど、先にシルトちゃんが見つかった。




肉の上だった(・・・・・・)


いや、上だとちょっと語弊があるかな?何となく肉が欠けていってるように見えたからちょっと注目してみると案の定というかなんというかで、肉の側面に張り付いて食べてるっぽい。油が多すぎたのか肉を火がまるっと包んで影しか見えない状態になっていたのだけど、それでも私から見える肉の影がだんだんと無くなっていくのが見て取れた。

……うん、驚かないよ。何となくそんな気がしてたもの、探してるときにムチィだか肉を引きちぎるような音が聞こえてたような気がしてたもの、幻聴であってほしかったけど。


「シルトちゃーん、私の分も残しておいてくれるぅーー?」


なおも火の勢いが増している火事現場に向かって叫んでおくけど、たぶん効果がない気がする。食べるスピードがおかしいんだもの、シルトちゃんの口の大きさから考えてどんなに速く食べてもそんな勢いで減るわけないでしょってなスピードで肉が無くなっているのだ。顎を外して食べてるとか……?やめとこう、想像したくない。このままシルトちゃんが食べ終わるまで待つしかないんだよね……。お腹減ったなぁ。私は昨日食べた栄養食品の残り半分を食べながら、家火事の中で肉の影が無くなっていくのを見守るしかなかった。


それにしても勇者って万能すぎやしないだろうか?あんなメチャクチャに食べることは置いといて、ドラゴンの鱗すら溶かすようなスライムを食べたり、ものすごい力持ちだったり、今回に至っては燃え盛る火の中に突っ込んで平然と肉を食べてたり。いや、そのぐらいしないと魔王を倒せないとかっていうならそうなのかも。今は無双タイムってことかしら?

無双タイム……無双タイムかぁ……。無双タイムってことはあとで苦戦するってことではあるし、あとはかませっていうパターンもよくある。生き延びる分にはまあ構わないんだけど、戦わなきゃいけないんだったらずっと無双のほうがいい。今はゲームじゃないからなおさらだ。とすると戦力アップが不可欠になるわけで、勇者を増やすっていう方法が取れないのは結構手痛いながらも別の方法を考えるしかない。ん?勇者じゃなければパーティは増やせるのか。と言ってもシルトちゃん基準になっちゃうからなぁ……。


霊長類最強……。


いや、何でもない何でもない。何を考えてるんだ私は……。

……。おいおい考えていくしかないか。


「お姉ちゃん?」

「ああシルトちゃん、食べ終わった?」

「うん、あとお姉ちゃんの分」

「……ええ、ありがとう……」


渡されたお肉は完全に黒ずみでした、ありがとうございました。ってあれ、シルトちゃんってこんな爪長かったっけ、帰ったら切ってあげないと。


…………。やっぱり、着てたやつは全部燃えてるよね……。

目の前のシルトちゃんは生まれた時の状態だった。いくらシルトちゃんは超人(勇者だけど)とはいえ、着てたものは普通のやつだからね、燃えてて当然だ。暫く着せてようかなって思ってた服だったが故にショックはデカい。今後、食事と戦闘の時はオシャレな服は着せないようにしよう。そう心の中で誓ったのだった。


流石にそのままはまずいので外套をかけて、もしもを考えて迂回してモブおじの家に帰る。ドラゴンの尻尾は、中身をくりぬいた肉はモブおじの家に入れて、外側はあとで防具とか武器とかに使えないかなーと思い、帰るときに肉を詰める袋みたいに使った後、数軒先の屋根に乗っけておいた(というより放り投げた)。


――――――――――


あの黒ずみは食べられないので、黒ずみはスライムに投げつけて今はモブおじの家で尻尾の先端部分の肉を焼いている。もちろんちゃんとフライパンで焼いてるから大丈夫だ(何が?)。ガスは出なかったから油を吸わせた新聞紙で火を起こしてる。調整できないけど肉を焼く程度なら特に必要はない。新聞紙を落とさないように気を付けないとね。何も手を加えてないのだけど香ばしい匂いが漂ってきている。異世界系の飯テロのやつとかっても焼くだけでもこんないい匂いがするのだろうか?気になりはするけど確かめようはないね、あれ創作物だし。


ガチャッ


あれ?玄関の扉が開いた?シルトちゃんは中にいるし、ってことは


「オーイ、アミはいるか?」


やっぱモブおじか。


「ハイハイ~、モーガンさん、なんです~?」

「飯持ってきた。それとアレ、お前らの仕業だろ」

「アレ?」

「この先で家が1軒ひでぇ火事になってた。周りの家は吹き飛ばされてて燃え移ったりはしてなかったが悲惨な状況だった。モンスターがやったのかってことになったが、1軒だけにする意味がねぇ。ってなると、お前らが何らかの目的でやったんだろ?」

「……」

「うん、お姉ちゃんとドラゴン焼いて食べた!」

「……ドラゴン?」

「ちょっ、シルトちゃん!」


あっさりとバレちゃった。純粋な子だからね、そこが美点であり怖いところなんだけど。

……あー、モブおじさん?目の前で仁王立ちして私を睨みつけないでくれませんかね?どうせならシルトちゃんも……、冗談です目を細めないでください私の責任ですから。

永遠に続くかと思ったこの空気はモブおじがため息を吐いたことで終わりを迎えた。


「もうちょっと周りを考えてくれないか?お前らがすげぇ力を持ってて、俺がそれを当てにしてる以上強くは言えんがな。それでもお前らが周りに与えうる影響の大きさってのを考えてくれ」


