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幕間2

ああ、これで二章も終わったね。

じゃあね、ゆっくりおやすみ。



えっ、もう少し話そう?

驚いたね。そんなことを言われるとは思っていなかったから。

ほら私、語り手としてこの場にいるわけだけど、物語と対話は根本から違うものだからね。

対話によってみんなから私が引き出したいものは実はそんなにないんだ。むしろ君達が話したいことを話してほしいくらいだ。

今日あった嬉しいこと、悲しいことをどうぞ私に教えてくれないか。なんでもない、毎日起こっていることだっていいんだ。そういうものだって、私にとっては新鮮なんだよ。



それによって今後の私の物語が変わってしまうかもしれない?はは、まさか。私にとっての真実が揺らぐことはないよ。言っただろう?これは過去にあった、本当のお話だって。確かに誰かが私に嘘をついていたとしても、私は気付いていないかもしれない。そういう面も含めて、私は信じると決めたのさ。

人が人に語ろうと思うのは、知っていることじゃない。信じていることなんだよ。



逆に言うと、私の話を君達が誰かに伝えることだってできる。

しかしその時、いくら正確に伝えようとしても、いや、正確に伝えようとするからこそ、内心疑わしいと思っていることは語れないものなのさ。

どうだい?私の話は信じるに値するかい?それとも疑わしいかい?ああごめん、そんな真剣に悩まないでおくれよ。何も問題を出して答えてもらおうって思っているわけじゃないんだ。



ん?これからの展開はどうなるか、だって?まあまあ、少し待ってくれないか。流石に喉が渇いてしまってね。何か飲み物は持っていないか?そう、それでいい、ありがとう。

とはいえ、私はこの物語について、この物語以外の言葉を持ち合わせていないんだよ。例えこの物語の外に誰も知らない世界の真実が待ち受けていたとしても、それこそもういなくなったはずの神が私達を見ていたとしても、私が語りたいことなんかそんなに多くはないのさ。多くはないけれど、それが私のすべてなんだ。

こんな言い方をしてしまうと変に身構えさせてしまうね、でもその必要はないさ。私は最終的にここにいて、みんなと話している。そして、できるだけ楽しんでいってほしいと思っている。明日もどうぞ気楽に聴いてくれないか。



ただひとつ、昨日と同じことをもう一度言っておこうか。


これはお姫様でも勇者でもない、ただのなんでもない、何もできなかった女の人が一生懸命だったり一生懸命じゃなかったりを繰り返して、数奇な生き方をしながら、幸せになれるのかなれないのか、その軌跡を辿る物語さ。



さあ、これ以上の夜更かしは身体に障るよ。

良い夢を。

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