モブおじは「こう言っちまうとゲンコツもしづれぇからな、これでも喰らっとけ」と言って私にデコピンしてきた。クッソ痛いです……。


「で?なんなんだドラゴンの肉ってのは」

「あ、しまった。まだ焼いてる途中だった」


まだジュウジュウ焼いてる音がするけど急いでフライパンのところに向かう。どうやらその判断は間違ってなかったようで、シルトちゃんがフライパンの上の肉に手を伸ばしていた(・・・・・・・・)。力任せにグイっと引っ張る――ことはティエ様似のシルトちゃんにはできないので後ろからホールドして優しく遠ざけた、下ろす時にはもう息も絶え絶えだった。

裏返してみるといい感じの焦げ目がついてたんで、燃えてる新聞紙からフライパンを遠ざけてあとは余熱に任せる。まあ、フライパンごと肉を持ち上げるのは今は無理だったから最低でも焦げるのを防ぎたかったっていうのもあるけど。


「これがドラゴンの肉か?」

「はい、尻尾の先端の先端ですが」

「先端2回出てきてるぞ」

「表現は間違ってないですよ。そのぐらい大きいんです。あの家火事だってドラゴンの尻尾の半分を焼くのにギリギリの面積だったんですから。あ、もう半分なら家の中に置いてありますよ。見ていったらどうです」

「人ん家に何持ち込んでんだ!」


モブおじは拳を震わせていかにも『ゲンコツ落としますよ』のポーズをとってた。ちょっ、やめてください死んでしまいます冗談でなく!しかたない、またあの重労働はしたくないけど奥の手(・・・)だ。


「そ、そう言わずに。モーガンさんもドラゴンの肉、どうですか」

「いるか!」


食い気味に拒否された。あれ?なんかつい最近似た光景を見たことがあるような……、気のせいかな?どうすればゲンコツを回避できるかと頭を回転させたところで腰を指で(つつ)かれる。そっちに目をやるとシルトちゃんが不機嫌そうな顔をしていた。


「焼いて!」


その3文字の言葉と共に指さされていたものはドラゴンの肉だった。たぶん持ってきた中で1番デカいやつだと思う。モブおじも肉に目を奪われている。これはチャンスじゃなかろうか?


「随分とデカくないか?」

「これでも尻尾の中間あたりのはずですよ」

「これが……?直径が俺の身長くらいありそうなんだが」

「そのぐらい、仕留めたドラゴンは大きかったですよ。ちょっとした山みたいだったと言えば伝わりやすいですかね?」


モブおじは無言になって肉とシルトちゃんを交互に見つめる。その間シルトちゃんから「お姉ちゃん肉焼いて」と何度もねだられた。「あとで焼いてあげるから」とは言ったけどいつ焼くかは言ってない。


「ハァ、そのぐらいのドラゴンがいたってんなら、俺らが逆立ちしてもかないっこねぇだろうな。もういいぜ、好きにしな。あんたらがスーパーヒーローだ。いや、スーパーヒロインか」


モブおじはやれやれと諦めたかんじで頭を横に振る。助かったんだろうか?


「だが、今日ばかりは監視させてもらうぜ。今でさえこっちは不安に押しつぶされそうになってんだ。これ以上心労をかけさせるわけにもいかねぇ」


まあ、仕方ないね。今日はもう特にそれと言ってやることはないから別に居てもらって構わないし。ってここ私の家じゃないんだけどね。ついでに長期的な旅をするのに必要なものっても聞いておいて準備もしたいし。


さて……と、待ちに待ったドラゴンの肉実食タイムだ。

厚さが10センチもあるから中に火がちゃんと通るか不安だったけど問題なかったみたいだ。幅3センチほどで切ってみると程よい弾力で、少し揺らすとブルンブルンと肉が揺れる。ってこんなんで遊ぶべきじゃないか。いただきまーす。


美味(うめ)ぇ……。


グルメマンガとかだとここでおいしさの表現が入るんだろうけど私の表現力なんてミジンコもいいところだから単純に『美味ぇ』しか言わない。無理に表現することもないからね。これだったらいくらでも食べれそうだ。できれば、平和な時にこれを食べたかったなぁ。

3分の1を食べたところでお腹いっぱいになったので残りはシルトちゃんにあげた。『いくらでも食べれる』とは思ったけど、『一度に』とは思ってないからね。


モブおじに聞いて準備をそこそこに、今日は早めに寝ることにした。次の日の朝、ドラゴンの肉の状態を確認しに行ったら少しばかり減ってたんだけど、シルトちゃんが盗み食いでもしたんだろうか?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

以下は人物紹介です(後で年齢とかを変更する可能性があります)


神薙(かんなぎ) 亜美(あみ)

年齢16

主人公、言うまでもなく黒髪黒目、身長158の体重49(自己申告)。肩甲骨辺りまで伸びるポニテ。

東京に現れた魔王の襲撃により死亡(?)するも、神様に願い事をかなえることを報酬に、管理者(仮)となり魔王を倒すことを強制され、魔王出現から三週間後のヨーロッパのどこか(あくまでどこか)に復活してもらうが死にかけて神様に見捨てられる。

自身が崇めているティエ様に似ているという理由でシルト・ラーナに勇者の器を食べさせて勇者にする。



シルト・ラーナ

年齢8

神薙亜美の勇者、黄色がかった銀髪に碧眼をしている、髪型はミディアムのストレート。身長は120㎝くらいで細身。

道端で飢えて死にかけていたところを亜美に見つけられ、勇者の器を食べたことにより勇者となる。勇者となったシルトは食欲旺盛でモンスターをも物怖じせずに食べる。亜美のことは『お姉ちゃん』と呼んで慕っている。



モーガン・ブロムチャフ

年齢47

転生後亜美が初めて会った人物、身長190前後の白髪、もみあげと髭がくっついてるナイスダンディ。

正義感が強く人がいい。名前の最初の文字をとって『モブおじ』と亜美は心の中で呼んでいる。警官で、妻と一人の娘がいる。

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